1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈ | Symphony No.2 in D major, op.73 |
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Philharmonia Cassovia / Otakar Trhlik
(Rec. 9 March 1990, House of Arts, Kosice)
◈ | Johannes Brahms: Haydn Variation, op.56a |
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Philharmonia Cassovia / Johannes Wildner
(Rec. 14-15 November 1990, House of Arts, Kosice)
ドイツの作曲家、ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)の交響曲第2番と《ハイドンの主題による変奏曲》の2曲のカップリング。ブラームスに関しては、過去の<a href="../6/">記事</a>をご参照ください。
ブラームスの交響曲第2番は、1877年に作曲された四楽章構成の交響曲で、その年の12月30日にハンス・リヒターがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と初演しました。ブラームスは、作曲中に、クララ・シューマンに宛てて「あまりにも悲愴に響くから楽譜の装丁を黒縁にしたい」と書いたり、初演後に、「やっぱり喪章をつけて演奏しないといけません」などとジョークを飛ばしたりと、かなり上機嫌だったことが知られています。宿願だった交響曲第1番を成功作にし、作曲家としての名声を確立してしまったため、ブラームスにしてみれば、長年の重荷が下ろせて、開放的な気分を大いに満喫していたのでしょう。
しかし、だからといって作品が手抜きになるわけではなく、祝典的ムードの中にも、趣向を凝らした主題の縫いつけや、強固な構成感を持ち、第1番の交響曲に引けを取らない充実度を誇っています。
《ハイドンの主題による変奏曲》(1873年作)は、ウィーンの楽友協会の図書館の司書をしていた友人のカール・フェルディナント・パウルにフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作とされるディヴェルティメント(Hob.II-46)を閲覧させてもらい、そこに記されてあったコラール主題「聖アントニウス」を基に8つの変奏とパッサカリアから成るこの作品を書きました。ブラームスは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトやルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンと共にハイドンも大変尊敬しており、この曲を書くにあたって、ハイドンの交響曲の一部も切り取って引用し、ハイドンに敬意を示しました。
ブラームスは作曲するにあたって、まずピアノ2台用に作品を書き上げ、それをオーケストレーションして完成させました。そして、このオーケストラ版をop.56aとし、ピアノ二台用のものをop.56bとして出版しました。
ただ、今日では、ブラームスが参照した作品は、ハイドンの作品ではないのではないかという疑義が差し挟まれており、ブラームスが用いたコラールもハイドンのオリジナルではないことが明らかになっています。この事実からすれば、「聖アントニウスのコラールによる変奏曲」と呼称を訂正すべきですが、まず、ブラームスの生きていた頃は引用した作品がハイドンの作品と信じられていたこと、そしてブラームス自身がハイドンの作品の愛好家だったこと、そして「ハイドンの主題による変奏曲」という呼称が浸透していることから、現行の名称は大っぴらには改称されていません。
演奏については、どちらの曲も、コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団(日本では、しばしばスロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団として知られる)が演奏していますが、交響曲第2番のほうをオタカール・トゥルフリーク(Otakar Trhlík, 1922-2005)が、《ハイドンの主題による変奏曲》のほうを、ヨハネス・ヴィルトナー(Johannes Wildner, 1956-)が指揮しています。
トゥルフリークは、チェコの指揮者ですが、主に活動はチェコよりもスロヴァキアのほうを重点的に活躍していたようです。ヴァーツラフ・スメターチェクやカレル・アンチェルらと同じパヴェル・デデチェクの門下生で、ヴァーツラフ・ターリヒの薫陶も受けており、チェコやスロヴァキアでは指揮法の権威として知られた名指揮者でした。
ヴィルトナーはオーストリアの人です。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の団員である一方で、ウィーン交響楽団の団員達とヨハン・シュトラウス・アンサンブルを結成し、指揮者としても活動を行っている人です。
コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団は、まだブラームスの音楽の重厚さを表現するまでには至っていないものの、トゥルフリークの指揮の下で溌剌とした演奏を披露しています。トゥルフリークのリズム感がいいのか、音楽の流れが良く、ハキハキとした印象を受けます。また、響きのスケールを広げようとする野心もそこここに見え隠れしていて、オーケストラなりにブラームスの音楽を理解しようとしている意欲が感じられました。
ヴィルトナーの演奏するハイドン変奏曲も、管楽器がよく歌い、美しい演奏に仕上がっています。作品の立体的構造を浮かび上がらせる点では、やや彫りが浅いものの、この曲に親しむには申し分のない演奏です。
ブラームスの交響曲第2番は、1877年に作曲された四楽章構成の交響曲で、その年の12月30日にハンス・リヒターがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と初演しました。ブラームスは、作曲中に、クララ・シューマンに宛てて「あまりにも悲愴に響くから楽譜の装丁を黒縁にしたい」と書いたり、初演後に、「やっぱり喪章をつけて演奏しないといけません」などとジョークを飛ばしたりと、かなり上機嫌だったことが知られています。宿願だった交響曲第1番を成功作にし、作曲家としての名声を確立してしまったため、ブラームスにしてみれば、長年の重荷が下ろせて、開放的な気分を大いに満喫していたのでしょう。
しかし、だからといって作品が手抜きになるわけではなく、祝典的ムードの中にも、趣向を凝らした主題の縫いつけや、強固な構成感を持ち、第1番の交響曲に引けを取らない充実度を誇っています。
《ハイドンの主題による変奏曲》(1873年作)は、ウィーンの楽友協会の図書館の司書をしていた友人のカール・フェルディナント・パウルにフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作とされるディヴェルティメント(Hob.II-46)を閲覧させてもらい、そこに記されてあったコラール主題「聖アントニウス」を基に8つの変奏とパッサカリアから成るこの作品を書きました。ブラームスは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトやルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンと共にハイドンも大変尊敬しており、この曲を書くにあたって、ハイドンの交響曲の一部も切り取って引用し、ハイドンに敬意を示しました。
ブラームスは作曲するにあたって、まずピアノ2台用に作品を書き上げ、それをオーケストレーションして完成させました。そして、このオーケストラ版をop.56aとし、ピアノ二台用のものをop.56bとして出版しました。
ただ、今日では、ブラームスが参照した作品は、ハイドンの作品ではないのではないかという疑義が差し挟まれており、ブラームスが用いたコラールもハイドンのオリジナルではないことが明らかになっています。この事実からすれば、「聖アントニウスのコラールによる変奏曲」と呼称を訂正すべきですが、まず、ブラームスの生きていた頃は引用した作品がハイドンの作品と信じられていたこと、そしてブラームス自身がハイドンの作品の愛好家だったこと、そして「ハイドンの主題による変奏曲」という呼称が浸透していることから、現行の名称は大っぴらには改称されていません。
演奏については、どちらの曲も、コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団(日本では、しばしばスロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団として知られる)が演奏していますが、交響曲第2番のほうをオタカール・トゥルフリーク(Otakar Trhlík, 1922-2005)が、《ハイドンの主題による変奏曲》のほうを、ヨハネス・ヴィルトナー(Johannes Wildner, 1956-)が指揮しています。
トゥルフリークは、チェコの指揮者ですが、主に活動はチェコよりもスロヴァキアのほうを重点的に活躍していたようです。ヴァーツラフ・スメターチェクやカレル・アンチェルらと同じパヴェル・デデチェクの門下生で、ヴァーツラフ・ターリヒの薫陶も受けており、チェコやスロヴァキアでは指揮法の権威として知られた名指揮者でした。
ヴィルトナーはオーストリアの人です。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の団員である一方で、ウィーン交響楽団の団員達とヨハン・シュトラウス・アンサンブルを結成し、指揮者としても活動を行っている人です。
コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団は、まだブラームスの音楽の重厚さを表現するまでには至っていないものの、トゥルフリークの指揮の下で溌剌とした演奏を披露しています。トゥルフリークのリズム感がいいのか、音楽の流れが良く、ハキハキとした印象を受けます。また、響きのスケールを広げようとする野心もそこここに見え隠れしていて、オーケストラなりにブラームスの音楽を理解しようとしている意欲が感じられました。
ヴィルトナーの演奏するハイドン変奏曲も、管楽器がよく歌い、美しい演奏に仕上がっています。作品の立体的構造を浮かび上がらせる点では、やや彫りが浅いものの、この曲に親しむには申し分のない演奏です。
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