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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Ludwig van Beethoven: Violin Sonata No.9 in A major, op.47 "Kreuzer"
George Kulenkampff (Vn)
Wilhelm Kempff (Pf)
(Rec. 24 & 29 May 1935)
◈César Franck: Violin Sonata in A major
鈴木 鎮一 (Vn)
Manfred Gurlitt (Pf)
(Rec. 1928)



本CDは、ゲオルク・クーレンカンプ(George Kulenkampff, 1898-1948)とヴィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff, 1895-1991)によるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)のヴァイオリン・ソナタ第9番と、鈴木鎮一(Shin-ichi Suzuki, 1898-1998)とマンフレート・グルリット(Manfred Gurlitt, 1890-1972)によるセザール・フランク(César Franck, 1822-1890)のヴァイオリン・ソナタのカップリングです。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番は、元々イギリス人ヴァイオリニストのジョージ・ブリッジタワーのために1803年に書かれたものです。
ただ、ベートーヴェンが用意した楽譜がグダグダだったために初演もグダグダになり、ブリッジタワーはこの曲の献呈を拒否しました。そこで、ベートーヴェンは当時のドイツの名ヴァイオリニストだったルドルフ・クロイツェルに献呈し、そのためにこの曲は、通称として「クロイツェル」の名前を冠されることになりました。ただ、クロイツェル自身はこの曲を一度も弾こうとしなかったそうです。
これまで、ヴァイオリン・ソナタというと、ヴァイオリンの助奏つきピアノ・ソナタという体裁でしたが、このソナタではヴァイオリンとピアノが対等の立場で競り合うようにか書かれている点が画期的とされています。
しかし、それだけに演奏効果の面では非常に難しい音楽となっています。というのも、ヴァイオリンとピアノが主導権の奪い合いに終始すれば、聴衆は泥仕合を延々聴かされる羽目になり、逆に両者がなあなあな演奏をすれば、ダラダラと退屈な音楽を聴く羽目になります。お互いに緊張を保ちながら、弁証法的に高めあうような演奏が理想とされますが、これがなかなかうまくいかないものです。
クーレンカンプとケンプは、どちらも戦前のドイツで名声を獲得していた名手で、ソリスト同志の相克関係を形作る上ではある意味理想的なキャスティングです。クーレンカンプのヴァイオリンは端正で貴族的な音色を持ち、物腰の柔らかなアプローチで、ケンプのピアノに対峙しています。ケンプのピアノは、ヴァイオリンをガンガン攻め立てる演奏ではなく、ヴァイオリンの出方を伺ってから当意即妙の返答で応じるタイプの演奏で、対話の多様性を楽しんでいるようなゆとりが感じられます。しかし、ケンプのピアノはクーレンカンプに迎合した演奏をしているわけではなく、自己主張をすべきところではしっかり主張を通し、メリハリをつけています。

フランクのヴァイオリン・ソナタは、1886年に親友のウジェーヌ・イザイの結婚祝いに書き上げられた作品です。
重音で演奏する箇所がないので、アマチュアのヴァイオリン弾きがよく取り上げる曲ですが、深い思索性を感じさせる曲想と、循環形式を用いることによって生まれる統一感ゆえにプロフェッショナルの人たちにも弾きがいのある作品としてよくプログラムに載せられます。
このCDでヴァイオリンを弾いている鈴木は、スズキ・メソッドの創始者として広く知られた人です。その道ではご神体みたいな人なので、平伏して聴かないといけません。
ピアノを弾いているグルリットは日本に来て東京交響楽団やNHK交響楽団を指導した人で、日本の楽壇の歴史には欠かせない人物です。
日本の音楽界に大きな足跡を残した人の演奏ということで感慨深いものがありますが、特にヴァイオリンに関しては、いまどきのアマチュア演奏家のほうが腕が上かと思います。
ヴァイオリンの音をクローズアップした録音ですが、グルリットのピアノはなかなかの健闘です。ともするとフニャフニャになりそうな鈴木のヴァイオリンを陰に陽に支え、ニュアンス豊かな伴奏を繰り広げています。
しかし、グルリットが健闘すればするほど、鈴木のヴァイオリンが棒読みのように聴こえてしまうのが難点。
昭和という時代が始まってまだ3年という時期の日本の演奏家の大まかな演奏レベルを知るという点では、貴重な記録ですが、さすがにこの演奏を極めつけの名演奏だと喧伝する気にはなれません。

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