1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Dmitri Shostakovich: Symphony No.13 in B flat minor, op.113 "Babi Yar"
Sergei Aleksashkin (Bs)
Bass voice of the St.Petersburg Television & Radio Chorus (Chorus master: Vladimir Stolpovskih)
United Bass Chorus of St.Petersburg (Chorus master: Valeri Uspenski)
St.Petersburg Philharmonic Orchestra / Yuri Temirkanov
Bass voice of the St.Petersburg Television & Radio Chorus (Chorus master: Vladimir Stolpovskih)
United Bass Chorus of St.Petersburg (Chorus master: Valeri Uspenski)
St.Petersburg Philharmonic Orchestra / Yuri Temirkanov
(Rec. 16 & 17 May 1996, Big Hall, St.Petersburg Philharmonie)
交響曲第13番は、ドミトリー・ショスタコーヴィチ(Dmitri Shostakovich, 1906-1975)が1962年に書き上げた作品。
第1楽章の標題から、通称「バビ・ヤール」と呼ばれています。
この曲を完成させる前の年に、ショスタコーヴィチの親友のイサーク・グリークマンが、エフゲニー・エフトゥシェンコ(Yevgeny Yevtushenko, 1933-)の詩を見せたのがきっかけで、その反骨精神に刺激を受けたショスタコーヴィチは、エフトゥシェンコの詩で交響曲を書くことを思い立ちました。
曲は、5つの楽章からなり、第1楽章の〈バビ・ヤール〉では、人種差別をやっていないというソ連がユダヤ人排斥運動をやっているという事実を暴きだしております。さらに、第2楽章〈ユーモア〉では、ベーラ・バルトークの管弦楽のための協奏曲の第4楽章の一部分を拝借してパロディにしながら、「世界はユーモアを支配できない」ということを力説します。
〈商店で〉と題された第3楽章は、寒さに耐えながら商店に並ぶ女性たちと、女性たち相手にボッタクリをしようとする商店を活写し、さらにエフトゥシェンコ自身の、商店から万引きをしようとした体験を描いています。第4楽章〈恐怖〉は、ヨシフ・スターリンの政権時代の恐怖とは違い、偽善やウソが新たな恐怖としてはびこっていることを示唆します。
第5楽章〈立身出世〉に至って、迫害にめげなかったガリレオ・ガリレオを引き合いに出して、信念を曲げないことこそが立身出世の道だと説きます。
この作品の初演は、作品が完成した年の12月18日に行われましたが、このときの初演は、エフゲニー・ムラヴィンスキーの代わりにキリル・コンドラシンが指揮をしました。なお、初演の時のバス独唱は、ヴィクトル・ネチパイロが行う手筈でしたが、当日になってキャンセルをし、代役にヴィタリー・グロマツキーが独唱者を務めました。ムラヴィンスキーにしろ、ネチパイロにしろ、国家権力から圧力をかけられて初演を断念したと考えられています。ムラヴィンスキーに関しては、初演までの期日と作品の規模を勘案して、自分の望む完成度での仕上がりに期待が持てないということで初演を断ったという見方もありますが、この一件で、ショスタコーヴィチとムラヴィンスキーの仲が険悪になったと言われています。
初演後、エフトゥシェンコは、国家権力寄りに歌詞を加筆訂正し、ショスタコーヴィチに追加訂正をした部分に合わせて曲を変えるように要請しましたが、ショスタコーヴィチ側では歌詞の差し替えには応じたものの、音符は一音たりとも動かそうとはしませんでした。ショスタコーヴィチは、指しあけ前の自筆譜を大切に保管し、死後、その自筆譜が公開されたことで、歌詞の差し替え自体、ショスタコーヴィチの本意ではないことが明らかになり、近年では、差し替え前の歌詞で歌われるのが普通になってきています。
本CDは、以下のキャスティングで録音されています。
セルゲイ・アレクサーシュキン (Bs)
サンクトペテルブルグ放送男声合唱団 (合唱指揮:ヴラディミール・ストルポフスキー)
サンクトペテルブルグ連合男声合唱団 (合唱指揮:ヴァレリー・ウスペンスキ)
サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団/ユーリ・テミルカーノフ
テミルカーノフ(Yuri Temirkanov, 1938-)は、イリヤ・ムーシン門下の指揮者で、1988年からサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団(旧:レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団)の音楽監督兼首席指揮者を務めています。ショスタコーヴィチとも一応面識があり、イアン・ヴォルコフの『ショスタコーヴィチの証言』の支持者でもあります。ただ、テミルカーノフは、音楽が政治的に利用されるのを好まない人であり、作品に込められた政治的メッセージにはあまり頓着しないスタイルを持っています。
本演奏では、マイリンスキー劇場のアレクサーシュキン(Sergei Aleksashkin, 1952-)を起用しています。
テミルカーノフの演奏は、よくもなく、悪くもなく。
オーケストラの鳴りもよく、合唱もしっかりと熱演しているものの、聴き手を引きこむだけの力は、あまりなさそうです。
距離を置いて、冷静に作品と向き合うには、いい演奏なのかもしれません。
第1楽章の標題から、通称「バビ・ヤール」と呼ばれています。
この曲を完成させる前の年に、ショスタコーヴィチの親友のイサーク・グリークマンが、エフゲニー・エフトゥシェンコ(Yevgeny Yevtushenko, 1933-)の詩を見せたのがきっかけで、その反骨精神に刺激を受けたショスタコーヴィチは、エフトゥシェンコの詩で交響曲を書くことを思い立ちました。
曲は、5つの楽章からなり、第1楽章の〈バビ・ヤール〉では、人種差別をやっていないというソ連がユダヤ人排斥運動をやっているという事実を暴きだしております。さらに、第2楽章〈ユーモア〉では、ベーラ・バルトークの管弦楽のための協奏曲の第4楽章の一部分を拝借してパロディにしながら、「世界はユーモアを支配できない」ということを力説します。
〈商店で〉と題された第3楽章は、寒さに耐えながら商店に並ぶ女性たちと、女性たち相手にボッタクリをしようとする商店を活写し、さらにエフトゥシェンコ自身の、商店から万引きをしようとした体験を描いています。第4楽章〈恐怖〉は、ヨシフ・スターリンの政権時代の恐怖とは違い、偽善やウソが新たな恐怖としてはびこっていることを示唆します。
第5楽章〈立身出世〉に至って、迫害にめげなかったガリレオ・ガリレオを引き合いに出して、信念を曲げないことこそが立身出世の道だと説きます。
この作品の初演は、作品が完成した年の12月18日に行われましたが、このときの初演は、エフゲニー・ムラヴィンスキーの代わりにキリル・コンドラシンが指揮をしました。なお、初演の時のバス独唱は、ヴィクトル・ネチパイロが行う手筈でしたが、当日になってキャンセルをし、代役にヴィタリー・グロマツキーが独唱者を務めました。ムラヴィンスキーにしろ、ネチパイロにしろ、国家権力から圧力をかけられて初演を断念したと考えられています。ムラヴィンスキーに関しては、初演までの期日と作品の規模を勘案して、自分の望む完成度での仕上がりに期待が持てないということで初演を断ったという見方もありますが、この一件で、ショスタコーヴィチとムラヴィンスキーの仲が険悪になったと言われています。
初演後、エフトゥシェンコは、国家権力寄りに歌詞を加筆訂正し、ショスタコーヴィチに追加訂正をした部分に合わせて曲を変えるように要請しましたが、ショスタコーヴィチ側では歌詞の差し替えには応じたものの、音符は一音たりとも動かそうとはしませんでした。ショスタコーヴィチは、指しあけ前の自筆譜を大切に保管し、死後、その自筆譜が公開されたことで、歌詞の差し替え自体、ショスタコーヴィチの本意ではないことが明らかになり、近年では、差し替え前の歌詞で歌われるのが普通になってきています。
本CDは、以下のキャスティングで録音されています。
セルゲイ・アレクサーシュキン (Bs)
サンクトペテルブルグ放送男声合唱団 (合唱指揮:ヴラディミール・ストルポフスキー)
サンクトペテルブルグ連合男声合唱団 (合唱指揮:ヴァレリー・ウスペンスキ)
サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団/ユーリ・テミルカーノフ
テミルカーノフ(Yuri Temirkanov, 1938-)は、イリヤ・ムーシン門下の指揮者で、1988年からサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団(旧:レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団)の音楽監督兼首席指揮者を務めています。ショスタコーヴィチとも一応面識があり、イアン・ヴォルコフの『ショスタコーヴィチの証言』の支持者でもあります。ただ、テミルカーノフは、音楽が政治的に利用されるのを好まない人であり、作品に込められた政治的メッセージにはあまり頓着しないスタイルを持っています。
本演奏では、マイリンスキー劇場のアレクサーシュキン(Sergei Aleksashkin, 1952-)を起用しています。
テミルカーノフの演奏は、よくもなく、悪くもなく。
オーケストラの鳴りもよく、合唱もしっかりと熱演しているものの、聴き手を引きこむだけの力は、あまりなさそうです。
距離を置いて、冷静に作品と向き合うには、いい演奏なのかもしれません。
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