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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Joseph Haydn: String Quartet No.63 in D major, op.64-5 "Lerchen"
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. October 1928)
◈Wolfgang Amadeus Mozart: String Quartet No.19 in C major, K465 "Dissonanzen"
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 11 October 1928)
◈Ludwig van Beethoven: String Quartet No.5 in A major, op.18-5
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. October 1928)

CD2:
◈Ludwig van Beethoven: String Quartet No.7 in F major, op.59-1 "Rasumowsky"
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 14-15 June 1928)
◈Ludwig van Beethoven: String Quartet No.10 in E flat major, op.74 "Harp"
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 21-22 June 1928)

CD3:
◈Ludwig van Beethoven: String Quartet No.14 in C sharp minor, op.131
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 5-8 October 1928)
◈Ludwig van Beethoven: String Quartet No.15 in A minor, op.132
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 8-10 October)

CD4:
◈Franz Schubert: String Quartet No.14 in D minor D810 "Tod und das Mädchen"
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 19-21 June 1928)
◈Robert Schumann: String Quartet No.1 in A minor, op.41-1
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 3 October 1928)

CD5:
◈Claude Debussy: String Quartet in G minor
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec.12 June 1928)
◈Maurice Ravel: String Quartet in F major
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 15-19 June 1928)

CD6:
◈César Franck: Piano Quintet in F minor
Marcel Ciampi (Pf)
Capet String Quartet
{Lucien Capet (1st Vn), Maurice Hewitt (2nd Vn),
Henri Benoît (Vla), Camille Delobelle (Vc)}
(Rec. 10 October 1928)



本CD集は、「カペー弦楽四重奏団の芸術」と題し、カペー弦楽四重奏団の全録音を俯瞰しています。
演目は以下の通り。

ヨーゼフ・ハイドン:弦楽四重奏曲 第63番 ニ長調 《ひばり》
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:弦楽四重奏曲 第19番 ハ長調 《不協和音》
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第5番 イ長調
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 《ラズモフスキー第1番》
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 《ハープ》
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第15番 イ短調
フランツ・シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 《死と乙女》
ロベルト・シューマン:弦楽四重奏曲 第1番 イ短調
クロード・ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調
モーリス・ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
セザール・フランク:ピアノ五重奏曲 ヘ短調

彼らの録音した弦楽四重奏曲を作曲された順に配列し、最後にマルセル・シャンピ(Marcel Ciampi, 1891-1980)と共演したフランク(César Franck, 1822-1890)のピアノ五重奏曲を配置しています。
シャンピは、後年ジャン=マルク・ルイサダらを育て、パリ音楽院の名教師として知られることになりますが、録音当時は、売り出し中の若手ピアニストの一人でした。

とりあえず、カペー弦楽四重奏団のトリビュートCD集なので、カペー弦楽四重奏団とはどういう団体かということについて、書き出してみようと思います。

カペー弦楽四重奏団の主催者、リュシアン・カペー(Lucien Capet, 1873-1928)は、パリ音楽院でジャン=ピエール・モーランに師事したヴァイオリニストで、イヴァン・ガラミアンやガブリエル・ブイヨンといった名教師を育成したことでも知られる人でした。
カペーの師匠のモーランは、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)の弦楽四重奏曲の普及に尽力した人で、本CD集のベートーヴェンの弦楽四重奏曲において、モーランから受け継いだ弦楽四重奏の真髄を味わうことができます。
カペーは、ソリストとしても卓越した技巧の持ち主として知られていましたが、師匠の影響からか、室内楽での演奏を好み、1893年にアンリ&マルセルのカサドシュ兄弟らとカペー弦楽四重奏団を旗揚げしてからは、主に室内楽の分野に没頭していました。

カペー弦楽四重奏団は、1893年の結成から、何度かメンバー・チェンジを行っています。
最初のメンバーは、第2ヴァイオリンにジロンと名乗る人が座り、ヴィオラをアンリ・カサドシュ、チェロをマルセル・カサドシュが受け持っていました。このアンリ・カサドシュは、かのロベール・カサドシュの叔父さんに当たる人たちで、作曲家としても、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルのヴィオラ協奏曲の贋作を作ったり、ヨハン・クリスティアン・バッハの贋作ヴィオラ協奏曲を作ったりしていました。
カペーは、1899年にカルテットの活動を中断し、1903年まで自己研鑽を重ねています。
活動再開後は、第2ヴァイオリンの座席に、カペーの弟子であるアンドレ・トゥーレが座るようになり、ヴィオラはルイ・バイイに変わります。チェロも、ルイ・アッセルマンになりますが、アッセルマンはパリのコミック座の指揮者としても活躍し、なかなか多才な人だったようです。
1910年になると、トゥーレの座っていた席にモーリス・エヴィットが座り、カペーが亡くなるまで、この第2ヴァイオリンの座は不動のものとなりました。また、バイイの代わりにアンリ・カサドシュがヴィオラの座に返り咲き、多忙なアッセルマンの代わりにマルセル・カサドシュがチェロのパートを再び受け持つようになりました。
しかし、1914年にマルセル・カサドシュが第一世界大戦に従軍して戦死し、アンリ・カサドシュもカペー弦楽四重奏団から離脱。この空席を埋めたのが、アンリ・ベノワとカミーユ・ドゥロベールで、この二人の加入で、カペー弦楽四重奏団のメンバーは固定されることになりました。
以上のメンバー・チェンジを分かりやすく纏めると、以下のようになります。

・1st Violin
Lucien Capet

・2nd Violin
Giron -> André Touret -> Maurice Hewitt

・Viola
Henri Casadesus -> Louis Bailly -> Henri Casadesus -> Henri Benoît

・Cello
Marcel Casadesus -> Louis Hasselmans -> Marcel Casadesus -> Camille Delobelle


1928年に突如カペーは、コロンビア社に、このCD集に集められている一連の録音をしますが、この録音日程が終了したほぼ二ヵ月後に腹膜炎で急逝してしまいました。伝え聞くところによると、彼の死因となった腹膜炎は、医者の誤診によって引き起こされたものだそうです。もう少し長生きできていれば、カペー弦楽四重奏団の録音がもっと増え、より多くの至芸に触れられたかもしれません。

カペーの死後、カペー弦楽四重奏団は、第2ヴァイオリンのモーリス・エヴィットが第1ヴァイオリンの席に座り、アルベール・ロカテッリを第2ヴァイオリンの席に新たに迎えることで、「エヴィット弦楽四重奏団」と名前を変えて活動を継続します。しかし、1939年にエヴィットが自前の室内オーケストラを作ることになり、カペーの弟子のブイヨンに第1ヴァイオリンの座を譲ることになり、「ブイヨン弦楽四重奏団」として、活動していくことになりました。

閑話休題。
演奏については、ハイドン(Joseph Haydn, 1732-1809)の《ひばり》が、カペーの磨きぬかれたヴァイオリンの至芸を存分に味わえる名品で、その格調く飛翔するようなカペーの至芸と第2ヴァイオリン以下の3人の整然としたアンサンブルのコントラストが大変面白い演奏です。
モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)の弦楽四重奏曲は、現代の弦楽四重奏の演奏傾向と照らし合わせると、第二楽章がやや甘美に過ぎますが、カペーのライバル団体だったレナー弦楽四重奏団の演奏傾向と比べると、かなり音楽を客観化して捉えようとする姿勢が出ているように感じられます。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲については、後期の作品に行けば行くほど峻厳な演奏となり、アンサンブルも磨かれていくのが特徴的です。第5番の弦楽四重奏曲では、やや響きが開放的で、散漫になりがちな傾向がありますが、中期の作品ではアンサンブルの凝集度が増してきます。
シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)とシューマン(Robert Schumann, 1810-1856)の弦楽四重奏曲は、過多になりがちなドロドロした情念をそぎ落としたスタイリッシュな演奏。これら曲の脂身が好きな人には、少々素っ気無い演奏ですが、曲のフォルムをしっかり見据えた、なかなかの演奏であります。
ドビュッシー(Claude Debussy, 1862-1918)とラヴェル(Maurice Ravel, 1875-1937)の弦楽四重奏曲は、カペー弦楽四重奏団にとっては、いわゆる同時代の音楽ですが、ドビュッシーの弦楽四重奏曲からは官能性をあぶり出し、ラヴェルの弦楽四重奏曲からは思い切りよく情熱を引き出しています。雰囲気に逃げない、しっかりと手ごたえのある演奏です。
シャンピと共演したフランク(César Franck, 1822-1890)は、シャンピのピアノを触媒にして、この曲に秘められたドロドロとした情念を引きずり出した容赦ない演奏です。しかもドロドロとした情念を引き出すだけでなく、それを戒めるかのような厳しい表情も見られます。

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