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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Jean Sibelius: Violin Concerto in D minor, op.47
◈Manuel Ponce: Violin Concerto
Henryk Szeryng (Vn)
Orchestre de l'Association des Concerts Colonne / Ernest Bour
(Rec. 1951)



ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng, 1918-1988)は、パリ音楽院でガブリエル・ブイヨンに学んだヴァイオリニストです。なお、師匠のブイヨンは、リシュアン・カペーの門下として知られた人でした。一方で、ブロニスワフ・フーベルマンやジャック・ティボーらにもその才能を認められていました。
シェリングは、音楽だけでなく、語学や人類学など、さまざまな学問を修得した教養人でもあり、戦時中はヴワディスワフ・シコルスキの率いる亡命ポーランド政府の外交官として活動していた時期があります。
祖国ポーランドの人々が第二次世界大戦で難民になった際には、メキシコに移住するよう手を尽くしましたがが、それが縁となってメキシコ国籍を取得し、メキシコの音楽教育に力を注ぐことになりました。

戦後はメキシコを中心に活躍していたシェリングでしたが、しばしばパリにも訪れていて、多少ならぬ録音を残しています。
本CDは、1951年にエルネスト・ブール(Ernest Bour, 1913-2001)の指揮するコロンヌ管弦楽団と共演してオデオン・レーベルに録音した、ジャン・シベリウス(Jean Sibelius, 1865-1957)とマヌエル・ポンセ(Manuel Ponce, 1882-1948)のヴァイオリン協奏曲の2曲を収録しています。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、ペーター・リバールが演奏したCDの紹介で言及しているように、紆余曲折を経て作られた作品ですが、元々ヴァイオリニスト志望だったシベリウスの技術の粋を集めており、弾き応えのある作品として、多くのヴァイオリニストのレパートリーになっています。
急-緩-急の三楽章構成で、第1楽章に大きな比重が置かれていますが、この第1楽章はソナタ形式をとりながら、本来楽章の後半に置かれるべきカデンツァを、ソナタ形式の展開部にあたる個所に配置し、カデンツァを頂点とする巨峰のような威容を湛えています。
第1楽章の完成度の高さゆえに、後の楽章の存在感が薄くなっていますが、第1楽章の厳粛さを引き継いだ第2楽章の静謐さや、躍動感あふれる第3楽章の独奏ヴァイオリンのヴィルトゥオジティなど、しっかりと内容が盛り込まれています。

ポンセは、パリ音楽院でポール・デュカスに学んだメキシコの作曲家です。代表作は、歌曲の《エストレリータ》で、様々な楽器用に編曲されて演奏されています。
ポンセの業績として、メキシコの音楽界の近代化に寄与した点が挙げられますが、第二次世界大戦中にはシェリングと知り合い、メキシコ・シティの大学に音楽学部を立ち上げ、シェリングに弦楽器科の教授になるよう打診しています。
ポンセとシェリングの交流の深さは、本CDに収録されたヴァイオリン協奏曲がシェリングに献呈されたという事実からも見て取れると思います。
1943年に完成したこの作品は、ポンセが手掛けた最後の大作となりましたが、奇を衒わない、堂々とした作風で、南米産のヴァイオリン協奏曲の代表作に数えられています。
曲の内容は、シベリウスのそれと同じく急-緩-急のセオリーに従っていますが、シベリウスが第1楽章にウェイトをかけていたのに対し、ポンセのそれは第2楽章にメロディ・メーカーとしてのポンセの真髄を示しています。

ブールの指揮するコロンヌ管弦楽団の伴奏は、コロンヌ管弦楽団のやや気分的なアンサンブルがシベリウスのヴァイオリン協奏曲ではシェリングの足を引っ張る結果になっていますが、第3楽章の野性的な風味はよく出せていると思います。シェリングのヴァイオリンも、後年の講義を思わせるような演奏ぶりとは違い、音楽的なノリに素直に従った演奏になっています。北欧フィンランドの凍てつく空気感を感じとることはちょっと難しいですが、表現意欲の高さで音楽を牽引していく演奏スタイルは魅力的です。

ポンセの作品では、コロンヌ管弦楽団の粗めのアンサンブルが功を奏し、湧き立つような演奏に仕上がっています。ブールも随所でオーケストラを引き締めているので、散漫な印象に陥ることがありません。シェリングは、端正なソロを弾こうとはしているものの、オーケストラのテンペラメントに押されて、ところどころで思い切りのよい演奏を披露しています。こうした雑味の中に、シェリングの演奏家としての本音があるのだと思いますが、こうした本音の部分は、後年になるに従って段々と表に出なくなり、本心のわからない演奏になってしまいます。

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