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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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Johann Sebastian Bach: Das Wohltemperierte Klavier, Book 1, BWV 846-869
Robert Riefling (Pf)
(Rec. February and March 1985, Oslo University Assebly Hall)







ドイツ系ノルウェーのピアノ奏者、ロベルト・リーフリンク(Robert Riefling, 1911-1988)によるヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の平均律クラヴィーア曲集第一巻です。
この曲集について、ドイツ語の”Wohltemperierte”は、必ずしも「平均律」を指すものではなく、J.S.バッハの生前はアンドレアス・ヴェルクマイスターやヨハン・フィリップ・キルンベルガーといった音楽理論家たちの調律法が様々な転調に対応できる調律法として重宝されており、今日ではそれらの調律法を指しているのではないかと考えられています。
この曲集は、1722年頃に成立した作品ですが、この曲集のためにJ.S.バッハが書き下ろしたわけではなく、既に作り置きしていたものを組み合わせて曲集として世に出したものと考えられています。この曲集は前奏曲とフーガの一対で一つの曲とし、長調・短調を合わせた24の調で24曲の詰め合わせにしています。長調と短調のそれぞれの主音を半音ずつ上げていくような配列にしてあるのは、この曲集の22年後に成立させた第二巻のほうと共通しています。
ただ、第二巻のほうがどちらかといえばJ.S.バッハの作った「前奏曲とフーガ」の自信作コレクションの陳列という傾向が強いのに対し、第一巻のほうはJ.S.バッハの息子たちの鍵盤楽器の学習教材という用途でしつらえてあります。技巧的にピアノ奏者にひと汗かかせるのは第二巻のほうですが、J.S.バッハの作品は教育用の作品であってもその品質の水準に妥協はありません。
のちにフランスの作曲家のシャルル・グノーが第一巻の1曲目の前奏曲部分にメロディをつけて《アヴェ・マリア》という歌曲に仕立て直しているので、一般的な知名度の点では第一巻のほうが高いといえるでしょう。

演奏するリーフリンクは、両親がドイツから移住してきたという、クリスチャニア(現:オスロ)出身のピアノ奏者。もともと音楽一家で、兄のライマー・リーフリンクも弟に劣らぬピアノ教師として活動しました。リーフリンクは地元の音楽院でニルス・ラルセンにピアノを師事した後、ドイツに留学してカール・ライマー、エトヴィン・フィッシャー、ヴィルヘルム・ケンプの各氏に学び、ドイツ音楽の神髄を体得していました。第二次世界大戦中はナチスに捕まることもありましたが、獄中でもJ.S.バッハの作品研究を欠かさず、その結果ノルウェー随一のJ.S.バッハの解釈者となりました。1963年からデンマーク王立音楽院の教授となり、1981年に退職しましたが、この録音は、その引退後のものとなります。
齢70を超えるピアノ奏者に若手と同等の技のキレを望むことは出来ませんが、J.S.バッハの作品解釈の第一人者として長年にわたって名声を保持してきた人ならではの含蓄ある演奏を堪能することができます。リーフリンクは既にこの曲集の第二巻も録音しています。

第一巻のほうは、第二巻の演奏よりもこなれていて、何ほどのこともなく淡々と弾かれています。聴き手をリラックスさせるような語り口のうまさは、第二巻と同等です。
グレン・グールドのような声部を解体して再構築するような立体的造形重視の演奏ではなく、その声部に出てくる動機の一つ一つにニュアンスをつけ、それぞれの意味を吟味咀嚼するするスタイルをとっているので、シャキシャキとした演奏を良しとする人には、少々不恰好に聴こえることでしょう。
しかし、淡々と弾いているようでいて、それぞれの音楽の性質をよく捉えているので、音楽的な表情がワン・パターンにならず、ほのかな温かみを感じさせてくれます。
特に印象に残るのが第4番の前奏曲とフーガで、仄暗く沈痛な音楽を奏でており、心の襞に分け入るような芸風の深さを感得させます。
圧倒的な凄みを感じさせるような演奏ではありませんが、聴き手の心をほっとさせる演奏であり、彼の師であるフィッシャーやケンプの芸風に通じるものがあります。


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