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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Béla Bartók: Concerto for Orchestra, Sz.116
Boston Symphony Orchestra / Rafael Kubelík
(Rec. 27 November 1973, Boston)
◈Bohuslav Martinů: Piano Concerto No.5 "Fantasia concertante"
Margrit Weber (Pf)
Symponic-Orchester des Bayerichen Rundfunks / Rafael Kubelík
(Rec. 1965, München)
◈Igor Stravinsky: Circus Polka
◈Igor Stravinsky: Scherzo à la russe
Berliner Philharmoniker / Rafael Kubelík
(Rec. 1 March 1963, Berlin)



ラファエル・クーベリック(Rafael Kubelík, 1914-1996)が、ボストン交響楽団、バイエルン放送交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を振り分けて録音した、20世紀作品集です。
ボストン交響楽団とは、ベーラ・バルトーク(Béla Bartók, 1881-1945)の《管弦楽のための協奏曲》を、バイエルン放送交響楽団とは、スイスのピアニストであるマルグリット・ウェーバー(Margrit Weber, 1924-2001)を迎えてボフスラフ・マルティヌー(Bohuslav Martinů, 1890-1959)のピアノ協奏曲第5番《協奏的幻想曲》を、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とはイーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky, 1882-1971)の《サーカス・ポルカ》と《ロシア風スケルツォ》を演奏しています。

バルトークは、第二次世界大戦の影響でハンガリーからアメリカへと亡命しましたが、アメリカの風土になじめず、困窮した生活を強いられることになりました。最終的には白血病を発病して世を去ることになるのですが、こうした惨状を見かねた友人達が、根回しをして、バルトークに作曲の依頼を持ち込み、彼に援助の手を差し伸べています。
この《管弦楽のための協奏曲》は、セルゲイ・クーセヴィツキーが自分の音楽財団の名義で作曲を依頼した作品で、このCDで演奏しているボストン交響楽団がクーセヴィツキーの指揮で1944年に初演しました。
この曲が「協奏曲」というタイトルをつけられている理由は、バルトーク自身が初演時に解説したように、各楽器がソリスト並の演奏技巧を必要とし、総奏とパート間の室内楽的アンサンブルがブレンドされていることによります。この曲は、いわば、合奏協奏曲の進化形態といえるでしょう。
クーベリックは、オーケストラの合奏能力をフル稼働させていますが、ことさら曲のソリスティックな側面を強調しようとはせず、第2楽章の〈対の遊び〉のコラールや第3楽章の〈悲歌〉等のしみじみとした箇所に光を当て、叙情的な側面を強調しようとしています。

マルティヌーは、チェコ人なので、母国チェコでは「マルチヌー」と発音されますが、フランスやイタリアなど、世界各地を転々としたため、フランス語や英語の発音を混ぜて「マルティヌー」と表記されることもあります。マルティヌーもまた、第二次世界大戦の影響でアメリカに亡命せざるを得なかった作曲家で、戦後も公式にチェコに戻ることが叶わず、スイスで生涯を終えています。
本CDに収録されているマルティヌーのピアノ協奏曲は、本CDでソリストを務めているウェーバーが委嘱した作品です。
協奏曲とはいうものの、独奏ピアノが先陣きってメロディを紡ぎ上げるような超絶技巧誇示の作品ではなく、オーケストラとの対話の中でモチーフの断片が繋ぎ合わされ、メロディとして成立していくような面白さがあります。
強烈な不協和音を用いていない点でも、非常に聴き易い作品に仕上がっていますが、演奏する側からすれば、指揮者がしっかり采配を振るわないとバラバラになってしまう難曲でもあります。
クーベリックは、ウェーバーの慎み深いピアノ独奏をカラフルにコーティングするだけでなく、しっかり音楽をリードして説得力のある音楽を作り上げています。

ストラヴィンスキーの《サーカス・ポルカ》は、バーナム&ベイリー・サーカス団の象のダンス音楽として1941年に依頼を受けて作曲した作品で、サーカス団によって吹奏楽で演奏されました。
その後改めてオーケストレーションがなされ、このCDでもオーケストラ版で演奏されています。
《ロシア風スケルツォ》は、ストラヴィンスキーがニコライ・リムスキー=コルサコフの下で作曲修行していたときに書き上げた作品で、この曲がセルゲイ・ディアギレフの目に留まり、ロシア・バレエ団とのコネクションを作るきっかけになりました。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を使って録音されたこの演奏は、ストラヴィンスキーの諧謔性を表に出そうとするあまり、金管楽器が突出傾向で、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団にしては生煮えな演奏になっています。
《ロシア風スケルツォ》では、音のごった煮のような音楽ですが、それを鉄壁のアンサンブルでしっかりと引き締めており、聴き応えがあります。

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無題
こんにちは。「電網郊外散歩道」のnarkejpです。トラックバックをありがとうございました。題名に続く内容が、

>・Béla Bartók

と半角英数字の連続でしたので、スパムと間違えて危うく削除するところでした。遅くなりましたことをお詫びします。
クーベリックのこのCDは、曲目といい演奏といい、素晴しいものですね。当方、田舎の中年素人音楽愛好家です。よろしければ、またおいでください。今後ともどうぞよろしく。
narkejp URL 2008/09/30(Tue)19:24:11 編集
Re:無題
どうも、私のブログ記事の仕様で混乱させてしまい、大変失礼しました。
narkejpさんが指摘しておられるように、意欲的なカップリングに大変魅力を感じる逸品ですネ。
マルティヌーのピアノ協奏曲などは、そうそう競合盤の見つかる作品ではないので、こういうリリースは実にありがたいです。
私も田舎者ですので、色々とご面倒をおかけするかもしれません。
こちらこそ、今後ともよろしくおねがいします。
2008/09/30 23:04
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