1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Jean Barraqué: Sonata pour Piano
Herbert Henck (Pf)
(Rec. July 1996, Festeburgkirche, Frankfurt am Main)
ジャン・バラケ(Jean Barraqué, 1928-1973)は、フランスの作曲家で、ジャン・ラングレに和声と対位法を、オリヴィエ・メシアンに作曲法を学んだ人です。ドビュッシーの作品のアナリーゼでも知られる学究肌の人で、非常にストイックな作曲姿勢をとったため、残された作品は10にも満たないほどです。
バラケは、メシアンの影響で、セリー技法(音列技法)に手を染めた人ですが、1952年に発表された、本CD収録のソナタは、セリー技法を駆使して作った、バラケの処女作です。
セリー技法というのは、アルノルト・シェーンベルクの十二音技法を発展させて生まれた作曲技法です。
シェーンベルクは、1オクターヴを構成する、十二平均律のピアノ鍵盤の音を均等に使うという方法で調性感覚を音楽から取り除こうとしました。こうして12の音を満遍なく使う音列は、12の階乗出来上がることになりますが、こうした生まれた音列を、逆さから読んだり(逆行)、鏡に映したり(反行)、特定の音の高さに全音列を平行移動させたり(移行)といった方法で展開し、こうして出来た音列を組み合わせたり、重ね合わせたりしながら、作曲する方法を、十二音音楽として技法化しました。
しかし、十二音技法は、音の高さをパラメータにして数列化したものでしたが、ルネ・レイボヴィッツやオリヴィエ・メシアンなどは、そうしたパラメータだけでは作曲技法として行き詰ってしまうと考え、メシアンを中心に、音価(音の長さ)、音量や音色といったパラメータを付加することで、更なるバリエーションが可能になるような道を模索するようになりました。メシアンの音列技法への努力は、皇族の作曲家たちによってさらに拡張され、パラメータになりうるものをすべて数列化して統御するトータル・セリーにまで厳密化されました。
バラケは、こうしたセリー音楽の系譜に位置づけられる作曲家で、緻密な音列構成を武器に、ストイックに作曲活動に打ち込みました。
同じく、メシアン門下のピエール・ブーレーズは、バラケのことをかなり意識していて、バラケのソナタについては、自分のピアノ・ソナタの焼き直しでしかない旨の発言をして、バラケにむき出しの敵意を向けていました。実際、バラケのソナタには、ブーレーズのソナタ第2番の影響を指摘する声が少なくありません。
そのブーレーズは、後年さっさと音列技法に見切りをつけましたが、バラケのほうは音列技法にこだわり続けました。
ただ、バラケは事故にあったり、自宅と自筆譜を火災で失ったりと、不幸な目に会い、晩年は散々だったようです。心労を重ねたバラケは、最終的には毒をあおって自殺しています。
バラケのソナタは、メシアンの《音価と強度のモード》をさらに推し進めたような作品で、非常に難易度の高い作品として知られています。全部で2つの楽章からなりますが、楽章間の切れ目はなく、総演奏時間にして、およそ50分かかります。
演奏するヘルベルト・ヘンク(Herbert Henck, 1948-)は、アロイス&アルフォンス・コンタルスキーの兄弟の薫陶を受けたピアニストで、現代音楽のスペシャリストと目された人です。緻密に計算された複雑な音楽を、何の苦労もなく平らげてしまう腕前の高さは、実に見事です。
音の密集と拡散のコントラストをやすやすとこなしてしまうヘンクの演奏に、いちゃもんをつけるとすれば、人間の技の限界に挑戦するような切迫感に乏しいことがあげられるでしょう。
バラケは、メシアンの影響で、セリー技法(音列技法)に手を染めた人ですが、1952年に発表された、本CD収録のソナタは、セリー技法を駆使して作った、バラケの処女作です。
セリー技法というのは、アルノルト・シェーンベルクの十二音技法を発展させて生まれた作曲技法です。
シェーンベルクは、1オクターヴを構成する、十二平均律のピアノ鍵盤の音を均等に使うという方法で調性感覚を音楽から取り除こうとしました。こうして12の音を満遍なく使う音列は、12の階乗出来上がることになりますが、こうした生まれた音列を、逆さから読んだり(逆行)、鏡に映したり(反行)、特定の音の高さに全音列を平行移動させたり(移行)といった方法で展開し、こうして出来た音列を組み合わせたり、重ね合わせたりしながら、作曲する方法を、十二音音楽として技法化しました。
しかし、十二音技法は、音の高さをパラメータにして数列化したものでしたが、ルネ・レイボヴィッツやオリヴィエ・メシアンなどは、そうしたパラメータだけでは作曲技法として行き詰ってしまうと考え、メシアンを中心に、音価(音の長さ)、音量や音色といったパラメータを付加することで、更なるバリエーションが可能になるような道を模索するようになりました。メシアンの音列技法への努力は、皇族の作曲家たちによってさらに拡張され、パラメータになりうるものをすべて数列化して統御するトータル・セリーにまで厳密化されました。
バラケは、こうしたセリー音楽の系譜に位置づけられる作曲家で、緻密な音列構成を武器に、ストイックに作曲活動に打ち込みました。
同じく、メシアン門下のピエール・ブーレーズは、バラケのことをかなり意識していて、バラケのソナタについては、自分のピアノ・ソナタの焼き直しでしかない旨の発言をして、バラケにむき出しの敵意を向けていました。実際、バラケのソナタには、ブーレーズのソナタ第2番の影響を指摘する声が少なくありません。
そのブーレーズは、後年さっさと音列技法に見切りをつけましたが、バラケのほうは音列技法にこだわり続けました。
ただ、バラケは事故にあったり、自宅と自筆譜を火災で失ったりと、不幸な目に会い、晩年は散々だったようです。心労を重ねたバラケは、最終的には毒をあおって自殺しています。
バラケのソナタは、メシアンの《音価と強度のモード》をさらに推し進めたような作品で、非常に難易度の高い作品として知られています。全部で2つの楽章からなりますが、楽章間の切れ目はなく、総演奏時間にして、およそ50分かかります。
演奏するヘルベルト・ヘンク(Herbert Henck, 1948-)は、アロイス&アルフォンス・コンタルスキーの兄弟の薫陶を受けたピアニストで、現代音楽のスペシャリストと目された人です。緻密に計算された複雑な音楽を、何の苦労もなく平らげてしまう腕前の高さは、実に見事です。
音の密集と拡散のコントラストをやすやすとこなしてしまうヘンクの演奏に、いちゃもんをつけるとすれば、人間の技の限界に挑戦するような切迫感に乏しいことがあげられるでしょう。
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