1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈César Franck: Violin Sonata in A major
◈Albéric Magnard: Violin Sonata in G major, op.13
Augustin Dumay (Vn)
Jean-Philippe Collard (Pf)
Jean-Philippe Collard (Pf)
(Rec. July 1989, Salle Wagram, Paris)
セザール・フランク(César Franck, 1822-1890)とアルベリク・マニャール(Albéric Magnard, 1865-1914)のヴァイオリン・ソナタのカップリングです。
フランクは、ベルギー出身の人。生前は、パリのサン・クロティルド教会のオルガニストとして、つつましい生活を送っていたそうですが、1871年のフランス国民音楽協会の発起人の一人になり、作曲家として、フランス音楽の発展に寄与したことでも知られています。
その作風は、地味ながらも聴けば聴くほどに味わいの増す遅効性の魅力に特色があり、ウジェーヌ・イザイの婚礼祝いに作曲されたヴァイオリン・ソナタ(1886年作)も、そうした特色のよく表れた作品です。
曲は4つの楽章から成り、最初の楽章は、曲全体のモチーフとなる主題を提示する役割を担います。神に祈るような第一主題と、やや官能性を帯びた高揚感を持つ第2主題が提示され、それぞれの主題を発展させますが、ソナタ形式のように、それぞれの主題を複雑にからませて止揚するようなことはありません。
第2楽章は、ソナタ形式をとり、第1楽章で提示されたモチーフを変形させています。ほの暗い雰囲気は、最終楽章の晴れやかさとのコントラストになります。第3楽章は、「レチタティーヴォと幻想」と題されており、これまでに登場させたモチーフを使って、特に形式にとらわれることなく、即興的な趣で書かれた楽章になります。第4楽章は、単純素朴なコラール主題を軸にしたフィナーレです。コラール主題は、単体では純朴ですが、カノンにすることでぐっと深みを増します。途中途中のエピソードで、これまでに使われてきたモチーフがちりばめられ、作品の全体的な統一を実現しています。形式的に全く隙がない上に、技術的にも、それほど難所が多くないことから、ヴァイオリン学習者も頻繁にこの曲を発表会で取り上げます。
マニャールはヴァンサン・ダンディの薫陶を受けた作曲家です。マニャールは生真面目で抒情的な性格を持つ半面、激しい気性も持ち合わせていました。人間嫌いでもあり、社交的な場にはあまり顔を出さず、1890年代後半に入ると、オワーズ県のバロンという田舎町に引きこもるようになり、そこでせっせと作曲活動にいそしんでいました。1901年の10月に書き上げられたヴァイオリン・ソナタは、そんな時期の作品です。
ウジェーヌ・イザイに献呈された本作品は、1902年の5月2日にパリのサル・プレイエルでイザイのヴァイオリンとラウル・プーニョのピアノで初演されました。
フランクのヴァイオリン・ソナタと同じ4楽章構成ですが、まるでヴァイオリンとピアノのための交響曲のような堅牢さを持っています。ヴァイオリンにもピアノにも演奏者に高い技量を要求する上に、演奏時間も40分を超える大作なので、フランクのソナタと比べると、さほど好んで演奏される曲ではありません。
スケルツォ的な第3楽章以外はソナタ形式に則って書かれており、練り上げられた対位法的書法で、それぞれの楽章にクライマックスを作っています。この一曲でリサイタルが開けそうなくらいの重量感と充実感があるので、腕に覚えのあるヴァイオリニストとピアニストは、コンビを組んで、ぜひとも挑戦してもらいたいものです。
マニャール自身は、この作品の後も作品を書き続けましたが、第一次世界大戦が勃発した折に、自分の家を占領しようとしたドイツ兵と銃撃戦を繰り広げた挙句に家ごと燃やされるという非業の死を遂げました。
このため、マニャールの作品の相当数が、灰になってしまったそうです。
本CDの演奏は、オーギュスタン・デュメイ(Augustin Dumay, 1949-)とジャン=フィリップ・コラール(Jean-Philippe Collard, 1948-)が担当しています。
デュメイは、フランスはパリに生まれたヴァイオリニストで、ベルギーに行ってアルテュール・グリュミオーの門下になった人。グリュミオーの芸風に心酔し、典雅な演奏スタイルを模範としていますが、ときには大胆な弾きっぷりも披露します。
コラールは、ピエール・サンカン門下のピアニストで、1969年のロン=ティボー国際音楽コンクールのピアノ部門で優勝を果たして注目を浴びました。セルゲイ・ラフマニノフの作品をあっさり弾きこなすだけの強靭なメカニックを持っていますが、技に溺れることなく、節度を持った清潔感のある演奏に定評があります。
そんな二人の演奏は、上品で優美なものに仕上がっています。フランクのヴァイオリン・ソナタのほうは、ちょっと大げさに表情をつけていて、フランクの作品に漂うはずのストイシズムは幾分後退しています。しかし、デリケートなピアノと伸びやかなヴァイオリンの掛け合いは、美しい男女の語らいを思わせます。この作品から耽美的な側面を十分に汲みだした演奏であり、大変聴き映えがします。
マニャールの作品は、フランクの作品に比べて幾分厳めしい感じですが、コラールのピアノは、そのゴツゴツ感を水晶の塊のような煌びやかさで提示しています。デュメイも粘り気のあるボウイングと磨き抜かれた美しい音で、作品に潜むマニャールの情念に肉薄しており、大変ドラマティックな演奏に仕上がっています。
しかし、技術的にもたついた感じはなく、第3楽章のスケルツォでは両者ともに抜群の瞬発力で溌剌とした音楽を奏でています。
全体的には、美しさにこだわり過ぎて、もう少し作品に肉薄できる余地があるのではないかと思わせられますが、この作品がどういう作品なのかを知るうえでは、不足のない演奏だと思います。
フランクは、ベルギー出身の人。生前は、パリのサン・クロティルド教会のオルガニストとして、つつましい生活を送っていたそうですが、1871年のフランス国民音楽協会の発起人の一人になり、作曲家として、フランス音楽の発展に寄与したことでも知られています。
その作風は、地味ながらも聴けば聴くほどに味わいの増す遅効性の魅力に特色があり、ウジェーヌ・イザイの婚礼祝いに作曲されたヴァイオリン・ソナタ(1886年作)も、そうした特色のよく表れた作品です。
曲は4つの楽章から成り、最初の楽章は、曲全体のモチーフとなる主題を提示する役割を担います。神に祈るような第一主題と、やや官能性を帯びた高揚感を持つ第2主題が提示され、それぞれの主題を発展させますが、ソナタ形式のように、それぞれの主題を複雑にからませて止揚するようなことはありません。
第2楽章は、ソナタ形式をとり、第1楽章で提示されたモチーフを変形させています。ほの暗い雰囲気は、最終楽章の晴れやかさとのコントラストになります。第3楽章は、「レチタティーヴォと幻想」と題されており、これまでに登場させたモチーフを使って、特に形式にとらわれることなく、即興的な趣で書かれた楽章になります。第4楽章は、単純素朴なコラール主題を軸にしたフィナーレです。コラール主題は、単体では純朴ですが、カノンにすることでぐっと深みを増します。途中途中のエピソードで、これまでに使われてきたモチーフがちりばめられ、作品の全体的な統一を実現しています。形式的に全く隙がない上に、技術的にも、それほど難所が多くないことから、ヴァイオリン学習者も頻繁にこの曲を発表会で取り上げます。
マニャールはヴァンサン・ダンディの薫陶を受けた作曲家です。マニャールは生真面目で抒情的な性格を持つ半面、激しい気性も持ち合わせていました。人間嫌いでもあり、社交的な場にはあまり顔を出さず、1890年代後半に入ると、オワーズ県のバロンという田舎町に引きこもるようになり、そこでせっせと作曲活動にいそしんでいました。1901年の10月に書き上げられたヴァイオリン・ソナタは、そんな時期の作品です。
ウジェーヌ・イザイに献呈された本作品は、1902年の5月2日にパリのサル・プレイエルでイザイのヴァイオリンとラウル・プーニョのピアノで初演されました。
フランクのヴァイオリン・ソナタと同じ4楽章構成ですが、まるでヴァイオリンとピアノのための交響曲のような堅牢さを持っています。ヴァイオリンにもピアノにも演奏者に高い技量を要求する上に、演奏時間も40分を超える大作なので、フランクのソナタと比べると、さほど好んで演奏される曲ではありません。
スケルツォ的な第3楽章以外はソナタ形式に則って書かれており、練り上げられた対位法的書法で、それぞれの楽章にクライマックスを作っています。この一曲でリサイタルが開けそうなくらいの重量感と充実感があるので、腕に覚えのあるヴァイオリニストとピアニストは、コンビを組んで、ぜひとも挑戦してもらいたいものです。
マニャール自身は、この作品の後も作品を書き続けましたが、第一次世界大戦が勃発した折に、自分の家を占領しようとしたドイツ兵と銃撃戦を繰り広げた挙句に家ごと燃やされるという非業の死を遂げました。
このため、マニャールの作品の相当数が、灰になってしまったそうです。
本CDの演奏は、オーギュスタン・デュメイ(Augustin Dumay, 1949-)とジャン=フィリップ・コラール(Jean-Philippe Collard, 1948-)が担当しています。
デュメイは、フランスはパリに生まれたヴァイオリニストで、ベルギーに行ってアルテュール・グリュミオーの門下になった人。グリュミオーの芸風に心酔し、典雅な演奏スタイルを模範としていますが、ときには大胆な弾きっぷりも披露します。
コラールは、ピエール・サンカン門下のピアニストで、1969年のロン=ティボー国際音楽コンクールのピアノ部門で優勝を果たして注目を浴びました。セルゲイ・ラフマニノフの作品をあっさり弾きこなすだけの強靭なメカニックを持っていますが、技に溺れることなく、節度を持った清潔感のある演奏に定評があります。
そんな二人の演奏は、上品で優美なものに仕上がっています。フランクのヴァイオリン・ソナタのほうは、ちょっと大げさに表情をつけていて、フランクの作品に漂うはずのストイシズムは幾分後退しています。しかし、デリケートなピアノと伸びやかなヴァイオリンの掛け合いは、美しい男女の語らいを思わせます。この作品から耽美的な側面を十分に汲みだした演奏であり、大変聴き映えがします。
マニャールの作品は、フランクの作品に比べて幾分厳めしい感じですが、コラールのピアノは、そのゴツゴツ感を水晶の塊のような煌びやかさで提示しています。デュメイも粘り気のあるボウイングと磨き抜かれた美しい音で、作品に潜むマニャールの情念に肉薄しており、大変ドラマティックな演奏に仕上がっています。
しかし、技術的にもたついた感じはなく、第3楽章のスケルツォでは両者ともに抜群の瞬発力で溌剌とした音楽を奏でています。
全体的には、美しさにこだわり過ぎて、もう少し作品に肉薄できる余地があるのではないかと思わせられますが、この作品がどういう作品なのかを知るうえでは、不足のない演奏だと思います。
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