[Koch Schwann] Bach ・ Goldberg Variationen 【476 3133】

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◈Johann Sebastian Bach: Goldberg Variation, BWV988

Isidro Barrio (Pf)

(Rec. 20 November 1993, Sendersaal, Karlsruhe)

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ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)は、18世紀ドイツを代表する作曲家で、対位法の大家として広く知られています。彼は、鍵盤楽器は何でも弾きこなし、要望があればヴァイオリンも弾いたという、オールマイティな音楽家でした。
ゴルトベルク変奏曲は、1742年に出版された作品で、グラーフ・カイザーリングという伯爵の不眠症解消のために作曲されたものといわれています。このいわれは、ヨハン・ニコラウス・フォルケルの『バッハ小伝』が出典となっています。
フォルケルの伝記を信じるならば、カイザーリング伯爵が、付き人の少年ハープシコード奏者であるヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルクに、眠れぬ夜の気晴らしに演奏させる曲として、J.S.バッハに作曲を依頼したとのこと。そして、この変奏曲を作曲したJ.S.バッハは、謝礼として金貨をいっぱい入れた金杯を貰ったのだとか。曲を貰ったカイザーリング伯爵は、この変奏曲を『私の変奏曲』と呼び、眠れぬ夜に、ゴルトベルクに申し付けて、この変奏曲から２～３曲選ばせて演奏してもらっていたのだとか。

この曲をカイザーリンクに弾いて聞かせたというゴルトベルクの名前から、「ゴルトベルク変奏曲」と呼ばれていますが、作曲当時はゴルトベルクは14歳で、この曲を弾き果せるのは難しかったのではないかと考えられています。また、J.S.バッハの遺品から金杯のようなものは見つかっていないことから、フォルケルの伝える話の信憑性には疑義が差し挟まれています。

本CDで演奏するイシドロ・バリオ(Isidro Barrio, 1945-)は、アレクシス・ワイゼンベルクやマグダ・タリアフェロ、カルロ・ゼッキらに学んだスペインのピアニストです。特にゼッキからは指揮法を学んだこともあって、指揮者としても活動しているのだとか。
ソレールのソナタやベートーヴェンの諸作品などをレパートリーにしているそうですが、J.S.バッハのこの作品も、バリオにとっては重要なレパートリーのようです。
このゴルトベルク変奏曲は、グレン・グールドの再録音によって、ピアノによる演奏の決定盤が作られ、多くのピアニストは、このグールドの影響を多少なるとも受けていますが、バリオの演奏は、グールドの「パルスの持続」を跳ね飛ばすかのような自由奔放な演奏をしています。
それぞれの変奏が、伸縮自在なテンポで奏でられ、時には左手が雄弁になり、右手の奏でるメロディ・ラインを食べてしまいそうになります。引っかかるような装飾音や、前のめりになりそうなほどの加速度を駆使して、ダイナミックにこの曲を彫琢していきますが、グチャグチャになりそうで、ギリギリのところで踏みとどまっているような演奏は、ある種のスリルすら感じさせます。

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