1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Ermanno Wolf-Ferrari: I Gioielli della Madonna
Pauline Tinsley (S: Maliella)
André Turp (T: Gennaro)
Peter Glossop (Br: Rafaele)
Henry Howell (T: Totonno)
John Wnfield (T: Biaso)
Valerie Cockx (Ms: Carmela)
Malcolm King (T: Rocco)
Stuart Kale (T: Ciccillo)
Janet Gail (S: Stella)
Ann Pashley (S: Concetta)
Joan Davies (A: Serena)
André Turp (T: Gennaro)
Peter Glossop (Br: Rafaele)
Henry Howell (T: Totonno)
John Wnfield (T: Biaso)
Valerie Cockx (Ms: Carmela)
Malcolm King (T: Rocco)
Stuart Kale (T: Ciccillo)
Janet Gail (S: Stella)
Ann Pashley (S: Concetta)
Joan Davies (A: Serena)
BBC Symphony Orchestra & Chorus / Alberto Erede
(Rec. 1976, London)
◈Giuseppe Verdi: Aria 'Vieni t'affretta' from "Machbeth"Pauline Tinsley (S), Richard Gaddes (Pf)
(Rec. 15 June 1979, St.Louis Opera Theatre) Live Recording
◈Anonumous: Unknown duetPauline Tinsley (S), Wayne Turnage (Br),
Richard Gaddes (Pf)
Richard Gaddes (Pf)
(Rec. 15 June 1979, St.Louis Opera Theatre) Live Recording
名のみ高く、その実態の知れない作品は結構あるもので、そうした作品の一つに、エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ(Ermanno Wolf-Ferrari, 1876-1948)の作った3幕の歌劇《聖母の宝石》があります。
1911年にベルリンの選帝侯劇場で初演された本作品は、今日では、第2幕の間奏曲がオペラの名曲集のセレクションに時々選ばれる程度で、全曲の録音となると、なかなか見つかりません。
音楽としてさほど聴き劣る作品ではないだけに、この不人気ぶりには首をかしげるばかりです。最近はヴォルフ=フェラーリの作品が徐々に名誉を回復しつつあるので、どうにか新しい録音がリリースされることを願ってやみません。
さて、この歌劇の台本は、当時イタリアで起こった事件を基に、カルロ・ザンガリーニ(Carlo Zangarini, 1874-1943)とエンリコ・ゴルシアーニ(Enrico Golisciani, 1848-1919)が作り上げています。ドイツでの初演では、この台本をオーストリア人のハンス・リープシュテックル(Hans Liebstöckl, 1872-1934)がドイツ語に翻訳しています。
なお、ベルリンでの初演からおよそ2年後に、この作品は、イタリアでも演奏されましたが、話の題材自体が聖母マリアに対する冒涜だと見做されてしまい、1953年までイタリアでの上演を封印されてしまいました。
それはさておき、話の内容は、大まかに、以下の通りです。
【第1幕】
ナポリの下町は、聖母マリアの祭りで湧いています。
その下町には、ジェンナロという真面目な鍛冶屋が住んでいました。ジェンナロは、町で宿屋を営んでいるカルメーラの娘マリエラに恋をしていますが、マリエラはジェンナロに興味がありません。
マリエーラはひょんなことから、悪党の首領のラファエレに出会います。恭しく街中を運ばれていく聖母の宝石を横目で見ながら、ラファエレはマリエラに、あの宝石を盗んで君のものにしてもいいなどというので、マリエラはすっかりラファエレの虜になってしまったのでした
【第2幕】
カルメーラの宿で、ジェンナロはマリエラに、悪党のラファエレと付き合うのを止めるように説得しますが、ラファエレに夢中なマリエラは聞く耳を持ちません。それどころか、マリエラはラファエレと駆け落ちするつもりでいました。
なんとしてもマリエラを止めようとするジェンナロに、マリエラは「私のために聖母宝石を盗ってきたら、私はアンタの言うことを何でも聞くわ」と言い放ち、ジェンナロは、早速聖母の宝石を盗みに行くのでした。
【第3幕】
ジェンナロが盗んできた聖母の宝石を持って、マリエラはラファエレの下へと走ります。ジェンナロはマリエラに裏切られてしまいました。
しかし、当のラファエレは、はなからマリエラを相手にしておらず、マリエラを素っ気なく振ってしまいました。
それでもあきらめきれないマリエラは、ラファエレに食い下がりますが、その時、マリエラは聖母の宝石を落としてしまい、町の人たちに訝しがられてしまいます。
そこでジェンナロが、事の次第を全て暴露してしまうので、ラファエレとマリエラは恥をかかされ、ジェンナロの窃盗の罪も明らかになってしまいました。
ジェンナロが聖母の宝石を元の場所に返そうとした隙をついて、マリエラは海に身を投げ、それに気づいたジェンナロは、マリエラの後を追うように、ナイフで自分の胸を刺して果てたのでした。
ヴォルフ=フェラーリの作品の中では、ヴェリズモ・オペラへの接近を試みた作品と見なされます。
ヴェリズモ・オペラというのは、世間で実際に起こった出来事や、それに近い市井の人々の暮らしを活写し、そこに激情的表現を盛り込んで、舞台効果を著しく高めたオペラを指します。先駆的作品としては、ピエトロ・マスカーニの《カヴァレリア・ルスティカーナ》や、ルッジェーロ・レオンカヴァッロの《道化師》といった作品が見出され、それにオイゲン・ダルベールの《低地》やレオシュ・ヤナーチェクの《イェヌーファ》などが追随します。
ヴォルフ=フェラーリの《聖母の宝石》は、こうしたヴェリズモ・オペラのブーム終盤に発表された作品だといえるでしょう。
作品自体は、美しいメロディと華麗なオーケストレーションに彩られていて、大変聴き映えがします。
しかし、この作品でオペラ業界に何か一石を投じたというわけでもなく、イタリアでは聖母を冒涜する内容だと捉えられて歌劇場の演目から長いこと外されてしまったため、歌劇としての評価が定まらず、なかなか上演の機会が持てないようです。
本CDでは、以下のようなキャスティングで録音されています。
ポーリン・ティンズリー (マリエラ)
アンドレ・タープ(ジェンナロ)
ピーター・グロソップ (ラファエレ)
ヘンリー・ハウエル (トトーノ)
ジョン・ウィンフィールド (ビサオ)
ヴァレリー・コックス (カルメラ)
マルコム・キング (ロッコ)
スチュアート・ケイル (チッチーロ)
ジャネット・ゲイル (ステラ)
アン・パシュリー (コンセッタ)
ジョーン・デイヴィス (セレナ)
BBC交響楽団&合唱団/アルベルト・エレーデ
ティンズリー(Pauline Tinsley, 1928-)、グロソップ(Peter Glossop, 1928-2008),ウィンフィールド(John Winfield, 1937-)、キング(Malcolm King, 1943-)、パシュリー(Ann Pashley, 1937-)など、カナダ人のタープ(André Turp, 1925-1991)以外の歌手は、ほぼイギリス勢で固めたキャスティングのようです。(ハウエルズやコックス、デイヴィスのように、素性のわからない人も混じっていますが・・・。)
指揮をしているのは、フェリックス・ヴァインガルトナーとフリッツ・ブッシュの薫陶を受けたイタリア人指揮者のアルベルト・エレーデ(Alberto Erede, 1909-2001)です。
CD復刻に使用した音源は、1976年の録音にしては、保存状態はあまり良くなく、ところどころオーケストラの音に荒れが見られます。しかし、ティンズリーらの歌唱は明瞭にとられており、このオペラの全体を鑑賞するには、あまり支障はありません。
タープをはじめとする男声陣は、概ね素晴らしい歌唱を披露しています。とりわけ、タープの朗々と響く若々しい歌唱は聴きものでしょう。敵役を歌うグロソップも、貫録のある歌いっぷりで存在感をアピールしています。
惜しむらくは、ティンズリーの歌唱に小悪魔的な魅力が感じられないことでしょうか。しっかりとした歌唱ではあるものの、ジェンナロをたぶらかすマリエラのキャラクターにしては、やや純朴すぎるきらいがあります。
エレーデの伴奏は、最初の部分こそ、やや足並みが乱れるものの、すぐに持ち直し、歌手たちの呼吸にピッタリと合わせた見事な演奏を繰り広げています。録音の保存状態さえよければ、しっかりとした名演奏だと言えるでしょう。
1911年にベルリンの選帝侯劇場で初演された本作品は、今日では、第2幕の間奏曲がオペラの名曲集のセレクションに時々選ばれる程度で、全曲の録音となると、なかなか見つかりません。
音楽としてさほど聴き劣る作品ではないだけに、この不人気ぶりには首をかしげるばかりです。最近はヴォルフ=フェラーリの作品が徐々に名誉を回復しつつあるので、どうにか新しい録音がリリースされることを願ってやみません。
さて、この歌劇の台本は、当時イタリアで起こった事件を基に、カルロ・ザンガリーニ(Carlo Zangarini, 1874-1943)とエンリコ・ゴルシアーニ(Enrico Golisciani, 1848-1919)が作り上げています。ドイツでの初演では、この台本をオーストリア人のハンス・リープシュテックル(Hans Liebstöckl, 1872-1934)がドイツ語に翻訳しています。
なお、ベルリンでの初演からおよそ2年後に、この作品は、イタリアでも演奏されましたが、話の題材自体が聖母マリアに対する冒涜だと見做されてしまい、1953年までイタリアでの上演を封印されてしまいました。
それはさておき、話の内容は、大まかに、以下の通りです。
【第1幕】
ナポリの下町は、聖母マリアの祭りで湧いています。
その下町には、ジェンナロという真面目な鍛冶屋が住んでいました。ジェンナロは、町で宿屋を営んでいるカルメーラの娘マリエラに恋をしていますが、マリエラはジェンナロに興味がありません。
マリエーラはひょんなことから、悪党の首領のラファエレに出会います。恭しく街中を運ばれていく聖母の宝石を横目で見ながら、ラファエレはマリエラに、あの宝石を盗んで君のものにしてもいいなどというので、マリエラはすっかりラファエレの虜になってしまったのでした
【第2幕】
カルメーラの宿で、ジェンナロはマリエラに、悪党のラファエレと付き合うのを止めるように説得しますが、ラファエレに夢中なマリエラは聞く耳を持ちません。それどころか、マリエラはラファエレと駆け落ちするつもりでいました。
なんとしてもマリエラを止めようとするジェンナロに、マリエラは「私のために聖母宝石を盗ってきたら、私はアンタの言うことを何でも聞くわ」と言い放ち、ジェンナロは、早速聖母の宝石を盗みに行くのでした。
【第3幕】
ジェンナロが盗んできた聖母の宝石を持って、マリエラはラファエレの下へと走ります。ジェンナロはマリエラに裏切られてしまいました。
しかし、当のラファエレは、はなからマリエラを相手にしておらず、マリエラを素っ気なく振ってしまいました。
それでもあきらめきれないマリエラは、ラファエレに食い下がりますが、その時、マリエラは聖母の宝石を落としてしまい、町の人たちに訝しがられてしまいます。
そこでジェンナロが、事の次第を全て暴露してしまうので、ラファエレとマリエラは恥をかかされ、ジェンナロの窃盗の罪も明らかになってしまいました。
ジェンナロが聖母の宝石を元の場所に返そうとした隙をついて、マリエラは海に身を投げ、それに気づいたジェンナロは、マリエラの後を追うように、ナイフで自分の胸を刺して果てたのでした。
ヴォルフ=フェラーリの作品の中では、ヴェリズモ・オペラへの接近を試みた作品と見なされます。
ヴェリズモ・オペラというのは、世間で実際に起こった出来事や、それに近い市井の人々の暮らしを活写し、そこに激情的表現を盛り込んで、舞台効果を著しく高めたオペラを指します。先駆的作品としては、ピエトロ・マスカーニの《カヴァレリア・ルスティカーナ》や、ルッジェーロ・レオンカヴァッロの《道化師》といった作品が見出され、それにオイゲン・ダルベールの《低地》やレオシュ・ヤナーチェクの《イェヌーファ》などが追随します。
ヴォルフ=フェラーリの《聖母の宝石》は、こうしたヴェリズモ・オペラのブーム終盤に発表された作品だといえるでしょう。
作品自体は、美しいメロディと華麗なオーケストレーションに彩られていて、大変聴き映えがします。
しかし、この作品でオペラ業界に何か一石を投じたというわけでもなく、イタリアでは聖母を冒涜する内容だと捉えられて歌劇場の演目から長いこと外されてしまったため、歌劇としての評価が定まらず、なかなか上演の機会が持てないようです。
本CDでは、以下のようなキャスティングで録音されています。
ポーリン・ティンズリー (マリエラ)
アンドレ・タープ(ジェンナロ)
ピーター・グロソップ (ラファエレ)
ヘンリー・ハウエル (トトーノ)
ジョン・ウィンフィールド (ビサオ)
ヴァレリー・コックス (カルメラ)
マルコム・キング (ロッコ)
スチュアート・ケイル (チッチーロ)
ジャネット・ゲイル (ステラ)
アン・パシュリー (コンセッタ)
ジョーン・デイヴィス (セレナ)
BBC交響楽団&合唱団/アルベルト・エレーデ
ティンズリー(Pauline Tinsley, 1928-)、グロソップ(Peter Glossop, 1928-2008),ウィンフィールド(John Winfield, 1937-)、キング(Malcolm King, 1943-)、パシュリー(Ann Pashley, 1937-)など、カナダ人のタープ(André Turp, 1925-1991)以外の歌手は、ほぼイギリス勢で固めたキャスティングのようです。(ハウエルズやコックス、デイヴィスのように、素性のわからない人も混じっていますが・・・。)
指揮をしているのは、フェリックス・ヴァインガルトナーとフリッツ・ブッシュの薫陶を受けたイタリア人指揮者のアルベルト・エレーデ(Alberto Erede, 1909-2001)です。
CD復刻に使用した音源は、1976年の録音にしては、保存状態はあまり良くなく、ところどころオーケストラの音に荒れが見られます。しかし、ティンズリーらの歌唱は明瞭にとられており、このオペラの全体を鑑賞するには、あまり支障はありません。
タープをはじめとする男声陣は、概ね素晴らしい歌唱を披露しています。とりわけ、タープの朗々と響く若々しい歌唱は聴きものでしょう。敵役を歌うグロソップも、貫録のある歌いっぷりで存在感をアピールしています。
惜しむらくは、ティンズリーの歌唱に小悪魔的な魅力が感じられないことでしょうか。しっかりとした歌唱ではあるものの、ジェンナロをたぶらかすマリエラのキャラクターにしては、やや純朴すぎるきらいがあります。
エレーデの伴奏は、最初の部分こそ、やや足並みが乱れるものの、すぐに持ち直し、歌手たちの呼吸にピッタリと合わせた見事な演奏を繰り広げています。録音の保存状態さえよければ、しっかりとした名演奏だと言えるでしょう。
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