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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Franz Liszt: Les Jeux d'eau à la Villa d'Este from Années de pèlerinage, Troisième Année
◈Franz Liszt: Venezia e Napoli, S.162
◈Alberto Ginastera: Piano Sonata No.1, op.22
◈Samuel Barber: Piano Sonata, op.26
◈Dmitri Shostakovich: Prelude and Fugue No.15
◈Mily Balakirev: Islamey
◈Maurice Ravel: Oiseaux tristes from Miroirs
Terence Judd (Pf)
(Rec. 1978) Live Redording with Applause



テレンス・ジャッド(Terence Judd, 1957-1979)は、わずか22歳で謎の死を遂げたイギリスのピアニストです。アルトゥール・シュナーベル門下のマリア・クルチオに師事したジャッドは、1978年にチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門に出場し、第4位に入賞しています。本格的にソリストとしての活動を始める前に急逝したため、残された録音は、さほど多くありませんが、Chandosレーベルは、この早世のピアニストに着目し、現在のところ4枚ほどのCDをリリースしています。
本CDに収録されているのは、フランツ・リスト(Franz Liszt, 1811-1886)の巡礼の年第3年から〈エステ荘の噴水〉と、巡礼の年第2年の補遺として作曲された《ヴェネチアとナポリ》、アルベルト・ヒナステラ(Alberto Ginastera, 1916-1983)のピアノ・ソナタ第1番、サミュエル・バーバー(Samuel Barber, 1910-1981)のピアノ・ソナタ、ドミトリー・ショスタコーヴィチ(Dmitri Shostakovich, 1906-1975)の前奏曲とフーガ第15番、ミリー・バラキレフ(Mily Balakirev, 1837-1910)の《イスラメイ》、モーリス・ラヴェルの《鏡》からの〈悲しき鳥〉です。
CDの解説によると、チャイコフスキー・コンクールでの演奏の模様を収録したCDらしく、その演奏は鬼気迫るものがあります。
リスト作品も、のっけからハイ・スピードでガンガン弾きまくり、あっという間に《ヴェネチアとナポリ》まで平らげてしまいます。

ヒナステラの作品は、1952年にピッツバーグで開かれた現代音楽祭の出し物として書かれたもので、ベーラ・バルトークのピアノ音楽の書法が参考にされています。ジャッドは、こうした鋼鉄質の作品になると一気にヒート・アップし、リスト作品以上の発奮ぶりを見せてくれます。多少の瑕疵など気にできないほどの緊迫感が漲っています。爆撃のような第1楽章、第2楽章、第4楽章と、密やかな叙情の第3楽章のコントラストがお見事!

バーバーのピアノ・ソナタは、1949年にアメリカの作曲家協会創立25周年を祝って作曲されたもので、1950年にヴラディミール・ホロヴィッツによって初演された作品。バーバーといえば、《弦楽のためのアダージョ》のようなネットリした作品で知られますが、そうしたネットリした雰囲気を吹き飛ばさんばかりの超絶技巧なソナタです。先に演奏したヒナステラの作風にセルゲイ・ラフマニノフの作風を隠し味的に混ぜた作品といえば、その難易度はわかろうかとおもいます。
ジャッドの演奏は、ここでは技術的には熱中しながらも、作品に同化するのを意図的に避け、しっかりとタッチ・コントロールをしながら、この曲の叙情面を掬い出そうとしています。強靭ではあるものの、暴力的にならないピアノのタッチが非常に素晴らしく、ヒナステラの作品とは違ったアプローチで超絶技巧を繰り出せることをアピールしています。

ショスタコーヴィチの前奏曲とフーガも、ジャッドのピアノは冴え渡っていますが、フーガは何がなんだかわかりません。攻めの一手で弾き進んでいるようでいて、ふと天国を垣間見せる瞬間を作り出す前奏曲の演奏がなかなかユニークだと思います。

バラキレフのイスラメイは、1869年の秋にカフカス地方に旅行したとき、当地の民謡を元に書き上げた超絶技巧のピアノ曲です。
ジャッドは往年のシモン・バレルを思わせるような超特急の演奏で、超絶テクニックを猛烈アピールしております。中間部では幾分テンポを落とし、カンタービレも出来ることをしっかりと主張しています。しかし、全体的には、超絶技巧に拘泥しすぎて、幾分オリエンタルな風味が吹き飛んでしまっています。

最後に演奏される《鏡》からの〈悲しみの鳥たち〉は、ジャッドの弾くピアノのタッチの硬さが曲想とマッチしていますが、曲の抒情的側面に光を当てるには、もう少し練り上げたものが欲しいところ。しかし、コンクールでの演奏とのことなので、コンクールの実演でここまで聴かされたら、もはや拍手するほかないと思います。(ただし、この曲のみ、聴衆の拍手は割愛。)
様々な経験をして年齢を重ねれば、こんな破格のテクニックの持ち主であれば、もっともっと表現の幅が広がっただろうと思わせられます。

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