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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1-3:
◈Wolfgang Amadeus Mozart: Don Giovanni
Antonio Campo (Br: Don Giovanni)
Suzanne Danco (S: Donna Elvira)
Nicolaî Gedda (T: Don Ottavio)
Marcello Cortis (T: Leporello)
André Vessières (Bs: Masetto)
Teresa Stich-Randall (S: Donna Anna)
Raffaele Arié (Bs: Commendatore)
Anna Moffo (S: Zerlina)
Artiste & Chœurs du Festival d'Aix-en-Provence
Orchestre de la société des Concerts du Conservatorie / Hans Rosbaud
(Rec. 1957)

CD4-5:
◈Wolfgang Amadeus Mozart: Les noces de Figaro
Teresa Stich-Randall (S: La Contessa d'Almaviva)
Rita Streich (S: Suzanna)
Pilar Lorengar (Ms: Cherubino)
Heinz Rehfuss (Br: Il Conte d'Almaviva)
Roland Panerai (Bs: Figaro)
Christiane Gayraud (S: Marcellina)
Marcello Cortis (Bs: Bartolo)
André Vessières (Bs: Antonio)
Madeline Ignal (S: Barbarina)
Hugues Cuenod (T: Don Basilio)
Gérard Friedmann (T: Don Curzio)
Artiste & Chœurs du Festival d'Aix-en-Provence
Orchestre de la société des Concerts du Conservatorie / Hans Rosbaud
(Rec. 1956)



ハンス・ロスバウト(Hans Rosbaud, 1895-1962)は、オーストリア出身の指揮者で、特に現代音楽の擁護者として知られています。
しかし、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)をはじめとする18世紀音楽への造詣も深く、1950年代のエクサン=プロヴァンス音楽祭では立て続けにモーツァルトのオペラを上演し、モーツァルトのオペラが大好きな人たちにとっては垂涎の録音が残されることになりました。
ここに収録された《ドン・ジョヴァンニ》(1788年初演)と《フィガロの結婚》(1786年初演)は、このエクサン=プロヴァンス音楽祭のメンバーで録音されたものです。

これらのオペラの台本を書いたロレンツォ・ダ・ポンテ(Lorenzo Da Ponte, 1749-1838)は、イタリア出身の台本作家で、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世の宮廷作家にまで上り詰めた人です。
モーツァルトにはこの2作品のほか、《コシ・ファン・トゥッテ》の台本も提供し、3作品をあわせて、ダ・ポンテ三部作といいます。

《ドン・ジョヴァンニ》のあらすじは以下のとおりです。
時は17世紀、所はセヴィリア。

第1幕
色情狂の貴族ドン・ジョヴァンニ(ドン・ファン)は、従者レポレロを連れて、今日はドンナ・アンナの家でシッポリとお楽しみの予定。外ではレポレロが愚痴を言いながら主人を待っています。
ところが、アンナちゃんが急に騒ぎ出し、騒ぎを聞きつけた親父の騎士長がかけつけます。
娘を救うべく剣を振るう騎士長でしたが、ジョヴァンニに返り討ちにされてしまいます。
アンナちゃんは、婚約者のドン・オッターヴィオを呼びましたが、時すでに遅く、騎士長は亡くなり、ジョヴァンニもレポレロと一緒にスタコラサッサと逃げた後でした。
アンナちゃんとオッターヴィオは、ジョヴァンニ復讐を誓うのでした。(しかし、アンナちゃんは、ジョヴァンニの姿格好や名前はオッターヴィオに伏せています。)

町に出てきたジョヴァンニは、早速ナンパを開始。声をかけた女は捨てた女のドンナ・エルヴィーラ。
レポレロに任せて、その場を立ち去るジョヴァンニでしたが、レポレロはジョヴァンニの行状をあっさりばらし、エルヴィーラはジョヴァンニに女としての復讐に燃えるのでした。
広場にやってきたジョヴァンニは、広場でパーティーをしている一団を発見。それはツェルリーナとマゼットの結婚祝いの二次会でした。
「三次会はオレの家でどう?」と言葉巧みに人々を誘いながら、ジョヴァンニは、新婦のツェルリーナにターゲット・オン!
見事自分の家にまでツェルリーナを連れてくることに成功しますが、もうちょっとで抱けるところで、エルヴィーラに邪魔をされてしまいました。
危うく陥落しかけたツェルリーナは、マゼットに謝り通し。マゼットはみんなとジョヴァンニをとっちめることにします。
その頃、アンナちゃんとオッターヴィオは、エルヴィーラから話をきき、復讐の相手はジョヴァンニだと確信し、ジョヴァンニの家に突入します。
そのとき、ジョヴァンニは、またツェルリーナに手を出して、大騒ぎになっていたところでした。
ジョヴァンニは、レポレロに罪を擦り付けますが、通用しません。
ジョヴァンニはさっさとその場から逃げ出してしまいました。

第2幕
レポレロはジョヴァンニに、「もうアンタのところで働きたくない!」と辞表を出しますが、お金を積まれて慰留されます。
今度のジョヴァンニのターゲットは、エルヴィーラの女中・・・。
この女中攻略のために、レポレロと服を交換し、エルヴィーラの家の前に立たせます。
エルヴィーラはジョヴァンニの服を着たレポレロをジョヴァンニと勘違いし、ジョヴァンニの所業を責めた上で、「私だけ見てよ・・・」と、イチャイチャ・ムードに突入しました。
その頃、レポレロの服を着たジョヴァンニは、窓辺で歌を歌い、女中を呼び出そうとします。
そこに血走ったマゼットと仲間達がやってきて、「ツェルリーナを手篭めにしようとしたアイツをとっちめてやる!」と、鼻息を荒くしています。
マゼットは、ジョヴァンニをレポレロと勘違いしていて、「一緒にジョヴァンニをとっちめよう!」と、同志に迎え入れようとしますが、マゼットと二人きりになったところで、ジョヴァンニはマゼットをボコボコにしてしまいました。
ジョヴァンニが立ち去った後、ツェルリーナが出てきて、マゼットをつれて帰りました。
レポレロはレポレロで、エルヴィーラとデートすることになりました。
そこでアンナちゃんとオッターヴィオに出くわし、オッターヴィオに成敗されそうになりますが、エルヴィーラが身を挺してレポレロを守ります。バツが悪くなったレポレロは正体を明かし、その場を離れていきました。

ジョヴァンニとレポレロは墓地で落ちあい、レポレロがジョヴァンニを非難していると、そこにあった石像が動き、ジョヴァンニを非難します。
その石像は、第一幕の冒頭で死んでしまった騎士長でした。
ジョヴァンニは余興に、その石像の騎士長を家に招待します。
ジョヴァンニが家で宴会を開いていると、約束どおり騎士長が家にやってきます。
騎士長は、ジョヴァンニに改悛しろと迫りますが、ジョヴァンニは「嫌なこった!」と拒絶します。
押し問答の結果、騎士長は、ジョヴァンニを地獄の底へと連れて行きます。
一同がジョヴァンニ成敗にやってきたとき、一人ポカーンとしているレポレロがいるのみ。
アンナちゃんは、一年喪に服すと言い出し、オッターヴィオはしぶしぶ結婚延期。
エルヴィーラは修道女になる決意を固め、レポレロは、もっと待遇のいい主人を見つけるといって去っていきます。
ツェルリーナとマゼットは、ゴハンを食べに家路に着くのでした。
劇中では、ジョヴァンニは一回もナンパに成功していませんが、これは貴族相手のオペラという設定上、そういう場面を明示しなかっただけのことで、エルヴィーラもアンナちゃんも、はたまたツェルリーナも実は攻略成功していると考えてもいいかもしれません。
アンナちゃんのジョヴァンニを追い詰める場面でも、音楽は復讐に燃えるというよりも、実のところジョヴァンニに会えるドキドキ感が描き出されているような感触があります。

ロスバウト指揮するエクサン=プロヴァンス音楽祭合唱団&パリ音楽院管弦楽団は、非常に引き締まったアンサンブルで、立派に屋台骨を支えています。また、レチタティーヴォでチェンバロを弾いているのは、ロスバウトのことです。
スペイン人のアントニオ・カンポ(Antonio Campo)を表題役に抜擢しているのは、元ネタへの配慮でしょうか。
貴族というより、狡猾なエロオヤジといった感じの役作り。貴族としての威厳とカリスマはありませんが、これはこれとして非常に面白いです。
レポレロ役のチェコ人テノール歌手であるマルチェロ・コルティス(Marcello Cortis, 1915-1962)は、芸達者に聴かせてくれますが、個性的な歌唱陣たちの中にあっては、多少存在感が薄いようです。とはいえ、カタログの歌は非常に気持ちよく歌ってくれます。
注目すべきは、宗教音楽への造詣が深いテレサ・シュティヒ=ランダル(Teresa Stich-Randall, 1927-2007)がドンナ・アンナ役で出演しているということ。
アンナ役としては、かなり重い歌い方ですが、しっかりとした歌唱で主役を凌ぐ存在感を示しています。
オッターヴィオを歌うニコライ・ゲッダ(Nicolaî Gedda, 1925-)は、涼しげな好青年ですが、このオペラの色合いからすると、異色かもしれません。
エルヴィーラ役のスザンヌ・ダンコ(Suzanne Danco, 1911-2000)も、なかなかに重厚な歌い口で存在感をアピールしていますが、声のキャラクターとしては、シュティヒ=ランダルとかち合ってる感じがします。とはいえ、堂に入った歌いぶりは、素晴らしいです。
ツェルリーナを歌うアンナ・モッフォ(Anna Moffo, 1930-2006)の歌唱は、大型歌手の競演の中では、スミレのような存在で、カンポとの〈お手をどうぞ〉の二重唱などはウットリさせられます。
マゼット役のアンドレ・ヴェスレール(André Vessières)もすっきりとした歌唱で聞かせてくれます。
騎士長役のラファエル・アリエ(Raffaele Arié, 1922-1988)は、出番こそ少ないものの、威厳ある美声で印象が深く、さすが大歌手だと思わせられます。

このCD集の4枚目からは、《フィガロの結婚》になります。
《ドン・ジョヴァンニ》から引き続き出演しているのは、アルマヴィーヴァ伯爵夫人のシュティヒ=ランダル、バルトロ役のコルティス、アントニオ役のヴェスレールです。
シュティヒ=ランダルは、《ドン・ジョヴァンニ》のアンナ役よりも、本役のほうがしっくりきている気がします。
アルマヴィーヴァ伯爵役は、ハインツ・レーファス(Heinz Rehfuss, 1917-1988)が重厚感ある歌唱で演じ、このオペラに落ち着いた味わいをつけています。
フィガロ役には、芸達者で知られたロランド・パネライ(Roland Panerai, 1924-)が演じています。
何よりもうれしいのは、ドイツで活躍した名歌手のリタ・シュトライヒ(Rita Streich, 1920-1988)の溌剌としたスザンナ役が聴けることです。機知に富んだスザンヌ役は、やはりシュトライヒにピッタリです。
バジリオ役にユーグ・キュエノー(Hugues Cuenod, 1902-)、ケルビーニ役にピラール・ローレンガー(Pilar Lorengar, 1929-1996)といった名歌手達が出演している点からしても、とても贅沢なキャスティングです。

話のあらすじは、以下のとおりになります。
時は18世紀半ば、所はセヴィリアのアルマヴィーヴァ伯爵領内。
その昔のヨーロッパでは、新婚初夜のセックスの花嫁の相手は領主や僧侶が行うという風習があったそうで、この領主が花嫁の初夜を花婿から奪える権利を「初夜権」といいます。
アルマヴィーヴァ伯爵領内では、めでたく、この風習が撤廃されることとなり、スザンナとフィガロはめでたく、初夜権行使抜きで結婚できる初のカップルになれました。
そんな結婚前夜から、劇が始まります。

第1幕
フィガロは伯爵家の近くに新居を貰い、また、ベッドも貰ってきました。
フィガロはうれしそうですが、ベッドを見たスザンナは伯爵のたくらみに気がつきます。
「伯爵は、実は初夜権を撤廃して、私と寝るつもりなんだわ!」
スザンナから話をきいて伯爵のたくらみを理解したフィガロは、伯爵に一泡吹かせようと決意するのでした。

ちょうどその頃、医者のバルトロと女中頭のマルツェリーナ(2人は元恋人)が悪巧みをしていました。
マルツェリーナは、かつてフィガロから「借金を返さなければ私と結婚する」という証文を交わしており、この証文をネタにフィガロとスザンナの結婚を阻止しようというのです。
バルトロは、以前フィガロに痛い目に遭わされた(ジョアキーノ・ロッシーニの《セヴィリアの理髪師》参照)ので、この計画に大乗り気です。
そこにスザンナがやってきて、マルチェリーナとスザンナは激しくなじりあうのでした。

マルチェリーナと分かれて新居に戻ったスザンナのところに、ケルビーノがやってきます。
ケルビーノによると、庭師のアントニオの娘のバルバリーナとイチャイチャしてるところを伯爵に見られて、追放されそうなのだとか。伯爵ともつながりの深いスザンナに、ケルビーノは、とりなしてくれるよう頼みにきたのでした。
ところが、そこに伯爵がスザンナを口説きにやってきて、ケルビーノは身を隠します。
伯爵がスザンナを口説いているそのときに、今度は音楽教師のドン・バジリオがやってきます。
今度は伯爵も隠れて、バジリオの世間話に耳を傾けます。
その世間話というのが、伯爵夫人とケルビーノの不倫説で、その話をきいた伯爵は居てもたってもいられず、バジリオの前に登場。
困惑したバジリオは、さらにペラペラとしゃべりだし、ケルビーノとバルバリーナの仲を暴露しながら、そこにあった腰掛の布をおもむろに取りました。すると、そこにはうずくまるケルビーノが!!
ケルビーノは、伯爵夫人に伯爵へのとりなしを頼みに来たと苦しい言い訳をしますが、伯爵もスザンナを口説きに来た現場を見られた手前、どうにかケルビーノを封殺したいところ。
そこで、伯爵はケルビーノに軍隊行きを命じるのでした。
ケルビーノがショックを受けているところに、フィガロが村人大勢とやってきて、声高に、
「初夜権を撤廃してくれてありがとうございます!私たちが、初めての、初夜権抜きの夫婦になります!伯爵様万歳!」
などとやるので、大勢がいる手前、初夜権撤廃を取りやめようということは公言できず、しどろもどろに「初夜権撤廃はする。けど、もう少し待ってくれ。結婚カップルを盛大に祝うことを考えたい。」とお茶を濁しました。
危うく、結婚が伸ばされそうなので、フィガロはケルビーノをいびります。
「お前、軍隊行きになるんだってな!もう蝶々みたいに女遊びはできないぞ!」

第2幕
伯爵夫人の悩みは、夫の浮気。自分への愛情が薄れたことを嘆いています。
そこにスザンナがやってきて、伯爵夫人と、お互いの服を取り替えて、伯爵の行状をやり込めようという相談をしました。
そこにケルビーノがやってきます。ケルビーノは軍隊行きの暇乞いとして、自分の作曲したアリアを聴かせにきたのでした。
そんなケルビーノとちょっと遊ぼうと考えた2人は、女装させようとケルビーノを化粧室に入れます。
そこに伯爵が登場。
落ち着きのない伯爵夫人を見て、伯爵は伯爵夫人の不倫を疑い、色々と詮索します。
化粧室でケルビーノが物音をさせてしまうので、不倫相手が化粧室にいるのだと伯爵は思い込み、証拠保全のために、伯爵夫人の部屋に鍵をかけ、化粧室の鍵を伯爵夫人を連れて取りにいきました。
部屋に隠れていたスザンナは、化粧室の鍵を開けてケルビーノを窓から逃し、自分が化粧室に入りました。
戻ってきた伯爵夫婦が、化粧室の鍵を開けると、スザンヌが出てきたので、一同びっくり。
伯爵夫人は伯爵をやりこめてしまいました。
そこにフィガロが登場するや否や、庭師のアントニオがやってきて、上の窓から人が降ってきたが何事かと伯爵に報告に来ます。
その降って来た人というのは、実はケルビーノでしたが、フィガロは機転を利かせて、自分がスザンヌと待ち合わせをしてて、伯爵の声がしたので、思わず飛び降りたと釈明をします。
伯爵は、本当のことを白状させようとしますが、結局フィガロに丸め込まれてしまいました。
それで一件落着かと思いきや、バルトロとマルツェリーナが登場し、フィガロを告訴すると言い出しました。
フィガロは一転窮地に追い込まれます。

第3幕
スザンナは伯爵夫人と相談して、第二幕で立てた作戦を決行することにしました。
スザンナは、夜に行われることになった結婚式の後、伯爵に二人で会う約束をしました。
そこに気の滅入ったフィガロが登場しますが、スザンナはフィガロに「法廷で負けても結婚できるわよ」と耳打ちをします。
伯爵は、その耳打ちにいぶかしげです。

法廷が開かれ、マルツェリーナの「結婚か、さもなくば借金を返すべし」という訴状がそのまま通ることになりました。
結婚か借金かと迫るマルツェリーナに、フィガロは「私は貴族の出だから、親の許しなしには結婚は出来ない」と言い出します。
「証拠は?」と訊かれたフィガロは「腕に紋章がある。私は幼い頃に悪党にさらわれたので、親が誰かは分からないが・・・」といいました。
それをきいたマルツェリーナは、フィガロが、昔さらわれた実の息子なのではないかと思い出し、紋章を見て確信します。フィガロの母親はマルツェリーナで、父親はバルトロでした。親子では婚姻関係が認められないため、告訴は取り下げられ、伯爵はスザンヌとの結婚が阻止できず不満げです。
丁度いいということで、マルツェリーナとバルトロは、夜にフィガロたちと一緒に結婚式を執り行うことになりました。
そこにスザンナが「伯爵夫人からお金を借りたから、これで借金を返す!」と走りこんできます。
しかし、スザンナが見たのは、フィガロとマルツェリーナが抱き合う姿。
スザンナはフィガロをぶん殴りますが、みんなの説明で漸く納得し、伯爵夫人に報告に行きます。

伯爵夫人は、昔を回顧し、伯爵の浮気を嘆いていましたが、スザンナから事の次第を聞いて、俄然元気になりました。
スザンナは計画を着々と進行させるべく、伯爵に恋文を書きました。

屋敷の広間では、結婚式が始まろうとしています。
伯爵夫人に、村娘が花束を贈っていますが、その中で、一人だけもじもじしている人がいます。
アントニオが、その娘のヴェールを剥ぎ取ると、正体はケルビーノでした。
「軍隊送りにしたはずだ!」と怒り出す伯爵のところに、バルバリーナが登場して言います。
「伯爵様は、私の願いをきいてくれると日ごろからおっしゃってましたので、今願いを言いたいとおもいます。ケルビーノをください!」
伯爵はしぶしぶOKを出し、ケルビーノの軍隊行きは取りやめになりました。
また、スザンヌは、どさくさにまぎれてそっと伯爵に手紙を渡します。
結婚式中に、伯爵は手紙を開けようとして、手紙の封のピンを指で刺してしまい、それをフィガロに見られてしまいます。
フィガロは「伯爵に誰かラブレターを出したらしい」と勘ぐりました。

第4幕
日の暮れた伯爵邸の庭で、バルバリーナが探しものをしています。
フィガロがやってきて、バルバリーナに何を探しているのかを問うたところ、「伯爵様から預かったスザンヌに渡すピン」を探していると答えたので、バルバリーナの服からピンをひとつ抜き取り、バルバリーナに渡しました。
フィガロは、スザンナが伯爵と浮気するのだと思い、怒り心頭です。
怒るフィガロを見たマルツェリーナは、フィガロをなだめますが、フィガロの怒りは収まりません。
フィガロは、大勢を呼んで、浮気の現場を押さえることにしました。
一方、マルツェリーナは、スザンナに、フィガロの行動を報告することにしました。

フィガロは仲間達と広場に潜伏し、浮気の現場を押さえようと待ち構えています。
そこに衣装を取り替えた伯爵夫人とスザンナが現れました。
スザンナはフィガロが来ていることをマルツェリーナから聞いて知っていたので、「恋人よ、私はここよ」と歌って、とても上機嫌です。
そこに、バルバリーナを探しにやってきたケルビーノがやってきます。
ケルビーノは、スザンヌ服の伯爵夫人を見つけてイチャイチャし始めますが、伯爵夫人にしてみれば、このままだと作戦が台無しです。
フィガロにしても、浮気の現場を押さえるのに支障が出るので、ケルビーノを立ち退かせようとケルビーノににじり寄りますが、スザンヌ服の伯爵夫人が平手打ちを食らわそうとしたのを察知したケルビーノはさっさと逃げていきます。平手打ちは、寄ってきたフィガロに命中し、驚いたフィガロは別の方向に逃げていきました。

伯爵がやってきて、スザンヌ服の伯爵夫人に言い寄ります。
伯爵夫人は複雑な心境ですが、伯爵の言うとおりに付き従います。
その後を追おうとするフィガロの前に、伯爵夫人姿のスザンナが登場します。
フィガロは、伯爵夫人姿の彼女にスザンヌの不貞を嘆きますが、スザンヌは思わず地声を出してしまい、フィガロにスザンヌだと見破られます。
しかし、見破られたのに気付かないスザンヌは、伯爵夫人を演じ続けようとするので、フィガロはからかって「伯爵夫人様もお慕い申し上げております」などといい、スザンヌは怒ってフィガロをぶん殴ります。
フィガロは笑いながら「お前だとわかってるんだよ」といい、二人は和解しました。
そこに伯爵が道に迷って戻ってくるので、フィガロとスザンヌは大芝居を打ち、大げさ胃不倫現場を装います。
それを見た伯爵は、カンカンに怒り、屋敷のものを呼び集めて伯爵夫人とフィガロを断罪しようとしますが、そこにスザンヌ服の伯爵夫人が現れて、
「私がお願いすれば許していただけるのかしら?」
と伯爵に詰め寄ります。
平謝りの伯爵に、伯爵夫人は「私は素直だから許して差し上げますわ」と、謝罪を受け入れ、寛大な伯爵夫人を称えて幕が下ります。


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