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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Nikolai Rimsky-Korsakov: Scheherazade, Symphonic Suite, op.35
Norman Carol (Vn)
The Philadelphia Orchestra / Eugene Ormandy
(Rec. 21 & 29 February 1972, Scottish Rite Cathedral, Philadelphia)
◈Alexander Borodin (arr. Malcolm Sargent): Nocturne from String Quartet No.2
The Philadelphia Orchestra / Eugene Ormandy
(Rec. 6 February 1972, Scottish Rite Cathedral, Philadelphia)
◈Alexander Borodin (arr. Nikolai Rimsky-Korsakov & Alexander Glazunov): Polovetsian Dances from "Prince Igor"
Chorus
The Philadelphia Orchestra / Eugene Ormandy
(Rec. 13 january 1971, Scottish Rite Cathedral, Philadelphia)



19世紀のロシアには、五人組という作曲サークルがありました。メンバーは、ミリー・バラキレフ,ツェーザリ・キュイ,モデスト・ムソルグスキー、そしてニコライ・リムスキー=コルサコフ(Nikolai Rimsky-Korsakov, 1841-1908)と、アレクサンデル・ボロディン(Alexander Borodin, 1833-1887)です。バラキレフは本職のピアニストでしたが、キュイとムソルグスキーは陸軍の軍人、リムスキー=コルサコフも、このサークルに加わったときは海軍の軍人でした。
ボロディンは医科大学の先生で、化学者としても業績を残した人です。
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーも、この五人組と繋がりを持っていましたが、チャイコフスキーは、彼らがことあるごとに自分たちがアマチュアであることを強調するのに辟易としていたそうです。

この作曲サークルの中で、作曲家として一番の稼ぎ頭になったのは、リムスキー=コルサコフです。1873年に海軍を退役するものの、1871年にペテルブルク音楽院の作曲科の教授に任命され、せっせと作曲修行に明け暮れています。1888年に、本CDに収録されている交響組曲《シェエラザード》を発表した頃には、ロシアを代表するオーケストレーションの大家と見做されるようになっていました。

「シェエラザード」とは、中世イスラムの物語集『千夜一夜物語』の語り部であるシェヘラザード(シャハラザード)妃のこと。
この物語は、シャリアール王が妻の不貞を目撃して妻を殺し、女性不信になったところから始まる物語で、シャリアール王は、その後妻を娶っては初夜の日に迎えた妻を殺すということを繰り返します。それを止めるために、大臣の娘のシェヘラザードが王の許に嫁ぎ、毎晩面白い話をして王様の気を紛らわせます。王様はその話に聞き入り、シェヘラザードを殺す日を一日、また一日と伸ばし、ついには殺すのを止めてしまうのでした。
そのシェヘラザードのお話をまとめたものが『千夜一夜物語』であり、リムスキー=コルサコフは、その『千夜一夜物語』の情景を音楽にしました。
曲は4つの曲からなり、それぞれに〈海とシンドバットの船〉、〈カランダール王子の物語〉、〈若い王子と王女〉、〈バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲〉という題名がつけられていますが、リムスキー=コルサコフは、初演のときにこれらの表題をはずし、音楽に集中してもらおうとしたとのことです。
独奏ヴァイオリンは、第一曲目の冒頭に出てくるユニゾンの主題はシャリアール王のテーマで、ハープを伴った独奏ヴァイオリンがシェヘラザード妃のテーマとなります。独奏ヴァイオリンはたびたび登場し、この曲の語り部としての役割を果たしています。

ボロディンは先に述べたように、医科大学の教授で、有機化学の専門家であり、今日ではハロゲン化アルキルの合成法の別名としてその名を残しています。また、ボロディンは女子医科大学の創設にも尽力したことでも知られていますが、彼の作った女子医科大学は、ボロディンの死後潰されてしまったのだとか。化学の研究と大学運営で手一杯だったため、ボロディンはなかなか作曲の時間が取れず、懸案だった歌劇《イーゴリ公》や3番目の交響曲などを完成させることなく、大動脈瘤の破裂で急死しています。
彼の遺した作品は、それほど多くありませんが、どれも名品の呼び声が高く、《イーゴリ公》の〈ダッタン人の踊り〉はボロディンの名刺代わりとしてロシア名曲集のCDにはよくノミネートされています。
本CDでは、その《イーゴリ公》〈ダッタン人の踊り〉と、ボロディンが奥さんのために作った弦楽四重奏曲第2番の第2楽章〈ノクターン〉が演奏されています。
〈ダッタン人の踊り〉のほうは、リムスキー=コルサコフと、リムスキー=コルサコフの弟子でボロディンの友人だったアレクサンドル・グラズノフ(Alexander Glazunov, 1965-1936)が手を加えているとのこと。
〈ノクターン〉のほうは、イギリスの指揮者であるマルコム・サージェント(Malcolm Sargent, 1895-1967)が弦楽合奏用に編曲しています。

本CDでは、ハンガリー出身の指揮者であるユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy, 1899-1985)率いるフィラデルフィア管弦楽団が演奏しています。
オーマンディはヴァイオリニスト出身だったため、弦楽器の扱いに優れ、弦楽器を徹底的に磨きぬいた独自のサウンドで知られ、そのサウンドは「フィラデルフィア・サウンド」と呼ばれていました。しかし、このサウンドは弦楽器は強力だけれども管打楽器が弱体だということを意味するものではありません。
《シェエラザード》でヴァイオリン独奏を務めるノーマン・キャロル(Norman Carol, 1928-)は、エフレム・ジンバリスト門下のヴァイオリニストで、長らくフィラデルフィア管弦楽団のコンサート・マスターを務めた名手。細めの音色ですが、どこか妖艶な感じのソロで、なるほどオーマンディの華麗なサウンドのまとめ役だけあってしっかりとした存在感を示しています。
オーケストラを自由自在に操った《シェエラザード》もさることながら、ボロディンの〈ノクターン〉における重厚なストリング・サウンドや、〈ダッタン人の踊り〉におけるカラフルなサウンドは、聴く者の心をときめかせる魅力があります。

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