1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Karl-Birger Blomdahl: Aniara
Lena Hoel (S: The blind Poetes)
Viveka Anderberg (S: Daisi Doody)
Erik Sædén (Br: The Mimarobe)
Jerker Arvidson (Bs-Br: Chefone)
Björn Haugan (T: Chief Technician 1 & The Blinde Man)
Stefan Parkman (T: Chief Technician 2)
Mikael Samuelson (Br: Chief Technician 3)
Thomas Sunnegårdh (Bs: Comedian Sandon)
Viveka Anderberg (S: Daisi Doody)
Erik Sædén (Br: The Mimarobe)
Jerker Arvidson (Bs-Br: Chefone)
Björn Haugan (T: Chief Technician 1 & The Blinde Man)
Stefan Parkman (T: Chief Technician 2)
Mikael Samuelson (Br: Chief Technician 3)
Thomas Sunnegårdh (Bs: Comedian Sandon)
The Swedish Radio Chorus (Chorus Master: Jan-Åke Hillerud)
The Swedish Radio Symphony Orchestra / Stig Westerberg
The Swedish Radio Symphony Orchestra / Stig Westerberg
(Rec. 7-10 May 1985, Berwald Hall, Stockholm)
《アニアラ》は、スウェーデンの作曲家、カール=ビルイェル・ブロムダール(Karl-Birger Blomdahl, 1916-1968)の代表作というだけでなく、20世紀につくられた歌劇の重要作と位置づけられます。
この歌劇は、スウェーデンの詩人であるハリ・マティンソン(Harry Martinson, 1904-1978)の書いた同名の詩(1956年作)を元にした作品で、同じくスウェーデン人作家のエリク・リンデグレン(Erik Lindegren, 1910-1968)が台本化しています。
1959年の5月31日にシクステン・エールリンクの指揮でスウェーデン王立歌劇場で初演された時には賛否両論を巻き起こしましたが、世界中で上演されていくうちに、20世紀の代表的な歌劇の一つとして認知されるようになりました。
ブロムダールの音楽は、無調音楽を基調としながらも、コラールやジャズを積極的に取り込み、ミュージック・コンクレートの技法まで援用しています。こうし た音楽の剽窃的な扱いは、ベルント・アロイス・ツィンマーマンの《兵士たち》を想起させますが、ツィンマーマンのような重層的なコラージュは用いておら ず、それほど挑発的でもありません。
なお、原作者のマティンソンは、1974年にノーベル文学賞を受賞しましたが、ノーベル賞の選考委員だったことから受賞を訝しがられ、受賞から4年後に、受賞に対する批判への抗議として、病院で割腹自殺を遂げています。
話のあらすじは以下の通りです。
【第1幕】
地球が核戦争と環境汚染によって没落し、生き残った人々は、宇宙船アニアラ号に乗って、火星への移住を目指していた。
アニアラ号は、操縦から船内の管理全般をミーマというプログラムを使って全自動で行い、そのプログラムの中枢であるミーマローブというプログラムが、人間とプログラムの橋渡しをしている。
火星への到着も後わずかということで、乗客のみんなは船の中のコンサート・ホールに集まり、地球でやっていた夏祭りを模してパーティーを開いている。給仕のデイジー・ドゥーディが中心になってパーティーを切り盛りし、コメディアンのサンドンがショーを披露して大盛り上がりだ。
しかし、いきなり機体が大きく揺れ、ホールはパニックに陥ってしまった。
事態が収束した時、アニアラ号の船長が三人の主任技師と連れてやってきて、人々に事態の経緯を説明する。
アニアラ号が、小惑星群と衝突し、多大なダメージを被ったというのである。そのダメージたるや、想定しうる事故のうちの最悪のもので、火星への軌道から外れ、地球に戻ることも叶わない状況だという。
なにはともあれ、パーティーは続けてくれと言い残して船長たちは去っていくが、一同は呆然とするほかない。
ミーマのプログラムから流れる宇宙の説明に耳を傾け、宇宙船の中から宇宙を見つめて途方に暮れる人々もいれば、サンドンのように、船長たちをパロディにして笑い飛ばそうとする人もおり、泣いたりわめいたりのパニック状態である。
アニアラの機体自体も、もはやコントロールを失い、ミーマも狂い始めていた。
【第2幕】
技術者たちは、アニアラ号の修復を試みたが、船を制御していたミーマが完全に崩壊してしまったため、もはやなす術がない。
デイジーは、彼女のレズ仲間や盲目の詩人、乗客など、正気を保っている人たちと行動を共にするが、救われる見込みのない状況の中で、宗教に救いを見い出したり、快楽に耽ったりして現実逃避を試み、道徳的に堕落していく。
食料も底をつき、乗客はほぼ生存できなくなってしまった。最後に盲目の詩人が死への喜びをつぶやき、息を引き取る。
乗客の死骸が光に照らし出される中で、ミーマローブが世の終焉を告げるが、その声をきくものは、もはや誰もおらず、機体は宇宙のう闇へと消えていくのだった。
本CDのキャストは以下の通りです。
レーナ・ホール (盲目の詩人)
ヴィヴェカ・アンデルベリ (デイジー・ドゥーディ)
エリク・セデーン(ミーマローブ)
イェルケル・アーヴィドソン (船長)
ビョルン・ハウガン (第一主任技師&盲目の男)
ステファン・パークマン (第二主任技師)
ミカエル・サムエルソン (第三主任技師)
トマス・スンネゴード (コメディアンのサンドン)
スウェーデン放送交響楽団&合唱団/スティグ・ヴェステルベリ
ヴェステルベリ(Stig Westerberg, 1918-1999)は、トール・マン門下のスウェーデンの指揮者で、パリに留学し、パウル・クレツキの薫陶も受けたことがあります。25歳の時に、スウェーデン王立歌劇場のコレペティトゥーアとしてキャリアを始め、イェヴレ交響楽団の音楽監督やスウェーデン王立歌劇場の指揮者を経て、1958年から25年間、スウェーデン放送交響楽団の首席指揮者として活躍しました。
ホール(Lena Hoel)、アンデルベリ(Viveka Anderberg)、セデーン(Erik Sædén, 1924-2009)、アーヴィドソン(Jerker Arvidson, 1939-2007)、ハウガン(Björn Haugan, 1942-2009)といった歌手たちは、みんなスウェーデン出身の歌手で、バイロイトやロンドンのコヴェント・ガーデンなど、ヨーロッパ中の歌劇場に出演していた実力派です。
ほぼ全員がストックホルム音楽院出身ということもあって、全員が息のあった歌唱で細大漏らさぬ演奏が出来上がっています。
ヴェステルベリの指揮は、この作品の前衛性をことさら前面に出すようなとげとげしさはなく、作品に求められる感情の機微に応じ、歌いあげられるところをしっかり歌いあげていくことで、人間の業を生々しく表現しています。
前衛的な刺激を求める向きには、ヴェステルベリの演奏には、多少生ぬるく感じられますが、その生ぬるさゆえに、冷徹になりきれない人間のリアリティを感じさせます。
この歌劇は、スウェーデンの詩人であるハリ・マティンソン(Harry Martinson, 1904-1978)の書いた同名の詩(1956年作)を元にした作品で、同じくスウェーデン人作家のエリク・リンデグレン(Erik Lindegren, 1910-1968)が台本化しています。
1959年の5月31日にシクステン・エールリンクの指揮でスウェーデン王立歌劇場で初演された時には賛否両論を巻き起こしましたが、世界中で上演されていくうちに、20世紀の代表的な歌劇の一つとして認知されるようになりました。
ブロムダールの音楽は、無調音楽を基調としながらも、コラールやジャズを積極的に取り込み、ミュージック・コンクレートの技法まで援用しています。こうし た音楽の剽窃的な扱いは、ベルント・アロイス・ツィンマーマンの《兵士たち》を想起させますが、ツィンマーマンのような重層的なコラージュは用いておら ず、それほど挑発的でもありません。
なお、原作者のマティンソンは、1974年にノーベル文学賞を受賞しましたが、ノーベル賞の選考委員だったことから受賞を訝しがられ、受賞から4年後に、受賞に対する批判への抗議として、病院で割腹自殺を遂げています。
話のあらすじは以下の通りです。
【第1幕】
地球が核戦争と環境汚染によって没落し、生き残った人々は、宇宙船アニアラ号に乗って、火星への移住を目指していた。
アニアラ号は、操縦から船内の管理全般をミーマというプログラムを使って全自動で行い、そのプログラムの中枢であるミーマローブというプログラムが、人間とプログラムの橋渡しをしている。
火星への到着も後わずかということで、乗客のみんなは船の中のコンサート・ホールに集まり、地球でやっていた夏祭りを模してパーティーを開いている。給仕のデイジー・ドゥーディが中心になってパーティーを切り盛りし、コメディアンのサンドンがショーを披露して大盛り上がりだ。
しかし、いきなり機体が大きく揺れ、ホールはパニックに陥ってしまった。
事態が収束した時、アニアラ号の船長が三人の主任技師と連れてやってきて、人々に事態の経緯を説明する。
アニアラ号が、小惑星群と衝突し、多大なダメージを被ったというのである。そのダメージたるや、想定しうる事故のうちの最悪のもので、火星への軌道から外れ、地球に戻ることも叶わない状況だという。
なにはともあれ、パーティーは続けてくれと言い残して船長たちは去っていくが、一同は呆然とするほかない。
ミーマのプログラムから流れる宇宙の説明に耳を傾け、宇宙船の中から宇宙を見つめて途方に暮れる人々もいれば、サンドンのように、船長たちをパロディにして笑い飛ばそうとする人もおり、泣いたりわめいたりのパニック状態である。
アニアラの機体自体も、もはやコントロールを失い、ミーマも狂い始めていた。
【第2幕】
技術者たちは、アニアラ号の修復を試みたが、船を制御していたミーマが完全に崩壊してしまったため、もはやなす術がない。
デイジーは、彼女のレズ仲間や盲目の詩人、乗客など、正気を保っている人たちと行動を共にするが、救われる見込みのない状況の中で、宗教に救いを見い出したり、快楽に耽ったりして現実逃避を試み、道徳的に堕落していく。
食料も底をつき、乗客はほぼ生存できなくなってしまった。最後に盲目の詩人が死への喜びをつぶやき、息を引き取る。
乗客の死骸が光に照らし出される中で、ミーマローブが世の終焉を告げるが、その声をきくものは、もはや誰もおらず、機体は宇宙のう闇へと消えていくのだった。
本CDのキャストは以下の通りです。
レーナ・ホール (盲目の詩人)
ヴィヴェカ・アンデルベリ (デイジー・ドゥーディ)
エリク・セデーン(ミーマローブ)
イェルケル・アーヴィドソン (船長)
ビョルン・ハウガン (第一主任技師&盲目の男)
ステファン・パークマン (第二主任技師)
ミカエル・サムエルソン (第三主任技師)
トマス・スンネゴード (コメディアンのサンドン)
スウェーデン放送交響楽団&合唱団/スティグ・ヴェステルベリ
ヴェステルベリ(Stig Westerberg, 1918-1999)は、トール・マン門下のスウェーデンの指揮者で、パリに留学し、パウル・クレツキの薫陶も受けたことがあります。25歳の時に、スウェーデン王立歌劇場のコレペティトゥーアとしてキャリアを始め、イェヴレ交響楽団の音楽監督やスウェーデン王立歌劇場の指揮者を経て、1958年から25年間、スウェーデン放送交響楽団の首席指揮者として活躍しました。
ホール(Lena Hoel)、アンデルベリ(Viveka Anderberg)、セデーン(Erik Sædén, 1924-2009)、アーヴィドソン(Jerker Arvidson, 1939-2007)、ハウガン(Björn Haugan, 1942-2009)といった歌手たちは、みんなスウェーデン出身の歌手で、バイロイトやロンドンのコヴェント・ガーデンなど、ヨーロッパ中の歌劇場に出演していた実力派です。
ほぼ全員がストックホルム音楽院出身ということもあって、全員が息のあった歌唱で細大漏らさぬ演奏が出来上がっています。
ヴェステルベリの指揮は、この作品の前衛性をことさら前面に出すようなとげとげしさはなく、作品に求められる感情の機微に応じ、歌いあげられるところをしっかり歌いあげていくことで、人間の業を生々しく表現しています。
前衛的な刺激を求める向きには、ヴェステルベリの演奏には、多少生ぬるく感じられますが、その生ぬるさゆえに、冷徹になりきれない人間のリアリティを感じさせます。
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