1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Werner Egk: Abraxas
Landeskapelle Eisenach / Mark Mast
(Rec.4-6 July 2005, Theater Eisenach)
ドイツの作曲家、ヴェルナー・エック(Werner Egk, 1901-1983)のバレエ音楽《アブラクサス》です。
この《アブラクサス》は、ハインリヒ・ハイネの『ファウスト博士』という舞踊詩をバレエ音楽にした作品。ハイネの原作については、アドルフ・アダンが、このハイネの舞踊詩を元にバレエ音楽を作曲する予定だったようですが、上演先のロンドンのハー・マジェスティー劇場からストップがかかり、そのまま企画ごと御破算になってしまったようです。
カール・オルフ門下の作曲家として売り出し中の作曲家だったエックは、ルドルフ・フォン・ラバンの知己を得たり、1936年にベルリン・オリンピックのための舞踊音楽を書いたり、1937年のパリ万国博覧会に出かけて世界各国の舞踊を見て回ったりしてバレエ音楽の経験を積んでいました。ここでパリ・オペラ座のセルジュ・リファールからバレエ音楽を委嘱され、ハイネの作品による《アブラクサス》の作曲に取り掛かりました。しかし、リファールはエックに作曲の手数料の支払いを渋ったため、一旦上演計画が頓挫し、1948年の6月6日にミュンヘンのプリンツレゲンテン劇場で上演されるまで、お蔵入りになってしまいました。
ちなみに、「アブラクサス」は、古代の神霊の名前で、キリスト教の世界では悪魔を意味します。このタイトルにすることで、エックは、ハイネとヴォルフガング・フォン・ゲーテの世界をつなぎ、さらに古代のグノーシス信仰に思いをはせようとしました。
曲は、5つの部分から成り、最初の部分は〈協定〉(Der Pakt)と題して、アブラクサスとファウストが契約を結ぶ場面を表現します。第2の部分は〈関与〉(Die Verstrickung)と称して、ファウストとグレートヒェンの交わりを表現します。第3の〈混乱〉(Pandämonium)と第4の〈蜃気楼〉(Das Trugbild)で、かかる交渉の結果としての混沌を表現し、最後の〈和解〉(Die Begleochung)で、アブラクサスとの契約を破棄し、天に召されるファウストを表現します。
エックの音楽は、師匠のオルフ譲りのリズムの躍動感にあり、無調音楽と距離を撮った作風をとっています。
不協和音の使用に、師匠以上の先鋭さを感じますが、セルゲイ・プロコフィエフの音楽の二番煎じのようでもあります。
演奏は、レナード・バーンスタインとセルジュ・チェリビダッケの薫陶を受けたドイツ人指揮者のマルク・マスト(Mark Mast, 1962-)の指揮するアイゼナハ州立歌劇場管弦楽団ですが、作品から漂う皮肉っぽい味わいを見事に引き出しています。
リズム感もよく、各セクションのフットワークの軽さには心躍るものがあります。
しかし、全体的に小奇麗にまとめすぎ、作品が要求するであろう暴力的なダイナミズムは抉りきれていません。
この手の音楽であれば、アラム・ハチャトゥリアンの《ガヤネー》並みの土俗感やイーゴリ・ストラヴィンスキーの《春の祭典》のような破壊力を持たせることができるはずです。
ロシアのオーケストラであれば、どういう演奏を展開するでしょうか。
この《アブラクサス》は、ハインリヒ・ハイネの『ファウスト博士』という舞踊詩をバレエ音楽にした作品。ハイネの原作については、アドルフ・アダンが、このハイネの舞踊詩を元にバレエ音楽を作曲する予定だったようですが、上演先のロンドンのハー・マジェスティー劇場からストップがかかり、そのまま企画ごと御破算になってしまったようです。
カール・オルフ門下の作曲家として売り出し中の作曲家だったエックは、ルドルフ・フォン・ラバンの知己を得たり、1936年にベルリン・オリンピックのための舞踊音楽を書いたり、1937年のパリ万国博覧会に出かけて世界各国の舞踊を見て回ったりしてバレエ音楽の経験を積んでいました。ここでパリ・オペラ座のセルジュ・リファールからバレエ音楽を委嘱され、ハイネの作品による《アブラクサス》の作曲に取り掛かりました。しかし、リファールはエックに作曲の手数料の支払いを渋ったため、一旦上演計画が頓挫し、1948年の6月6日にミュンヘンのプリンツレゲンテン劇場で上演されるまで、お蔵入りになってしまいました。
ちなみに、「アブラクサス」は、古代の神霊の名前で、キリスト教の世界では悪魔を意味します。このタイトルにすることで、エックは、ハイネとヴォルフガング・フォン・ゲーテの世界をつなぎ、さらに古代のグノーシス信仰に思いをはせようとしました。
曲は、5つの部分から成り、最初の部分は〈協定〉(Der Pakt)と題して、アブラクサスとファウストが契約を結ぶ場面を表現します。第2の部分は〈関与〉(Die Verstrickung)と称して、ファウストとグレートヒェンの交わりを表現します。第3の〈混乱〉(Pandämonium)と第4の〈蜃気楼〉(Das Trugbild)で、かかる交渉の結果としての混沌を表現し、最後の〈和解〉(Die Begleochung)で、アブラクサスとの契約を破棄し、天に召されるファウストを表現します。
エックの音楽は、師匠のオルフ譲りのリズムの躍動感にあり、無調音楽と距離を撮った作風をとっています。
不協和音の使用に、師匠以上の先鋭さを感じますが、セルゲイ・プロコフィエフの音楽の二番煎じのようでもあります。
演奏は、レナード・バーンスタインとセルジュ・チェリビダッケの薫陶を受けたドイツ人指揮者のマルク・マスト(Mark Mast, 1962-)の指揮するアイゼナハ州立歌劇場管弦楽団ですが、作品から漂う皮肉っぽい味わいを見事に引き出しています。
リズム感もよく、各セクションのフットワークの軽さには心躍るものがあります。
しかし、全体的に小奇麗にまとめすぎ、作品が要求するであろう暴力的なダイナミズムは抉りきれていません。
この手の音楽であれば、アラム・ハチャトゥリアンの《ガヤネー》並みの土俗感やイーゴリ・ストラヴィンスキーの《春の祭典》のような破壊力を持たせることができるはずです。
ロシアのオーケストラであれば、どういう演奏を展開するでしょうか。
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