1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Antonio Vivaldi (arr. Siegfried Behrend): Guiter Concerto in C major. RV82
◈Antonio Vivaldi (arr. Siegfried Behrend): Guiter Concerto in D major. RV93
◈Ferdinando Carulli: Guiter Concerto in A major
◈Mauro Giuliani: Guiter Concerto No.1 in A major, op.30
Siegfried Behrend (Gt)
I Musici
(Rec. September 1968)
ジークフリート・ベーレント(Siegfried Behrend, 1933-1990)は、ドイツのギタリストですが、作曲家やマンドリン・オーケストラの指揮者としても活躍した人でした。
元々ベーレントはベルリンのクリントヴォルト=シャルヴェンカ音楽院で鍵盤楽器と作曲と指揮法を専攻していましたが、独学でギターを習得し、ドイツを代表するギタリストとしての地位を築き上げた程のヴァイタリティを持っています。
ベーレントは、ギターをスペインの専売特許にしないために、あらゆるジャンルの音楽を貪欲に取り込み、どんな曲でもギターで演奏できそうであれば編曲して自分のレパートリーに加えていました。また、新作の委嘱も積極的に行い、その姿はアンドレス・セゴビアを彷彿とさせるものがあります。
しかし、セゴビアの芸風と比べると、ベーレントのギター演奏は、バリバリの技巧派のように聴こえます。情感そっちのけで弾き飛ばすことが多いため、セゴビアのような情感たっぷりのギター演奏を愛好する人たちからは、雑な仕上がりの演奏だと見られていました。
味わいよりもテクニカルな面白さを前面に出したベーレントのギター演奏は、技術的水準が上がった今日では、実際雑然としています。しかし、彼の演奏には、所々で聴き手を飽きさせないように聴かせる工夫も盛り込まれており、そのサーヴィス精神については、今でも学ぶべき点が多いように思われます。
ベーレントは、イタリアの作曲家であるアントニオ・ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi, 1678-1741)の作品を相当気に入っていたらしく、自分の指導するマンドリン・アンサンブルのためにヴィヴァルディの作品を編曲していました。ここで演奏されるギター協奏曲も、ヴィヴァルディののトリオ・ソナタ(RV82)とリュート協奏曲(RV93)を自分でギターと弦楽合奏用に仕立て直したものです。ちなみに、ヴィヴァルディは、ギターのためのオリジナルの協奏曲を書いていません。
ベーレントは、余裕綽々の技巧でペロリと平らげていますが、ヴィヴァルディの時代の様式を意識したような演奏ではありません。
イ・ムジチの演奏は、ヴィヴァルディの作品演奏で一世を風靡しただけあって、ふくよかな音色と万全のアンサンブルで、ベーレントのギター演奏に華を添えています。
イタリア人ギタリストだったフェルディナント・カルッリ(Ferdinando Carulli, 1770-1841)の協奏曲(1808年頃作)も、ベーレントが手を加えた版での録音になります。この曲は、カルッリが1809年にパリにデビューする時に、その手土産として作った作品だったようです。元々アレグロの楽章とポロネーズの2楽章から成る作品として作成されましたが、出版社が切り離してしまったため、しばらく単一楽章の作品として誤って伝えられてしまった経緯があります。ベーレントが参照できた楽譜は、オーケストラ用の譜面を弦楽合奏に編曲しなおして単一楽章の作品として出版したものであり、その結果、伴奏が弦楽合奏なうえに、ポロネーズの楽章がありません。
こうした出典上の不備にもかかわらず、イ・ムジチの溌剌とした伴奏と、悪戯っ子のようなベーレントのギターの掛け合いが面白く、ギター協奏曲の醍醐味をしっかりと味わわせてくれます。
マウロ・ジュリアーニ(Mauro Giuliani, 1781-1828)のギター協奏曲は、1807年ごろにつくられた作品。1806年にイタリアからオーストリアのウィーンに出てきたジュリアーニにとって、この協奏曲は、ウィーンでの仕事に糸口をつけるための大事な仕事だったものと思われます。元々管楽器入りのオーケストラと共演するために書かれた作品ですが、弦楽合奏との共演用に書きなおして、1810年に出版されました。この曲は、カルッリと違って3つの楽章からなる堂々とした協奏曲として仕上げられています。
この曲の第一楽章は、冗長さを回避するために、第1楽章の展開部を中心にトラディショナル・カットが存在しますが、ベーレントはカットをほとんど施さずに弾いているとのこと。
おかげで、ジュリアーニの冒険的な書法を堪能することが出来、ベーレントのギターのアクロバティックな演奏と相俟って、スリルのある音楽を堪能できます。
元々ベーレントはベルリンのクリントヴォルト=シャルヴェンカ音楽院で鍵盤楽器と作曲と指揮法を専攻していましたが、独学でギターを習得し、ドイツを代表するギタリストとしての地位を築き上げた程のヴァイタリティを持っています。
ベーレントは、ギターをスペインの専売特許にしないために、あらゆるジャンルの音楽を貪欲に取り込み、どんな曲でもギターで演奏できそうであれば編曲して自分のレパートリーに加えていました。また、新作の委嘱も積極的に行い、その姿はアンドレス・セゴビアを彷彿とさせるものがあります。
しかし、セゴビアの芸風と比べると、ベーレントのギター演奏は、バリバリの技巧派のように聴こえます。情感そっちのけで弾き飛ばすことが多いため、セゴビアのような情感たっぷりのギター演奏を愛好する人たちからは、雑な仕上がりの演奏だと見られていました。
味わいよりもテクニカルな面白さを前面に出したベーレントのギター演奏は、技術的水準が上がった今日では、実際雑然としています。しかし、彼の演奏には、所々で聴き手を飽きさせないように聴かせる工夫も盛り込まれており、そのサーヴィス精神については、今でも学ぶべき点が多いように思われます。
ベーレントは、イタリアの作曲家であるアントニオ・ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi, 1678-1741)の作品を相当気に入っていたらしく、自分の指導するマンドリン・アンサンブルのためにヴィヴァルディの作品を編曲していました。ここで演奏されるギター協奏曲も、ヴィヴァルディののトリオ・ソナタ(RV82)とリュート協奏曲(RV93)を自分でギターと弦楽合奏用に仕立て直したものです。ちなみに、ヴィヴァルディは、ギターのためのオリジナルの協奏曲を書いていません。
ベーレントは、余裕綽々の技巧でペロリと平らげていますが、ヴィヴァルディの時代の様式を意識したような演奏ではありません。
イ・ムジチの演奏は、ヴィヴァルディの作品演奏で一世を風靡しただけあって、ふくよかな音色と万全のアンサンブルで、ベーレントのギター演奏に華を添えています。
イタリア人ギタリストだったフェルディナント・カルッリ(Ferdinando Carulli, 1770-1841)の協奏曲(1808年頃作)も、ベーレントが手を加えた版での録音になります。この曲は、カルッリが1809年にパリにデビューする時に、その手土産として作った作品だったようです。元々アレグロの楽章とポロネーズの2楽章から成る作品として作成されましたが、出版社が切り離してしまったため、しばらく単一楽章の作品として誤って伝えられてしまった経緯があります。ベーレントが参照できた楽譜は、オーケストラ用の譜面を弦楽合奏に編曲しなおして単一楽章の作品として出版したものであり、その結果、伴奏が弦楽合奏なうえに、ポロネーズの楽章がありません。
こうした出典上の不備にもかかわらず、イ・ムジチの溌剌とした伴奏と、悪戯っ子のようなベーレントのギターの掛け合いが面白く、ギター協奏曲の醍醐味をしっかりと味わわせてくれます。
マウロ・ジュリアーニ(Mauro Giuliani, 1781-1828)のギター協奏曲は、1807年ごろにつくられた作品。1806年にイタリアからオーストリアのウィーンに出てきたジュリアーニにとって、この協奏曲は、ウィーンでの仕事に糸口をつけるための大事な仕事だったものと思われます。元々管楽器入りのオーケストラと共演するために書かれた作品ですが、弦楽合奏との共演用に書きなおして、1810年に出版されました。この曲は、カルッリと違って3つの楽章からなる堂々とした協奏曲として仕上げられています。
この曲の第一楽章は、冗長さを回避するために、第1楽章の展開部を中心にトラディショナル・カットが存在しますが、ベーレントはカットをほとんど施さずに弾いているとのこと。
おかげで、ジュリアーニの冒険的な書法を堪能することが出来、ベーレントのギターのアクロバティックな演奏と相俟って、スリルのある音楽を堪能できます。
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