1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Sergei Rachmaninoff: Elegy, op.3-1
◈Sergei Rachmaninoff: Prelude in C sharp minor, op.3-2
◈Sergei Rachmaninoff: Polichinelle, op.3-4
Santiago Rodriguez (Pf)
(Rec. April 1993, Fort Washington)
◈Sergei Rachmaninoff: Piano Concerto No.3 in D minor, op.30Santiago Rodriguez (Pf)
Lake Forest Symphony / Paul Anthony McRae
(Rec. May 1994, North Chicago) Live Recording with Applause
◈Sergei Rachmaninoff: Prelude in G major, op.32-5◈Sergei Rachmaninoff: Prelude in G sharp minor, op.32-12
Santiago Rodriguez (Pf)
(Rec. April 1993, Fort Washington)
◈Sergei Rachmaninoff: Prelude in G minor, op.23-5◈Sergei Rachmaninoff: Prelude in E flat major, op.23-6
◈Sergei Rachmaninoff: Prelude in Bflat major, op.23-2
Santiago Rodriguez (Pf)
(Rec. June 1994, Fort Washington)
サンチャゴ・ロドリゲス(Santiago Rodriguez, 1952-)は、キューバのカルデナス出身のピアニスト。4歳からピアノを始め、ネルソン・デ・ベルヘに師事しましたが、8歳の時にアメリカのピーターパン作戦によってアメリカはニュー・オリンズに単独移住しています。10歳でステージ・デビューを飾った後、テキサス大学でウィリアム・レイスに学び、ジュリアード音楽院でアデーレ・マーカスの薫陶も受けています。1981年のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで第2位に入賞してからアメリカ内外でピアニストとしての名声を得るようになりました。キューバ出身ということもあって、ロドリゲスはアルベルト・ヒナステラをはじめとする南米の作曲家の作品の積極的紹介者でもありますが、本CDで聴かれるように、セルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninoff, 1873-1943)の作品の解釈にも一家言を持っています。
ラフマニノフは、ロシアのノヴゴロド州、セミョノヴォの古豪の家に生まれた作曲家で、モスクワ音楽院でアントン・アレンスキーやセルゲイ・タネーエフに音楽理論を学び、ニコライ・ズヴェーレフや従兄のアレクサンドル・ジロティらにピアノを教わっています。モスクワ音楽院にいた頃からピアノの腕前はもとより作曲家としても積極的な活動を行っていたラフマニノフでしたが、1895年に作曲した交響曲第1番の失敗で精神的ダメージを負ったこともあります。その後、精神科医のニコライ・ダールの治療によってコンポーザー・ピアニストとして蘇り、1901年に完成させたピアノ協奏曲第2番で名声を回復させています。本CDの目玉となるピアノ協奏曲第3番は1909年の作で、来たるアメリカへの演奏旅行用に書き上げたものでした。完成した年の11月28日にはニューヨークのカーネギー・ホールでラフマニノフ自身のピアノとウォルター・ダムロッシュの指揮するニューヨーク交響楽団によって初演されました。演奏自体は大成功を収めましたが、40分以上もかかる大作だったことで評論家筋からケチがつきました。このため、ラフマニノフ自身は、適宜カットして演奏することを奨励し、アメリカに定住してからの晩年に遺した録音でもカットしていました。今日では、そうしたトラディショナル・カットはあまり行われません。
本CDに収録されている演目は、ピアノ協奏曲第3番のほか、幻想的小品集(op.3)から〈悲歌〉、〈道化師〉、〈前奏曲〉の3曲、op.23の前奏曲集から第2曲目と第5曲目と第6曲目、op.32の前奏曲集から第5曲目と第12曲目が選ばれています。ロドリゲス自身、相当弾き倒した曲なのか、どれも豪快で完成度の高い演奏を聴かせており、本家ラフマニノフに迫る説得力を持っています。
協奏曲録音は、ポール・アンソニー・マクレー(Paul Anthony McRae, 1946-)の指揮するレイクフォレスト交響楽団との共演。マクレーはイギリスのリヴァプールに生まれ。幼少期にアメリカに渡り、イーストマン音楽院でラーズロー・ハラースに学んだ指揮者で、イタリアのキジアーナ音楽院でフランコ・フェラーラの薫陶も受けています。1983年にはボカラトン交響楽団を創設(1985年にフロリダ・フィルハーモニー管弦楽団に改組され2003年に消滅)したり、グリーンズボロー交響楽団の音楽監督を務めたりして、アメリカの中堅指揮者として着実に業績を積んでいます。本録音時は、1957年創立のこのオーケストラの首席指揮者を務めていました。
ロドリゲスはエミール・タバコフの指揮するソフィア・フィルハーモニー管弦楽団ともこの曲を録音していましたが、本録音はライヴ収録ということもあり、タバコフとの共演以上に熱のこもった演奏を繰り広げています。レイクフォレスト交響楽団は、やや弦セクションの音色が薄めですが、それが却ってロドリゲスの暴れ馬のようなピアノが映える効果を生み出しています。
ロドリゲスのピアノは人間が弾ける速度に挑戦するかのようなハイ・スピードの演奏ですが、マクレーの指揮が、そんなロドリゲスに自重を求めるどころか上手く煽っているので、両端楽章では手に汗を握るようなスリルたっぷりの演奏に仕上がっています。さすがにカデンツァはタバコフとの録音同様にラフマニノフの用意したデフォルトのカデンツァ(差し替え用のカデンツァはさらに難易度が上がる)で済ませていますが、ライヴ録音としては驚異的な完成度の演奏です。中間の緩徐楽章でも、両端楽章の興奮をしっかり引き継いでいて、千両役者が大見得を切るような表情付けが表現のツボにはまり、如何なる批判も消し飛ばすほどの力感があります。呼応するオーケストラも、技術的な難点をカモフラージュ出来るだけの没入振りでロドリゲスのピアノに対抗しており、この楽章だけでもロシア産の交響曲一曲分の充実感が得られることでしょう。ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーの時代から脈々と流れるロシア音楽の濃厚なロマンティシズムを骨の髄まで味わわせるに足る演奏です。
ラフマニノフは、ロシアのノヴゴロド州、セミョノヴォの古豪の家に生まれた作曲家で、モスクワ音楽院でアントン・アレンスキーやセルゲイ・タネーエフに音楽理論を学び、ニコライ・ズヴェーレフや従兄のアレクサンドル・ジロティらにピアノを教わっています。モスクワ音楽院にいた頃からピアノの腕前はもとより作曲家としても積極的な活動を行っていたラフマニノフでしたが、1895年に作曲した交響曲第1番の失敗で精神的ダメージを負ったこともあります。その後、精神科医のニコライ・ダールの治療によってコンポーザー・ピアニストとして蘇り、1901年に完成させたピアノ協奏曲第2番で名声を回復させています。本CDの目玉となるピアノ協奏曲第3番は1909年の作で、来たるアメリカへの演奏旅行用に書き上げたものでした。完成した年の11月28日にはニューヨークのカーネギー・ホールでラフマニノフ自身のピアノとウォルター・ダムロッシュの指揮するニューヨーク交響楽団によって初演されました。演奏自体は大成功を収めましたが、40分以上もかかる大作だったことで評論家筋からケチがつきました。このため、ラフマニノフ自身は、適宜カットして演奏することを奨励し、アメリカに定住してからの晩年に遺した録音でもカットしていました。今日では、そうしたトラディショナル・カットはあまり行われません。
本CDに収録されている演目は、ピアノ協奏曲第3番のほか、幻想的小品集(op.3)から〈悲歌〉、〈道化師〉、〈前奏曲〉の3曲、op.23の前奏曲集から第2曲目と第5曲目と第6曲目、op.32の前奏曲集から第5曲目と第12曲目が選ばれています。ロドリゲス自身、相当弾き倒した曲なのか、どれも豪快で完成度の高い演奏を聴かせており、本家ラフマニノフに迫る説得力を持っています。
協奏曲録音は、ポール・アンソニー・マクレー(Paul Anthony McRae, 1946-)の指揮するレイクフォレスト交響楽団との共演。マクレーはイギリスのリヴァプールに生まれ。幼少期にアメリカに渡り、イーストマン音楽院でラーズロー・ハラースに学んだ指揮者で、イタリアのキジアーナ音楽院でフランコ・フェラーラの薫陶も受けています。1983年にはボカラトン交響楽団を創設(1985年にフロリダ・フィルハーモニー管弦楽団に改組され2003年に消滅)したり、グリーンズボロー交響楽団の音楽監督を務めたりして、アメリカの中堅指揮者として着実に業績を積んでいます。本録音時は、1957年創立のこのオーケストラの首席指揮者を務めていました。
ロドリゲスはエミール・タバコフの指揮するソフィア・フィルハーモニー管弦楽団ともこの曲を録音していましたが、本録音はライヴ収録ということもあり、タバコフとの共演以上に熱のこもった演奏を繰り広げています。レイクフォレスト交響楽団は、やや弦セクションの音色が薄めですが、それが却ってロドリゲスの暴れ馬のようなピアノが映える効果を生み出しています。
ロドリゲスのピアノは人間が弾ける速度に挑戦するかのようなハイ・スピードの演奏ですが、マクレーの指揮が、そんなロドリゲスに自重を求めるどころか上手く煽っているので、両端楽章では手に汗を握るようなスリルたっぷりの演奏に仕上がっています。さすがにカデンツァはタバコフとの録音同様にラフマニノフの用意したデフォルトのカデンツァ(差し替え用のカデンツァはさらに難易度が上がる)で済ませていますが、ライヴ録音としては驚異的な完成度の演奏です。中間の緩徐楽章でも、両端楽章の興奮をしっかり引き継いでいて、千両役者が大見得を切るような表情付けが表現のツボにはまり、如何なる批判も消し飛ばすほどの力感があります。呼応するオーケストラも、技術的な難点をカモフラージュ出来るだけの没入振りでロドリゲスのピアノに対抗しており、この楽章だけでもロシア産の交響曲一曲分の充実感が得られることでしょう。ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーの時代から脈々と流れるロシア音楽の濃厚なロマンティシズムを骨の髄まで味わわせるに足る演奏です。
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