1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Anton Webern: Im Sommerwind
Körner Rundfunk-Sindonie-Orchester / Gary Bertini
(Rec. 22 April 1990, Körner Philharmonie) Live Recording with Applause
◈Wolfgang Amadeus Mozart: Violin Concerto No.4 in D major, K218Frank Peter Zimmermann (Vn)
Körner Rundfunk-Sindonie-Orchester / Gary Bertini
(Rec. 22 April 1990, Körner Philharmonie) Live Recording with Applause
◈Igor Stravinsky: "L'Oiseau de Feu" SuiteKörner Rundfunk-Sindonie-Orchester / Gary Bertini
(Rec. 22 April 1990, Körner Philharmonie) Live Recording with Applause
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旧西ドイツのリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領(当時)が4月15日に70歳の誕生日を迎えたということで、ケルンのフィルハーモニー・コンサート・ホールで祝賀演奏会が開かれました。
このコンサートから半年もしないうちに、ドイツは再統一され、ヴァイツゼッカーは晴れて統一ドイツの大統領になりますが、それはまた別の話。
ヴァイツゼッカー大統領は大変な音楽通でもあるということで、ガリー・ベルティーニ(Gary Bertini, 1927-2005)率いるケルン放送交響楽団(現:WDR放送交響楽団)は、この演奏会をプレゼントするに当たり、大統領にプログラムを組んでもらいました。
本CDは、その祝賀演奏会のライヴ録音になります。
アントン・ウェーベルン(Anton Webern, 1883-1945)は、アルノルト・シェーンベルクの弟子として十二音音楽の技法を煎じ詰めることに専念しましたが、《夏風の中で》(1904年作)は、まだまだ作曲家として修行していた頃の作品で、フレデリック・ディーリアスやクロード・ドビュッシーの音楽のセンスを論理的に読み替えたような作品になっています。
副題には、「ブルーノ・ヴィレの詩に基づく大オーケストラのための牧歌」と書かれており、ウェーベルンにとっては大層な力作です。しかし、出来上がった曲がコテコテのロマンチックな曲だったため、1908年に作曲家として自立してからは、この作品を習作と見なし、作品番号も与えませんでした。
無調音楽に走る前のウェーベルンは、ルネッサンス時代からのポリフォニー音楽(カノンやフーガなどに代表される多声音楽)に興味を示し、シェーンベルクに出会ったことで、ハーモニーを楽器の音色で彩ることに目覚めたようです。この音楽からも、楽器の音色を取り替えながらポリフォニーを紡ぎ上げていく箇所が見受けられ、そこに後年の作風との接点を見い出すこともできるでしょう。
いろんなものがごった煮にされたような音楽ですが、ベルティーニは、ともすると拡散してしまいそうな音の一つ一つをじっくり歌わせながら、作品としての統一感を模索しています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)のヴァイオリン協奏曲第4番では、フランク・ペーター・ツィンマーマン(Frank Peter Zimmermann, 1965-)がヴァイツゼッカー大統領の希望で起用され、清冽な演奏を披露。ベルティーニも歯切れのいいリズムでツィンマーマンの演奏をしっかり支えています。しかし、一番の聴き所は緩徐楽章で、下手をするとスカスカの音楽になってしまうところを、ツィンマーマンが朗々と歌い、ベルティーニがそれに優しく寄り添うという形で内容をキープしています。
後期ロマン派のカオス的な音楽観から、理路整然とした古典派の音楽への転換というプログラミングも、実に絶妙です。
最後はイーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky, 1882-1971)のバレエ組曲《火の鳥》(1919年版)です。
晩年は室内楽的な響きを好んだストラヴィンスキーですが、壮年期はリムスキー=コルサコフ直伝のオーケストレーションを駆使して、豪華絢爛な曲を書いており、セルゲイ・ディアギレフの注文で1910年に作曲されたバレエ《火の鳥》は、ストラヴィンスキーの名声を築く礎になりました。バレエ音楽は、本来バレエ上演のための伴奏用として作られるので、コンサートでも演奏してもらえるよう、作曲者のお気に入りの曲を選んで演奏会用の組曲を編むのが普通です。ストラヴィンスキーも、1911年と1919年、1945年の三回にわたって組曲を編みなおしていますが、1919年の改訂版が一番受けがよく、頻繁に演奏されています。
ヴァイツゼッカー大統領は、この曲で演奏会のクライマックスを築こうと考えて選曲したと見られ、ベルティーニはその期待にこたえてパワフルなサウンドを手兵から引き出しています。
このコンサートから半年もしないうちに、ドイツは再統一され、ヴァイツゼッカーは晴れて統一ドイツの大統領になりますが、それはまた別の話。
ヴァイツゼッカー大統領は大変な音楽通でもあるということで、ガリー・ベルティーニ(Gary Bertini, 1927-2005)率いるケルン放送交響楽団(現:WDR放送交響楽団)は、この演奏会をプレゼントするに当たり、大統領にプログラムを組んでもらいました。
本CDは、その祝賀演奏会のライヴ録音になります。
アントン・ウェーベルン(Anton Webern, 1883-1945)は、アルノルト・シェーンベルクの弟子として十二音音楽の技法を煎じ詰めることに専念しましたが、《夏風の中で》(1904年作)は、まだまだ作曲家として修行していた頃の作品で、フレデリック・ディーリアスやクロード・ドビュッシーの音楽のセンスを論理的に読み替えたような作品になっています。
副題には、「ブルーノ・ヴィレの詩に基づく大オーケストラのための牧歌」と書かれており、ウェーベルンにとっては大層な力作です。しかし、出来上がった曲がコテコテのロマンチックな曲だったため、1908年に作曲家として自立してからは、この作品を習作と見なし、作品番号も与えませんでした。
無調音楽に走る前のウェーベルンは、ルネッサンス時代からのポリフォニー音楽(カノンやフーガなどに代表される多声音楽)に興味を示し、シェーンベルクに出会ったことで、ハーモニーを楽器の音色で彩ることに目覚めたようです。この音楽からも、楽器の音色を取り替えながらポリフォニーを紡ぎ上げていく箇所が見受けられ、そこに後年の作風との接点を見い出すこともできるでしょう。
いろんなものがごった煮にされたような音楽ですが、ベルティーニは、ともすると拡散してしまいそうな音の一つ一つをじっくり歌わせながら、作品としての統一感を模索しています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)のヴァイオリン協奏曲第4番では、フランク・ペーター・ツィンマーマン(Frank Peter Zimmermann, 1965-)がヴァイツゼッカー大統領の希望で起用され、清冽な演奏を披露。ベルティーニも歯切れのいいリズムでツィンマーマンの演奏をしっかり支えています。しかし、一番の聴き所は緩徐楽章で、下手をするとスカスカの音楽になってしまうところを、ツィンマーマンが朗々と歌い、ベルティーニがそれに優しく寄り添うという形で内容をキープしています。
後期ロマン派のカオス的な音楽観から、理路整然とした古典派の音楽への転換というプログラミングも、実に絶妙です。
最後はイーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky, 1882-1971)のバレエ組曲《火の鳥》(1919年版)です。
晩年は室内楽的な響きを好んだストラヴィンスキーですが、壮年期はリムスキー=コルサコフ直伝のオーケストレーションを駆使して、豪華絢爛な曲を書いており、セルゲイ・ディアギレフの注文で1910年に作曲されたバレエ《火の鳥》は、ストラヴィンスキーの名声を築く礎になりました。バレエ音楽は、本来バレエ上演のための伴奏用として作られるので、コンサートでも演奏してもらえるよう、作曲者のお気に入りの曲を選んで演奏会用の組曲を編むのが普通です。ストラヴィンスキーも、1911年と1919年、1945年の三回にわたって組曲を編みなおしていますが、1919年の改訂版が一番受けがよく、頻繁に演奏されています。
ヴァイツゼッカー大統領は、この曲で演奏会のクライマックスを築こうと考えて選曲したと見られ、ベルティーニはその期待にこたえてパワフルなサウンドを手兵から引き出しています。
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