1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Béla Bartók: Sonata for Solo Violin, Sz.117
Leila Josefowicz (Vn)
(Rec. 5-8 June 1995, La Chaux-de-Fonds, Switzerland)
◈Fritz Kleisler: Recitativo and Scherzo-Caprice, op.6Leila Josefowicz (Vn)
(Rec. 11-13 September 1995, La Chaux-de-Fonds, Switzerland)
◈Niccolò Paganini: Introduction and Variations on "Nel cor più non mi sento" from Paisiello's "La Molinara"Leila Josefowicz (Vn)
(Rec. 5-8 June 1995, La Chaux-de-Fonds, Switzerland)
◈Eugenè Ysaÿe: Sonata for Solo Violin in D minor, op.27-3◈Eugenè Ysaÿe: Sonata for Solo Violin in E minor, op.27-4
◈Heinrich Wilhelm Ernst: Le roi des aulnes, op.26
Leila Josefowicz (Vn)
(Rec. 11-13 September 1995, La Chaux-de-Fonds, Switzerland)
リーラ・ジョセフォウィッツ(Leila Josefowicz, 1977-)は、カナダのヴァイオリニストです。
本CDは、彼女が18歳の時に録音した無伴奏ヴァイオリンのための作品集です。
1曲目は、ベーラ・バルトーク(Béla Bartók, 1881-1945)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタで、バルトークの最晩年の1944年に作られた作品です。ナチスの脅威から逃れるために渡米したバルトークでしたが、生活ぶりは楽ではなく、最終的には白血病にかかって亡くなってしまいますが、そんなバルトークを見かねた友人たちが、入れ替わり立ち代りに作品を依頼し、作曲料を支払うことで彼の経済的援助をしていました。イェフディ・メニューインが依頼した本作品も、そうした経済的援助の一環でした。
ハンガリー民謡の研究者でもあったバルトークは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品をリスペクトしながら、ハンガリー民謡をちりばめた作品で、メニューインの依頼に応えています。〈シャコンヌのテンポで〉と書かれた、変奏曲形式の第1楽章、〈フーガ〉と題され、ハンガリー民謡を題材にした第2楽章、〈メロディア〉と題した叙情的な第3楽章、プレストという指示の荒々しい第4楽章からなり、技術的な難易度だけでなく弱音器のつけはずしの難しさもあって、ヴァイオリニストにとっては冷や汗ものの作品になっています。
フリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler, 1875-1962)は、「ディッタースドルフのスタイルによる」という但し書きのつけられた作品ですが、このディッタースドルフというのは、18世紀オーストリアの作曲家であるディッタース・フォン・ディッタースドルフのことです。ヴァイオリニストとしてのクライスラーの芸と、擬古典作品を書く作曲ユーモアを掛け合わせた作品で、クライスラーは、この作品を、先輩のウジェーヌ・イザイ(Eugenè Ysaÿe, 1858-1931)に捧げています。
ニコロ・パガニーニ(Niccolò Paganini, 1858-1931)の変奏曲は、ジョヴァンニ・パイジエッロの歌劇《水車小屋の娘》の〈わが心、虚ろになりて〉というアリアから主題を拝借した作品。パガニーニの演奏技術の高さを簡便に知る作品として、技巧派ヴァイオリニストの中では定番のレパートリーになっており、「ネル・コル・ピウ変奏曲」などと呼ばれています。
イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、6曲で一組ですが、ジョセフォウィッツは、その中から第3番と、第4番を選んで演奏しています。
このソナタ自体は、ヨーゼフ・シゲティの演奏するJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータに触発されて作った作品との事で、それぞれの曲を、シゲティを含む当時の若手ヴァイオリニストたちに献呈ていました。
この第3番は、ジョルジェ・エネスコに献呈した作品で、彼の出身地であるルーマニアを意識したラプソディックな作品に仕上げています。その作風から、《バラード》という通称がついています。
第4番は、前述のクライスラーに捧げた作品で、クライスラーから献呈を受けた作品を受けて、擬古典的な3楽章のソナタに仕上げています。
最後に演奏するのは、ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンスト(Heinrich Wilhelm Ernst, 1814-1865)の作品。
フランツ・シューベルトの歌曲《魔王》をそのまま伴奏ごとヴァイオリンで演奏するというとんでもない編曲作品で、19世紀において難曲中の難曲として恐れられてきました。今日では、ヴァイオリンのコンクールの予選課題曲として使われることの多い作品になっています。
しかし、ピアノ伴奏とメロディを同時に演奏するという難曲であり、リサイタルで取り上げるには、相当な技術的鍛錬と度胸が要る作品でもあります。
ジョセフォウィッツの演奏は、エルンストの難曲もあっさりとこなすほどの余裕が感じられますが、バルトークの作品では、そのすらすらと弾けるのが逆に仇となり、少々上滑りした印象を与えます。
クライスラーの無伴奏作品など、快刀乱麻を断つような技の冴えが素晴らしいものの、それ以上の感興が得られないのは、彼女がまだ甘いも酸いも噛み分けるだけのキャリアを積んでいないからでしょうか。
パガニーニの作品も、技術的な完成度の高さはあるものの、表現としては、語り口の上手さといったところにまでは至っていません。
ジョセフォウィッツにとって、この録音が、いわばスタート地点であって、ゴールではないはずです。キャリアを重ねていく彼女が、今日において、どれほど進歩したかを知る時のフィードバックになることでしょう。
この録音を聴く限りでは、キャリアのスタートとして、非常に勢いのあるスタートを切ったことになります。このまま尻すぼみにならないことを祈るのみです。
本CDは、彼女が18歳の時に録音した無伴奏ヴァイオリンのための作品集です。
1曲目は、ベーラ・バルトーク(Béla Bartók, 1881-1945)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタで、バルトークの最晩年の1944年に作られた作品です。ナチスの脅威から逃れるために渡米したバルトークでしたが、生活ぶりは楽ではなく、最終的には白血病にかかって亡くなってしまいますが、そんなバルトークを見かねた友人たちが、入れ替わり立ち代りに作品を依頼し、作曲料を支払うことで彼の経済的援助をしていました。イェフディ・メニューインが依頼した本作品も、そうした経済的援助の一環でした。
ハンガリー民謡の研究者でもあったバルトークは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品をリスペクトしながら、ハンガリー民謡をちりばめた作品で、メニューインの依頼に応えています。〈シャコンヌのテンポで〉と書かれた、変奏曲形式の第1楽章、〈フーガ〉と題され、ハンガリー民謡を題材にした第2楽章、〈メロディア〉と題した叙情的な第3楽章、プレストという指示の荒々しい第4楽章からなり、技術的な難易度だけでなく弱音器のつけはずしの難しさもあって、ヴァイオリニストにとっては冷や汗ものの作品になっています。
フリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler, 1875-1962)は、「ディッタースドルフのスタイルによる」という但し書きのつけられた作品ですが、このディッタースドルフというのは、18世紀オーストリアの作曲家であるディッタース・フォン・ディッタースドルフのことです。ヴァイオリニストとしてのクライスラーの芸と、擬古典作品を書く作曲ユーモアを掛け合わせた作品で、クライスラーは、この作品を、先輩のウジェーヌ・イザイ(Eugenè Ysaÿe, 1858-1931)に捧げています。
ニコロ・パガニーニ(Niccolò Paganini, 1858-1931)の変奏曲は、ジョヴァンニ・パイジエッロの歌劇《水車小屋の娘》の〈わが心、虚ろになりて〉というアリアから主題を拝借した作品。パガニーニの演奏技術の高さを簡便に知る作品として、技巧派ヴァイオリニストの中では定番のレパートリーになっており、「ネル・コル・ピウ変奏曲」などと呼ばれています。
イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、6曲で一組ですが、ジョセフォウィッツは、その中から第3番と、第4番を選んで演奏しています。
このソナタ自体は、ヨーゼフ・シゲティの演奏するJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータに触発されて作った作品との事で、それぞれの曲を、シゲティを含む当時の若手ヴァイオリニストたちに献呈ていました。
この第3番は、ジョルジェ・エネスコに献呈した作品で、彼の出身地であるルーマニアを意識したラプソディックな作品に仕上げています。その作風から、《バラード》という通称がついています。
第4番は、前述のクライスラーに捧げた作品で、クライスラーから献呈を受けた作品を受けて、擬古典的な3楽章のソナタに仕上げています。
最後に演奏するのは、ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンスト(Heinrich Wilhelm Ernst, 1814-1865)の作品。
フランツ・シューベルトの歌曲《魔王》をそのまま伴奏ごとヴァイオリンで演奏するというとんでもない編曲作品で、19世紀において難曲中の難曲として恐れられてきました。今日では、ヴァイオリンのコンクールの予選課題曲として使われることの多い作品になっています。
しかし、ピアノ伴奏とメロディを同時に演奏するという難曲であり、リサイタルで取り上げるには、相当な技術的鍛錬と度胸が要る作品でもあります。
ジョセフォウィッツの演奏は、エルンストの難曲もあっさりとこなすほどの余裕が感じられますが、バルトークの作品では、そのすらすらと弾けるのが逆に仇となり、少々上滑りした印象を与えます。
クライスラーの無伴奏作品など、快刀乱麻を断つような技の冴えが素晴らしいものの、それ以上の感興が得られないのは、彼女がまだ甘いも酸いも噛み分けるだけのキャリアを積んでいないからでしょうか。
パガニーニの作品も、技術的な完成度の高さはあるものの、表現としては、語り口の上手さといったところにまでは至っていません。
ジョセフォウィッツにとって、この録音が、いわばスタート地点であって、ゴールではないはずです。キャリアを重ねていく彼女が、今日において、どれほど進歩したかを知る時のフィードバックになることでしょう。
この録音を聴く限りでは、キャリアのスタートとして、非常に勢いのあるスタートを切ったことになります。このまま尻すぼみにならないことを祈るのみです。
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