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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Isaac Albeniz (arr. Enrique Fernandez Arbos): Iberia
◈Enrique Granados: Intermezzo from "Goyescas"
◈Maurice Ravel: Aborada del gracioso
Orchestre du Festival de Besançon / Gaston Poulet
(Rec. 1948)
◈Jean-Baptiste Lully: Overture & Danseries
Orchestre Féminin de Paris / Jane Evrard
(Rec. 1949)
◈François Couperin: Troisème Leçon de Ténèbres
Hugues Cuénod (T), Paul Derenne (T)
Chorale Yvonne Gouverne
Orchestre Féminin de Paris / Jane Evrard
Marcelle de Lacourt (Cemb), Marthe Bracquemont (Org)
(Rec. 1938, Paris)
◈Nicolas Dalayrac: Quartet No.3
Orchestre Féminin de Paris / Jane Evrard
(Rec. 1943 Paris)
◈Albert Roussel: Sinfonietta
Orchestre Féminin de Paris / Jane Evrard
(Rec. 1956, Paris)



ガストン・プーレ(Gaston Poulet, 1892-1974)はフランスの指揮者で、元々ヴァイオリニストとして活躍していた人です。彼の名前は、今をときめくヴァイオリニストとして活躍しているジェラール・プーレの父親として知られており、また、クロード・ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタの初演でヴァイオリンを弾いた人としても知られています。
1920年半ばでヴァイオリニストから指揮者に転身したプーレは、そこそこの録音を残していますが、その多くは今日では埋もれたままになっています。
本CDでは、ブザンソン音楽祭管弦楽団を指揮して、イサーク・アルベニス(Isaac Albeniz, 1860-1909)の《イベリア》、エンリケ・グラナドス(Enrique Granados, 1867-1916)の《ゴイェスカス》の間奏曲、モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel, 1875-1937)の《道化師の朝の歌》を演奏しています。

アルベニスの《イベリア》は、元々4巻からなるピアノ組曲でしたが、スペインの作曲家であるエンリケ・フェルナンデス・アルボス(Enrique Fernandez Arbos, 1863-1939)がそれらの組曲から適宜選び出してオーケストレーションを施し、管弦楽用組曲として誂え直しました。本CDでは、アルボスの名前は表記されていませんが、おそらくはアルボスの編曲と思われます。

《ゴイェスカス》は、グラナドスが作ったオペラで、同名のピアノ曲とも関係の深い作品です。
グラナドスが死の年に完成したオペラでしたが、グラナドスはこの曲を書き上げて病死したわけではありませんでした。
メトロポリタン歌劇場で、このオペラを初演した帰りに、乗った船がドイツ軍の潜水艦に襲われ、グラナドスはそのまま帰らぬ人となってしまったのでした。
ここでは、そのオペラの中から間奏曲が選ばれて演奏されていますが、プーレの指揮するブザンソン音楽祭のオーケストラは、アルベニスの作品に比べて、やや乗り気が薄いように思えます。

ラヴェルの《道化師の朝の歌》は、元々《鏡》というピアノ組曲の一曲でしたが、1918年にオーケストレーションを施して、オーケストラのレパートリーとして定着した曲です。「道化師」というのは、サーカスのピエロのことではなく、宮廷の道化師のことではないかと思われます。
宮廷の道化師は、主の行動を茶化すことの許される人で、無礼を働いても大概許されるという特権がありました。そんな道化師が、女の子たちと遊んで上機嫌で朝帰りするときの鼻歌だと捉えれば、この曲の奔放なメロディ・ラインが面白く聴けるものと思います。
また、原語のgraciosoには「伊達男」という意味もあるので、女たらしの朝帰りの歌として捉えてもいいかもしれません。
プーレの演奏は、アンサンブルがやや弱いので、曲のダイナミックさの点で物足りなさが残りますが、それでも十分色気のある演奏に仕上がっています。

本CDの後半部分は、ジャーヌ・エヴラール(Jane Evrard, 1893-1984)指揮するパリ女性管弦楽団の演奏が収録されています。
エヴラールは、プーレの奥さんで、彼女も夫と同門のヴァイオリニストでした。彼女は1917年ごろから自前の合奏団を組織し、1930年ごろから指揮者に転向したようです。
女性の指揮者というのは、最近でこそ増えてきているものの、この時代の女流指揮者といえば、フェリックス・ヴァインガルトナー門下でヴァインガルトナー夫人のカルメン・テューダーとか、アメリカ初の女性指揮者のアントニア・ブリコとかを挙げれば事足りてしまう状況であり、エヴラールの存在もまた、指揮者業界における女性進出の嚆矢としての位置づけが可能なのかもしれません。

演奏している曲目は、ジャン=バプティスト・リュリ(Jean-Baptiste Lully, 1632-1687)の序曲と舞曲のセット、フランソワ・クープラン(Jean-Baptiste Lully, 1668-1733)のルソン・ド・テネブレ第3番、ニコラス・ダレイラックことニコラ=マリー・ダレイラック(Nicolas-Marie d'Alayrac, 1753-1809)の四重奏曲第3番といった、バロック時代から古典派の時代の埋もれた作品が並んでいます。
クープランの作品では、イヴォンヌ・ゴヴェルヌ合唱団、テノール歌手のユーグ・キュエノー(Hugues Cuénod, 1902-)とポール・ドレンヌ(Paul Derenne)、チェンバロのマルセル・ド・ラクール(Marcelle de Lacourt, 1896-1997)、オルガンのマルス・ブラックモン(Marthe Bracquemont)の名前がクレジットされています。
ゆったりとしたリズムでしっとりと歌わせるところに、演奏された時代の香りを感じさせます。
特にクープランのルソン・ド・テネブレは、大所帯の演奏で、エヴラールもアンサンブルをまとめるのに四苦八苦している様子。
リュリやダレイラックの作品は中々の出来栄えで、特にダレイラックの作品は、元々弦楽四重奏のための作品だからなのか、エヴラールの指揮もきびきびとしています。

最後に収録されたアルベール・ルーセル(Albert Roussel, 1869-1937)のシンフォニエッタは、ラジオのエアチェック音源のようで、多少混線が認められますが、音質は上々です。演奏に関しては、曲の要求するリズム感の強烈さがやや抑えられているような感じがします。ルーセルの音楽としては、もう少しパリッとした潔さが必要かと思いました。

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