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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Camille Saint-Saëns: Six Études pour le Piano, op.52
◈Camille Saint-Saëns: Valse Mignone, op.104
◈Camille Saint-Saëns: Valse Gaie, op.139
◈Camille Saint-Saëns: Six Études pour le Piano, op.111
◈Camille Saint-Saëns: Allegro Appassionato, op.70
◈Camille Saint-Saëns: Mazurka No.3 in B minor, op.66
François-René Duchâble (Pf)
(Rec. 14-15 May & 20, 24 September 1979, Salle Wagram, Paris)



カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)は、フランスの作曲家です。
19世紀までの作曲家は、大概楽器を操る特技を持っていて、演奏家としての名声も兼ねていたものですが、サン=サーンスもまたピアニストとしてよく知られレた存在でした。
演奏家を兼ねると、自分の楽器のために曲を作りたくなる衝動に駆られるもので、サン=サーンスもご他聞に漏れず、ピアノのための作品を数多く書いています。
そのそれぞれが、ひねりのきいた技巧的仕掛けを持っており、ピアニストにとっては、まるで知恵の輪のような面白さがあります。
ここでは、2巻の練習曲と、小品4曲が収録されており、そのいずれも一癖も二癖もある技巧をちりばめています。

最初に収録されているのは、1877年作曲の6つの練習曲集です。
〈前奏曲〉は、リストの超絶技巧練習曲を思わせるダイナミックな音楽です。
〈指の独立のために〉と題された第2曲目は、連打される和音のキーの力の加減でメロディを浮かび上がらせる音楽です。
〈前奏曲とフーガ〉と題された第3番目の曲は前奏曲の部分が和音の超高速連打を要求する、ひと汗かかせる作品。その後にフーガでクライマックスを作らなければならないので、相当なスタミナが必要となります。
〈リズムの練習曲〉は、右手と左手のリズムが追いかけっこをするという、独特な志向の作品で、気を抜くと音楽がバラバラに分解して訳がわからなくなるという恐ろしい一品。
第5曲目の〈前奏曲とフーガ〉は、題名こそ第3番と同じですが、前奏曲で執拗にトレモロを練習させられます。
第6曲目は〈ワルツの形式で〉と題され、ウジェーヌ・イザイがヴァイオリンでも演奏できるように編曲して勇名になった作品です。ワルツで三拍子のはずなのに、ところどころ4拍分の音価を詰め込み、〈リズムの練習曲〉をさながらのスリルがあります。

《可愛いワルツ》と題された曲は、1896年に作られた作品で、イギリス旅行に出かけたサン=サーンスがヴィクトリア女王に手土産として持っていった作品でもあります。次に演奏される《愉快なワルツ》(1913年作)同様煌びやかな技巧と洗練味をブレンドした、超絶技巧好きにも美しいメロディが好きに人にも愛される作品に仕上がっています。

サン=サーンスは1899年にも6つの練習曲を書いています。
第1曲目の〈長三度と短三度〉は、トレモロの練習曲ですが、中声部にメロディ・ラインガ浮き上がるように弾かないと、ただうるさいだけの音楽になってしまう難曲です。
第2曲目の〈半音階奏法〉は、リストの《超絶技巧練習曲》の〈鬼火〉をより複雑にしたような細かいフィギュレーションの曲です。
第3曲目にあたる〈前奏曲とフーガ〉は、ひたすら和音かオクターブかを弾きつづける前奏曲と堅牢なフーガからなる音楽です。余裕を持って弾かないと、和音をガンガン鳴らしてるだけに終わってしまう前奏曲が特に難物です。
第4曲目は、〈ラス・バルマスの鐘〉と題し、サン=サーンス流に印象派の音楽に接近した作品です。ペダリングの練習にもなります。
〈半音階的長三度〉は、半音階の主題に、三度音程が延々と付きまとうフィギュレーションの練習曲です。白鍵を弾いてるときに三度下の音程のキーが黒鍵盤だったりするわけで、非常に弾きにくい音楽でもあります。
最後の〈トッカータ〉は、自作のピアノ協奏曲第5番の第3楽章をピアノ独奏用に編曲した作品で、一連の練習曲をクリアすれば、これくらいやりたい放題が出来るという見本のような作品です。

《アレグロ・アパッショナート》は1884年にパリ音楽院から委嘱されて作った課題曲です。
後にサン=サーンスは、オーケストラ伴奏をつけましたが、オリジナルは、ここに収められているようなピアノ独奏曲です。
曲想は情熱的ながら、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのような深刻さはなく、むしろピアニストのためのデモンストレーションといった感じがします。
《マズルカ 第3番》は1882年の作品ですが、さほどマズルカを意識して書いたわけではなさそうで、部分的にワルツのリズムが紛れ込んでいます。

本CDで演奏しているフランソワ=ルネ・デュシャーブル(François-René Duchâble, 1952-)は、ジョセフ・ベンヴェヌティ門下のフランスのピアニストです。
13歳でパリ音楽院を首席で卒業したデュシャーブルは、ロマン派のピアノ作品を得意とし、特に超絶技巧を要求する作品で、その強みを発揮してきました。
サン=サーンスのピアノ曲は、メロディが優美なわりに、テクニックの要求度が高く、デュシャーブルの切れ味のいいピアニズムは、これらの曲の再現に好適です。
技巧的な難所をスルスルと切り抜けるフットワークの軽さもあれば、op.111の〈トッカータ〉のように原曲を上回るような力強い演奏もすることが出来、デュシャーブルの表現力の幅広さを窺い知ることができます。
このCDに示されるように、デュシャーブルは大変技量の高いピアニストでしたが、その技量に見合うだけの録音が行えず、2002年に業を煮やして音楽業界から引退を表明しています。実に残念なことです。

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