1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Johann Sebastian Bach: Das Wohltemperierte Clavier, Teil2, BWV870-893
Ralph Kirkpatrick (Clavichord)
(Rec. May & June 1967, Studio "Windrose" Hamburg)
ラルフ・カークパトリック(Ralph Kirkpatrick, 1911-1984)によるヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の平均律クラヴィーア曲集、第2巻の全曲録音。
第1巻が1959年にパリで録音され、彼の師匠であるアーノルド・ドルメッチ作のクラヴィコードを使っていたのに対し、第2巻は1967年にハンブルクで録音され、ジョン・チャリス作のクラヴィコードを使って録音が成されています。
第1巻と第2巻の間には、録音年に8年もの隔たりがあるわけですが、カークパトリックは、1963年と1965年にモダン・チェンバロで両曲集の全曲録音を果たし、この平均律クラヴィーア曲集の演奏について切磋琢磨していたことが伺えます。
クラヴィコードでの録音に弾みをつけて立て続けに録音してしまうのではなく、慎重に楽器を選び直して録音するあたりに、カークパトリックのクラヴィコードでの演奏にかける意気込みを感じさせます。
J.S.バッハのこの曲集は、24の調による前奏曲とフーガという曲の配列構造が全く第1巻と同じであるため、第1巻の二番煎じだと思われがちです。
しかし、J.S.バッハ自身は、この前奏曲とフーガの曲集を編纂するに当たって、この曲集が第2集だと見做していたわけではないらしく、自筆原稿に「第2集」の表記はありません。
また、曲の成立過程についても、この第1巻と第2巻には相違があります。
第1巻は1722年ごろに長男の学習用にあつらえた作品で、長男のための小曲集で書かれた曲が再利用されています。長男のために曲を書いていくうちに、構想が膨らみ、自分が作り置きしていたフーガや前奏曲をかき集めて24の前奏曲とフーガとして構成し直し、長男の学習教材にしたのが、第1巻の成立の顛末と見られています。
第2巻は、1738年ごろから編纂され、1742年ごろに成立した作品ですが、こちらは長男の学習用という目的から離れ、自分にとってこれはとおもう前奏曲やフーガを編曲し直して、24の調をめぐる前奏曲とフーガの曲集として纏められた作品です。
したがって、長男の腕前を想定するという制約から解き放たれ、音楽的にも、第1巻より密度の濃い作品に仕上がっています。
特に変ロ短調の前奏曲など、曲が進むにつれて音の厚みが増し、長男の練習曲として想定して編纂していれば組み込めなかった壮大な難曲です。
こうしたスケールの大きな曲集には、音の小さなクラヴィコードでは適切ではないと思われるかもしれませんが、カークパトリックの演奏は、そうした予測を見事に裏切り、密やかな音色の中に微妙なニュアンスを加え、彫りの深い表現を実現しています。
また、自分で調律を工夫し、音色に変化を持たせることで、失われがちな対位法の横の繋がりを見事に表現し、各種フーガでも説得力のある演奏を展開しています。
音楽のスケールの大きさが、音の大きさや華やかさに必ずしも依存するものではないことをしっかり教えてくれる演奏だといえるでしょう。
第1巻が1959年にパリで録音され、彼の師匠であるアーノルド・ドルメッチ作のクラヴィコードを使っていたのに対し、第2巻は1967年にハンブルクで録音され、ジョン・チャリス作のクラヴィコードを使って録音が成されています。
第1巻と第2巻の間には、録音年に8年もの隔たりがあるわけですが、カークパトリックは、1963年と1965年にモダン・チェンバロで両曲集の全曲録音を果たし、この平均律クラヴィーア曲集の演奏について切磋琢磨していたことが伺えます。
クラヴィコードでの録音に弾みをつけて立て続けに録音してしまうのではなく、慎重に楽器を選び直して録音するあたりに、カークパトリックのクラヴィコードでの演奏にかける意気込みを感じさせます。
J.S.バッハのこの曲集は、24の調による前奏曲とフーガという曲の配列構造が全く第1巻と同じであるため、第1巻の二番煎じだと思われがちです。
しかし、J.S.バッハ自身は、この前奏曲とフーガの曲集を編纂するに当たって、この曲集が第2集だと見做していたわけではないらしく、自筆原稿に「第2集」の表記はありません。
また、曲の成立過程についても、この第1巻と第2巻には相違があります。
第1巻は1722年ごろに長男の学習用にあつらえた作品で、長男のための小曲集で書かれた曲が再利用されています。長男のために曲を書いていくうちに、構想が膨らみ、自分が作り置きしていたフーガや前奏曲をかき集めて24の前奏曲とフーガとして構成し直し、長男の学習教材にしたのが、第1巻の成立の顛末と見られています。
第2巻は、1738年ごろから編纂され、1742年ごろに成立した作品ですが、こちらは長男の学習用という目的から離れ、自分にとってこれはとおもう前奏曲やフーガを編曲し直して、24の調をめぐる前奏曲とフーガの曲集として纏められた作品です。
したがって、長男の腕前を想定するという制約から解き放たれ、音楽的にも、第1巻より密度の濃い作品に仕上がっています。
特に変ロ短調の前奏曲など、曲が進むにつれて音の厚みが増し、長男の練習曲として想定して編纂していれば組み込めなかった壮大な難曲です。
こうしたスケールの大きな曲集には、音の小さなクラヴィコードでは適切ではないと思われるかもしれませんが、カークパトリックの演奏は、そうした予測を見事に裏切り、密やかな音色の中に微妙なニュアンスを加え、彫りの深い表現を実現しています。
また、自分で調律を工夫し、音色に変化を持たせることで、失われがちな対位法の横の繋がりを見事に表現し、各種フーガでも説得力のある演奏を展開しています。
音楽のスケールの大きさが、音の大きさや華やかさに必ずしも依存するものではないことをしっかり教えてくれる演奏だといえるでしょう。
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