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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Richard Strauss: Also sprach Zarathustra, op.36
Boston Symphony Orchestra / William Steinberg
Joseph Silverstein (Solo-Vn)
(Rec. ca March 1971, Boston Symphony Hall)
◈Gustav Holst: The Planets
Boston Symphony Orchestra / William Steinberg
New England Conservatory Chorus (Chorus mistress: Lorna Cooke de Varon)
(Rec. September & October 1970, Boston Symphony Hall)



リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864-1949)の交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》と、グスターヴ・ホルスト(Gustav Holst, 1874-1934)の組曲《惑星》のカップリングです。
演奏は、ウィリアム・スタインバーグ(William Steinberg, 1899-1978)指揮するボストン交響楽団です。
リヒャルト・シュトラウスの作品では、コンサート・マスターのジョセフ・シルヴァースタイン(Joseph Silverstein, 1932-)がヴァイオリンのソロ・パートを担当しており、ホルストの《惑星》では、ローナ・クック・デ・ヴァロン(Lorna Cooke de Varon)率いるニュー・イングランド音楽院合唱団が、フィナーレの合唱部分を担当しています。
スタインバーグは、1956年から1976年までピッツバーグ交響楽団の首席指揮者を務めていましたが、ボストン交響楽団へは、兼任という形で1969年から1972年まで首席指揮者を歴任しています。
この2曲は、そんな多忙な時期に録音されたものですが、奇しくも、この録音がスタインバーグの代表的レコードいなりました。

《ツァラトゥストラはかく語りき》は、1896年に発表された作品で、フリードリヒ・ニーチェの同名の哲学書が元になっています。
とはいえ、リヒャルト・シュトラウスは、ニーチェのこの本を解題したわけではなく、本の読後感からこの作品を着想しており、リヒャルト・シュトラウス流のニーチェ入門といった風になっています。
ニーチェは、この本において、道徳的重荷を背負った「駱駝」と、価値観破壊者としての「獅子」を対置し、それらを止揚することによって、真剣な遊戯によって価値観を創造する「子ども」を練り上げています。
こうして生まれた価値観がまた重荷となり、その価値観を破壊し・・・ということを繰り返すという永劫回帰が、ニーチェのこの本の根幹(とはいえ、ニーチェはそれを示唆しているだけ)になりますが、リヒャルト・シュトラウスは、こうした根幹を踏まえながら、自分が感銘を受けた箇所の感銘を音符として刻み、混沌から波乱と平和のダイナミズムを生み出し、それがまた混沌の中へと立ち戻っていくという音楽の流れで表現しています。
スタインバーグは、一連の流れをスマートにまとめ、ドラマトゥルギーに振り回されることなく、冷静に表現しています。
指揮者のほうから煽り立てなくとも、楽譜どおりに演奏すればオーケストラが自発的に劇的高揚感をもたらしてくれるというスタインバーグの読みと、オーケストラを機能的に仕立て上げるトレーナーとしてのスタインバーグの手腕が見事にマッチした演奏だといえます。

ホルストの《惑星》は、太陽系の惑星について天文学的見地を援用して書いた作品ではありません。
ホルストがインスピレーションを受けたのは、クリフォード・バックス(作曲家であるアーノルド・バックスの弟)が教えてくれた占星術です。
ホルストは、この占星術とギリシャ・ローマ神話の関係を調べて構想を膨らませ、紆余曲折を経て1917年にこの組曲を完成し、1920年に初演されました。
20世紀に作られた作品としては、ストラヴィンスキーを髣髴とさせる箇所があり、かなり大仕掛けのオーケストレーションが施されているものの、旋律線と伴奏がしっかりと分けられており、作風として目新しいところはありません。
また、ホルスト自身は、この作品を自分の作品としては異色の作品と位置づけており、この作品ばかりが有名になることを快く思っていなかったようです。
20世紀の管弦楽曲の傑作として知られているというより、ロックに編曲された〈火星―戦争をもたらすもの〉、〈水星―翼のある使者〉や〈木星―快楽をもたらすもの〉の旋律といった名場面でよく知られている作品といえるでしょう。
また、冥王星が発見されたとき、ホルストは、この曲に冥王星を加えることに関心を示さず、後年コリン・マシューズによって冥王星の曲が作られることになりました。(その後、冥王星が惑星の定義から外されたときにも、この組曲は脚光を浴びていました。)
この録音では、まだ冥王星などの後続曲が作られていなかったがゆえに、冥王星の曲は収録されていませんが、ハミングによる女声合唱で消え入るように終わる〈海王星―神秘主義者〉で完結することにより、静寂への神秘が感じ取れるような気がします。
演奏のほうは、スタインバーグの機敏な棒さばきで、スピード感のある演奏が展開されています。
〈金星―平和をもたらすもの〉などやや即物的な感じもしますが、これだけパリッと演奏されると、清々しいものを感じます。

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