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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Adolf Busch: Quintett for alto saxophone, two violins, viola and cello
Kyle Horch (Sax)
Fenella Barton (1st Vn)
Urlike Kipp (2nd Vn)
James Boyd (Vla)
Louise Hopkins (Vc)
(Rec. 1999, Big School, Christ Hospital, Horsham)
◈Charles Koechlin: Épitaphe de Jean Harlow, op.164
Kyle Horch (Sax)
Karen Jones (Fl)
Pamela Lidiard (Pf)
(Rec. 1999, Big School, Christ Hospital, Horsham)
◈Paul Hindemith: Trio, op.47 for Viola, Tenor Saxophone and Piano
Kyle Horch (Sax)
Katrine Reinhold Bundgaard (Vla)
Pamela Lidiard (Pf)
(Rec. 1999, Big School, Christ Hospital, Horsham)
◈Anton Webern: Quartett, op.22
Kyle Horch (Sax)
Fenella Barton (Vn)
John Payne (Cl)
Pamela Lidiard (Pf)
(Rec. 1999, Big School, Christ Hospital, Horsham)
◈Joaquín Nin: Le Chant du Veilleur, Estampe Hollandaise
Margaret Maguire (Ms)
Kyle Horch (A-Sax)
Pamela Lidiard (Pf)
(Rec. 1999, Big School, Christ Hospital, Horsham)
◈Heitor Villa-Lobos: Quartuor for harp, celeste, flute, alto saxophone, and female voices
Alison Wells (S)
Sarah Redgwick (S)
Margaret Maguire (Ms)
Siân Wigley Williams (Ms)
Kyle Horch (Sax)
Pamela Lidiard (Celst)
(Rec. 1999, Big School, Christ Hospital, Horsham)



1840年代に生まれたサクソフォーンは、今やクラシック音楽に限らず、様々な音楽シーンで根強い人気を誇っています。
本CDでは、そんなサクソフォーンを使った様々な室内音楽を聴くことができます。
演目は以下の通りです。
▨ アドルフ・ブッシュ:サクソフォーン五重奏曲
カイル・ホーク (Sax)
フェネラ・バートン (1st Vn)
ウルリケ・キップ (2nd Vn)
ジェームス・ボイド (Vla)
ルイーゼ・ホプキンス (Vc)
▨ シャルル・ケクラン:ジーン・ハーロウの墓碑
カイル・ホーク (Sax)
カレン・ジョーンズ (Fl)
パメラ・リディアード (Pf)
▨ パウル・ヒンデミット:三重奏曲
カイル・ホーク (Sax)
カトリーヌ・ランホルト・ブントゴー (Vla)
パメラ・リディアード (Pf)
▨ アントン・ウェーベルン:四重奏曲
カイル・ホーク (Sax)
フェネラ・バートン (1st Vn)
ジョン・ペイン (Cl)
パメラ・リディアード (Pf)
▨ ホアキン・ニン:オランダ版画《夜警の歌》
マーガレット・マグワイア (Ms)
カイル・ホーク (Sax)
フェネラ・バートン (Vn)
ジョン・ペイン (Cl)
パメラ・リディアード (Pf)
▨ エイトル・ヴィラ=ロボス:四重奏曲(ハープ、チェレスタ、フルート、サクソフォーンと女声のための)
アリソン・ウェルズ (S)
サラ・レグウィック (S)
マーガレット・マグワイア (Ms)
シアン・ウィグレイ・ウィリアムス (Ms)
カイル・ホーク (Sax)
フェネラ・バートン (1st Vn)
ジョン・ペイン (Cl)
パメラ・リディアード (Celst)

本CDの演奏はアメリカ人サクソフォニストのカイル・ホーク(Kyle Horch, 1964-)を中心に、彼の友達が集まって録音したのだとか。
ホークは、シカゴのノースウェスタン大学でフレデリック・ヘムケの薫陶を受け、さらにイギリスに渡ってギルドホール音楽院でスティーヴン・トゥリエに学んだ人。現在はロンドンの王立音楽院の教授を務めながら、イギリス国内外のオーケストラにフリーランスの立場で出演しているのだとか。
共演陣は、ボーンマス交響楽団の首席フルート奏者を歴任していたり、コヴェント・ガーデン王立歌劇場のヴァイオリニストだったり、スティーヴン・イッサーリスとラファエル・ウォルフィッシュに学んだチェリストだったりと、イギリスで活躍している俊英のミュージシャンが集まっています。
アンサンブルに長けた腕っこきの集まりであり、どの曲でもそれぞれの勘所を捉えた演奏を聴かせます。

本CDの最初に収録されているサクソフォーン五重奏曲の作曲者は、A.ブッシュ(Adolf Busch, 1891-1952)です。
彼は、ドイツで高名なヴァイオリニストで、ブッシュ四重奏団を結成したり、自前の室内管弦楽団を組織したりと、活発な演奏活動を展開していました。若い頃に作曲家のマックス・レーガーと交流を持ち、そのレーガーの影響で作曲活動にも精を出し、生涯に70を超える作品を書いたそうですが、ブッシュの名声はヴァイオリニストとしてのほうが高く、作曲家としての活動の全貌は、まだこれから明らかになろうかというところです。
このサクソフォーン五重奏曲は、1925年に作曲されましたが、1982年まで未公刊だった作品です。
全部で3つの楽章からなりますが、中間楽章はスケルツォを配し、終楽章は緩徐楽章のような音楽になっています。ひょっとすると、元々4楽章構成だったものが最後の一楽章が行方不明になったのかもしれませんし、最後の楽章に着手せずに放置したのかもしれません。

ケクラン(Charles Koechlin, 1867-1950)は、ガブリエル・フォーレ門下のフランスの作曲家です。この《ジーン・ハーロウの墓碑》は、1937年にケクランが書いたサクソフォーンとフルートとピアノのための小品です。ケクランは、アメリカ映画の名優たちを題材に作品を書くほどの映画ファンでしたが、1937年のジーン・ハーロウ逝去の報は、ケクランにとって少なからぬショックだったようです。ハーロウは、1930年代のアメリカを風靡したハリウッド女優でしたが、26歳の若さで病死しています。妖艶さとさわやかさを併せ持った名女優としての彼女のイメージを、ピアノ伴奏つきのサクソフォーンとフルートで描き出しており、この女優へのケクランの思い入れの程が偲ばれます。

ドイツの作曲家であるヒンデミット(Paul Hindemith, 1895-1963)は、様々なジャンルに多岐にわたる作品を書き残しましたが、1920年代の彼は、矢継ぎ早に室内楽曲を手掛けています。本CDに収録されている三重奏曲は、ヘッケルホーンとヴィオラとピアノのための作品として1928年に作曲されたものです。ヘッケルホーンとは、バリトン・オーオエの改良型として1904年に開発された楽器です。しかし、作曲当時は、まだ楽器が普及しておらず、ヒンデミット自身によってテナー・サクソフォーンでの代用が認められています。
曲は2つの楽章からなり、第1楽章は、調性のはっきりしないピアノ独奏の部分と、サクソフォーンとのデュエット、ヴィオラを加えた三重奏の部分から成ります。第2楽章は、ヒンデミットによって〈ポプリ〉と名付けられており、民謡調のメロディの断片が明滅します。「ポプリ」というのは、雑多な食材をごった煮にする鍋料理からきており、取りとめのないメドレーのことです。

ヒンデミットと同時期に活躍したオーストリア人作曲家のウェーベルン(Anton Webern, 1883-1945)は、アルノルト・シェーンベルク門下で、師のシェーンベルクや同僚のアルバン・ベルクらとともに、十二音音楽の開発と普及に尽力したことで知られています。ウェーベルンは、音の高さのみならず、音色まで操作しようとしており、彼の作風に20世紀後半に席巻したトータル・セリーの萌芽を見出す人もいます。
1930年に発表された、本CD所収の四重奏曲も、テナー・サクソフォーン、ヴァイオリン、クラリネットとピアノという、それぞれ個性的な音色を持つ楽器を組み合わせ、音列の断片をそれぞれの楽器に受け渡しをさせることで、音のモザイクのような聴感上の面白さを生み出しています。

ニン(Joaquín Nin, 1879-1949)は、キューバの作曲家で、モーリス・ラヴェルとの交流で知られています。
モーリッツ・モシュコフスキ門下のピアニストであり、ヴァンサン・ダンディの創設したスコラ・カントルムで作曲を学んだように、ニンは、あまりウェーベルンらのような無調音楽の方法には興味を示しませんでした。1933年に作曲された《夜警の歌》は、メゾ・ソプラノとヴァイオリンとピアノのための作品で、敢えてメロディアスな作品に仕上げています。ニン自身は、ジャン=マリー・ロンデックスのサクソフォーン演奏に接し、このヴァイオリンのパートについてアルト・サクソフォーンでの演奏も許可するようになりました。本CDは、そのアルト・サクソフォーンでの演奏になります。

本CDの最後に収録しているのは、エイトル・ヴィラ=ロボス(Heitor Villa-Lobos, 1887-1959)の四重奏曲です。
この四重奏曲は、編成が一風変わっていて、ハープ、チェレスタ、サクソフォーン、フルートに、女声合唱が加わります。
この作品は、ブラジルの芸術面での後援者だったダーニャ・ラウリンダ・サントス・ロホへの献辞とともに1921年に発表された作品ですが、その前の年には、ヴィラ=ロボス自らの手で、クロード・ドビュッシーの夜想曲やフルートとハープとヴィオラのためのソナタなどの作品をリオ・デ・ジャネイロで紹介しており、この時紹介したドビュッシーの作品に触発されて作曲したのではないかと考えられています。

以上の作品の中で、特に出来栄えのいい演奏は、私見では、ウェーベルンの四重奏曲だと思われます。
ウェーベルンの作品は、特に緊密なアンサンブルが求められますが、それぞれのパートの受け渡しを精緻に行うだけにとどまらず、まるでおしゃべりを楽しむかのような雰囲気を醸し出しています。作品の構造を赤裸々に暴きだすのではなく、作品を通して、お互いのコミュニケーションを楽しむところに、ウェーベルンの作品演奏の切り口の面白さがあります。
ケクランやヴィラ=ロボスの作品でも、ふんわりとした空気感の見事さが耳を惹きますが、ブッシュのサクソフォーン五重奏曲の第3楽章は、逆に響きが薄く、フランス系の作品ほどの適性は示していないようです。
それぞれの腕が達者なだけに、厳格なスタイルでの演奏も聴いてみたいところです。

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