1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
CD1:
◈Franz Schubert: Piano Sonata No.20 in A major, D959
◈Franz Schubert: Piano Sonata No.1 in E major, D157
◈Franz Schubert: Piano Sonata No.14 in A minor, D784
Walter Klien (Pf)
(Rec. Between November 1971 and September 1973)
CD2:
◈Franz Schubert: Piano Sonata No.17 in D major, D850
◈Franz Schubert: Piano Sonata No.13 in A major, D664
◈Franz Schubert: Piano Sonata No.2 in C major, D279
Walter Klien (Pf)
(Rec. Between November 1971 and September 1973)
オーストリアのピアニスト、ヴァルター・クリーン(Walter Klien, 1928-1991)によるフランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)のピアノ・ソナタ全集の第2集です。
最初に収録されているのは、シューベルトが亡くなった年に書き上げた3つのソナタの2つ目です。
この第20番のソナタも4楽章構成で、40分以上の演奏時間を要する大掛かりなソナタですが、晩年の3つのソナタを一括りにして考えれば、このソナタは、さしずめ緩徐楽章に位置する作品といえます。
第1楽章は、ドラマチックなクライマックスを避け、敬愛するルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの音楽からわざわざ距離をとろうとしている節があります。その代り、第2楽章の中間部に感情的爆発を挟んでおり、ただだらだらと流れていくような展開の引き締めを行っています。技巧的なお楽しみの第3楽章を経て、第4楽章では、第4番のソナタ(D537)の回想を行っており、晩年のシューベルトの心境を忖度できる仕上がりになっています。
次に収録される第1番のソナタは、1815年の作品。一応3楽章からなり、ひねった転調もあまりなく、非常に素直な作品に仕上がっています。第3楽章がメヌエットとして作曲されていることから、4章立てで構想していたのではないかと考えられています。
第14番のソナタは、1823年の作品。前年に《さすらい人幻想曲》を作ったシューベルトが久々に作ったソナタということで、デモーニッシュな表現が目指されています。全部で3楽章からなり、第1楽章は、地面をはいずり回るような主題に支配されています。第2楽章は、第1楽章と好対照をなし、一条の光が差し込むような美しいメロディが奏でられます。第3楽章では、厳格なカノンを主題として提示し、柔和でメロディアスな主題を並置してメリハリをつけています。
第17番のソナタは、1825年の作品。友人のカール・マリア・フォン・ボックレットというピアニストのために書いた作品で、40分近い演奏時間を要求する大作です。
4楽章構成で、第1楽章では、堂々たる第一主題とトリッキーな第二主題の対比が際立ちます。シューベルト特有のひねった転調で巧妙に主題を展開している点にも、シューベルトの手慣れっぷりが見えます。
第2楽章から第3楽章にかけては、4分の3拍子ながら、8分の6拍子ともとれるモチーフを多用して拍節感を曖昧にさせるような実験的手法を試しています。
第4楽章は、これまでのエピソードが何でもなかったかのような、陽気で軽妙な音楽になっています。全体的なソナタのバランスから、もっと威容のある音楽を配置すべきだったという意見もありますが、作品の規模をはぐらかして哄笑しているような面白味もあります。
第13番のソナタは、1819年の作とも、1825年の作とも言われているソナタです。
3楽章形式をとり、シューベルトの作品の中では凝ったピアノ書法が見られず、簡潔明瞭な作品としてよく演奏会で取り上げられます。
両端楽章の美しいメロディの溌剌とした提示も魅力的ですが、特に第2楽章の陰影に富んだ音楽に作品の要があります。
第2番のソナタは、第1番のソナタと同じ時期の作品で、第1番同様、メヌエットで終わる3楽章形式の作品。
この作品も4楽章の作品として計画されたのではないかと考えられています。第1番同様に、さしてひねったところもなく、素直に聞くことができます。そこに埋め込まれているメロディの可憐さは、メロディ・メーカーとしてのシューベルトの才能の片鱗を感じさせます。
クリーンの演奏は、なんの衒いもなく、各ソナタに敷き詰められた妙なるハーモニーとメロディを一つ一つ丁寧に掘り起こし、それぞれを楽しんでいるかのように演奏しています。形式的にバランスが悪いと陰口をたたかれる17番のソナタにしても、まるで美しきメロディのカタログのようであり、作品の欠点を気にせずにうっとりと聴きほれることができます。
最初に収録されているのは、シューベルトが亡くなった年に書き上げた3つのソナタの2つ目です。
この第20番のソナタも4楽章構成で、40分以上の演奏時間を要する大掛かりなソナタですが、晩年の3つのソナタを一括りにして考えれば、このソナタは、さしずめ緩徐楽章に位置する作品といえます。
第1楽章は、ドラマチックなクライマックスを避け、敬愛するルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの音楽からわざわざ距離をとろうとしている節があります。その代り、第2楽章の中間部に感情的爆発を挟んでおり、ただだらだらと流れていくような展開の引き締めを行っています。技巧的なお楽しみの第3楽章を経て、第4楽章では、第4番のソナタ(D537)の回想を行っており、晩年のシューベルトの心境を忖度できる仕上がりになっています。
次に収録される第1番のソナタは、1815年の作品。一応3楽章からなり、ひねった転調もあまりなく、非常に素直な作品に仕上がっています。第3楽章がメヌエットとして作曲されていることから、4章立てで構想していたのではないかと考えられています。
第14番のソナタは、1823年の作品。前年に《さすらい人幻想曲》を作ったシューベルトが久々に作ったソナタということで、デモーニッシュな表現が目指されています。全部で3楽章からなり、第1楽章は、地面をはいずり回るような主題に支配されています。第2楽章は、第1楽章と好対照をなし、一条の光が差し込むような美しいメロディが奏でられます。第3楽章では、厳格なカノンを主題として提示し、柔和でメロディアスな主題を並置してメリハリをつけています。
第17番のソナタは、1825年の作品。友人のカール・マリア・フォン・ボックレットというピアニストのために書いた作品で、40分近い演奏時間を要求する大作です。
4楽章構成で、第1楽章では、堂々たる第一主題とトリッキーな第二主題の対比が際立ちます。シューベルト特有のひねった転調で巧妙に主題を展開している点にも、シューベルトの手慣れっぷりが見えます。
第2楽章から第3楽章にかけては、4分の3拍子ながら、8分の6拍子ともとれるモチーフを多用して拍節感を曖昧にさせるような実験的手法を試しています。
第4楽章は、これまでのエピソードが何でもなかったかのような、陽気で軽妙な音楽になっています。全体的なソナタのバランスから、もっと威容のある音楽を配置すべきだったという意見もありますが、作品の規模をはぐらかして哄笑しているような面白味もあります。
第13番のソナタは、1819年の作とも、1825年の作とも言われているソナタです。
3楽章形式をとり、シューベルトの作品の中では凝ったピアノ書法が見られず、簡潔明瞭な作品としてよく演奏会で取り上げられます。
両端楽章の美しいメロディの溌剌とした提示も魅力的ですが、特に第2楽章の陰影に富んだ音楽に作品の要があります。
第2番のソナタは、第1番のソナタと同じ時期の作品で、第1番同様、メヌエットで終わる3楽章形式の作品。
この作品も4楽章の作品として計画されたのではないかと考えられています。第1番同様に、さしてひねったところもなく、素直に聞くことができます。そこに埋め込まれているメロディの可憐さは、メロディ・メーカーとしてのシューベルトの才能の片鱗を感じさせます。
クリーンの演奏は、なんの衒いもなく、各ソナタに敷き詰められた妙なるハーモニーとメロディを一つ一つ丁寧に掘り起こし、それぞれを楽しんでいるかのように演奏しています。形式的にバランスが悪いと陰口をたたかれる17番のソナタにしても、まるで美しきメロディのカタログのようであり、作品の欠点を気にせずにうっとりと聴きほれることができます。
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