1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Felix Menderssohn: Fantasia in F sharp minor, op.28
◈Robert Schumann: Fantasia in C major, op.17
◈Wolfgang Amadeus Mozart: Fantasia in D minor, K397
Alexander Slobodyanik (Pf)
(Rec. 1984)
本CDは、フェリックス・メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn, 1809-1847)、ロベルト・シューマン(Robert Schumann, 1810-1856)、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)のそれぞれが書き上げた幻想曲を一曲ずつ選んだアルバムです。
メンデルスゾーンの嬰ヘ短調の幻想曲は、1828年に手掛けられ、1834年に出版された作品です。この作品を手掛けて出版するまでに、メンデルスゾーンはイギリスに旅行し、交響曲《スコットランド》の構想まで纏めていました。この作品も、イギリス旅行の影響から、「スコットランド風ソナタ」という副題が付けられています。ソナタを意識した曲だけあって、急-緩-急の三楽章構成の音楽になっています。
ソナタを意識したという点では、シューマンの幻想曲も、元々ソナタとして出版するはずだった作品ということで、メンデルスゾーンのスタンスと似通っています。フランツ・リストがルートーヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの記念像を、ベートーヴェンの生地であるボンに建立しようと計画した時、シューマンはこれに賛同し、ベートーヴェンの作品を偲ばせたピアノ・ソナタを作ろうとしました。1836年に三楽章構成のソナタとして構想された時、楽章のそれぞれに、「廃墟」「星の冠、あるいは棕櫚の枝」「凱旋門、あるいは賞与」という表題がつけられました。
しかし、いざ出版する段になると、従来のピアノ・ソナタの形式と逸脱しているところが多いということで、出版社のほうが難色を示し、各楽章の表題を取り払って、題名を「幻想曲」と書き換えることで、1838年にようやく出版されました。作品は、フランツ・リストに献呈されましたが、作品を受け取ったリストは発奮し、返礼としてロ短調のソナタを書き上げてシューマンに献呈しています。
最後に収録されているモーツァルトの作品は、別にソナタを作るというスタンスで作られたのではなさそうです。いつ頃この作品を手がけたかについては、確定的なことは分かりませんが、1780年代半ばに、ゴットフリート・ヴァン・スヴィーテン男爵と知り合った頃に作られたのではないかと推測されています。スヴィーテン男爵は、18世紀以前の作品が大好きな人で浩瀚な楽譜コレクションを有していました。モーツァルトも、スヴィーテン男爵の持っている楽譜コレクションを見せてもらいながら、対位法の研究をしていたようです。この作品も、おそらくフーガとセットにして完成させる心積もりだったと考えられますが、フーガは作られることなく放置されました。モーツァルトの没後に補筆されて演奏される形になりましたが、補作したのは、アウグスト・エーベルハルト・ミュラー(August Eberhard Müller, 1767-1813)というドイツの作曲家ではないかと考えられています。
本CDで演奏しているのは、ウクライナ出身のアレクサンドル・スロボジャニク(Alexander Slobodyanik, 1941-2008)です。スロボジャニクは、ゲンリヒ・ネイガウスとヴェラ・ゴルスタノエヴァに師事したピアニストで、1966年のチャイコフスキー国際音楽コンクールで4位入賞を果たして演奏活動を始めました。1989年にアメリカに亡命しましたが、本録音は、その亡命のおよそ5年前の録音とされています。
メンデルスゾーンの作品では、その指回りのよさと、怜悧なタッチの塩梅がよく、作品から醸し出されるほの暗い情熱を上手く掬い取った好演を繰り広げています。中間の緩徐的な部分では、しっとりと抒情味を漂わせており、メリハリのついた演奏設計の秀逸さが際立ちます。
シューマンの幻想曲でも、卓越した技術を生かしてそつのない演奏を披露しています。ただ、感興が今一つ盛り上がらず、全体的に大味で、あまり印象に残りません。
モーツァルトの作品では、スロボジャニクの醸し出している暗色系の抒情が、作品の世界とマッチし、共感度の高い演奏になっています。
メンデルスゾーンの嬰ヘ短調の幻想曲は、1828年に手掛けられ、1834年に出版された作品です。この作品を手掛けて出版するまでに、メンデルスゾーンはイギリスに旅行し、交響曲《スコットランド》の構想まで纏めていました。この作品も、イギリス旅行の影響から、「スコットランド風ソナタ」という副題が付けられています。ソナタを意識した曲だけあって、急-緩-急の三楽章構成の音楽になっています。
ソナタを意識したという点では、シューマンの幻想曲も、元々ソナタとして出版するはずだった作品ということで、メンデルスゾーンのスタンスと似通っています。フランツ・リストがルートーヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの記念像を、ベートーヴェンの生地であるボンに建立しようと計画した時、シューマンはこれに賛同し、ベートーヴェンの作品を偲ばせたピアノ・ソナタを作ろうとしました。1836年に三楽章構成のソナタとして構想された時、楽章のそれぞれに、「廃墟」「星の冠、あるいは棕櫚の枝」「凱旋門、あるいは賞与」という表題がつけられました。
しかし、いざ出版する段になると、従来のピアノ・ソナタの形式と逸脱しているところが多いということで、出版社のほうが難色を示し、各楽章の表題を取り払って、題名を「幻想曲」と書き換えることで、1838年にようやく出版されました。作品は、フランツ・リストに献呈されましたが、作品を受け取ったリストは発奮し、返礼としてロ短調のソナタを書き上げてシューマンに献呈しています。
最後に収録されているモーツァルトの作品は、別にソナタを作るというスタンスで作られたのではなさそうです。いつ頃この作品を手がけたかについては、確定的なことは分かりませんが、1780年代半ばに、ゴットフリート・ヴァン・スヴィーテン男爵と知り合った頃に作られたのではないかと推測されています。スヴィーテン男爵は、18世紀以前の作品が大好きな人で浩瀚な楽譜コレクションを有していました。モーツァルトも、スヴィーテン男爵の持っている楽譜コレクションを見せてもらいながら、対位法の研究をしていたようです。この作品も、おそらくフーガとセットにして完成させる心積もりだったと考えられますが、フーガは作られることなく放置されました。モーツァルトの没後に補筆されて演奏される形になりましたが、補作したのは、アウグスト・エーベルハルト・ミュラー(August Eberhard Müller, 1767-1813)というドイツの作曲家ではないかと考えられています。
本CDで演奏しているのは、ウクライナ出身のアレクサンドル・スロボジャニク(Alexander Slobodyanik, 1941-2008)です。スロボジャニクは、ゲンリヒ・ネイガウスとヴェラ・ゴルスタノエヴァに師事したピアニストで、1966年のチャイコフスキー国際音楽コンクールで4位入賞を果たして演奏活動を始めました。1989年にアメリカに亡命しましたが、本録音は、その亡命のおよそ5年前の録音とされています。
メンデルスゾーンの作品では、その指回りのよさと、怜悧なタッチの塩梅がよく、作品から醸し出されるほの暗い情熱を上手く掬い取った好演を繰り広げています。中間の緩徐的な部分では、しっとりと抒情味を漂わせており、メリハリのついた演奏設計の秀逸さが際立ちます。
シューマンの幻想曲でも、卓越した技術を生かしてそつのない演奏を披露しています。ただ、感興が今一つ盛り上がらず、全体的に大味で、あまり印象に残りません。
モーツァルトの作品では、スロボジャニクの醸し出している暗色系の抒情が、作品の世界とマッチし、共感度の高い演奏になっています。
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