1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Johann Sebastian Bach: Matthäus-Passion BWV244
Jo Vincent (S)
Ilona Durigo (A)
Karl Erb (T)
Willem Ravelli (Bs)
Herman Sehey (Bs)
Luis von Tulder (T)
Amsterdam Toonkunst Choir
Knabenchoir "Zanglust" (Chorus master: Willem Hespe)
Concertgebouw Orchestra of Amsterdam / Willem Mengelberg
Ilona Durigo (A)
Karl Erb (T)
Willem Ravelli (Bs)
Herman Sehey (Bs)
Luis von Tulder (T)
Amsterdam Toonkunst Choir
Knabenchoir "Zanglust" (Chorus master: Willem Hespe)
Concertgebouw Orchestra of Amsterdam / Willem Mengelberg
(Rec. 2 April 1939, Concertgebouw, Amsterdam) Live Redording without Applause
ウィレム・メンゲルベルク(Willem Mengelberg, 1871-1951)は、第二次世界大戦前から戦中にかけて活躍したオランダの名指揮者です。彼はアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の第二代首席指揮者となり、このオーケストラをオランダの名物の一つといわれるまでに育て上げたことで広く知られています。
メンゲルベルクはヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)のマタイ受難曲を特に好み、このオーケストラの首席指揮者に就任するにあたって、オーケストラ附属の合唱団を作り、J.S.バッハの宗教曲を積極的に取り上げることを条件として提示しました。この条件は聞き入れられ、メンゲルベルクはアムステルダム・トーンクンスト合唱団を創設し、毎年のようにマタイ受難曲を演奏し、これがアムステルダムの呼び物のひとつになったほどです。
1939年のこのライヴは、その時代状況から、観客のすすり泣く声が聞こえてくる演奏として有名になりましたが、演奏それ自体も大変優れたものです。
独唱陣は、当時考えられるだけの一流人が集められています。
ドイツの名テノールであるカール・エルプ(Karl Erb, 1877-1958)を福音史家に、イエス役のバスに、当時のこの役を当たり役としたオランダ人のウィレム・ラヴェッリ(Willem Ravelli, 1892-1980)を起用。ソプラノ歌手はメンゲルベルクお気に入りのヨー・フィンセント(Jo Vincent, 1898-1989)が起用され、アルト独唱はハンガリー出身の大御所イローナ・ドゥリゴ(Ilona Durigo, 1881-1943)が歌っています。その他、バスのアリアではJ.S.バッハの音楽の歌唱で定評のあったドイツ人のヘルマン・シャイ(Herman Sehey, 1895-1981)、テノールが歌うアリアではオランダ人テノール歌手のルイ・ファン・トゥルダー(Luis von Tulder, 1892-1969)が美声を響かせています。
合唱団には自分が創設したアムステルダム・トーンクンスト合唱団とツァンクルスト少年合唱団が用いられ、大人数の重厚な合唱を聴かせています。
人海戦術でスケールの大きな音楽を奏でるという発想は、グスタフ・マーラーの《千人の交響曲》を彷彿とさせますが、第二次世界大戦開戦の5ヶ月前という緊迫した状況が、演奏者たちに独特の緊張感と集中力を与えています。
この録音がなされたころ、イタリアがアルバニアに侵攻し、ドイツがポーランドを威嚇するなど、戦争ムードがかなり濃くなっていました。オランダは、この頃中立国を謳っていたので、戦争に巻き込まれることはないだろうと高をくくっていましたが、チェコスロヴァキアを容赦なく蹂躙するドイツを横目で見ながら、自分たちもドイツに踏み潰されるのではないかという不安に怯えて暮らしていたのです。
好む好まざるに関わらず戦争に巻き込まれていく宿命を感じ、その宿命に抗うことのできない無力さに打ちひしがれながら聴くJ.S.バッハのマタイ受難曲は、その音楽で描き出される状況そのものが、このコンサートに立ち会った人たちの前途と重なるものがあったのでしょう。
絶望のふちの中で無心に祈り、これから訪れるであろう悲劇を神に訴えるような奏楽を前にすれば、J.S.バッハの演奏様式に合致していないだとか、ところどころカットを施していて完全なる全曲版とはいえないだとかといった批判が瑣末なことのように思えます。
キリストに十字架を負わせ、石礫をキリストにぶつけるさまを描き出すNo.33のアリア〈今やイエスは捕えられた〉の迫力ある音楽は、まるで現世を呪い、怒りをぶつけるような勢いに満ちていますし、No.47のアリア〈哀れみたまえ〉のドリゴの深々とした歌唱は、聴き手を悔恨の念にどっぷりと浸からせます。
メンゲルベルクはヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)のマタイ受難曲を特に好み、このオーケストラの首席指揮者に就任するにあたって、オーケストラ附属の合唱団を作り、J.S.バッハの宗教曲を積極的に取り上げることを条件として提示しました。この条件は聞き入れられ、メンゲルベルクはアムステルダム・トーンクンスト合唱団を創設し、毎年のようにマタイ受難曲を演奏し、これがアムステルダムの呼び物のひとつになったほどです。
1939年のこのライヴは、その時代状況から、観客のすすり泣く声が聞こえてくる演奏として有名になりましたが、演奏それ自体も大変優れたものです。
独唱陣は、当時考えられるだけの一流人が集められています。
ドイツの名テノールであるカール・エルプ(Karl Erb, 1877-1958)を福音史家に、イエス役のバスに、当時のこの役を当たり役としたオランダ人のウィレム・ラヴェッリ(Willem Ravelli, 1892-1980)を起用。ソプラノ歌手はメンゲルベルクお気に入りのヨー・フィンセント(Jo Vincent, 1898-1989)が起用され、アルト独唱はハンガリー出身の大御所イローナ・ドゥリゴ(Ilona Durigo, 1881-1943)が歌っています。その他、バスのアリアではJ.S.バッハの音楽の歌唱で定評のあったドイツ人のヘルマン・シャイ(Herman Sehey, 1895-1981)、テノールが歌うアリアではオランダ人テノール歌手のルイ・ファン・トゥルダー(Luis von Tulder, 1892-1969)が美声を響かせています。
合唱団には自分が創設したアムステルダム・トーンクンスト合唱団とツァンクルスト少年合唱団が用いられ、大人数の重厚な合唱を聴かせています。
人海戦術でスケールの大きな音楽を奏でるという発想は、グスタフ・マーラーの《千人の交響曲》を彷彿とさせますが、第二次世界大戦開戦の5ヶ月前という緊迫した状況が、演奏者たちに独特の緊張感と集中力を与えています。
この録音がなされたころ、イタリアがアルバニアに侵攻し、ドイツがポーランドを威嚇するなど、戦争ムードがかなり濃くなっていました。オランダは、この頃中立国を謳っていたので、戦争に巻き込まれることはないだろうと高をくくっていましたが、チェコスロヴァキアを容赦なく蹂躙するドイツを横目で見ながら、自分たちもドイツに踏み潰されるのではないかという不安に怯えて暮らしていたのです。
好む好まざるに関わらず戦争に巻き込まれていく宿命を感じ、その宿命に抗うことのできない無力さに打ちひしがれながら聴くJ.S.バッハのマタイ受難曲は、その音楽で描き出される状況そのものが、このコンサートに立ち会った人たちの前途と重なるものがあったのでしょう。
絶望のふちの中で無心に祈り、これから訪れるであろう悲劇を神に訴えるような奏楽を前にすれば、J.S.バッハの演奏様式に合致していないだとか、ところどころカットを施していて完全なる全曲版とはいえないだとかといった批判が瑣末なことのように思えます。
キリストに十字架を負わせ、石礫をキリストにぶつけるさまを描き出すNo.33のアリア〈今やイエスは捕えられた〉の迫力ある音楽は、まるで現世を呪い、怒りをぶつけるような勢いに満ちていますし、No.47のアリア〈哀れみたまえ〉のドリゴの深々とした歌唱は、聴き手を悔恨の念にどっぷりと浸からせます。
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