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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Joseph Haydn: Symphony No.30 in D minor, Hob.I-30 "Alleluja"
Orchestra Libera Classica / 鈴木 秀美
(Rec. 20 February 2004, 浜離宮朝日ホール) Live Recording with Applause
◈Wolfgang Amadeus Mozart: Violin Concerto No.3 in G major, K216
若松 夏美 (Vn)
Orchestra Libera Classica / 鈴木 秀美
(Rec. 20 February 2004, 浜離宮朝日ホール) Live Recording with Applause
◈Joseph Haydn: Symphony No.52 in C minor, Hob.I-52
Orchestra Libera Classica / 鈴木 秀美
(Rec. 20 February 2004, 浜離宮朝日ホール) Live Recording with Applause



ヨーゼフ・ハイドン(Joseph Haydn, 1732-1809)の交響曲2曲とヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)のヴァイオリン協奏曲第3番(K216)のカップリングです。
鈴木秀美(Hidemi Suzuki, 1957-)率いるオーケストラ・リベラ・クラシカの2004年2月の演奏会を収録したCDとのことですが、手際よく会場の拍手はカットされていて、ライヴ録音の拍手音が苦手な人も安心です。

ハイドンの交響曲第30番(1765年)は、3楽章構成の交響曲で、ハイドンがエステルハージ侯のオーケストラの副楽長を務めていた頃の作品です。本CDのライナー・ノーツによれば、ハイドンがこの曲を作った当時のポストは、どうやらエステルハージ侯がハイドンのために作ったポストのようです。器楽作品の作曲のできる地位ではあったものの、宗教音楽の作品は、当時の楽長だったグレゴール・ヴェルナーの仕事で、ハイドンは宗教音楽を書く権限がまだ与えられていませんでした。この交響曲は、第一楽章冒頭で提示されるモチーフが聖歌のモチーフであることから、「アレルヤ」という副題が加えられていますが、このライナー・ノートでは、副楽長という権限の制約の中で、宗教音楽も書きたいという主張を盛り込んだのではないかという推測を加えています。

交響曲第52番(1772年ごろの作)は、数少ないハイドンの短調交響曲です。
1750年代から1770年代までは、ドイツでは「疾風怒濤」(Sturm und Grang)と呼ばれる文芸運動が起こっていました。
この文芸運動は、調和と規範を重んじる古典主義や理性を尊重する啓蒙思想に反旗を翻し、主観的なものや感情的なものの重要性を訴えた運動です。1760年代から1770年代あたりのハイドンは、かつてはよく「疾風怒濤」の影響を受けていると言われておりましたが、ライナー・ノーツを執筆している鈴木によれば「昨今では文学のジャンルの事柄である『疾風怒濤』とハイドンの音楽とは無関係、という考え方が有力です」とのこと。
しかし、同じライナー・ノーツで楽曲解説を執筆している飯森豊水は「第52番ハ短調はハイドンの『疾風怒濤』期の最後の年となる1772年ごろに成立した、典型的に『疾風怒濤』的な作品である」としています。エステルハージ家の楽長だったヴェルナーが1766年に亡くなって楽長に昇格したハイドンは、エステルハージ家の一切の音楽を取り仕切るようになり、器楽作品のみならずオペラや宗教音楽、はたまたエステルハージ家に訪問に来た劇団の劇付随音楽まで作曲するという、多忙な生活を送っていました。飯森は、こうした仕事環境の中で、劇的な表現に触れる機会が増え、そうした表現上の成果が、この交響曲に現れていると見做しています。
ハイドンと「疾風怒濤」の関係を無関係とする見解が主流になっているという鈴木の記述と、この交響曲に関する飯森の見解を摺り合わせると、ハイドン自身が「疾風怒濤」の思潮にドップリと浸かったわけではなく、適宜その表現を自らの作品に取り入れようとしたということなのでしょう。なので、「疾風怒濤」特有と思われる主観的な表現を用いたものもあれば、まったくそういう感情的表現を用いていない明朗な作品もあるのです。

この2つの交響曲の間に割って入っているモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番は、1775年―ザルツブルクのヒエロニムス・コロレド大司教の下で奉職していた時期―の作品です。モーツァルトの協奏曲は、ソリストを登場人物に見立てた3幕仕立ての劇みたいなものだという指摘は、これまで様々な人に指摘されてきたものですが、本CDのライナー・ノーツで楽曲紹介を執筆した飯森もまた、モーツァルトが同じ頃に完成させたオペラ《牧人の王》との関連性を示しています。この協奏曲の第1楽章冒頭では、《牧人の王》のアリアが引用されていますが、飯森は、同オペラの登場人物であるアミンタのキャラクターが第2楽章に於いて二重写しにされていると推論しています。

鈴木率いるオーケストラ・リベラ・クラシカの演奏は、フレーズの一つ一つに綿密な表情をつけ、組木細工のように、フレーズを組み合わせて、生き生きとした表情を作り出しています。特に交響曲第52番の演奏は、かなりアグレッシブな演奏で、「疾風怒濤」とは関係がないといいながらも、十分挑戦的です。
モーツァルトの協奏曲では、このオーケストラのコンサート・ミストレスである若松夏美(Natsumi Wakamatsu)がソロを務めていますが、絹糸のように繊細なソロを聴かせてくれています。オーケストラもハイドン同様に精妙なフレージングで、モーツァルトの音楽に生気を吹き込んでいます。特に第2楽章のフルートの音色が、ホイップ・クリームのような細やかな泡立ちを想起させます。

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