1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Henri Vieuxtemps: Elégie, op.30
◈Henri Vieuxtemps: Sonata pour alto et piano en si bémol, op.36
◈Henri Vieuxtemps: Sonata inachevée pour alto et piano, op.post-14
Thérèse-Marie Gilissen (Vla)
Jean-Claude Vanden Eynden (Pf)
Jean-Claude Vanden Eynden (Pf)
(Rec. June 1985, Studio 2 Flagey RTBF, Bruxelles)
◈Henri Vieuxtemps: Fantasia Appassionata, op.35Charles Jongen (Vn)
Orchestre Symphonique de Liège / Gérard Cartigny
(Rec. June 1972, Concervatoire Royal de Musicue, Liège)
アンリ・ヴュータン(Henri Vieuxtemps, 1820-1881)はベルギーの作曲家で、生前はヴァイオリニストとして盛名を馳せた人でした。ヴュータンはヴィオラも得意にしていて、このCDに収められた変ロ長調のヴィオラ・ソナタ(op.36)、エレジー(op.30)は、ヴィオリストにとっても重要作です。
本CDでは、生前発表されることのなかったヴィオラ・ソナタ(遺作No.14)も加えて、ヴュータンのヴィオラ作品集としてまとめてみたものの、収録時間が余ってしまったので、アンドレ・シャルランが録音したヴュータンの熱情的幻想曲を一緒に収録して穴埋めをしています。
最初に収録されているエレジーは、1854年頃の作品だと言われています。この時期、ヴュータンはロシア皇帝に気に入られ、サンクトペテルブルグの帝室歌劇場のコンサート・マスターを務めたり、ペテルブルグ音楽院で教授を務めたりしていた時期にあたります。
ほの暗い情念を練り込んだ作風は、ヴュータンの感じたロシアの印象と、祖国ベルギーへの想いの交錯の表れでしょうか。
op.36のヴィオラ・ソナタは、晩年のエクトル・ベルリオーズと知り合いになり、その交流の中で生まれた作品とのこと。1863年にライプツィヒで出版された作品なので、おそらくそれ以前に完成させていたのかもしれません。
ヴァイオリニストらしく、高音域を使いたがる傾向はあるものの、ヴィオラ特有の渋みのある音色からキャラクターを起こし、華麗な演奏効果よりはシリアスさを前面に出した作風になっています。
しかし、相当入魂の作品だったようで、第1楽章が、後続の2楽章分の演奏時間を要求します。
ヴュータンのヴィオラ・ソナタは、ヴィオラを主役としながらも、ピアノのパートもよく練って書いているので、両者にソリスト並みの表現力を要求します。
遺作となったヴィオラ・ソナタは、変ロ長調を主調にし、第2楽章で属調のヘ長調を中心にするという形をとっています。おそらく、変ロ長調で最後の楽章を締めるつもりだったのでしょう。結局第3楽章が書かれることはなく、ヴュータンの死後3年経って未完成のソナタとして発表されました。
いつ作品が成立したのかは分かっていませんが、op.36のソナタに引けを取らない作品になっており、おそらくop.36の後に手掛けたものなのではないかと、私は邪推しています。
熱情的幻想曲(ファンタジア・アパッショナータ)は、ヴュータンのヴァイオリン協奏曲の番外編的な作品で、1860年ごろに作曲されたとみられる作品です。
作曲家としてブラの乗っていた時期の作品だけあって、オーケストレーションの充実と独奏の華麗さのバランスがよくとれています。最近では学生のお稽古用によく使われるため、作品としてやや劣るという心象を持たれがちですが、原曲のオーケストラ伴奏で聴くと、火を吹くような情熱的なスタイルを堪能できます。
作品はアレグロ・モデラートの第1部、ラルゴの第2部、イタリアの激しい古典舞曲であるサルタレッロを模した第3部からなります。
演奏は、ヴィオラ曲に関しては、テレーズ=マリー・ジリサン(Thérèse-Marie Gilissen)のヴィオラとジャン=クロード・ヴァンデン・エインデン(Jean-Claude Vanden Eynden, 1947-)のピアノです。
両者ともブリュッセル王立音楽院の教授を務めるベルギー音楽界の重鎮です。
ジリサンの磨き抜かれたヴィオラの音色が絶品で、特にエレジーでの濃淡のきいた表現に美しさを感じさせます。
熱情的幻想曲のほうは、シャルル・ジョンゲン(Charles Jongen, 1937-)のヴァイオリン独奏とジェラール・カルティニー(Gérard Cartigny, 1921-?)の指揮するリエージュ交響楽団による演奏です。
このリエージュ交響楽団は、フェルナン・キネが1960年に設立したリエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の別称のようです。
ベルギー人ヴァイオリニストのジョンゲンの奏でる音色は、作品の放つ情熱を氷漬けにするような鋭さを持ち、熱情が熱狂になるのをしっかりと防いでいます。第3部のサルタレッロにおいても、暴走しがちなオーケストラと向こうを張り、しっかりとした音楽に仕上げていく技量の高さが伺えます。
指揮者のカルティニーは、パリ生まれの人。元々モーリス・エウィットの私設オーケストラでヴァイオリンを弾いていた人で、自分でも合奏団を組織して古典派の作品の紹介を熱心に行っていた人です。録音技師のシャルランとの仕事が多く、古参のレコード・ファンにはお馴染みの指揮者です。
本録音では、第1楽章の冒頭から熱の入った指揮で、クールなジョンゲンのヴァイオリンを煽っており、この曲の名称通りの演奏に仕上げています。
第2部ではしっとりとした味わいも醸し出し、ただ煽るだけの人ではないこともしっかりと印象付けています。
本CDでは、生前発表されることのなかったヴィオラ・ソナタ(遺作No.14)も加えて、ヴュータンのヴィオラ作品集としてまとめてみたものの、収録時間が余ってしまったので、アンドレ・シャルランが録音したヴュータンの熱情的幻想曲を一緒に収録して穴埋めをしています。
最初に収録されているエレジーは、1854年頃の作品だと言われています。この時期、ヴュータンはロシア皇帝に気に入られ、サンクトペテルブルグの帝室歌劇場のコンサート・マスターを務めたり、ペテルブルグ音楽院で教授を務めたりしていた時期にあたります。
ほの暗い情念を練り込んだ作風は、ヴュータンの感じたロシアの印象と、祖国ベルギーへの想いの交錯の表れでしょうか。
op.36のヴィオラ・ソナタは、晩年のエクトル・ベルリオーズと知り合いになり、その交流の中で生まれた作品とのこと。1863年にライプツィヒで出版された作品なので、おそらくそれ以前に完成させていたのかもしれません。
ヴァイオリニストらしく、高音域を使いたがる傾向はあるものの、ヴィオラ特有の渋みのある音色からキャラクターを起こし、華麗な演奏効果よりはシリアスさを前面に出した作風になっています。
しかし、相当入魂の作品だったようで、第1楽章が、後続の2楽章分の演奏時間を要求します。
ヴュータンのヴィオラ・ソナタは、ヴィオラを主役としながらも、ピアノのパートもよく練って書いているので、両者にソリスト並みの表現力を要求します。
遺作となったヴィオラ・ソナタは、変ロ長調を主調にし、第2楽章で属調のヘ長調を中心にするという形をとっています。おそらく、変ロ長調で最後の楽章を締めるつもりだったのでしょう。結局第3楽章が書かれることはなく、ヴュータンの死後3年経って未完成のソナタとして発表されました。
いつ作品が成立したのかは分かっていませんが、op.36のソナタに引けを取らない作品になっており、おそらくop.36の後に手掛けたものなのではないかと、私は邪推しています。
熱情的幻想曲(ファンタジア・アパッショナータ)は、ヴュータンのヴァイオリン協奏曲の番外編的な作品で、1860年ごろに作曲されたとみられる作品です。
作曲家としてブラの乗っていた時期の作品だけあって、オーケストレーションの充実と独奏の華麗さのバランスがよくとれています。最近では学生のお稽古用によく使われるため、作品としてやや劣るという心象を持たれがちですが、原曲のオーケストラ伴奏で聴くと、火を吹くような情熱的なスタイルを堪能できます。
作品はアレグロ・モデラートの第1部、ラルゴの第2部、イタリアの激しい古典舞曲であるサルタレッロを模した第3部からなります。
演奏は、ヴィオラ曲に関しては、テレーズ=マリー・ジリサン(Thérèse-Marie Gilissen)のヴィオラとジャン=クロード・ヴァンデン・エインデン(Jean-Claude Vanden Eynden, 1947-)のピアノです。
両者ともブリュッセル王立音楽院の教授を務めるベルギー音楽界の重鎮です。
ジリサンの磨き抜かれたヴィオラの音色が絶品で、特にエレジーでの濃淡のきいた表現に美しさを感じさせます。
熱情的幻想曲のほうは、シャルル・ジョンゲン(Charles Jongen, 1937-)のヴァイオリン独奏とジェラール・カルティニー(Gérard Cartigny, 1921-?)の指揮するリエージュ交響楽団による演奏です。
このリエージュ交響楽団は、フェルナン・キネが1960年に設立したリエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の別称のようです。
ベルギー人ヴァイオリニストのジョンゲンの奏でる音色は、作品の放つ情熱を氷漬けにするような鋭さを持ち、熱情が熱狂になるのをしっかりと防いでいます。第3部のサルタレッロにおいても、暴走しがちなオーケストラと向こうを張り、しっかりとした音楽に仕上げていく技量の高さが伺えます。
指揮者のカルティニーは、パリ生まれの人。元々モーリス・エウィットの私設オーケストラでヴァイオリンを弾いていた人で、自分でも合奏団を組織して古典派の作品の紹介を熱心に行っていた人です。録音技師のシャルランとの仕事が多く、古参のレコード・ファンにはお馴染みの指揮者です。
本録音では、第1楽章の冒頭から熱の入った指揮で、クールなジョンゲンのヴァイオリンを煽っており、この曲の名称通りの演奏に仕上げています。
第2部ではしっとりとした味わいも醸し出し、ただ煽るだけの人ではないこともしっかりと印象付けています。
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