1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Gioachino Rossini: La gazza ladra
Cesare Valletti (T: Giannetto)
Flora Rafanelli (Ms: Lucia)
Gino Orlandini (Bs: Fabrizio)
Nicoletta Panni (S: Ninetta)
Paolo Montarsolo (Bs: Fernando)
Paolo Washington (Bs: Gottardo)
Anna Maria Rota (A: Pippo)
Robert Ferraro (T: Isacco)
Enzo Guagni (T: Antonio)
Valiano Natali (Bs: Giorgio)
Manlio Micheli (Bs: Ernesto)
Nello Piccolo (Bs: The Judge)
Flora Rafanelli (Ms: Lucia)
Gino Orlandini (Bs: Fabrizio)
Nicoletta Panni (S: Ninetta)
Paolo Montarsolo (Bs: Fernando)
Paolo Washington (Bs: Gottardo)
Anna Maria Rota (A: Pippo)
Robert Ferraro (T: Isacco)
Enzo Guagni (T: Antonio)
Valiano Natali (Bs: Giorgio)
Manlio Micheli (Bs: Ernesto)
Nello Piccolo (Bs: The Judge)
Orchestra & Chorus of Maggio Musicale Fiorentino / Bruno Bartoletti
(Rec. 11 May 1965, Florence) Live Recording with Applause
イタリアの作曲家、ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini, 1792-1868)の《泥棒かささぎ》は、1817年に発表した作品。
転用・流用が好きだったロッシーニでしたが、本オペラでは全部最初から書き下ろしています。
台本は、テオドア・ボードゥアン・ドービニーとルイ=シャルル・ケーニエが書いた戯曲『パリゾーの召使』を元に、ジョヴァンニ・ゲラルディーニ(Giovanni Gherardini, 1778-1861)が喜劇化したものを用いています。
話のあらすじは、大まかに以下の通り。
第一幕
舞台は、イタリアのとある田舎。
ヴィングラディート家は、パーティーの準備に忙しい。若い農夫のピッポも駆り出されている。
当主ファブリツィオの息子のジャンネットが兵役から戻ってくるのだ。
ペッポは、自分を呼ぶ声にきょろきょろあたりを見回すが、誰もいない。
その声の主が、カササギの声だと分かり、ペッポは、家の人たちから大笑いされてしまう。
ジャンネットの母親のルチアがテキパキと女中に指令を与えているそばで、ファブリツィオはシャンパンを持ってうろついている。
ルチアは、女中のニネッタの物忘れのひどさをファブリツィオに愚痴る。ニネッタはジャンネットの恋人でもある。
ファブリツィオは、兵役から戻ってこないニネッタの父親のことを話し、ニネッタのことを大目に見てやろうとルチアにいう。
苺摘みに出かけていたニネッタが戻ってきて、ジャンネットが帰還する喜びを歌っていると、ルチアに捕まり、小言を言われる。
そこに行商のイザッコが現れるが、ルチアに追い返されてしまう。
ファブリツィオは、機転をきかせて、ニネッタと一緒にジャンネットを迎えに行くことにした。
ジャンネットが帰ってきて、パーティーが盛大に行われるたが、パーティー終了後に、ニネッタが一人でいるときに、ニネッタの父親であるフェルナンドが姿を現す。
フェルナンドは、娘に会いたいあまり、脱走兵になってしまったのだった。無一文になったフェルナンドだったが、食器を持っていたので、ニネッタにそれを渡し、換金して栗の木の下に埋めるように言う。
そこに、代官のゴッタルドが、自分の手ぬかりのなさを歌いながらやってくるので、ニネッタはフェルナンドをかくまう。
ニネッタを見つけたゴッタルドは、召使のジョルジオに書類を持って来させてニネッタにそれを読ませ、ニネッタを口説きにかかる。
しかし、ニネッタは、その書類が父親に関する書類だということに気づいて適当に読み、ゴッタルドの誘いを断る。
振られて地団太を踏むゴッタルドと、それを見て憤るフェルナンドの隙をついてカササギが現れ、部屋にあった銀のスプーンをくわえてどこかに飛んで行ってしまう。
ニネッタは、行商のイザッコに会い、父から貰った食器を売り、イザッコに口止めをする。
丁度その時、ルチアとファブリツィオは、銀食器のチェックをしていたが、銀のスプーンが無くなっていることに気づいて騒ぎだす。その場に居合わせたゴッタルドは、盗みを働いたものを死刑にすると言い出し、ニネッタに目をつける。
ニネッタの持っていた父親の皿を売ったお金を銀食器を売ったお金だと主張するゴッタルドは、イザッコを呼び寄せて、ニネッタから食器を買ったことを白状させ、ニネッタを拘束してしまった。
第二幕
拘留されたニネッタの牢屋に、ジャンネットがやってきて、どうにかニネッタの冤罪を証明したいという。
入れ替わりにゴッタルドがやってきて、自分の愛人になるなら無罪で釈放してやると取引を持ちかけるが、ニネッタは、「それなら死んだ方がまし」と答えた。
代官と入れ替わりにピッポがやってくるが、ニネッタは、ピッポにお金の入った袋を渡して、栗の木の下に埋めるように頼む。
ルチアも、ニネッタが盗みを働くような子ではないだろうと思うようになっていた。
そこにフェルナンドが訪ねてきて、ニネッタの姿が見えないことを訊ね、ルチアはフェルナンドに事の次第を話した。
事の仔細をきいたフェルナンドは、ニネッタの無実を証明しようと、裁判所に向かうのだった。
裁判所では、ニネッタが死刑宣告を受けているところだった。そこにフェルナンドがやってきて、事の真相を話すが聞き届けてもらえず、逆に脱走兵として身柄を拘束されてしまう。
そのころ、フェルナンドの友人のエルネストが、国王から恩赦を取り付け、フェルナンドに会いに来ていた。
その道すがらで、エルネストはピッポに出会い、ヴィングラディート家への道を尋ねた。
エルネストに道を教えたピッポは、ニネッタからもらったお金を数えていたが、そこにカササギが現れ、銀貨をくわえて飛んで行ってしまった。
ピッポはカササギを追いかけていった。
ニネッタは、死刑囚として刑場にひっ立てられようとしていた。
教会の前で立ち止まったニネッタは、そこでしばしお祈りを捧げていたが、その教会の鐘楼には、カササギを追いかけてきたピッポがいた。
ピッポは、看守のアントーニオと協力して鐘楼を鳴らし、人々に、銀食器を盗んだ犯人がカササギであることを告げた。
鐘楼にあったカササギの巣から銀食器やら銀貨やらが出てきて、ニネッタは逆転無罪となった。
そこにエルネストが現れ、国王の恩赦によるフェルナンドの釈放も決まる。
ニネッタは駆け付けたジャンネットの胸に抱かれて幸せをかみしめるのだった。
本CDのキャストは、以下の通りです。
チェーザレ・ヴァレッティ (ジャンネット)
フローラ・ラファネッリ (ルチア)
ジーノ・オルランディーニ (ファブリツィオ)
ニコレッタ・パンニ (ニネッタ)
パオロ・モンタルソロ (フェルナンド)
パオロ・ワシントン (ゴッタルド)
アンナ・マリア・ローザ (ピッポ)
ロベルト・フェラーロ (イザッコ)
エンツォ・グアーニ (アントーニオ)
ヴァリアーノ・ナターリ (ジョルジオ)
マンリオ・ミケーリ (エルネスト)
ネッロ・ピッコロ (裁判官)
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団&合唱団/ブルーノ・バルトレッティ
バルトレッティ(Bruno Bartoletti, 1926-)は、フィレンツェで生まれ育った指揮者です。地元のケルビーニ音楽院を卒業後は、フィレンツェ市立歌劇場のコレペティトゥーアを務め、トゥリオ・セラフィンやディミトリ・ミトロプーロスらの助手として研鑽を積んだ人です。1953年にヴェルディの《リゴレット》の上演を任されて指揮者デビューを果たしました。1999年に第一線を退くまで、18世紀から20世紀までの幅広いオペラのジャンルを演奏しています。本録音は、バルトレッティが1957年から務めていたフィレンツェ五月音楽祭の芸術監督を辞し、ローマ歌劇場に転出する頃に行われた、フィレンツェ五月音楽祭のプロダクションです。
録音状態は必ずしもよいほうではなく、1950年代のモノラル録音として提示されても分からないほどのっ状態ですが、ヴァレッティ(Cesare Valletti, 1922-2000)、ラファネッリ(Flora Rafanelli, 1930-)、オルランディーニ(Gino Orlandini)、パンニ(Nicoletta Panni, 1933-)、モンタルソロ(Paolo Montarsolo, 1925-2006)、ワシントン(Paolo Washington, 1932-2008)など、1950年代から1960年代のイタリア・オペラを支えた歌手たちが顔を合わせている点で、イタリア・オペラ好きの食指を動かすに足る録音だとおもいます。
ライヴ録音なので、歌手たちが舞台に上がるたびに、聴衆がどよめいたり拍手をしたりします。スタジオ録音に慣れた耳には、いささか騒がしいかもしれませんが、慣れてしまえば、オペラ上演の雰囲気を味わうことができるでしょう。
バルトレッティの指揮は非常に慎重です。オーケストラの技量も、木管楽器のセクションが良く小回りがきくものの、弦楽セクションの腰が重く、思ったほどリズムが弾みません。序曲は、喜遊曲というよりは、交響曲でも演奏しているかのような物々しさがあります。
本編に入っても、ピッポがカササギにからかわれる場面までは演奏がカチカチに固まっていますが、苺摘みから帰ってきたニネッタのアリア〈私の周りがみんな〉あたりから、次第に硬さがとれてきます。これは、ひとえにニネッタ役のパンニの溌剌とした歌唱に依るところが大きく、このパンニの歌うアリアの後では、オーケストラの緊張もすっかりほぐれて、ごく自然な伴奏になっています。
ジャンネットがニネッタに歌う〈さあ、僕の腕の中に〉では、抒情的なヴァレッティの歌唱の雰囲気を壊さず、しっかりとした伴奏がつけられています。
第2幕も、牢獄に入ったニネッタにゴッタルドが歌うアリア〈そうだよ可愛い子ちゃん、君のために〉のくだりで、オーケストラのアンサンブルの集中力が切れてしまうものの、すぐに持ち直し、ニネッタの裁判の場面では、重厚でドラマティックな音楽が展開されています。
娘の冤罪を知って裁判所に訴え出るフェルナンドのアリア〈盗みで訴えられたと〉は、モンタルソロのスケールの大きな歌唱が素晴らしく、この演奏に貫録を与えています。
全体的には、オーケストラの出来栄えに波があるのと、録音状態が粗雑なのとで、必ずしも決定的な名演奏とは言えません。レチタティーフのカットも散見されますが、贅沢をいわばければ、このオペラの雰囲気をしっかりと伝えてくれる演奏です。
転用・流用が好きだったロッシーニでしたが、本オペラでは全部最初から書き下ろしています。
台本は、テオドア・ボードゥアン・ドービニーとルイ=シャルル・ケーニエが書いた戯曲『パリゾーの召使』を元に、ジョヴァンニ・ゲラルディーニ(Giovanni Gherardini, 1778-1861)が喜劇化したものを用いています。
話のあらすじは、大まかに以下の通り。
第一幕
舞台は、イタリアのとある田舎。
ヴィングラディート家は、パーティーの準備に忙しい。若い農夫のピッポも駆り出されている。
当主ファブリツィオの息子のジャンネットが兵役から戻ってくるのだ。
ペッポは、自分を呼ぶ声にきょろきょろあたりを見回すが、誰もいない。
その声の主が、カササギの声だと分かり、ペッポは、家の人たちから大笑いされてしまう。
ジャンネットの母親のルチアがテキパキと女中に指令を与えているそばで、ファブリツィオはシャンパンを持ってうろついている。
ルチアは、女中のニネッタの物忘れのひどさをファブリツィオに愚痴る。ニネッタはジャンネットの恋人でもある。
ファブリツィオは、兵役から戻ってこないニネッタの父親のことを話し、ニネッタのことを大目に見てやろうとルチアにいう。
苺摘みに出かけていたニネッタが戻ってきて、ジャンネットが帰還する喜びを歌っていると、ルチアに捕まり、小言を言われる。
そこに行商のイザッコが現れるが、ルチアに追い返されてしまう。
ファブリツィオは、機転をきかせて、ニネッタと一緒にジャンネットを迎えに行くことにした。
ジャンネットが帰ってきて、パーティーが盛大に行われるたが、パーティー終了後に、ニネッタが一人でいるときに、ニネッタの父親であるフェルナンドが姿を現す。
フェルナンドは、娘に会いたいあまり、脱走兵になってしまったのだった。無一文になったフェルナンドだったが、食器を持っていたので、ニネッタにそれを渡し、換金して栗の木の下に埋めるように言う。
そこに、代官のゴッタルドが、自分の手ぬかりのなさを歌いながらやってくるので、ニネッタはフェルナンドをかくまう。
ニネッタを見つけたゴッタルドは、召使のジョルジオに書類を持って来させてニネッタにそれを読ませ、ニネッタを口説きにかかる。
しかし、ニネッタは、その書類が父親に関する書類だということに気づいて適当に読み、ゴッタルドの誘いを断る。
振られて地団太を踏むゴッタルドと、それを見て憤るフェルナンドの隙をついてカササギが現れ、部屋にあった銀のスプーンをくわえてどこかに飛んで行ってしまう。
ニネッタは、行商のイザッコに会い、父から貰った食器を売り、イザッコに口止めをする。
丁度その時、ルチアとファブリツィオは、銀食器のチェックをしていたが、銀のスプーンが無くなっていることに気づいて騒ぎだす。その場に居合わせたゴッタルドは、盗みを働いたものを死刑にすると言い出し、ニネッタに目をつける。
ニネッタの持っていた父親の皿を売ったお金を銀食器を売ったお金だと主張するゴッタルドは、イザッコを呼び寄せて、ニネッタから食器を買ったことを白状させ、ニネッタを拘束してしまった。
第二幕
拘留されたニネッタの牢屋に、ジャンネットがやってきて、どうにかニネッタの冤罪を証明したいという。
入れ替わりにゴッタルドがやってきて、自分の愛人になるなら無罪で釈放してやると取引を持ちかけるが、ニネッタは、「それなら死んだ方がまし」と答えた。
代官と入れ替わりにピッポがやってくるが、ニネッタは、ピッポにお金の入った袋を渡して、栗の木の下に埋めるように頼む。
ルチアも、ニネッタが盗みを働くような子ではないだろうと思うようになっていた。
そこにフェルナンドが訪ねてきて、ニネッタの姿が見えないことを訊ね、ルチアはフェルナンドに事の次第を話した。
事の仔細をきいたフェルナンドは、ニネッタの無実を証明しようと、裁判所に向かうのだった。
裁判所では、ニネッタが死刑宣告を受けているところだった。そこにフェルナンドがやってきて、事の真相を話すが聞き届けてもらえず、逆に脱走兵として身柄を拘束されてしまう。
そのころ、フェルナンドの友人のエルネストが、国王から恩赦を取り付け、フェルナンドに会いに来ていた。
その道すがらで、エルネストはピッポに出会い、ヴィングラディート家への道を尋ねた。
エルネストに道を教えたピッポは、ニネッタからもらったお金を数えていたが、そこにカササギが現れ、銀貨をくわえて飛んで行ってしまった。
ピッポはカササギを追いかけていった。
ニネッタは、死刑囚として刑場にひっ立てられようとしていた。
教会の前で立ち止まったニネッタは、そこでしばしお祈りを捧げていたが、その教会の鐘楼には、カササギを追いかけてきたピッポがいた。
ピッポは、看守のアントーニオと協力して鐘楼を鳴らし、人々に、銀食器を盗んだ犯人がカササギであることを告げた。
鐘楼にあったカササギの巣から銀食器やら銀貨やらが出てきて、ニネッタは逆転無罪となった。
そこにエルネストが現れ、国王の恩赦によるフェルナンドの釈放も決まる。
ニネッタは駆け付けたジャンネットの胸に抱かれて幸せをかみしめるのだった。
本CDのキャストは、以下の通りです。
チェーザレ・ヴァレッティ (ジャンネット)
フローラ・ラファネッリ (ルチア)
ジーノ・オルランディーニ (ファブリツィオ)
ニコレッタ・パンニ (ニネッタ)
パオロ・モンタルソロ (フェルナンド)
パオロ・ワシントン (ゴッタルド)
アンナ・マリア・ローザ (ピッポ)
ロベルト・フェラーロ (イザッコ)
エンツォ・グアーニ (アントーニオ)
ヴァリアーノ・ナターリ (ジョルジオ)
マンリオ・ミケーリ (エルネスト)
ネッロ・ピッコロ (裁判官)
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団&合唱団/ブルーノ・バルトレッティ
バルトレッティ(Bruno Bartoletti, 1926-)は、フィレンツェで生まれ育った指揮者です。地元のケルビーニ音楽院を卒業後は、フィレンツェ市立歌劇場のコレペティトゥーアを務め、トゥリオ・セラフィンやディミトリ・ミトロプーロスらの助手として研鑽を積んだ人です。1953年にヴェルディの《リゴレット》の上演を任されて指揮者デビューを果たしました。1999年に第一線を退くまで、18世紀から20世紀までの幅広いオペラのジャンルを演奏しています。本録音は、バルトレッティが1957年から務めていたフィレンツェ五月音楽祭の芸術監督を辞し、ローマ歌劇場に転出する頃に行われた、フィレンツェ五月音楽祭のプロダクションです。
録音状態は必ずしもよいほうではなく、1950年代のモノラル録音として提示されても分からないほどのっ状態ですが、ヴァレッティ(Cesare Valletti, 1922-2000)、ラファネッリ(Flora Rafanelli, 1930-)、オルランディーニ(Gino Orlandini)、パンニ(Nicoletta Panni, 1933-)、モンタルソロ(Paolo Montarsolo, 1925-2006)、ワシントン(Paolo Washington, 1932-2008)など、1950年代から1960年代のイタリア・オペラを支えた歌手たちが顔を合わせている点で、イタリア・オペラ好きの食指を動かすに足る録音だとおもいます。
ライヴ録音なので、歌手たちが舞台に上がるたびに、聴衆がどよめいたり拍手をしたりします。スタジオ録音に慣れた耳には、いささか騒がしいかもしれませんが、慣れてしまえば、オペラ上演の雰囲気を味わうことができるでしょう。
バルトレッティの指揮は非常に慎重です。オーケストラの技量も、木管楽器のセクションが良く小回りがきくものの、弦楽セクションの腰が重く、思ったほどリズムが弾みません。序曲は、喜遊曲というよりは、交響曲でも演奏しているかのような物々しさがあります。
本編に入っても、ピッポがカササギにからかわれる場面までは演奏がカチカチに固まっていますが、苺摘みから帰ってきたニネッタのアリア〈私の周りがみんな〉あたりから、次第に硬さがとれてきます。これは、ひとえにニネッタ役のパンニの溌剌とした歌唱に依るところが大きく、このパンニの歌うアリアの後では、オーケストラの緊張もすっかりほぐれて、ごく自然な伴奏になっています。
ジャンネットがニネッタに歌う〈さあ、僕の腕の中に〉では、抒情的なヴァレッティの歌唱の雰囲気を壊さず、しっかりとした伴奏がつけられています。
第2幕も、牢獄に入ったニネッタにゴッタルドが歌うアリア〈そうだよ可愛い子ちゃん、君のために〉のくだりで、オーケストラのアンサンブルの集中力が切れてしまうものの、すぐに持ち直し、ニネッタの裁判の場面では、重厚でドラマティックな音楽が展開されています。
娘の冤罪を知って裁判所に訴え出るフェルナンドのアリア〈盗みで訴えられたと〉は、モンタルソロのスケールの大きな歌唱が素晴らしく、この演奏に貫録を与えています。
全体的には、オーケストラの出来栄えに波があるのと、録音状態が粗雑なのとで、必ずしも決定的な名演奏とは言えません。レチタティーフのカットも散見されますが、贅沢をいわばければ、このオペラの雰囲気をしっかりと伝えてくれる演奏です。
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