1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Heitor Villa-Lobos: Premième Sonata-Fantasie 'Decesperança'
◈Heitor Villa-Lobos: Deuxème Sonate
◈Heitor Villa-Lobos: Troisième Sonate
◈Heitor Villa-Lobos: Sonhar - Melodia
◈Heitor Villa-Lobos: Improviso No.7
◈Heitor Villa-Lobos: Capriccio No.1
◈Heitor Villa-Lobos: Berceuse
◈Heitor Villa-Lobos: Elegie
◈Heitor Villa-Lobos: O canto de Cisno negro
Paul Klinck (Vn)
Claude Coppens (Pf)
Claude Coppens (Pf)
(Rec. 7 & 8 September 1996, Antwerpen)
ブラジルの作曲家エイトル・ヴィラ=ロボス(Heitor Villa-Lobos, 1887-1959)のヴァイオリンとピアノのための作品全集です。
ヴィラ=ロボスは、アマチュア音楽家の父親らから音楽の手ほどきを受け、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの音楽に小さいころから親しんで育ったそうです。こうしたJ.S.バッハ影響は、《バキアーナス・ブラジレイラス(ブラジル風バッハ)》の連作に見られますが、J.S.バッハの音楽をコピーしよとしたわけではなく、J.S.バッハの音楽を「全ての音楽を結ぶ紐帯」と見做しながら、J.S.バッハの音楽の持つ普遍性にブラジル人としての自分はどう挑むべきかということを、常に考えていた人のように思います。
それゆえ、リオ・デ・ジャネイロ音楽院ではブラジル民謡を研究し、さらにカフェでチェロなどを演奏して地元の音楽家たちと交流し、自らの作風の糧としたのでした。
ヴィラ=ロボスは、ペンと五線譜があれば、どこでも、どんなときでも作曲できるような人だったといいます。そんなヴィラ=ロボスの作品は、およそ1000曲を超えており、その作品の全貌を知るのは容易ではありませんが、こうしてヴィラ=ロボスのヴァイオリン曲をまとめて聴くことができるのは、ヴィラ=ロボスの作品を愛する人たちにとって、この上ない喜びでもあるでしょう。
本CDで収録されているのは、
・幻想的ソナタ第1番《絶望》
・ソナタ第2番
・ソナタ第3番
・夢 - メロディ (1914年作)
・即興曲 第7番 (1916年作)
・カプリッチョ 第1番 (1915年作)
・子守歌 (1915年作)
・悲歌 (1916年作)
・黒白鳥の歌 (1917年作)
の9曲です。特に、幻想的ソナタ第1番について、ヴィラ=ロボス自身は、1915年ごろの作品だとしていますが、手書きのスケッチでは1912年ごろから構想を練っていたことが明らかになっています。幻想的ソナタと名づけているように、ソナタの様式に捕らわれることなく、自由奔放に楽想を歌い上げています。滾々と湧き出る楽想は、どれもメランコリックで、それをヴァイオリンとピアノがいい塩梅に弾き崩します。なお、初演は1913年頃にリオ・デジャネイロで行われたと見られていますが、楽譜の出版は1929年までずれ込みました。
ソナタ第2番も、ヴィラ=ロボスは幻想的ソナタと呼んでいましたが、急-緩-急の三楽章形式を遵守しています。この作品は1914年ごろに作曲されたと見られ、1923年にヴィラ=ロボスがパリに初訪問した際にサル・アグリカルテュールで初演されました。南米で演奏されるのは、1940年になってからのことです。
第1楽章はイ長調を基調としたソナタ形式の溌剌とした作品で、ヴァイオリンとピアノの絡みも非常に手堅く纏められています。第2楽章ではハ長調を基調としたラプソディックな緩徐楽章ですが、ただ歌うことに徹するのではなく、必要とあらばヴァイオリンが超絶技巧も覗かせます。第3楽章は8分の6拍子と4分の3拍子を織り交ぜた輝かしいロンドです。
ソナタ第3番は1920年に作曲された作品で、1920年代のパリで初演されたのではないかといわれていますが、確かな情報は残っていません。本作品は1953年になって初演され、リカルド・オドノポソフらが好んで取り上げていました。3曲あるソナタの中では、最も練り上げられた作品で、3つの楽章からなるものの、必ずしも第2番のソナタのように急-緩-急というスタイルをとっていません。調性感覚も、先の作品よりもかなり自由になっています。
第1楽章のエモーショナルなアダージョは、聴き手に何かを訴えかけているような所作を感じさせ、第2楽章では、第1楽章で溜まったフラストレーションを笑い飛ばすような技巧的なスケルツォになっております。
第3楽章では、第1楽章の雰囲気を第2楽章の技術で編みなおすような音楽で、即興的な味わいの魅力的な音楽になっています。
余白に収められた小品の多くは、ヴィラ=ロボスが好んだチェロのために書かれたもので、ヴァイオリンでも演奏できるということで収録されています。どれも愛されるべきメロディに彩られ、甘みを押さえた旋律線からふと零れ落ちるロマンティシズムに、ヴィラ=ロボスの音楽家としての本来的な属性を確認することができます。
演奏はパウル・クリンク(Paul Klinck)とクロード・コッペン(Claude Coppens, 1936-)という二人のベルギー人奏者です。クリンクは、ルドルフ・ヴェルゼンに師事したヴァイオリニストで、ベルギーのヴァイオリン曲の発掘を熱心に行っている人なのだとか。コッペンは、往年のベルギーの名手であるマルセル・マースに師事したピアニストで、作曲家としても活躍しています。
演出過剰にならず、淡々と演奏しながらも、ヴィラ=ロボスの情念を適宜掬い取るセンスが光っており、最後の《黒白鳥の歌》では、押し付けがましくない色気を感じさせます。
コッペンのピアノは、音の粒の揃え方が美しく、ともすると散漫になりがちなヴィラ=ロボスの音楽をしっかりと纏め上げています。清潔なピアニズムと、ちょっとエロティックなクリンクのヴァイオリンが合わさることで、ハイ・センスな音楽になっていると思います。
ヴィラ=ロボスは、アマチュア音楽家の父親らから音楽の手ほどきを受け、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの音楽に小さいころから親しんで育ったそうです。こうしたJ.S.バッハ影響は、《バキアーナス・ブラジレイラス(ブラジル風バッハ)》の連作に見られますが、J.S.バッハの音楽をコピーしよとしたわけではなく、J.S.バッハの音楽を「全ての音楽を結ぶ紐帯」と見做しながら、J.S.バッハの音楽の持つ普遍性にブラジル人としての自分はどう挑むべきかということを、常に考えていた人のように思います。
それゆえ、リオ・デ・ジャネイロ音楽院ではブラジル民謡を研究し、さらにカフェでチェロなどを演奏して地元の音楽家たちと交流し、自らの作風の糧としたのでした。
ヴィラ=ロボスは、ペンと五線譜があれば、どこでも、どんなときでも作曲できるような人だったといいます。そんなヴィラ=ロボスの作品は、およそ1000曲を超えており、その作品の全貌を知るのは容易ではありませんが、こうしてヴィラ=ロボスのヴァイオリン曲をまとめて聴くことができるのは、ヴィラ=ロボスの作品を愛する人たちにとって、この上ない喜びでもあるでしょう。
本CDで収録されているのは、
・幻想的ソナタ第1番《絶望》
・ソナタ第2番
・ソナタ第3番
・夢 - メロディ (1914年作)
・即興曲 第7番 (1916年作)
・カプリッチョ 第1番 (1915年作)
・子守歌 (1915年作)
・悲歌 (1916年作)
・黒白鳥の歌 (1917年作)
の9曲です。特に、幻想的ソナタ第1番について、ヴィラ=ロボス自身は、1915年ごろの作品だとしていますが、手書きのスケッチでは1912年ごろから構想を練っていたことが明らかになっています。幻想的ソナタと名づけているように、ソナタの様式に捕らわれることなく、自由奔放に楽想を歌い上げています。滾々と湧き出る楽想は、どれもメランコリックで、それをヴァイオリンとピアノがいい塩梅に弾き崩します。なお、初演は1913年頃にリオ・デジャネイロで行われたと見られていますが、楽譜の出版は1929年までずれ込みました。
ソナタ第2番も、ヴィラ=ロボスは幻想的ソナタと呼んでいましたが、急-緩-急の三楽章形式を遵守しています。この作品は1914年ごろに作曲されたと見られ、1923年にヴィラ=ロボスがパリに初訪問した際にサル・アグリカルテュールで初演されました。南米で演奏されるのは、1940年になってからのことです。
第1楽章はイ長調を基調としたソナタ形式の溌剌とした作品で、ヴァイオリンとピアノの絡みも非常に手堅く纏められています。第2楽章ではハ長調を基調としたラプソディックな緩徐楽章ですが、ただ歌うことに徹するのではなく、必要とあらばヴァイオリンが超絶技巧も覗かせます。第3楽章は8分の6拍子と4分の3拍子を織り交ぜた輝かしいロンドです。
ソナタ第3番は1920年に作曲された作品で、1920年代のパリで初演されたのではないかといわれていますが、確かな情報は残っていません。本作品は1953年になって初演され、リカルド・オドノポソフらが好んで取り上げていました。3曲あるソナタの中では、最も練り上げられた作品で、3つの楽章からなるものの、必ずしも第2番のソナタのように急-緩-急というスタイルをとっていません。調性感覚も、先の作品よりもかなり自由になっています。
第1楽章のエモーショナルなアダージョは、聴き手に何かを訴えかけているような所作を感じさせ、第2楽章では、第1楽章で溜まったフラストレーションを笑い飛ばすような技巧的なスケルツォになっております。
第3楽章では、第1楽章の雰囲気を第2楽章の技術で編みなおすような音楽で、即興的な味わいの魅力的な音楽になっています。
余白に収められた小品の多くは、ヴィラ=ロボスが好んだチェロのために書かれたもので、ヴァイオリンでも演奏できるということで収録されています。どれも愛されるべきメロディに彩られ、甘みを押さえた旋律線からふと零れ落ちるロマンティシズムに、ヴィラ=ロボスの音楽家としての本来的な属性を確認することができます。
演奏はパウル・クリンク(Paul Klinck)とクロード・コッペン(Claude Coppens, 1936-)という二人のベルギー人奏者です。クリンクは、ルドルフ・ヴェルゼンに師事したヴァイオリニストで、ベルギーのヴァイオリン曲の発掘を熱心に行っている人なのだとか。コッペンは、往年のベルギーの名手であるマルセル・マースに師事したピアニストで、作曲家としても活躍しています。
演出過剰にならず、淡々と演奏しながらも、ヴィラ=ロボスの情念を適宜掬い取るセンスが光っており、最後の《黒白鳥の歌》では、押し付けがましくない色気を感じさせます。
コッペンのピアノは、音の粒の揃え方が美しく、ともすると散漫になりがちなヴィラ=ロボスの音楽をしっかりと纏め上げています。清潔なピアニズムと、ちょっとエロティックなクリンクのヴァイオリンが合わさることで、ハイ・センスな音楽になっていると思います。
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