1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Johann Sebastian Bach: Musikalisches Opfer, BWV1079
Wolfgang Marschner (Vn)
Kurt Redel (Fl)
Wilhelm Schneller (Vc)
Leonard Hokanson (Cemb)
Kurt Redel (Fl)
Wilhelm Schneller (Vc)
Leonard Hokanson (Cemb)
Orchestre de Chambre Pro Arte de Munich / Kurt Redel
(Rec. 1964)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の《音楽の捧げもの》は、1747年の作品。
バッハ家はドイツでも特に有名な音楽一族で、彼の次男であるカール・フィリップ・エマヌエル・バッハはプロイセンのフリードリヒ大王のチェンバリストとして就職していました。そのフリードリヒ大王がJ.S.バッハに会いたいということで、この次男を介してJ.S.バッハを呼び、J.S.バッハの対位法の妙技を披露させました。
フリードリヒ大王は、バッハに主題を与え、即興でフーガを作らせましたが、この主題が6声のフーガを作るのに適していないメロディだったため、フリードリヒ大王の意向に完全にそぐうことができなかったそうです。
J.S.バッハは、対位法の大家としての意地から、フリードリヒ大王の主題を持ち帰り、その主題をもとに、自らの技術の粋を集めた作品を作り、フリードリヒ大王の元へと送付したのでした。
その曲集は、彼のフリードリヒ大王への献辞から《音楽の捧げもの》と呼ばれ、その作品集の内訳は以下のとおりです。
1.3声のリチェルカーレ
2.無限カノン
3.各種カノン(逆行カノン、同度カノン、反行カノン、反行拡大カノン、螺旋カノン)
4.上方5度のフーガ・カノニカ
5.2声のカノン
6.4声のカノン
7.6声のリチェルカーレ
8.トリオ・ソナタ
9.無限カノン
リチェルカーレとは、ポリフォニー音楽のひとつで、フーガの原型となった音楽ですが、ここでは、フリードリヒ大王への献辞"Regis Iussu Cantio Et Reliqua Canonica Arte Resoluta"の頭文字をくっつけた言葉遊びの意味もあり、J.S.バッハ流の綿密なフーガが書かれています。
本作品では、3声と6声のリチェルカーレが置かれていますが、この6声のリチェルカーレこそが、バッハが意地をかけて作ったフーガです。
カノンは、同じ旋律を素材にして組み合わせて作る、対位法(旋律の同時的な組み合わせ)の厳格な書き方です。
無限カノンというのは、最初から最後まで演奏して、何度その音楽を繰り返してもスムーズにつなげられるカノンを指します。
逆行カノンというのは、主旋律に絡ませる対旋律を主旋律を後ろから読んだものにするというカノン。
同度カノンは、主旋律を対旋律が忠実に追いかけていくカノンで、有名なヨハン・パッヘルベルの三声カノンも、同度カノンです。
反行カノンは、主旋律が「ドレミファソ」と上行すると、対旋律が「ソファミレド」と、下行するようなカノンで、主旋律と対旋律の関係が、まるで鏡で映したような形になります。
拡大カノンは、主旋律の音の長さを倍に引き伸ばして対旋律にするカノンのことです。
螺旋カノンは、ひとつのパートが演奏し終わって次の場面に連結するときに、元の音よりも高くなるように設定されたカノンで、それにからむ対旋律も繰り返すたびに音程があがるという仕掛けになっています。
2声のカノンは「謎カノン」と呼ばれていますが、このカノンは、カノンを作る上でのヒントだけが示され、演奏者の面々が楽譜の謎を解いて演奏する音楽になっています。
4声のカノンは、どのパートを取り替えても演奏できるという厳格なカノンの様式で書かれております。
最後の曲の一歩手前で演奏されるトリオ・ソナタは、旧来的な4楽章形式ですが、第1楽章と第3楽章では主題の使用を匂わせるだけにとどめていますが、第2楽章では低音部でフリードリヒ大王の主題を用い。第4楽章はのっけから主題を使っています。
さすがに、自分の主題の対位法尽くしにギョッとしたのか、献呈を受けたフリードリヒ大王は、一度も演奏しなかったそうです。
なお、この作品は、トリオ・ソナタがフルートとヴァイオリンと通奏低音を指定している以外は、楽器指定はなされておらず、自由に楽器を選べることになっています。
演奏しているのは、クルト・レーデル(Kurt Redel, 1918-)指揮するミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団です。
レーデルは、30歳のときにジュネーヴ国際音楽コンクールのフルート部門第3位に入賞したほどのフルートの名手として知られていましたが、指揮者の修行としてクレメンス・クラウスの下でアシスタントを務めていたこともあります。ミュンヘンにいた音楽家たちを集めて結成したミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団は、1960年代のエラート・レーベルにおける主戦力でした。
ヴァイオリンのソロを務めるヴォルフガング・マルシュナー(Wolfgang Marschner, 1926-)、チェロを弾くヴィルヘルム・シュネラー(Wilhelm Schneller)、チェンバロを弾いているレナード・ホカンソン(Leonard Hokanson, 1931-2003)は、ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団のメンバーでした。ホカンソンは、アメリカ人のピアニストで、アルテュル・シュナーベルの門下生です。
ホカンソンが奏でる3声のリチェルカーレは、チェンバロの音に時代を感じさせるものの、なかなか情熱的な演奏を披露しています。
各種カノンはミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団で演奏していますが、おっとりとしたテンポや、目いっぱい楽器を歌わせる伸びやかさにほっとさせられます。ただ、今日の古楽器による鋭いアプローチに慣れていると、幾分響きがもっさりと聴こえるかもしれません。幾分緩い感じの演奏ですが、純朴なレーデルのフルートが基調となり、人情味あふれる暖かさを感じさせてくれます。
バッハ家はドイツでも特に有名な音楽一族で、彼の次男であるカール・フィリップ・エマヌエル・バッハはプロイセンのフリードリヒ大王のチェンバリストとして就職していました。そのフリードリヒ大王がJ.S.バッハに会いたいということで、この次男を介してJ.S.バッハを呼び、J.S.バッハの対位法の妙技を披露させました。
フリードリヒ大王は、バッハに主題を与え、即興でフーガを作らせましたが、この主題が6声のフーガを作るのに適していないメロディだったため、フリードリヒ大王の意向に完全にそぐうことができなかったそうです。
J.S.バッハは、対位法の大家としての意地から、フリードリヒ大王の主題を持ち帰り、その主題をもとに、自らの技術の粋を集めた作品を作り、フリードリヒ大王の元へと送付したのでした。
その曲集は、彼のフリードリヒ大王への献辞から《音楽の捧げもの》と呼ばれ、その作品集の内訳は以下のとおりです。
1.3声のリチェルカーレ
2.無限カノン
3.各種カノン(逆行カノン、同度カノン、反行カノン、反行拡大カノン、螺旋カノン)
4.上方5度のフーガ・カノニカ
5.2声のカノン
6.4声のカノン
7.6声のリチェルカーレ
8.トリオ・ソナタ
9.無限カノン
リチェルカーレとは、ポリフォニー音楽のひとつで、フーガの原型となった音楽ですが、ここでは、フリードリヒ大王への献辞"Regis Iussu Cantio Et Reliqua Canonica Arte Resoluta"の頭文字をくっつけた言葉遊びの意味もあり、J.S.バッハ流の綿密なフーガが書かれています。
本作品では、3声と6声のリチェルカーレが置かれていますが、この6声のリチェルカーレこそが、バッハが意地をかけて作ったフーガです。
カノンは、同じ旋律を素材にして組み合わせて作る、対位法(旋律の同時的な組み合わせ)の厳格な書き方です。
無限カノンというのは、最初から最後まで演奏して、何度その音楽を繰り返してもスムーズにつなげられるカノンを指します。
逆行カノンというのは、主旋律に絡ませる対旋律を主旋律を後ろから読んだものにするというカノン。
同度カノンは、主旋律を対旋律が忠実に追いかけていくカノンで、有名なヨハン・パッヘルベルの三声カノンも、同度カノンです。
反行カノンは、主旋律が「ドレミファソ」と上行すると、対旋律が「ソファミレド」と、下行するようなカノンで、主旋律と対旋律の関係が、まるで鏡で映したような形になります。
拡大カノンは、主旋律の音の長さを倍に引き伸ばして対旋律にするカノンのことです。
螺旋カノンは、ひとつのパートが演奏し終わって次の場面に連結するときに、元の音よりも高くなるように設定されたカノンで、それにからむ対旋律も繰り返すたびに音程があがるという仕掛けになっています。
2声のカノンは「謎カノン」と呼ばれていますが、このカノンは、カノンを作る上でのヒントだけが示され、演奏者の面々が楽譜の謎を解いて演奏する音楽になっています。
4声のカノンは、どのパートを取り替えても演奏できるという厳格なカノンの様式で書かれております。
最後の曲の一歩手前で演奏されるトリオ・ソナタは、旧来的な4楽章形式ですが、第1楽章と第3楽章では主題の使用を匂わせるだけにとどめていますが、第2楽章では低音部でフリードリヒ大王の主題を用い。第4楽章はのっけから主題を使っています。
さすがに、自分の主題の対位法尽くしにギョッとしたのか、献呈を受けたフリードリヒ大王は、一度も演奏しなかったそうです。
なお、この作品は、トリオ・ソナタがフルートとヴァイオリンと通奏低音を指定している以外は、楽器指定はなされておらず、自由に楽器を選べることになっています。
演奏しているのは、クルト・レーデル(Kurt Redel, 1918-)指揮するミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団です。
レーデルは、30歳のときにジュネーヴ国際音楽コンクールのフルート部門第3位に入賞したほどのフルートの名手として知られていましたが、指揮者の修行としてクレメンス・クラウスの下でアシスタントを務めていたこともあります。ミュンヘンにいた音楽家たちを集めて結成したミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団は、1960年代のエラート・レーベルにおける主戦力でした。
ヴァイオリンのソロを務めるヴォルフガング・マルシュナー(Wolfgang Marschner, 1926-)、チェロを弾くヴィルヘルム・シュネラー(Wilhelm Schneller)、チェンバロを弾いているレナード・ホカンソン(Leonard Hokanson, 1931-2003)は、ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団のメンバーでした。ホカンソンは、アメリカ人のピアニストで、アルテュル・シュナーベルの門下生です。
ホカンソンが奏でる3声のリチェルカーレは、チェンバロの音に時代を感じさせるものの、なかなか情熱的な演奏を披露しています。
各種カノンはミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団で演奏していますが、おっとりとしたテンポや、目いっぱい楽器を歌わせる伸びやかさにほっとさせられます。ただ、今日の古楽器による鋭いアプローチに慣れていると、幾分響きがもっさりと聴こえるかもしれません。幾分緩い感じの演奏ですが、純朴なレーデルのフルートが基調となり、人情味あふれる暖かさを感じさせてくれます。
PR
Comment
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。
Clock
ブログ内検索
カウンター
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
プロフィール
HN:
(´π`)
性別:
男性
自己紹介:
・・・。
カテゴリー
最新CM
[06/29 (^▽^)]
[06/16 ある晩のヴぇる君。]
[06/07 はじめまして]
[05/30 ある晩のヴぇる君。]
[05/29 ある晩のヴぇる君。]
最新TB
最新記事
(12/22)
(12/20)
(12/13)
(12/12)
(12/11)
アーカイブ
最古記事
(03/17)
(03/18)
(03/19)
(03/20)
(03/21)
地球儀もどき