1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Camille Saint-Saëns: Symphony No.3 in C minor, op.78 "Organ"
Frederick Minger (Org)
Baltimore Symphony Orchestra / Sergiu Comissiona
Baltimore Symphony Orchestra / Sergiu Comissiona
(Rec. 14 November 1980, National Presbyterian Church, Washington D.C.)
◈César Franck: Symphony in D minorHouston Symphony Orchestra / Sergiu Comissiona
(Rec. 5-7 April 1980, Jesse H. Jones Hall, Houston)
カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)の交響曲第3番(1886年作)と、セザール・フランク(César Franck. 1822-1890)の交響曲(1887-1888年作)のカップリングです。
サン=サーンスの作品は、フランクが好んで用いていた循環形式を自己流で用い、オルガンを組み込んで壮麗なサウンドに仕上げた、彼の成功作の一つです。曲の編成も一風変わっていて、2つの楽章をそれぞれ2つの部分に分け、それぞれの後半部分にオルガンを登場させる仕掛けを配しています。
第1楽章の前半部分では、フェリックス・メンデルスゾーンの《フィンガルの洞窟》を思わせる細波のような弦の動きが聴きものです。後半では、オルガンが控えめに出てきて、教会風の佇まいになりますが、このオルガンの出すテーマが、第2楽章で様々に変形され、後半部分で第一楽章前半に出てきた動機と組み合わされて、一つの統一体を作り上げます。ヒロイックな展開と、緻密な構成で織り上げられた曲であるがゆえに、オルガンを必要とする交響曲であるにもかかわらず、人気の高い演目となっています。
フランクは、サン=サーンスが利用した循環形式の名人として知られた作曲家です。
循環形式というのは、一つの楽章で使ったテーマを他の楽章でも変形させながら使うことで、曲全体に統一感を与えるという手法です。かつては、エクトル・ベルリオーズが「固定楽想」と呼び、そのメロディにキャラクターを与えていたのですが、フランクは、そうした人物描写ではなく、純粋に楽曲の統一感を高めるために、この形式を用いました。
フランクの交響曲では、冒頭で示される重苦しい動機(動機A)と、その重苦しさを打開する高らかな動機(動機B)でソナタ形式の第1楽章を作り上げ、さらに第2楽章でコーラングレが侘しさ漂う動機(動機C)を提示します。
この第2楽章では、これまで出てきた動機Bが装いをかえて登場し、第1楽章との緊密な関係性を保っています。
第3楽章では、全ての動機が顔を出し、弁証法的に盛り上げていく音楽となっており、ここで前2楽章が統一されることになります。
論理的に構築されたフランクの交響曲は、曲としてはいささか生真面目で、それゆえに初演当時は冷や飯を食らう羽目になりましたが、作曲した当人は大満足していました。
指揮をとるセルジュ・コミッショーナ(Sergiu Comissiona, 1928-2005)は、ルーマニア出身の名指揮者です。
1968年に渡米し、翌年ボルティモア交響楽団の首席指揮者に就任しています。1984年までこのポストに就いており、サン=サーンスの交響曲は、まさにこのコンビの成熟期の録音に当たります。
オルガンを弾いているフレデリック・ミンガー(Frederick Minger)は、1977年からこのオーケストラに鍵盤楽器奏者として入団していた人とのこと。
コミッショーナは、コンスタンティン・シルヴェストリ門下の指揮者ですが、師のシルヴェストリのような情熱的な行き当たりばったりでオーケストラを振り回すのではなく、用意周到な解釈で外堀から着実に埋めていく演奏で成功しています。もう少し高揚感が欲しいところでも、そこをぐっと我慢し、冷静にオーケストラのサウンド・バランスに気を配っているあたりが、コミッショーナの職人芸です。そのおかげで、ややこじんまりと纏まった演奏ニなっていますが、第2楽章後半でオルガンが豪勢に鳴っているので、十分気分をスカッとさせることができると思います。
フランクの交響曲は、1980年から首席指揮者を務めていたヒューストン交響楽団との演奏になります。
生真面目な指揮者で生真面目な曲を演奏することになるので、とても几帳面な演奏。就任して二年目かつ、ボルティモア交響楽団のポストとの兼任ということもあり、オーケストラの響きにさらなるブレンドが欲しくなりますが、コミッショーナの堅実な解釈はしっかりとオーケストラに浸透しており、見通しのいい音楽運びになっています。特に第2楽章の慎ましやかな詩情は、フランクその人の人格のみならず、コミッショーナの性格もにじみ出た結果といえるでしょう。
サン=サーンスの作品は、フランクが好んで用いていた循環形式を自己流で用い、オルガンを組み込んで壮麗なサウンドに仕上げた、彼の成功作の一つです。曲の編成も一風変わっていて、2つの楽章をそれぞれ2つの部分に分け、それぞれの後半部分にオルガンを登場させる仕掛けを配しています。
第1楽章の前半部分では、フェリックス・メンデルスゾーンの《フィンガルの洞窟》を思わせる細波のような弦の動きが聴きものです。後半では、オルガンが控えめに出てきて、教会風の佇まいになりますが、このオルガンの出すテーマが、第2楽章で様々に変形され、後半部分で第一楽章前半に出てきた動機と組み合わされて、一つの統一体を作り上げます。ヒロイックな展開と、緻密な構成で織り上げられた曲であるがゆえに、オルガンを必要とする交響曲であるにもかかわらず、人気の高い演目となっています。
フランクは、サン=サーンスが利用した循環形式の名人として知られた作曲家です。
循環形式というのは、一つの楽章で使ったテーマを他の楽章でも変形させながら使うことで、曲全体に統一感を与えるという手法です。かつては、エクトル・ベルリオーズが「固定楽想」と呼び、そのメロディにキャラクターを与えていたのですが、フランクは、そうした人物描写ではなく、純粋に楽曲の統一感を高めるために、この形式を用いました。
フランクの交響曲では、冒頭で示される重苦しい動機(動機A)と、その重苦しさを打開する高らかな動機(動機B)でソナタ形式の第1楽章を作り上げ、さらに第2楽章でコーラングレが侘しさ漂う動機(動機C)を提示します。
この第2楽章では、これまで出てきた動機Bが装いをかえて登場し、第1楽章との緊密な関係性を保っています。
第3楽章では、全ての動機が顔を出し、弁証法的に盛り上げていく音楽となっており、ここで前2楽章が統一されることになります。
論理的に構築されたフランクの交響曲は、曲としてはいささか生真面目で、それゆえに初演当時は冷や飯を食らう羽目になりましたが、作曲した当人は大満足していました。
指揮をとるセルジュ・コミッショーナ(Sergiu Comissiona, 1928-2005)は、ルーマニア出身の名指揮者です。
1968年に渡米し、翌年ボルティモア交響楽団の首席指揮者に就任しています。1984年までこのポストに就いており、サン=サーンスの交響曲は、まさにこのコンビの成熟期の録音に当たります。
オルガンを弾いているフレデリック・ミンガー(Frederick Minger)は、1977年からこのオーケストラに鍵盤楽器奏者として入団していた人とのこと。
コミッショーナは、コンスタンティン・シルヴェストリ門下の指揮者ですが、師のシルヴェストリのような情熱的な行き当たりばったりでオーケストラを振り回すのではなく、用意周到な解釈で外堀から着実に埋めていく演奏で成功しています。もう少し高揚感が欲しいところでも、そこをぐっと我慢し、冷静にオーケストラのサウンド・バランスに気を配っているあたりが、コミッショーナの職人芸です。そのおかげで、ややこじんまりと纏まった演奏ニなっていますが、第2楽章後半でオルガンが豪勢に鳴っているので、十分気分をスカッとさせることができると思います。
フランクの交響曲は、1980年から首席指揮者を務めていたヒューストン交響楽団との演奏になります。
生真面目な指揮者で生真面目な曲を演奏することになるので、とても几帳面な演奏。就任して二年目かつ、ボルティモア交響楽団のポストとの兼任ということもあり、オーケストラの響きにさらなるブレンドが欲しくなりますが、コミッショーナの堅実な解釈はしっかりとオーケストラに浸透しており、見通しのいい音楽運びになっています。特に第2楽章の慎ましやかな詩情は、フランクその人の人格のみならず、コミッショーナの性格もにじみ出た結果といえるでしょう。
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