1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Robert Schumann: Piano Sonata No.1 in F sharp minor, op.11
鷲見 加寿子 (Pf)
(Rec. 21 & 22 November 2001, 三鷹市芸術文化センター)
◈Hugo Wolf: Paraphrase über "Die Walküre von Richard Wagner"鷲見 加寿子 (Pf)
(Rec. 4 & 5 June 2002, 三鷹市芸術文化センター)
ロベルト・シューマン(Robert Schumann, 1810-1856)のピアノ・ソナタ第1番とフーゴー・ヴォルフ(Hugo Wolf, 1860-1903)のヴァルキューレ・パラフレーズの2曲を収録。どちらもドイツの作曲家の作品であること、そして若書きの作品であることで共通しています。
シューマンの作品のほうは、1835年に作られた作品です。この作品が作られた翌年には生涯の伴侶となるクララに求婚しているので、クララへの恋慕の情と不安が入り混じっていると指摘されます。事実、この曲はクララに「貴女への心の叫び」として献呈され、1837年にクララによって初演されました。
ヴォルフは、メーリケ歌曲集やアイヒェンドルフ歌曲集といった作品集で知られる歌曲作家です。アマチュア音楽家の父親からピアノの手ほどきを受け、ピアノの腕前には相当自信を持っていたようですが、ウィーン音楽院に入学するも、勉学に身を入れず、ふざけて院長宛に脅迫状を送りつけて退学処分になっています。退学後は、ピアノ教師をしながら作曲活動をし、なんとか生活していたものの、彼は常に貧しかったといわれています。
音楽的立場としては、リヒャルト・ヴァーグナーの音楽への心酔と、ヨハネス・ブラームスの「対位法を勉強したまえ」という自分の作品への助言を批判と受け取ったことから、アンチ・ブラームスとして、ブラームスとその取り巻きたちを攻撃し、ヴァーグナーやカール・レーヴェの音楽を賛美し続けました。
ヴァーグナーの信奉者だったヴォルフは、1882年にはヴァーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》と《ヴァルキューレ》のパラフレーズを作り、ヴァーグナーへの恭順を示しましたが、本CDでは《ヴァルキューレ》のほうが演奏されています。
このパラフレーズは、ヴェルズングの英雄の動機→ジークリンデの動機→ヴェルズングの苦難の動機→春の愛の歌の動機→ヴェルズングの愛の動機→愛の逃亡の動機→ヴォータンの怒りの動機→ワルキューレの動機→まどろみの動機→契約の動機→魔の炎の動機→ジークフリートの動機という風に、《ワルキューレ》の主要モチーフを巧みにつなぎ合わせることで、《ヴァルキューレ》のピアノによる概便となっています。オペラをなかなか聴けない人にもヴァーグナーの音楽に触れてもらおうという熱意がひしひしと感じられる力作です。
鷲見加寿子(Kazuko Sumi)は、ヘルムート・ロロフ門下のピアニストで、現在東京音楽大学の教授を務めている人です。シューマンの作品にせよ、ヴォルフの作品にせよ、18世紀までの形式的な枠組みにかまわず、自分の信じるところを率直に書き付けていった作品ですが、鷲見のピアノは、そうした感情の奔流に飲み込まれることなく、適度な距離感を保って作品の輪郭を明快に描き出しているように思います。かといって、傍観者的な冷たい演奏に終始するのではなく、シューマンの訴えやヴォルフの饒舌さをしっかりと受け止めながら、それぞれの音の連なりを適切に整理していくような清潔さがあります。
ドロドロした情念を未整理のまま提示するのではなく、風通しを良くして聴き手に提供しようとしているところに、このピアニストの意匠を垣間見ることができると思います。
ただ、ヴォルフのパラフレーズは、さすがに苦戦しておられる様子。
シューマンの作品のほうは、1835年に作られた作品です。この作品が作られた翌年には生涯の伴侶となるクララに求婚しているので、クララへの恋慕の情と不安が入り混じっていると指摘されます。事実、この曲はクララに「貴女への心の叫び」として献呈され、1837年にクララによって初演されました。
ヴォルフは、メーリケ歌曲集やアイヒェンドルフ歌曲集といった作品集で知られる歌曲作家です。アマチュア音楽家の父親からピアノの手ほどきを受け、ピアノの腕前には相当自信を持っていたようですが、ウィーン音楽院に入学するも、勉学に身を入れず、ふざけて院長宛に脅迫状を送りつけて退学処分になっています。退学後は、ピアノ教師をしながら作曲活動をし、なんとか生活していたものの、彼は常に貧しかったといわれています。
音楽的立場としては、リヒャルト・ヴァーグナーの音楽への心酔と、ヨハネス・ブラームスの「対位法を勉強したまえ」という自分の作品への助言を批判と受け取ったことから、アンチ・ブラームスとして、ブラームスとその取り巻きたちを攻撃し、ヴァーグナーやカール・レーヴェの音楽を賛美し続けました。
ヴァーグナーの信奉者だったヴォルフは、1882年にはヴァーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》と《ヴァルキューレ》のパラフレーズを作り、ヴァーグナーへの恭順を示しましたが、本CDでは《ヴァルキューレ》のほうが演奏されています。
このパラフレーズは、ヴェルズングの英雄の動機→ジークリンデの動機→ヴェルズングの苦難の動機→春の愛の歌の動機→ヴェルズングの愛の動機→愛の逃亡の動機→ヴォータンの怒りの動機→ワルキューレの動機→まどろみの動機→契約の動機→魔の炎の動機→ジークフリートの動機という風に、《ワルキューレ》の主要モチーフを巧みにつなぎ合わせることで、《ヴァルキューレ》のピアノによる概便となっています。オペラをなかなか聴けない人にもヴァーグナーの音楽に触れてもらおうという熱意がひしひしと感じられる力作です。
鷲見加寿子(Kazuko Sumi)は、ヘルムート・ロロフ門下のピアニストで、現在東京音楽大学の教授を務めている人です。シューマンの作品にせよ、ヴォルフの作品にせよ、18世紀までの形式的な枠組みにかまわず、自分の信じるところを率直に書き付けていった作品ですが、鷲見のピアノは、そうした感情の奔流に飲み込まれることなく、適度な距離感を保って作品の輪郭を明快に描き出しているように思います。かといって、傍観者的な冷たい演奏に終始するのではなく、シューマンの訴えやヴォルフの饒舌さをしっかりと受け止めながら、それぞれの音の連なりを適切に整理していくような清潔さがあります。
ドロドロした情念を未整理のまま提示するのではなく、風通しを良くして聴き手に提供しようとしているところに、このピアニストの意匠を垣間見ることができると思います。
ただ、ヴォルフのパラフレーズは、さすがに苦戦しておられる様子。
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