1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Peter Ilich Tchaikovsky: Symphony No.6 in B minor, op.74 "Pathétique"
Zagreb Philharmonic Orchestra / 大野 和士
(Rec. 30May 1988, Opus studio, Bratislava)
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky, 1840-1893)の交響曲第6番は、チャイコフスキーが発表した最後の作品になります。というのも、ペテルブルグでの初演の9日後にあたる11月6日にチャイコフスキーが忽然と世を去ってしまったからです。チャイコフスキーの死因は、コレラと肺水腫の併発とのことですが、1970年代にアレクサンドラ・オルロヴァという旧ソ連の音楽学者が、貴族との同性愛が発覚したことによる、政治当局側からの自殺の強要があったのではないかとする説を提出し、物議を醸したこともあります。
作品自体は、暗欝な序奏を持つソナタ形式の第1楽章、4分の5拍子という不安定な拍節を持つ「ワルツ」の第2楽章、自暴自棄ともとれる諧謔的な第3楽章、何かを訴えかけてくるように悲歌的な第4楽章からなり、特に、緩徐楽章を思わせる音楽を第4楽章に据えている点に、チャイコフスキーの本作品のオリジナリティのひとつがあります。
チャイコフスキー自身にとっても、交響曲の伝統から足を踏み出した、まさにしてやったりな作品でした。
表題の「悲愴」(Pathétique)は、作曲家の実弟であるモデストによれば、初演後に作曲者と相談して決めたとのことですが、トスカニーニが演奏した録音に関するCDの記事でも書いたように、最近ではあまりモデストの証言は信頼されていないようです。
閑話休題。
本CDでは、大野和士(Kazushi Ōno, 1960-)が、ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮しています。
1988年の録音ということで、大野がザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任した、まさにその年の録音です。
そんなわけで、演奏は、大野とオーケストラの腹の探り合いで終わってしまった感があります。
木管セクションはなかなかの健闘ぶりを示しているものの、弦楽セクションの表情が硬いのと、金管セクションが一本調子なのとで、オーケストラの響きがギクシャクしています。
各セクションはそれぞれに自分のできる仕事をそつなくこなしてはいるものの、セクション間のブレンドがどうもうまくいっていないのかもしれません。
第1楽章冒頭のファゴットの陰鬱な出だしを弦楽セクションがうまく受けきれなかったり、第3楽章で金管セクションがでしゃばりすぎたりと、オーケストラの仕事の雑さが随所に見られます。
第4楽章もエモーショナルな表現が空回り気味で、オーケストラの表現力に課題を残しています。
ただ、大きなアンサンブルの瓦解はなく、音楽の流れに停滞感もないので、今後の活動次第で充実した演奏を聴かせるようになるのではないかという期待も持たせます。
大野は、このあと、8年間このオーケストラの首席指揮者を務め、ドイツのカールスルーエの歌劇場の音楽監督に転出し、ベルギー王立劇場の音楽監督を経て、フランスのリヨン歌劇場で活躍しています。
今の大野であれば、もっと彫りの深い《悲愴》を聴かせてくれると思いますが、さてどうでしょう?
作品自体は、暗欝な序奏を持つソナタ形式の第1楽章、4分の5拍子という不安定な拍節を持つ「ワルツ」の第2楽章、自暴自棄ともとれる諧謔的な第3楽章、何かを訴えかけてくるように悲歌的な第4楽章からなり、特に、緩徐楽章を思わせる音楽を第4楽章に据えている点に、チャイコフスキーの本作品のオリジナリティのひとつがあります。
チャイコフスキー自身にとっても、交響曲の伝統から足を踏み出した、まさにしてやったりな作品でした。
表題の「悲愴」(Pathétique)は、作曲家の実弟であるモデストによれば、初演後に作曲者と相談して決めたとのことですが、トスカニーニが演奏した録音に関するCDの記事でも書いたように、最近ではあまりモデストの証言は信頼されていないようです。
閑話休題。
本CDでは、大野和士(Kazushi Ōno, 1960-)が、ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮しています。
1988年の録音ということで、大野がザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任した、まさにその年の録音です。
そんなわけで、演奏は、大野とオーケストラの腹の探り合いで終わってしまった感があります。
木管セクションはなかなかの健闘ぶりを示しているものの、弦楽セクションの表情が硬いのと、金管セクションが一本調子なのとで、オーケストラの響きがギクシャクしています。
各セクションはそれぞれに自分のできる仕事をそつなくこなしてはいるものの、セクション間のブレンドがどうもうまくいっていないのかもしれません。
第1楽章冒頭のファゴットの陰鬱な出だしを弦楽セクションがうまく受けきれなかったり、第3楽章で金管セクションがでしゃばりすぎたりと、オーケストラの仕事の雑さが随所に見られます。
第4楽章もエモーショナルな表現が空回り気味で、オーケストラの表現力に課題を残しています。
ただ、大きなアンサンブルの瓦解はなく、音楽の流れに停滞感もないので、今後の活動次第で充実した演奏を聴かせるようになるのではないかという期待も持たせます。
大野は、このあと、8年間このオーケストラの首席指揮者を務め、ドイツのカールスルーエの歌劇場の音楽監督に転出し、ベルギー王立劇場の音楽監督を経て、フランスのリヨン歌劇場で活躍しています。
今の大野であれば、もっと彫りの深い《悲愴》を聴かせてくれると思いますが、さてどうでしょう?
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