1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Camille Saint-Saëns: Violin Sonata No.1 in D minor, op.75
◈Camille Saint-Saëns: Violin Sonata No.2 in E flat major, op.102
Jean-Jacques Kantorow (Vn)
Jacques Rouvier (Pf)
Jacques Rouvier (Pf)
(Rec.11-12 March 1991, Stadtgehoolsaal, Leiden)
◈Édouard Lalo: Violin Sonata No.1 in D minor, op.75◈Francis Poulenc: Violin Sonata
Jean-Jacques Kantorow (Vn)
Jacques Rouvier (Pf)
Jacques Rouvier (Pf)
(Rec. 4-5 January 1994, Concertgebouw, Nijmegen)
ジャン=ジャック・カントロフ(Jean-Jacques Kantorow, 1945-)とジャック・ルヴィエ(Jacques Rouvier, 1947-)によるフランスのヴァイオリン・ソナタ集。
収録演目は、カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)のヴァイオリン・ソナタ2曲と、エドゥアール・ラロ(Édouard Lalo, 1823-1892)とフランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899-1963)のヴァイオリン・ソナタ各一曲の、計4曲になります。
カントロフは、カール・フレッシュ国際コンクールやパガニーニ国際コンクールなどで優勝を果たし、エリザベート王妃国際コンクールやロン=ティボー国際コ ンクールなどで上位入賞を果たすなど、華々しいコンクール歴を持つ、アルメニア系フランス人のヴァイオリニスト。パリ音楽院でルネ・ベネデッティに師事し ており、技巧面はピカイチの名手です。パガニーニ国際コンクールで優勝したこともあって、パガニーニ弾きとしても定評があります。
ルヴィエは、パリ音楽院でジャン・ユボーに学んだフランス人ピアニスト。ヴラド・ペルルミュテルらの薫陶も受けており、近代フランス音楽の演奏に定評があります。ヴィオッティ国際音楽コンクールやバルセロナ国際音楽コンクールで優勝し、ロン=ティボー国際コンクールで第3位を獲得するなど、輝かしいコンクール歴を持ち、ソリストとしても活躍していますが、カントロフとは1970年ごろからの室内楽仲間です。
サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番は1885年に作られた作品で、当時のフランスのヴァイオリン界の重鎮だったマルタン・マルシックに献呈されています。全部で2つの楽章からなりますが、それぞれの楽章が2つの部分に分けられるという形をとっているため、人によっては4楽章の作品と見做すことも出来ます。
この曲を発表した翌年には交響曲第3番を書き上げており、この作品は、その交響曲の形式のプロトタイプとみることもできます。
同じくサン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第2番は、1892年の作。サン=サーンスの演奏家生活50周年記念の演奏会の出し物のひとつとして、ピアノ協奏曲第5番と共に用意されたものでした。この演奏会には、パブロ・デ・サラサーテも賛助出演し、サラサーテと初演して好評を博しました。
この曲は、堅牢な4楽章形式で、ヴァイオリンとピアノで奏でられる交響曲のような趣です。
ラロは、上記サン=サーンスが創立した国民音楽協会のメンバーであり、サラサーテに自分の作品を演奏してもらって作曲家としての道を開いた作曲家でした。それまでは、室内楽のヴァイオリン奏者を務めながら、細々と作曲をしていました。このヴァイオリン・ソナタが作られたのは1853年。作曲家として芽が出ず、作曲家としての将来に希望がもてなくなっていた時期の所産です。
後年のラロは、自分の出自としてのスペイン情緒を前面に出したことで成功しますが、この作品では、まだそういったものを表には出さず、明快なメロディと華やかな技巧で彩った、正攻法の作風を見せています。
技巧的にも華やぎがあり、演奏効果の高い作品ですが、後年のラロの代表作から予想される作風とは違うため、代表作に比べて影が薄いのかもしれません。
プーランクのヴァイオリン・ソナタは1943年にジネット・ヌヴーの依頼を受けて作曲された作品。今日演奏されるのは、1949年の改訂版です。ただ、プーランク自身は、この作品にすわり心地の悪さを感じていたようです。
第二次世界大戦でレジスタンス活動に従事していたプーランクは、政治的題材にも興味を持っており、ここではスペインの詩人であるフェデリコ・ガルシア・ロルカの詩と生涯に着想を求めています。
第二次世界大戦末期という時代を反映してか、第1楽章など幾分プーランクの音楽にしてはピリピリした感じの作品になっていますが、ロルカの詩の一節を副題にした第2楽章は、労わるような美しさがあります。第3楽章の前半では、諧謔的な味わいをかもし出しますが、これは後半部分の沈痛な音楽のコントラストであり、ドミトリー・ショスタコーヴィチの作り出すニヒリスティックな世界を彷彿とさせます。
演奏は、どのトラックにも平凡で退屈なものはありません。
どちらも芸達者な上、室内楽にも造詣の深い人たちなので、サン=サーンスのソナタ2曲など、スリリングな競い合いを演じながら、片方が片方を置いてけ堀にしたり、片方がコースアウトすることがないというのが実に見事です。ソナタ第1番の第2楽章後半など、両者ともに猛烈なスピードで駆け抜けながら、全くアンサンブルに破綻をきたすどころか、細かいニュアンスにまで気を配っている芸の細かさを聴かせてくれます。
ラロのソナタは、サン=サーンスほどのスリルはないものの、カントロフとルヴィエは豊かなニュアンスで、作品を魅力的に紹介してくれています。第二楽章で聴かせる歌心は、カントロフがただの技巧家ではないことを知らしめるのに十分です。
プーランクのソナタは、ルヴィエの的確で鋭いサポートが光ります。時折心に突き刺すような音でカントロフのヴァイオリンを支える様は、ルヴィエの独壇場でしょう。また、第2楽章ではゆったりとしたメロディの中に哀感が滲んでおり、カントロフとルヴィエの表現の巧みさが際立ちます。
収録演目は、カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)のヴァイオリン・ソナタ2曲と、エドゥアール・ラロ(Édouard Lalo, 1823-1892)とフランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899-1963)のヴァイオリン・ソナタ各一曲の、計4曲になります。
カントロフは、カール・フレッシュ国際コンクールやパガニーニ国際コンクールなどで優勝を果たし、エリザベート王妃国際コンクールやロン=ティボー国際コ ンクールなどで上位入賞を果たすなど、華々しいコンクール歴を持つ、アルメニア系フランス人のヴァイオリニスト。パリ音楽院でルネ・ベネデッティに師事し ており、技巧面はピカイチの名手です。パガニーニ国際コンクールで優勝したこともあって、パガニーニ弾きとしても定評があります。
ルヴィエは、パリ音楽院でジャン・ユボーに学んだフランス人ピアニスト。ヴラド・ペルルミュテルらの薫陶も受けており、近代フランス音楽の演奏に定評があります。ヴィオッティ国際音楽コンクールやバルセロナ国際音楽コンクールで優勝し、ロン=ティボー国際コンクールで第3位を獲得するなど、輝かしいコンクール歴を持ち、ソリストとしても活躍していますが、カントロフとは1970年ごろからの室内楽仲間です。
サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番は1885年に作られた作品で、当時のフランスのヴァイオリン界の重鎮だったマルタン・マルシックに献呈されています。全部で2つの楽章からなりますが、それぞれの楽章が2つの部分に分けられるという形をとっているため、人によっては4楽章の作品と見做すことも出来ます。
この曲を発表した翌年には交響曲第3番を書き上げており、この作品は、その交響曲の形式のプロトタイプとみることもできます。
同じくサン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第2番は、1892年の作。サン=サーンスの演奏家生活50周年記念の演奏会の出し物のひとつとして、ピアノ協奏曲第5番と共に用意されたものでした。この演奏会には、パブロ・デ・サラサーテも賛助出演し、サラサーテと初演して好評を博しました。
この曲は、堅牢な4楽章形式で、ヴァイオリンとピアノで奏でられる交響曲のような趣です。
ラロは、上記サン=サーンスが創立した国民音楽協会のメンバーであり、サラサーテに自分の作品を演奏してもらって作曲家としての道を開いた作曲家でした。それまでは、室内楽のヴァイオリン奏者を務めながら、細々と作曲をしていました。このヴァイオリン・ソナタが作られたのは1853年。作曲家として芽が出ず、作曲家としての将来に希望がもてなくなっていた時期の所産です。
後年のラロは、自分の出自としてのスペイン情緒を前面に出したことで成功しますが、この作品では、まだそういったものを表には出さず、明快なメロディと華やかな技巧で彩った、正攻法の作風を見せています。
技巧的にも華やぎがあり、演奏効果の高い作品ですが、後年のラロの代表作から予想される作風とは違うため、代表作に比べて影が薄いのかもしれません。
プーランクのヴァイオリン・ソナタは1943年にジネット・ヌヴーの依頼を受けて作曲された作品。今日演奏されるのは、1949年の改訂版です。ただ、プーランク自身は、この作品にすわり心地の悪さを感じていたようです。
第二次世界大戦でレジスタンス活動に従事していたプーランクは、政治的題材にも興味を持っており、ここではスペインの詩人であるフェデリコ・ガルシア・ロルカの詩と生涯に着想を求めています。
第二次世界大戦末期という時代を反映してか、第1楽章など幾分プーランクの音楽にしてはピリピリした感じの作品になっていますが、ロルカの詩の一節を副題にした第2楽章は、労わるような美しさがあります。第3楽章の前半では、諧謔的な味わいをかもし出しますが、これは後半部分の沈痛な音楽のコントラストであり、ドミトリー・ショスタコーヴィチの作り出すニヒリスティックな世界を彷彿とさせます。
演奏は、どのトラックにも平凡で退屈なものはありません。
どちらも芸達者な上、室内楽にも造詣の深い人たちなので、サン=サーンスのソナタ2曲など、スリリングな競い合いを演じながら、片方が片方を置いてけ堀にしたり、片方がコースアウトすることがないというのが実に見事です。ソナタ第1番の第2楽章後半など、両者ともに猛烈なスピードで駆け抜けながら、全くアンサンブルに破綻をきたすどころか、細かいニュアンスにまで気を配っている芸の細かさを聴かせてくれます。
ラロのソナタは、サン=サーンスほどのスリルはないものの、カントロフとルヴィエは豊かなニュアンスで、作品を魅力的に紹介してくれています。第二楽章で聴かせる歌心は、カントロフがただの技巧家ではないことを知らしめるのに十分です。
プーランクのソナタは、ルヴィエの的確で鋭いサポートが光ります。時折心に突き刺すような音でカントロフのヴァイオリンを支える様は、ルヴィエの独壇場でしょう。また、第2楽章ではゆったりとしたメロディの中に哀感が滲んでおり、カントロフとルヴィエの表現の巧みさが際立ちます。
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サンサーンスのヴァイオリンソナタ
トラックバックをありがとうございます。サンサーンスのヴァイオリンソナタは、2曲ともすてきな音楽ですね。録音も優秀ですし、いいCDだと思います。当方の記事を、トラックバックしました。
Re:サンサーンスのヴァイオリンソナタ
こちらこそ、2本もTB送っていただき、ありがとうございます。
サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ2曲は、よく作り込んであり、聴き応えがありますね。
この作品が取り上げられないとすれば、演奏者のスタミナの問題があるのかもしれません。一夜でこの2曲を一気に演奏すると、さすがにバテてしまいそうですし・・・。
サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ2曲は、よく作り込んであり、聴き応えがありますね。
この作品が取り上げられないとすれば、演奏者のスタミナの問題があるのかもしれません。一夜でこの2曲を一気に演奏すると、さすがにバテてしまいそうですし・・・。
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