1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Marie-Joseph Canteloube: Songs of the Auvergne
Netania Davrath (S)
Orchestra / Pierre de la Roche
Orchestra / Pierre de la Roche
(Rec. 27 March 1963 and 16 March 1966, Baumgartner Hall, Vienne)
◈Marie-Joseph Canteloube: New songs of AuvergneNetania Davath (S)
Orchestra / Gershon Kingsley
Orchestra / Gershon Kingsley
(Rec. 27 March 1963 and 16 March 1966, Baumgartner Hall, Vienne)
マリー=ジョセフ・カントルーブ'(Marie-Joseph Canteloube, 1879-1957)は、ヴァンサン・ダンディの弟子として知られる、フランスの作曲家です。師匠のダンディは、その代表作《フランス山人の歌による交響曲》が示すように、フランスの民族音楽に多大な興味を示していた人物でした。また、ダンディが生きていたころには、イギリスやギリシャの民謡が方々で紹介され、フランス民謡にもスポットライトが当てられつつあった時期でもありました。
カントルーブは、ダンディや民謡研究の先駆者たちの仕事を引き継ぎ、オーヴェルニュ地方やラングドック地方、バスク地方やトゥーレーヌ地方を回って民謡を採譜し、自ら伴奏をつけて出版しました。
こうしたカントルーブの仕事の中でも特に成功したのが、彼の生まれ故郷であるオーヴェルニュ地方の民謡の編曲作業でした。
カントルーブの代表的な仕事である《オーヴェルニュの歌》は、全部で5巻からなります。
第1巻(3曲収録)と第2巻(5曲収録)は、コンセール・コロンヌでの初演の成功を受けて1924年に発表され、1927年には第3巻(5曲収録)が発表されます。その後、1930年に第4集(6曲収録)が出版されてからは、しばらくオーヴェルニュの民謡集からは距離をとり、フランス各地の農民の歌の編纂作業に携わっていました。第二次世界大戦中はナチスの傀儡政権であるヴィシー政権に手を貸し、そのため、戦後は不遇な生活を送ることになりましたが、1955年に第5集(8曲収録)を発表し、《オーヴェルニュの歌》を完結させました。
カントルーブの《オーヴェルニュの歌》は、ダンディ直伝の洗練されたオーケストラ伴奏(出版に際してはピアノ伴奏版もあり)がついており、民謡研究者の中には、やりすぎという声も上がったのだとか。しかし、カントルーブは、農民が無伴奏で歌っている歌には自然が伴奏をつけているのだとし、自分の行った管弦楽伴奏は、そうした自然の雰囲気を喚起するためのものだと主張しました。カントルーブは、ただ民謡を採譜しただけでなく、その民謡の歌われる文脈、あるいはオーヴェルニュ地方の空気をも、この民謡集の中に持ち込もうと腐心したのです。
本CDは、この《オーヴェルニュの歌》の全集での世界初録音とされるものです。
本CDで歌唱を披露するネタニア・ダヴラツ(Netania Davrath, 1931-1987)は、ウクライナ出身のイスラエルのソプラノ歌手です。イスラエルでエディット・プロシェク、アメリカのジュリアード音楽院でジェニー・トゥーレルに師事した彼女は、イスラエル歌劇場のスター歌手として名声を確立していました。
高い語学能力と記憶能力に恵まれた彼女は、本CDのプロデュースを担当したシーモア・ソロモンによれば、6ヶ月の方言トレーニングを受けて、この歌曲集で使われるオック語(フランス語の祖語のひとつ)をマスターしてしまったとのこと。
ゆったり、のびのびと歌うダウラツの歌声は、聴くこちらの心を晴れやかにさせる魅力が込められています。また、彼女の歌唱は、ただゆったりと歌うだけでなく、第3集の〈ジャネートゥ〉のようなやり取りの歌では、台詞に合わせて声色や歌い方も自由に変え、演技達者なところも聴かせてくれます。
ピエール・ド・ラ・ローシュ(Pierre de la Roche)指揮するオーケストラは、かなりアンサンブルが荒く、第4集の〈カッコウ〉など、かなり浮き足立っていますが、〈バイレロ〉などのゆったりとした民謡では、フルートやクラリネットなど、耳を側立たせる音色で、オーヴェルニュの芳しき大地への思いを馳せさせてくれます。
余白に収められているのは、カントルーブが《オーヴェルニュの歌》の刊行の合間に集めたフランス各地の民謡の選集です。カントルーブのオリジナルのピアノ伴奏譜を、ドイツ生まれのアメリカ人作曲家であるガーション・キングスレー(Gershon Kingsley, 1922-)が編曲し、伴奏ではキングスレー自身がタクトを振っています。
余談ですが、キングスレーはフランス人作曲家のジャン・ジャック・ペリーと組んで電子音楽を数多く手がけた人で、ディズニー・ランドのエレクトリカル・パレードも、このキングスレー&ペリーの作品です。
カントルーブは、ダンディや民謡研究の先駆者たちの仕事を引き継ぎ、オーヴェルニュ地方やラングドック地方、バスク地方やトゥーレーヌ地方を回って民謡を採譜し、自ら伴奏をつけて出版しました。
こうしたカントルーブの仕事の中でも特に成功したのが、彼の生まれ故郷であるオーヴェルニュ地方の民謡の編曲作業でした。
カントルーブの代表的な仕事である《オーヴェルニュの歌》は、全部で5巻からなります。
第1巻(3曲収録)と第2巻(5曲収録)は、コンセール・コロンヌでの初演の成功を受けて1924年に発表され、1927年には第3巻(5曲収録)が発表されます。その後、1930年に第4集(6曲収録)が出版されてからは、しばらくオーヴェルニュの民謡集からは距離をとり、フランス各地の農民の歌の編纂作業に携わっていました。第二次世界大戦中はナチスの傀儡政権であるヴィシー政権に手を貸し、そのため、戦後は不遇な生活を送ることになりましたが、1955年に第5集(8曲収録)を発表し、《オーヴェルニュの歌》を完結させました。
カントルーブの《オーヴェルニュの歌》は、ダンディ直伝の洗練されたオーケストラ伴奏(出版に際してはピアノ伴奏版もあり)がついており、民謡研究者の中には、やりすぎという声も上がったのだとか。しかし、カントルーブは、農民が無伴奏で歌っている歌には自然が伴奏をつけているのだとし、自分の行った管弦楽伴奏は、そうした自然の雰囲気を喚起するためのものだと主張しました。カントルーブは、ただ民謡を採譜しただけでなく、その民謡の歌われる文脈、あるいはオーヴェルニュ地方の空気をも、この民謡集の中に持ち込もうと腐心したのです。
本CDは、この《オーヴェルニュの歌》の全集での世界初録音とされるものです。
本CDで歌唱を披露するネタニア・ダヴラツ(Netania Davrath, 1931-1987)は、ウクライナ出身のイスラエルのソプラノ歌手です。イスラエルでエディット・プロシェク、アメリカのジュリアード音楽院でジェニー・トゥーレルに師事した彼女は、イスラエル歌劇場のスター歌手として名声を確立していました。
高い語学能力と記憶能力に恵まれた彼女は、本CDのプロデュースを担当したシーモア・ソロモンによれば、6ヶ月の方言トレーニングを受けて、この歌曲集で使われるオック語(フランス語の祖語のひとつ)をマスターしてしまったとのこと。
ゆったり、のびのびと歌うダウラツの歌声は、聴くこちらの心を晴れやかにさせる魅力が込められています。また、彼女の歌唱は、ただゆったりと歌うだけでなく、第3集の〈ジャネートゥ〉のようなやり取りの歌では、台詞に合わせて声色や歌い方も自由に変え、演技達者なところも聴かせてくれます。
ピエール・ド・ラ・ローシュ(Pierre de la Roche)指揮するオーケストラは、かなりアンサンブルが荒く、第4集の〈カッコウ〉など、かなり浮き足立っていますが、〈バイレロ〉などのゆったりとした民謡では、フルートやクラリネットなど、耳を側立たせる音色で、オーヴェルニュの芳しき大地への思いを馳せさせてくれます。
余白に収められているのは、カントルーブが《オーヴェルニュの歌》の刊行の合間に集めたフランス各地の民謡の選集です。カントルーブのオリジナルのピアノ伴奏譜を、ドイツ生まれのアメリカ人作曲家であるガーション・キングスレー(Gershon Kingsley, 1922-)が編曲し、伴奏ではキングスレー自身がタクトを振っています。
余談ですが、キングスレーはフランス人作曲家のジャン・ジャック・ペリーと組んで電子音楽を数多く手がけた人で、ディズニー・ランドのエレクトリカル・パレードも、このキングスレー&ペリーの作品です。
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