1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Ignacy Jan Paderewski: Polish Fantasy, op.19
Regina Smendzianka (Pf)
Warsaw National Philharmonic Orchestra / Stanisław Wisłocki
(Rec. 1964)
◈Ignacy Jan Paderewski: Symphony in B minor, op.24 "Polonia"Pomeranian Philharmonic Orchestra / Bohdan Wodiczko
(Rec. 1973)
イグナツィ・ヤン・パデレフスキ(Ignacy Jan Paderewski, 1860-1941)は、ポーランドの作曲家です。生前は世界的ピアニストとして一世を風靡し、20世紀に入ってからは、社会事業家を経て政治家となり、ポーランドの独立運動を主導しました。
ポーランド幻想曲は、1893年に作曲された作品で、本来のタイトルは「自作の主題によるピアノと管弦楽のための幻想ポロネーズ」(Fantasie polonaise sur des thèmes originaux pour piano et orchestra)といいます。
ポーランドの音楽文化と言えば、フレデリック・ショパンやヘンリク・ヴィエニャフスキが有名で、彼らが作曲したポーランド舞曲由来の作品を通してポーランド音楽は認知されていました。
パデレフスキは、ショパンやヴィエニャフスキの音楽が西欧諸国向きに鋳直されたポーランド音楽だと考え、自分の作品で、等身大のポーランドの音楽文化を伝えようと試みました。
ポーランドの民謡風のメロディとリズムを駆使したこの作品は、今日から見ると、職業ピアニストが作った派手な演奏会用の作品というほどのことでしかなくなっています。パデレフスキの作品もまた、ショパンやヴィエニャフスキの延長線上だということになりますが、20分以上もピアノとオーケストラをこねくり回してポーランドらしさを主張しようとした心意気は、賞賛に値します。
演奏は、レギナ・スメンジャンカ(Regina Smendzianka, 1924-)のピアノ独奏と、スタニスラフ・ヴィスウォツキ(Stanisław Wisłocki, 1921-1998)の指揮するワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団です。
スメンジャンカはポーランドのトルンに生まれたピアニストで、クラコウ国立音楽院でヘンリク・シュトンプカに師事し、1949年に開催されたショパン国際ピアノ・コンクールで11位入賞を果たしています。その後、ズヴィグニェフ・ジェヴィエツキの下で研鑽を積み、ポーランド有数のショパンの作品演奏のスペシャリストと見做されるようになりました。
ヴィスウォツキはポーランドに生まれながらも、パリのスコラ・カントールムやルーマニアのティミショアラ音楽院やブカレスト音楽院で研鑽をつんだ指揮者でした。ルーマニアではジョルジェ・シモニスに音楽理論を学び、エミール・ミハイルからピアノの指導を受けていました。第二次世界大戦後にはすぐに祖国に戻り、1945年にポーランド室内管弦楽団を設立して荒廃した音楽界の立て直しを図り、1947年からはポズナニ・ナショナル交響楽団とカトヴィツェのポーランド放送交響楽団の首席指揮者を歴任しています。本録音時は、ワルシャワ国立フィツハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めていました。
パデレフスキの本作は冗長な感のある作品ですが、情緒過多に陥らないスマートでスピーディーなスメンジャンカのピアノ演奏と、メリハリの付いたヴィスウォツキの音楽運びの巧みさで、退屈させることのない演奏に仕上げています。
パデレフスキは、生涯に一曲だけ交響曲を書いていますが、その交響曲は「ポーランド」という副題が付けられ、音楽でポーランドの歴史を綴るという壮大な試みになっています。1903年ごろから、この曲の作曲に着手し、1907年に脱稿しましたが、初演はやや遅れ、1909年にボストンで取り上げられました。
作品は3楽章ながら、およそ50分から1時間はかかる大作に仕上がっています。他国に踏みにじられてきたポーランドを描いた第1楽章は、本作の主要部で、25~30分ほどかけて演奏されます。曲の形式にはこだわらず、モチーフをコラージュさせながら音楽を発展させていくという形を取り、モチーフが次から次へと繰り出されるため、飽きの来ない音楽になっています。
第2楽章は緩徐楽章で、ポーランドの大地の美しさを賛美する音楽です。グスタフ・マーラーのアダージョとアントン・ブルックナーのアダージョを足して二で割って水を足したような仕上がりになっていますが、そんな中にも内に秘めた情熱のようなものが宿っていて、十分に心を打つものがあります。
第3楽章は、ポーランドの民が立ち上がるさまを描いたもの。カール・ニールセンの第4番あたりまでの交響曲の語法に似ており、武骨な音楽になっています。ただ、ドラマティックなクライマックスを築き上げるには、これといった決め手に乏しく、そのためにやや散漫な音楽になってしまっています。
全体的に聴いてみて、交響曲としての構成に粗さを残すものの、表現意欲の高さが、作品の欠点をカモフラージュしています。このため、演奏する側がパデレフスキの心情にシンパシーを感じるか否かで、冗長な駄作になるか否かが決まってきます。
本CDでは、ボフダン・ヴォディチコ(Bohdan Wodiczko, 1911-1985)の指揮するポメラニア・フィルハーモニー管弦楽団による演奏が収録されています。ポメラニア・フィルハーモニー管弦楽団は、ポーランドの北西部にあるビトゴシュチュを本拠にするオーケストラで、この地で開かれるパデレフスキ国際ピアノコンクールの公式オーケストラです。パデレフスキの作品演奏の本家を自負したオーケストラということで、並みならぬ気合で演奏に臨んでいます。
ヴォディチコはヴァーツラフ・ターリヒに指揮法を学んだポーランドの指揮者です。ターリヒに学んだあと、ワルシャワ音楽院に戻ってピオトル・ライテルに作曲を学び、1939年に首席で卒業しましたが、折しも第二次世界大戦の真っただ中で、ワルシャワのナイト・クラブで日銭を稼いで生きていたんだとか。
戦後はすぐさま活動を開始し、1946年からはバルト・フィルハーモニー管弦楽団を設立して指揮者として活躍し、クラコウ国立フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者やワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の指揮者、ワルシャワ歌劇場の芸術監督などを歴任して、ポーランド随一の指揮者として名声を博しました。
ヴォディチコにとっても、パデレフスキの交響曲は、波乱万丈の自分の人生と重ねやすかったのか、長大な作品にもかかわらず、共感豊かな語り口で、一切緩みのない演奏を展開しています。
作品自体には、やや響きが団子状になる書法上の欠点が散見されますが、何が何でも名演奏にしてみせるというオーケストラと指揮者の気合で、聴き手の耳をぐいぐい引っ張っていきます。
おそらくポーランド以外の指揮者やオーケストラでは、この曲の味わいは落ちるかもしれません。
ポーランド幻想曲は、1893年に作曲された作品で、本来のタイトルは「自作の主題によるピアノと管弦楽のための幻想ポロネーズ」(Fantasie polonaise sur des thèmes originaux pour piano et orchestra)といいます。
ポーランドの音楽文化と言えば、フレデリック・ショパンやヘンリク・ヴィエニャフスキが有名で、彼らが作曲したポーランド舞曲由来の作品を通してポーランド音楽は認知されていました。
パデレフスキは、ショパンやヴィエニャフスキの音楽が西欧諸国向きに鋳直されたポーランド音楽だと考え、自分の作品で、等身大のポーランドの音楽文化を伝えようと試みました。
ポーランドの民謡風のメロディとリズムを駆使したこの作品は、今日から見ると、職業ピアニストが作った派手な演奏会用の作品というほどのことでしかなくなっています。パデレフスキの作品もまた、ショパンやヴィエニャフスキの延長線上だということになりますが、20分以上もピアノとオーケストラをこねくり回してポーランドらしさを主張しようとした心意気は、賞賛に値します。
演奏は、レギナ・スメンジャンカ(Regina Smendzianka, 1924-)のピアノ独奏と、スタニスラフ・ヴィスウォツキ(Stanisław Wisłocki, 1921-1998)の指揮するワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団です。
スメンジャンカはポーランドのトルンに生まれたピアニストで、クラコウ国立音楽院でヘンリク・シュトンプカに師事し、1949年に開催されたショパン国際ピアノ・コンクールで11位入賞を果たしています。その後、ズヴィグニェフ・ジェヴィエツキの下で研鑽を積み、ポーランド有数のショパンの作品演奏のスペシャリストと見做されるようになりました。
ヴィスウォツキはポーランドに生まれながらも、パリのスコラ・カントールムやルーマニアのティミショアラ音楽院やブカレスト音楽院で研鑽をつんだ指揮者でした。ルーマニアではジョルジェ・シモニスに音楽理論を学び、エミール・ミハイルからピアノの指導を受けていました。第二次世界大戦後にはすぐに祖国に戻り、1945年にポーランド室内管弦楽団を設立して荒廃した音楽界の立て直しを図り、1947年からはポズナニ・ナショナル交響楽団とカトヴィツェのポーランド放送交響楽団の首席指揮者を歴任しています。本録音時は、ワルシャワ国立フィツハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めていました。
パデレフスキの本作は冗長な感のある作品ですが、情緒過多に陥らないスマートでスピーディーなスメンジャンカのピアノ演奏と、メリハリの付いたヴィスウォツキの音楽運びの巧みさで、退屈させることのない演奏に仕上げています。
パデレフスキは、生涯に一曲だけ交響曲を書いていますが、その交響曲は「ポーランド」という副題が付けられ、音楽でポーランドの歴史を綴るという壮大な試みになっています。1903年ごろから、この曲の作曲に着手し、1907年に脱稿しましたが、初演はやや遅れ、1909年にボストンで取り上げられました。
作品は3楽章ながら、およそ50分から1時間はかかる大作に仕上がっています。他国に踏みにじられてきたポーランドを描いた第1楽章は、本作の主要部で、25~30分ほどかけて演奏されます。曲の形式にはこだわらず、モチーフをコラージュさせながら音楽を発展させていくという形を取り、モチーフが次から次へと繰り出されるため、飽きの来ない音楽になっています。
第2楽章は緩徐楽章で、ポーランドの大地の美しさを賛美する音楽です。グスタフ・マーラーのアダージョとアントン・ブルックナーのアダージョを足して二で割って水を足したような仕上がりになっていますが、そんな中にも内に秘めた情熱のようなものが宿っていて、十分に心を打つものがあります。
第3楽章は、ポーランドの民が立ち上がるさまを描いたもの。カール・ニールセンの第4番あたりまでの交響曲の語法に似ており、武骨な音楽になっています。ただ、ドラマティックなクライマックスを築き上げるには、これといった決め手に乏しく、そのためにやや散漫な音楽になってしまっています。
全体的に聴いてみて、交響曲としての構成に粗さを残すものの、表現意欲の高さが、作品の欠点をカモフラージュしています。このため、演奏する側がパデレフスキの心情にシンパシーを感じるか否かで、冗長な駄作になるか否かが決まってきます。
本CDでは、ボフダン・ヴォディチコ(Bohdan Wodiczko, 1911-1985)の指揮するポメラニア・フィルハーモニー管弦楽団による演奏が収録されています。ポメラニア・フィルハーモニー管弦楽団は、ポーランドの北西部にあるビトゴシュチュを本拠にするオーケストラで、この地で開かれるパデレフスキ国際ピアノコンクールの公式オーケストラです。パデレフスキの作品演奏の本家を自負したオーケストラということで、並みならぬ気合で演奏に臨んでいます。
ヴォディチコはヴァーツラフ・ターリヒに指揮法を学んだポーランドの指揮者です。ターリヒに学んだあと、ワルシャワ音楽院に戻ってピオトル・ライテルに作曲を学び、1939年に首席で卒業しましたが、折しも第二次世界大戦の真っただ中で、ワルシャワのナイト・クラブで日銭を稼いで生きていたんだとか。
戦後はすぐさま活動を開始し、1946年からはバルト・フィルハーモニー管弦楽団を設立して指揮者として活躍し、クラコウ国立フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者やワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の指揮者、ワルシャワ歌劇場の芸術監督などを歴任して、ポーランド随一の指揮者として名声を博しました。
ヴォディチコにとっても、パデレフスキの交響曲は、波乱万丈の自分の人生と重ねやすかったのか、長大な作品にもかかわらず、共感豊かな語り口で、一切緩みのない演奏を展開しています。
作品自体には、やや響きが団子状になる書法上の欠点が散見されますが、何が何でも名演奏にしてみせるというオーケストラと指揮者の気合で、聴き手の耳をぐいぐい引っ張っていきます。
おそらくポーランド以外の指揮者やオーケストラでは、この曲の味わいは落ちるかもしれません。
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