1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
CD1:
◈Luigi Nono: Omaggio Emilio Vedova
◈Luigi Nono: Musiche di scena per Ermittlung
◈Luigi Nono: Ricorda cosa ti hanno fatto in Auschwitz
◈Luigi Nono: Contrapunto dialettico alla mente・Luigi Nono: Musiche per Manzù
CD2:
◈Luigi Nono: Für Paul Dessau
◈Luigi Nono: Transmissione RAI 21 marzo 1970
◈Luigi Nono: Transmissione RAI 17 novembre 1968
ルイジ・ノーノ(Luigi Nono, 1924-1990)は、20世紀イタリアにおける前衛音楽の作曲家として活躍した人です。
アルノルト・シェーンベルクのファンの方には、シェーンベルクの娘のお婿さんとして記憶している方もいるのではないでしょうか。
ノーノは、ジャン・フランチェスコ・マリピエロに作曲を学んだ後、ブルーノ・マデルナやヘルマン・シェルヘンらの薫陶を受け、十二音音楽からセリー音楽の技法を会得しています。
さらに、1950年代後半には電子音楽にも興味を持ち始め、アコースティックな音とエレクトロニクスの混合によって、独自のスタンスを築き上げました。
ここに収められている一連のテープ音楽は、ノーノがエレクトロニクスに興味を持ち、自己の作風を確立する時期の所産です。
最初に収められている《エミリア・ヴェドヴァの頌歌》(Omaggio Emilio Vedova)は1960年の作品。ヴェドヴァはイタリアの前衛画家で、ノーノの友人でした。
電子加工した、ガラスの破片のような雑音が様々にちりばめられていますが、それがうるさく感じられません。
《「追究」の場面の音楽》(Musiche di scena per Ermittlung)は、1965年の作品です。
この作品は、ペーター・ヴァイスの『追求』(Der Ermittlung)という劇のために作られました。
ヴァイスの『追究』は、フランクフルトで行われたアウシュヴィッツ強制収容所に関する裁判の模様を戯曲にした作品で、当時社会批判に熱を上げ、社会主義者を標榜していたノーノは、人の声を加工して幾重にも重ね、そこに暴力的な雑音を干渉させることで、現代社会における不条理と暴力を音として掬い取って見せたのでした。
無作為的に介入するビープ音は、まるで不条理を閉じ込める檻のようでもあります。
1966年作の《アウシュヴィッツの出来事の追憶》(Ricorda cosa ti hanno fatto in Auschwitz)は、ヴァイスへの劇音楽の要約版ともいえるような声で、幽霊のような人の声が様々な音にまとわりつき、不気味な音空間を作り上げます。
《コントラプンクト・ディアレティコ・アラ・メンテ》(Contrapunto dialettico alla mente)は、直訳すれば「弁証法による即興的な対位法」となりますが、これは1967年から翌年にかけて作られた大作です。徹底して人声加工にこだわった作品で、人のしゃべり声をミキサーにかけてグッチャグチャにしたような作品。
どんなテキストを使ってしゃべっているのかはさっぱりわかりませんが、コンテクストを切り刻んで変容させることで、疎外されたような世界観を作り出しています。言葉が先行する社会の空虚さを、こういう形で表現しようとしたのでしょうか。
《マンズーのための音楽》(Musiche per Manzù)は、1969年の作品で、元々は《平和と戦争》というドキュメンタリーのためのサウンド・トラックだったようです。
ちなみに、マンズーというのは、彫刻家のジャコモ・マンズーのこと。
静謐で重苦しい音がひたすら重ねられ、さっきの《コントラプンクト・・・》の饒舌さとは対極的な世界が創出されます。
《パウル・デッサウのために》(Für Paul Dessau)は、《マンズーのための音楽》と同じ年に作られた作品。 1974年の12月に、旧東ドイツの作曲家であるパウル・デッサウの80歳のお祝いとして捧げられた作品です。 フィデル・カストロ、チェ・ゲバラ、ウラディミール・レーニンやパトリス・ルムンバといった革命家の演説に、《アウシュヴィッツ・・・》の声を思わせる音とピアノの低音を重ねています。
あとの2トラックは、イタリア放送での放送資料で、特にトラック3では、使われた音源を解題しているようで、テープ音楽がどのようにして作られているかということを知る、ひとつのサンプルになります。
アルノルト・シェーンベルクのファンの方には、シェーンベルクの娘のお婿さんとして記憶している方もいるのではないでしょうか。
ノーノは、ジャン・フランチェスコ・マリピエロに作曲を学んだ後、ブルーノ・マデルナやヘルマン・シェルヘンらの薫陶を受け、十二音音楽からセリー音楽の技法を会得しています。
さらに、1950年代後半には電子音楽にも興味を持ち始め、アコースティックな音とエレクトロニクスの混合によって、独自のスタンスを築き上げました。
ここに収められている一連のテープ音楽は、ノーノがエレクトロニクスに興味を持ち、自己の作風を確立する時期の所産です。
最初に収められている《エミリア・ヴェドヴァの頌歌》(Omaggio Emilio Vedova)は1960年の作品。ヴェドヴァはイタリアの前衛画家で、ノーノの友人でした。
電子加工した、ガラスの破片のような雑音が様々にちりばめられていますが、それがうるさく感じられません。
《「追究」の場面の音楽》(Musiche di scena per Ermittlung)は、1965年の作品です。
この作品は、ペーター・ヴァイスの『追求』(Der Ermittlung)という劇のために作られました。
ヴァイスの『追究』は、フランクフルトで行われたアウシュヴィッツ強制収容所に関する裁判の模様を戯曲にした作品で、当時社会批判に熱を上げ、社会主義者を標榜していたノーノは、人の声を加工して幾重にも重ね、そこに暴力的な雑音を干渉させることで、現代社会における不条理と暴力を音として掬い取って見せたのでした。
無作為的に介入するビープ音は、まるで不条理を閉じ込める檻のようでもあります。
1966年作の《アウシュヴィッツの出来事の追憶》(Ricorda cosa ti hanno fatto in Auschwitz)は、ヴァイスへの劇音楽の要約版ともいえるような声で、幽霊のような人の声が様々な音にまとわりつき、不気味な音空間を作り上げます。
《コントラプンクト・ディアレティコ・アラ・メンテ》(Contrapunto dialettico alla mente)は、直訳すれば「弁証法による即興的な対位法」となりますが、これは1967年から翌年にかけて作られた大作です。徹底して人声加工にこだわった作品で、人のしゃべり声をミキサーにかけてグッチャグチャにしたような作品。
どんなテキストを使ってしゃべっているのかはさっぱりわかりませんが、コンテクストを切り刻んで変容させることで、疎外されたような世界観を作り出しています。言葉が先行する社会の空虚さを、こういう形で表現しようとしたのでしょうか。
《マンズーのための音楽》(Musiche per Manzù)は、1969年の作品で、元々は《平和と戦争》というドキュメンタリーのためのサウンド・トラックだったようです。
ちなみに、マンズーというのは、彫刻家のジャコモ・マンズーのこと。
静謐で重苦しい音がひたすら重ねられ、さっきの《コントラプンクト・・・》の饒舌さとは対極的な世界が創出されます。
《パウル・デッサウのために》(Für Paul Dessau)は、《マンズーのための音楽》と同じ年に作られた作品。 1974年の12月に、旧東ドイツの作曲家であるパウル・デッサウの80歳のお祝いとして捧げられた作品です。 フィデル・カストロ、チェ・ゲバラ、ウラディミール・レーニンやパトリス・ルムンバといった革命家の演説に、《アウシュヴィッツ・・・》の声を思わせる音とピアノの低音を重ねています。
あとの2トラックは、イタリア放送での放送資料で、特にトラック3では、使われた音源を解題しているようで、テープ音楽がどのようにして作られているかということを知る、ひとつのサンプルになります。
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