1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Ludwig van Beethoven: Symphony No.7 in A major, op.92
◈Ludwig van Beethoven: Symphony No.8 in F major, op.93
London Symphony Orchestra / Edouard van Remoortel
(Rec. Unknown)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)の交響曲第7番と第8番を収録したCDです。
どちらも副題がついてないので、ベートーヴェンの交響曲の中ではさほど注目されている交響曲とはいえませんが、第7番の交響曲は近年ドラマ「のだめカンタービレ」で使用されたとかでにわかに人気が上昇しました。
このCDで演奏しているのは、エドゥアルト・ファン・ルモーテル(Edouard van Remoortel, 1926-1977)指揮するロンドン交響楽団です。
交響曲第7番と第8番は共に1812年に完成された交響曲で、第7番のほうは1813年の年末にウィーンで演奏されて大好評を博しました。一方第8番は1814年の年始に交響曲第7番再演のときに初演されましたが、こちらのほうはあまり好評を得られなかったようです。
第7番の交響曲の躍動感は、後年リヒャルト・ヴァーグナーをして「舞踏の聖化」と言わしめましたが、当時の聴衆からは「悪ふざけ」扱いされたこともあります。何はともあれ、同一リズムの執拗な反復の多いこの曲は、ともすると事務的な演奏になる危険もあります。
ルモーテルの演奏は、第3楽章までシャキッと歯切れのいい演奏でしっかりとオーケストラを統制しています。
感傷に流されることのない第2楽章の整然とした演奏などは、事務的な奏楽ではなく、整然さに傾注した団結心の強い響きです。
第4楽章に入ると、執拗なリズム主題が繰り返されるたびに、次第に狂気を孕んでいき、理性のリミッターを一つずつはずしていくようなスリルを味わうことが出来ます。
しかし、メラメラと燃えるような響きを発しながらも、アンサンブルの縦の線は一切乱れません。
お坊ちゃんのように行儀のよい出だしで聴き手を油断させておいて、最後の最後で嵐のように荒れ狂ってみせるという演奏設計の見事さに、ルモーテルの才を感じさせます。
第8番の交響曲が当時人気がなかったのは、当時の情勢と関係しています。
1814年は、オーストリアの宰相クレメンス・メッテルニヒがヨーロッパ諸国の代表たちを集めて会議を行った年でもあります。この頃のウィーンでは、既にワルツが大流行しており、ベートーヴェンのような厳しい音楽は、浮かれ踊る聴衆にとってはさほど興味のあるものではなくなっていました。
しかし、ベートーヴェンは、ヨーゼフ・ハイドンら先人たちが残した様式にこだわって書くことで、流行に背を向け、不易の探求に音楽の活路を見い出したのでした。
ベートーヴェンの音楽はしばしば冗長だといわれていたので、彼は古典派様式の中に自分の表現を効率的に盛り込み、コンパクトだけれど空虚ではない、完成度の高い音楽を書き上げることで、作曲家としての矜持を示そうとしたのでした。
簡潔かつ直截な枠組みで作曲者自らの狂気を封じ込めたこの曲は、その外観ゆえにただかわいい曲と見做されることも少なくありませんが、ルモーテルは第7番で用いたアプローチをここでも適用し、この交響曲にも魔物が潜んでいることを実感させてくれます。
どちらも副題がついてないので、ベートーヴェンの交響曲の中ではさほど注目されている交響曲とはいえませんが、第7番の交響曲は近年ドラマ「のだめカンタービレ」で使用されたとかでにわかに人気が上昇しました。
このCDで演奏しているのは、エドゥアルト・ファン・ルモーテル(Edouard van Remoortel, 1926-1977)指揮するロンドン交響楽団です。
交響曲第7番と第8番は共に1812年に完成された交響曲で、第7番のほうは1813年の年末にウィーンで演奏されて大好評を博しました。一方第8番は1814年の年始に交響曲第7番再演のときに初演されましたが、こちらのほうはあまり好評を得られなかったようです。
第7番の交響曲の躍動感は、後年リヒャルト・ヴァーグナーをして「舞踏の聖化」と言わしめましたが、当時の聴衆からは「悪ふざけ」扱いされたこともあります。何はともあれ、同一リズムの執拗な反復の多いこの曲は、ともすると事務的な演奏になる危険もあります。
ルモーテルの演奏は、第3楽章までシャキッと歯切れのいい演奏でしっかりとオーケストラを統制しています。
感傷に流されることのない第2楽章の整然とした演奏などは、事務的な奏楽ではなく、整然さに傾注した団結心の強い響きです。
第4楽章に入ると、執拗なリズム主題が繰り返されるたびに、次第に狂気を孕んでいき、理性のリミッターを一つずつはずしていくようなスリルを味わうことが出来ます。
しかし、メラメラと燃えるような響きを発しながらも、アンサンブルの縦の線は一切乱れません。
お坊ちゃんのように行儀のよい出だしで聴き手を油断させておいて、最後の最後で嵐のように荒れ狂ってみせるという演奏設計の見事さに、ルモーテルの才を感じさせます。
第8番の交響曲が当時人気がなかったのは、当時の情勢と関係しています。
1814年は、オーストリアの宰相クレメンス・メッテルニヒがヨーロッパ諸国の代表たちを集めて会議を行った年でもあります。この頃のウィーンでは、既にワルツが大流行しており、ベートーヴェンのような厳しい音楽は、浮かれ踊る聴衆にとってはさほど興味のあるものではなくなっていました。
しかし、ベートーヴェンは、ヨーゼフ・ハイドンら先人たちが残した様式にこだわって書くことで、流行に背を向け、不易の探求に音楽の活路を見い出したのでした。
ベートーヴェンの音楽はしばしば冗長だといわれていたので、彼は古典派様式の中に自分の表現を効率的に盛り込み、コンパクトだけれど空虚ではない、完成度の高い音楽を書き上げることで、作曲家としての矜持を示そうとしたのでした。
簡潔かつ直截な枠組みで作曲者自らの狂気を封じ込めたこの曲は、その外観ゆえにただかわいい曲と見做されることも少なくありませんが、ルモーテルは第7番で用いたアプローチをここでも適用し、この交響曲にも魔物が潜んでいることを実感させてくれます。
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