1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Sigismund Neukomm: Messe de Requiem
Edith Mathis (S)
Claudio Brizi (Org),
井戸田 善之 (Cb)
須崎 昌枝 (Cb)
金子 敦子 (Cb)
米永 幸一 (Cb)
草津アカデミー合唱団 (Chorus master: 栗山 文昭)
Festival Brass Ensemble
Claudio Brizi (Org),
井戸田 善之 (Cb)
須崎 昌枝 (Cb)
金子 敦子 (Cb)
米永 幸一 (Cb)
草津アカデミー合唱団 (Chorus master: 栗山 文昭)
Festival Brass Ensemble
{Hans Peter Schuh (Tp), Karl Jeitler (Tb), 首藤 健一 (Tb), 村田 厚生 (Tb),
森山 光三 (Hrn), 大和田 浩明 (Hrn), 村本 岳史(Hrn), 吉野 元章(Hrn)} / Jörg Ewald Dähler
森山 光三 (Hrn), 大和田 浩明 (Hrn), 村本 岳史(Hrn), 吉野 元章(Hrn)} / Jörg Ewald Dähler
(Rec. 30 August 1998, 草津音楽の森国際コンサート・ホール) Live Recording without Applause
◈Franz Schubert: Offetrium, in D major, D943 "Intende Voci"Ernst Haefliger (T),
草津アカデミー合唱団 (Chorus master: 栗山 文昭)
草津フェスティヴァル・オーケストラ / Jörg Ewald Dähler
草津アカデミー合唱団 (Chorus master: 栗山 文昭)
草津フェスティヴァル・オーケストラ / Jörg Ewald Dähler
(Rec. 25 August 1991, 草津音楽の森国際コンサート・ホール) Live Recording without Applause
ジギスムント・ノイコム(Sigismund Neukomm, 1778-1858)は、オーストリア生まれの作曲家です。
ザルツブルグに生まれた彼は、ミヒャエル・ハイドンに教えを受け、さらにウィーンでヨーゼフ・ハイドンの薫陶も受けています。ノイコムは、自然科学や医学にも精通し、植物学者でもあったということで、生前は一角以上の教養人だったことが窺えます。ノイコムについては、一時期ブラジルに駐留して、そこでヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのレクイエムを紹介し、モーツァルトのレクイエムに欠けていたリベラ・メを追加作曲したリオ・デ・ジャネイロ版を作ったことでも知られています。ノイコムは、先人たちの作品の編曲や作曲を旺盛に行い、数百曲もの作品を生み出しましたが、彼の死後はあまり顧みられなくなってしまったようです。
ノイコムは、生涯に4曲のレクイエムを書き上げたとされていますが、本CDで演奏されるのは、1815年にウィーン会議で、フランス元国王ルイ16世の追悼式典のために作られた作品です。ノイコム自身にとっては、師のハイドン兄弟への追憶と言う意味合いも込めての作曲でもありました。初演に当たっては、アントニオ・サリエリが指揮をとり、ウィーン中の聖職者や選り抜きの合唱団員が集められ、ノイコムの名声を確立するほどの成功を収めました。
作品自体は「3声合唱と大オーケストラを伴う死者のためのミサ曲」とされていますが、オーケストラに相当するのはブラス・バンドであり、合唱の補強のためにコントラバスやオルガンなどが用いられています。
ブラス・バンドは、要所要所で現れるものの、基本的には合唱用の作品であり、合唱のダイナミクスをつけるために、大合唱と小合唱のグループを駆使するという工夫がみられます。
ブラス・バンドの乾いた音色が、軍楽隊の葬送行進曲を思わせるわびしい響きを演出しており、音色上の華美さは削ぎ落されています。しかし、漫然と曲を書いているわけではなく、〈ディエス・イレ〉でグレゴリオ聖歌の〈怒りの日(ディエス・イレ)〉を断片的に配置したり、〈オッフェルトリウム〉などでは不協和音を用いて恐怖におののく魂を表現したりと、場面場面に即した感情表現を巧みに織り交ぜています。
本CDでは、イェルク・エーヴァルト・デーラー(Jörg Ewald Dähler, 1933-)が草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルに参加した面々と行ったライヴ録音が収録されています。草津では8月の中旬から末にかけてマスター・クラスが開かれ、管・弦楽器のみならず声楽や合唱のクラスも開講されます。そこでの学習の成果としてお披露目のコンサートが行われるわけですが、本録音はそうしたコンサートのライヴ録音ということになります。演奏には、声楽コースの講師として来日していたスイス人ソプラノ歌手のエディト・マティス(Edith Mathis, 1938-)やチェンバロ・オルガン・コース講師のクラウディオ・ブリツィ(Claudio Brizi, 1960-)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者でトランペット・コース講師ののハンス・ペーター・シュー(Hans Peter Schuh, 1956-)、同じくウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席トロンボーン奏者のカール・ヤイトラー(Karl Jaitler, 1947-)などが参加しています。
〈オッフェルトリウム〉でのマティスの歌唱はややオペラティックであり、合唱もドラマティックに歌い上げることを基調としていますが、録音として聴くと、やや泥臭く感じてしまうのも事実です。とはいえ、ライヴ録音かつ非常設団体の演奏であるにもかかわらず、音程が大きくずれたり、細部が不明瞭になったりすることがないのは、驚くべきことなのかもしれません。特に〈サンクトゥス〉後半のフガートの処理の堂々たる響きには感じ入るものがあります。
余白に収録されているのは、《声を張り上げよ》というフランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)のオッフェルトリウムです。こうした典礼儀式用の一部を取り出して音楽化するというのは、結構作曲家の間では日常的に行われていたことでした。オーケストラの伴奏に乗ってテノール独唱が先唱し、合唱団がそれをサポートしていくというシンプルな音楽ですが、そのメロディの美しさと、変ロ長調からニ長調へという転調の妙に耳を奪われます。この曲と《タントゥム・エルゴ》を書き上げた数週間後に、シューベルトは息を引き取りました。
デーラーの指揮する草津フェスティヴァル・オーケストラと草津アカデミー合唱団の演奏は、非常設の団体ゆえの粗さがありますが、勘所を押さえているので、不思議と聴き苦しさはありません。
本演奏では、エルンスト・ヘフリガー(Ernst Haefliger, 1919-2007)がテノール独唱として参加しています。ヘフリガーは、ジェノヴァでフェルナンド・カプリに師事した後、ウィーンでユリウス・パツァークの薫陶を受けたスイス人歌手で、明晰なドイツ語の発音で歌われるドイツ・リートに評価の高かった人です。その清潔な歌い口から、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのマタイ受難曲の福音史家役として引っ張りだこでもありました。80歳を超えても現役を続け、亡くなる年にも草津のアカデミーに講師として参加する意向を示していたといいます。
本録音は、71歳の時のヘフリガーの歌唱になりますが、流石に盛期のような声は期待できません。
しかし、よれよれながら、それを逆に枯淡の境地へと転化させてしまう語り口の説得力は、おいそれと真似できない芸風です。
ザルツブルグに生まれた彼は、ミヒャエル・ハイドンに教えを受け、さらにウィーンでヨーゼフ・ハイドンの薫陶も受けています。ノイコムは、自然科学や医学にも精通し、植物学者でもあったということで、生前は一角以上の教養人だったことが窺えます。ノイコムについては、一時期ブラジルに駐留して、そこでヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのレクイエムを紹介し、モーツァルトのレクイエムに欠けていたリベラ・メを追加作曲したリオ・デ・ジャネイロ版を作ったことでも知られています。ノイコムは、先人たちの作品の編曲や作曲を旺盛に行い、数百曲もの作品を生み出しましたが、彼の死後はあまり顧みられなくなってしまったようです。
ノイコムは、生涯に4曲のレクイエムを書き上げたとされていますが、本CDで演奏されるのは、1815年にウィーン会議で、フランス元国王ルイ16世の追悼式典のために作られた作品です。ノイコム自身にとっては、師のハイドン兄弟への追憶と言う意味合いも込めての作曲でもありました。初演に当たっては、アントニオ・サリエリが指揮をとり、ウィーン中の聖職者や選り抜きの合唱団員が集められ、ノイコムの名声を確立するほどの成功を収めました。
作品自体は「3声合唱と大オーケストラを伴う死者のためのミサ曲」とされていますが、オーケストラに相当するのはブラス・バンドであり、合唱の補強のためにコントラバスやオルガンなどが用いられています。
ブラス・バンドは、要所要所で現れるものの、基本的には合唱用の作品であり、合唱のダイナミクスをつけるために、大合唱と小合唱のグループを駆使するという工夫がみられます。
ブラス・バンドの乾いた音色が、軍楽隊の葬送行進曲を思わせるわびしい響きを演出しており、音色上の華美さは削ぎ落されています。しかし、漫然と曲を書いているわけではなく、〈ディエス・イレ〉でグレゴリオ聖歌の〈怒りの日(ディエス・イレ)〉を断片的に配置したり、〈オッフェルトリウム〉などでは不協和音を用いて恐怖におののく魂を表現したりと、場面場面に即した感情表現を巧みに織り交ぜています。
本CDでは、イェルク・エーヴァルト・デーラー(Jörg Ewald Dähler, 1933-)が草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルに参加した面々と行ったライヴ録音が収録されています。草津では8月の中旬から末にかけてマスター・クラスが開かれ、管・弦楽器のみならず声楽や合唱のクラスも開講されます。そこでの学習の成果としてお披露目のコンサートが行われるわけですが、本録音はそうしたコンサートのライヴ録音ということになります。演奏には、声楽コースの講師として来日していたスイス人ソプラノ歌手のエディト・マティス(Edith Mathis, 1938-)やチェンバロ・オルガン・コース講師のクラウディオ・ブリツィ(Claudio Brizi, 1960-)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者でトランペット・コース講師ののハンス・ペーター・シュー(Hans Peter Schuh, 1956-)、同じくウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席トロンボーン奏者のカール・ヤイトラー(Karl Jaitler, 1947-)などが参加しています。
〈オッフェルトリウム〉でのマティスの歌唱はややオペラティックであり、合唱もドラマティックに歌い上げることを基調としていますが、録音として聴くと、やや泥臭く感じてしまうのも事実です。とはいえ、ライヴ録音かつ非常設団体の演奏であるにもかかわらず、音程が大きくずれたり、細部が不明瞭になったりすることがないのは、驚くべきことなのかもしれません。特に〈サンクトゥス〉後半のフガートの処理の堂々たる響きには感じ入るものがあります。
余白に収録されているのは、《声を張り上げよ》というフランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)のオッフェルトリウムです。こうした典礼儀式用の一部を取り出して音楽化するというのは、結構作曲家の間では日常的に行われていたことでした。オーケストラの伴奏に乗ってテノール独唱が先唱し、合唱団がそれをサポートしていくというシンプルな音楽ですが、そのメロディの美しさと、変ロ長調からニ長調へという転調の妙に耳を奪われます。この曲と《タントゥム・エルゴ》を書き上げた数週間後に、シューベルトは息を引き取りました。
デーラーの指揮する草津フェスティヴァル・オーケストラと草津アカデミー合唱団の演奏は、非常設の団体ゆえの粗さがありますが、勘所を押さえているので、不思議と聴き苦しさはありません。
本演奏では、エルンスト・ヘフリガー(Ernst Haefliger, 1919-2007)がテノール独唱として参加しています。ヘフリガーは、ジェノヴァでフェルナンド・カプリに師事した後、ウィーンでユリウス・パツァークの薫陶を受けたスイス人歌手で、明晰なドイツ語の発音で歌われるドイツ・リートに評価の高かった人です。その清潔な歌い口から、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのマタイ受難曲の福音史家役として引っ張りだこでもありました。80歳を超えても現役を続け、亡くなる年にも草津のアカデミーに講師として参加する意向を示していたといいます。
本録音は、71歳の時のヘフリガーの歌唱になりますが、流石に盛期のような声は期待できません。
しかし、よれよれながら、それを逆に枯淡の境地へと転化させてしまう語り口の説得力は、おいそれと真似できない芸風です。
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