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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Pyotr Ilyich Tchaikovsky: The Sleeping Beauty
Czecho-Slovak State Philharmonic Orchestra / Andrew Mogrelia
(Rec. 18-23 March & 13-25 May 1991, House of Arts, Košice)



ロシアの作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky, 1840-1893)のバレエ音楽《眠れる森の美女》の音楽の全曲盤です。
チャイコフスキーは、このほかに、バレエ音楽として《白鳥の湖》と《くるみ割り人形》を作っていますが、この2作の間に位置するのが、1888年から翌年にかけて作られた本作となります。今では、チャイコフスキーの作った3作のバレエ音楽は、ロシア・バレエの傑作として世界中で上演されていますが、チャイコフスキーの生前には、どの作品も芳しい評価が得られませんでした。
第1作目の《白鳥の湖》(1877年初演)が不評に終わってしまったのに意気消沈したチャイコフスキーは、しばらくバレエ音楽の作曲から遠ざかりますが、サンクトペテルブルグの帝室劇場の総裁を務めていたイワン・フセヴォロシスキーの再三の説得でようやく作曲する気になったそうです。当初、フセヴォロシスキーはフリードリヒ・フーケの原作によるオンディーヌの物語を題材として提示しましたが、チャイコフスキーは首を縦に振らず、代案としてシャルル・ペロー原作の『眠りの森の美女』を提示したところ、チャイコフスキーが作曲する気を起こし、帝室劇場の振付師のマリウス・プティパ(Marius Petipa, 1818-1910)の台本で作曲が進められました。
プティパの細かい指示に従って書き上げられた作品は、1890年に帝室劇場でリッカルド・ドリーゴの指揮で初演されましたが、《白鳥の湖》ほどの不評ではなかったものの、さほどの作品とは見做されませんでした。
作品を気に入ったフセヴォロシスキーは、さらにチャイコフスキーに作品を依頼し、《くるみ割り人形》が生まれることになりますが、これはまた別の話。
この《眠りの森の美女》は、プロローグと3幕からなります。
【プロローグ】
17世紀のフロレスタン王家のお城で、フロレスタン24世に娘が生まれた。娘はオーロラ姫と名付けられ、洗礼式が執り行われる。そこに招待を受けた6の精霊が、それぞれに贈り物を用意してやってきて、祝宴となったが、招待されなかったカラボスの精霊が乗り込んできて、「成人の時に指に針を刺して死ぬ」という呪いをかけてしまう。そこでリラの精が機転を利かせて、「死ぬのではなくて眠る」と、呪いの効力を弱めるのだった。

【第1幕】
オーロラ姫はすくすくと成長し、成人するまでになった。その誕生日を祝うために祝宴の準備が整えられる。カラボスの精霊の呪いを恐れたフロレスタン24世は、編み物の禁止令を出して、編み物をする乙女たちが編み物をするのをとがめていた。オーロラ姫には4人の求婚者がいて、それぞれが薔薇の花束を贈るが、誰かが姫に紡錘を手渡した。姫は、紡錘に仕込まれた針で指をさして倒れ、カラボスの精霊が現れて大混乱になるが、リラの精霊がそこにやってきて、姫は死ぬのではなく眠るという呪いの書き換えを実行し、城中の人々を姫が目覚めるまで眠らせるように魔法をかけたのだった。

【第2幕】
城中が眠りに入って100年たったころ、デジレ王子がフロレスタン王家領の近くで狩猟をおこなっていたが退屈してしまい、ふらふらと一人遊びに出かけてしまう。そこでリラの精霊に出会い、眠っているオーロラ姫の幻を見せられて、オーロラ姫に一目惚れする。デジレ王子はリラの精に頼み込んでオーロラ姫のいる城に連れて行ってもらい、そこで姫を見つけてキスをする。王子のキスで姫は目覚め、同時に城中の人も目覚めることになった。

【第3幕】
オーロラ姫とデジレ王子の婚礼の儀式が始まり、様々な来賓や妖精たちが、城の人たちと二人を讃える。
初演時にも、音楽の長さを調整すべく、プティパが初演の際に、多少のカットを施していました。バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)を率いていたセルゲイ・ディアギレフなどは、より簡便に上演すべく、およそ3時間必要な演目を1時間未満に端折って《オーロラ姫の結婚》として上演していた記録もあります。本録音では、プティパのカットした部分を元に戻して演奏しており、ほぼチャイコフスキーが書いた通りの版による録音といえます。
指揮をするアンドリュー・モグレリア(Andrew Mogrelia, 1958-)は、1984年のハンス・スヴァロフスキー国際指揮者コンクールで名誉ディプロマ、リーズ国際指揮者コンクールでも入賞していたという人。タングルウッド音楽センターで指揮を学びながら、ロイヤル·フィルハーモニー管弦楽団やBBC交響楽団、ハーグ・レジデンティ管弦楽団などヨーロッパ各地のオーケストラに客演して腕を磨いています。バレエ音楽への造詣も深く、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団やフィンランド国立バレエ団、香港バレエ団などにも客演し、2003年から2005年までサンフランシスコ・バレエ団の音楽監督も務めていました。
本録音で演奏しているチェコ・スロヴァキア国立フィルハーモニー管弦楽団は、1968年に設立されたコシツェのオーケストラです。1993年にチェコとスロヴァキアが連邦を解消したので、スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団になりました。1949年にブラティスラヴァに創立されたスロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団と直接的な関係はありません。

さて、演奏についてですが、いわゆるハイライトを編んだ時に組み込まれるような部分ではオーケストラも自信たっぷりの演奏を繰り広げます。各幕のグラン・パのコーダやフィナーレでは力演で盛り上げようとしています。プロローグのイントロダクションのような元気溌剌なところでは、パーカッションを軸にして歯切れの良い音を出し、いかにも瞬発力のあるオーケストラであるかのように振る舞っています。ただ、よく聴けば各セクションの表現力はあまり高いとはいえず、特に静かで抒情的な部分では棒読みのようになってしまう欠点があります。
モグレリアの指揮は、なんとか形よくまとめようと奮闘しているものの、オーケストラがバレエ音楽のノウハウを充分に飲み込んでいないのか、全体的に映画のサウンド・トラックの出来損ないのようなギクシャク感があります。

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