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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Richard Strauss: Till Eulenspiegels Lustige Streiche, op.28
Vienna Philharmonic Orchestra / Clemens Krauss
(Rec. 16 June 1950 Musikvereinsaal, Vienna)
◈Richard Strauss: Salome - Tanz der Sievben Schleier
Vienna Philharmonic Orchestra / Clemens Krauss
(Rec. 15-21 March 1954, Musikvereinsaal, Vienna)
◈Richard Strauss: Symphonic Fantasy "Aus Italien", op.16
Vienna Philharmonic Orchestra / Clemens Krauss
(Rec. December 1953, Musikvereinsaal, Vienna)



リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864-1949)は、ドイツの作曲家です。
ドイツでも著名なホルン奏者だった父親から早期教育を受け、10代で玄人はだしの作曲技法を身につけていました。
本CDでは、交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯》(1895年作)、歌劇《サロメ》(1905年作)からの〈7つのヴェールの踊り〉、交響的幻想曲《イタリアより》(1886年作)の3曲が収録されています。
演奏は全てクレメンス・クラウス(Clemens Krauss, 1893-1954)指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団です。
《サロメ》の〈7つのヴェールの踊り〉については、1954年の歌劇の全曲盤から切り取って並べているらしく、曲の終わりにテノールの声が少し混じっています。

《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯》は、ドイツの伝説的放浪者であるティル・オイレンシュピーゲルの物語を音楽で書いてみたという作品。「昔むかし、とっても悪戯好きな男がおったとさ・・・」と語りかけてくるようなヴァイオリンの奏でる動機で一気に御伽噺の世界に引き込み、ホルンの高笑いするようなテーマで悪戯者のティルを登場させます。最初のエピソードは馬に乗って市場を駆け回って町中を引っ掻き回す悪戯。騒然としたオーケストラの表現に、作曲者のオーケストレーションの練達の腕を聴くことができます。
町中をグチャグチャにして魔法の靴で逃げおおせた後は、僧侶に扮して説教の真似事をしますが、これもすぐに飽きてしまい、大あくびをして説教を放ったらかしにして逃げてしまいます。ヴァイオリンのソロは、自分の説教に退屈してしまったティルを表現しているとされています。
今度は鎧兜を調達してきて、騎士に成りすまし、うら若い乙女たちをたぶらかそうとしますが、その乙女の一人に本気で恋をしてしまいます。物腰柔らかに色男を演じて気を引こうとしたものの、結局誰からも相手にさませんでした。
怒り狂ったティルは、自分を相手にしようとしない町の衆に復讐することを心に誓い、まずは学者に無理難題をつきつけて彼らを困らせようとしますが、逆に論破されてしまい、尻尾を巻いて逃げることとなります。破れかぶれになったティルは好き放題悪戯を繰り返しますが、最後には町の人々に取り囲まれ、裁判にかけられてしまいます。甲高いクラリネットの響きは、「死刑はいやだ!」とわめき散らすティルの金切り声でしょうか。
オーケストラの総奏でティルの主題が奏され、ティルは死刑を宣告され、闇へと消えていきます。
そこに最初に出てきた「昔むかし・・・」のモチーフが戻ってきて、最後にはティルの主題を高らかに演奏して明るく曲を閉じます。

クラウスの指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、R.シュトラウスと縁の深かったオーケストラだけに、各パートに濃厚な表情がつけられており、僧侶に扮した箇所のヴァイオリン・ソロなどは、ティルの退屈というよりは、説教しているときに美しい乙女を見初めてしまったようなトキメキを感じさせます。
オーケストラを機能的に鳴らすことのみに気を配った演奏では醸し出せない色香が、大変印象的な演奏です。

《サロメ》の〈7つのヴェールの踊り〉は、ヘロデ王の前で舞を踊るサロメの音楽で、身に着けたヴェールを一枚ずつとっていく踊りは、ストリップのハシリといえるでしょう。この踊りの後、サロメは預言者ヨカナーンの首を要求することになります。
ウィーン・フィルハーモニーの豊饒で官能的な響きを余すことなく堪能できる演奏で、中間部の緩やかな場面でも、音楽を弛緩させることなく、退廃的な美しさと、その美しさの奥にあるドロッとした情念をしっかりと描き出しています。

《イタリアより》は、交響詩のプロトタイプともいえる作品で、ヨハネス・ブラームスの勧めでイタリアに旅行に行き、そのときの印象を音楽として纏めた作品といえます。この作品について、R.シュトラウスは、イタリアの自然の写実ではなく、イタリアの風景を目の当たりにした自分の感情を音楽にしたということです。曲は〈カンパーニャにて〉(Auf der Campagna)、〈ローマの廃墟にて〉(In Roms Ruien)、〈ソレントの海岸にて〉(Am Strande von Sorrento)、〈ナポリ人の生活〉(Napolitanische Volksleben)の4曲からなります。
カンパーニャは古代ローマ時代ではリゾート地でしたが、度重なる戦争や流民のために荒涼とした土地になっており、この曲の一曲目で、過去のカンパーニャの栄光に思いを馳せています。
ローマの廃墟での曲は、カンパーニャの続きであり、古代ローマの栄華を偲ぶ曲となっています。
ソレントの海岸をモチーフにした3曲目は、海岸の美しさと明るさにに感激するR.シュトラウスの心情が描き出されています。
第4曲目では、大胆にもルイジ・デンツァの作曲した《フニクリ・フニクラ》がモチーフとして用いられています。
デンツァの〈フニクリ・フニクラ〉は、元々ベスピオ火山への登山用の電車のコマーシャル・ソングとして作られたものです。イタリアではこの曲が大流行し、いたるところで歌われていたため、事情を知らないR.シュトラウスは民謡と勘違いして、大々的にこの曲のメロディを盛り込んでしまったのでした。
これを知ったデンツァはすかさず訴訟を起こし、R.シュトラウスはこの曲を演奏するたびに著作権料を払わなければならなくなったということです。

クラウス指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏は、特に第1曲目と第3曲目でしっとりと味わいのある演奏を聴かせてくれています。第二曲目冒頭のトランペットの晴れやかさと、管セクションと弦セクションの音色の溶け合いも非常に美しく、全てが聴き所だといってもいいほどの麗しいサウンドを楽しむことができます。ただ、第4曲目は、パリッとした響きを期待すると、違和感を覚えることでしょう。

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