1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Béla Bartók: Violin Concerto No.2
Max Rostal (Vn)
London Symphony Orchestra / Malcolm Sargent
(Rec. October 1951)
◈Ludwig van Beethoven: Violin Sonata No.9 in A major, op.47Max Rostal (Vn)
Franz Osborn (Pf)
Franz Osborn (Pf)
(Rec. October 1951, Decca Studios, West Hampstead, London)
◈Johannes Brahms: Scherzo in C minor from F.A.E. SonataMax Rostal (Vn)
Franz Osborn (Pf)
Franz Osborn (Pf)
(Rec. December 1949, Decca Studios, West Hampstead, London)
マックス・ロスタル(Max Rostal, 1905-1991)は、アルノルト・ロゼーとカール・フレッシュに学んだヴァイオリニストです。
オーストリア=ハンガリー帝国領テーシェン(現:ポーランド領チーシン)に生まれたロスタルは、フレッシュの助手を経てベルリン高等音楽院のヴァイオリン教師となり、イギリスのギルドホール音楽学校を経て、スイスのベルン音楽院で指導者として名声を博しました。
弟子も多く、アマデウス四重奏団のノーバート・ブレイニンとピーター・シドロフ、エディト・パイネマン、トーマス・ブランディス、トーマス・ツェートマイヤーといった人たちが名を連ねています。
ヴァイオリニストとしても卓越しており、イギリスで活躍していた頃には、アルバン・ベルクやアラム・ハチャトゥリアンなど、同時代の作曲家の作品を紹介し、バーナード・スティーヴンスやアラン・ブッシュといったイギリスの作曲家たちにヴァイオリン協奏曲の作曲を依頼するなど、積極的な活動を展開していました。
本CDに収録されているベーラ・バルトーク(Béla Bartók, 1886-1945)のヴァイオリン協奏曲第2番の演奏は、こうしたロスタルの啓発的活動の証左となることでしょう。
共演しているのは、マルコム・サージェント(Malcolm Sargent, 1895-1967)の指揮するロンドン交響楽団です。
サージェントは、ヘンリー・ウッドに認められて指揮者になった、イギリスの音楽家です。第二次世界大戦中は、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団や、リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団、ハレ管弦楽団などの首席指揮者を務め、これらのオーケストラの消滅を防いでいます。戦後、恩人のウッドの趨勢が衰えると、ウッドの主催していたプロムナード・コンサート(通称「プロムス」)を引き継ぎ、ラジオなどのメディアを駆使して、クラシック音楽の啓発に尽力しました。
バルトークの本作品は、ハンガリー民謡のリズムや語法に十二音音楽の技法を織り交ぜ、部分的に微分音まで使うという、作曲当時に編み出されていた作曲技法をふんだんに用いた作品でしたが、ロンドン交響楽団にバルトークの作品演奏の実績が少なかったのか、随分慎重な演奏に終始しています。サージェントの指揮も、浮足立つオーケストラの交通整理に追われていて、ロスタルのヴァイオリンを挑発したり煽ったりというところにまで手が回らないようです。テクスチュアが複雑化すると、オーケストラがしっちゃかめっちゃかになるあたりに、当時のイギリスにおけるバルトーク受容の限界が感じられます。オーケストラの伴奏こそ、まるで棒読みに近い体たらくですが、ロスタルの独奏は、感情移入できないオーケストラに、各フレーズの意味を語りかけ、諭すような表現力を示します。第1楽章の冒頭から、渋いメロディ・ラインを濃厚に歌い上げ、第3楽章でも、大胆にテンポを伸縮させて、縦割り的なオーケストラを牽制しています。ロスタルの獅子奮迅により、随分ドラマティックな演奏に仕上がっていますが、この曲の価値を万人に伝えるような使命感が、この演奏に裏打ちされているのかもしれません。
本CDには、ロスタルの独奏によるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)のヴァイオリン・ソナタ第9番《クロイツェル》と、F.A.E.ソナタからヨハネス・ブラームス(Johannes Brahme, 1833-1897)の作ったスケルツォを収録しています。伴奏は、ドイツ出身のフランツ・オズボーン(Franz Osborn, 1903-1955)です。オズボーンは、レオニード・クロイツァー門下のピアニストで、フランツ・シュレーカーからも作曲法の手ほどきを受けました。ロスタルとは、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを相当数録音しています。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番は、ピアノとヴァイオリンが互角に渡り合うスリルに醍醐味がありますが、オズボーンの伴奏は、そのようなスリルには興味がないようです。ロスタルも、華麗な弓裁きよりは確実さを身上としており、じっくり腰を落ち着けた演奏になっています。スリルよりも滋養を選んだ、味わいの深い演奏だと言えるでしょう。
F.A.E.ソナタは、ロベルト・シューマンとアルベルト・ディートリヒ、そして若きブラームスが、ヨーゼフ・ヨアヒムのために合作したソナタです。ここでは、ブラームスの作った部分だけが収録されていますが、ロスタルとオズボーンの絶妙な対話を聴くにつけ、このコンビで全曲をしっかり聴きたいと思わせられます。
オーストリア=ハンガリー帝国領テーシェン(現:ポーランド領チーシン)に生まれたロスタルは、フレッシュの助手を経てベルリン高等音楽院のヴァイオリン教師となり、イギリスのギルドホール音楽学校を経て、スイスのベルン音楽院で指導者として名声を博しました。
弟子も多く、アマデウス四重奏団のノーバート・ブレイニンとピーター・シドロフ、エディト・パイネマン、トーマス・ブランディス、トーマス・ツェートマイヤーといった人たちが名を連ねています。
ヴァイオリニストとしても卓越しており、イギリスで活躍していた頃には、アルバン・ベルクやアラム・ハチャトゥリアンなど、同時代の作曲家の作品を紹介し、バーナード・スティーヴンスやアラン・ブッシュといったイギリスの作曲家たちにヴァイオリン協奏曲の作曲を依頼するなど、積極的な活動を展開していました。
本CDに収録されているベーラ・バルトーク(Béla Bartók, 1886-1945)のヴァイオリン協奏曲第2番の演奏は、こうしたロスタルの啓発的活動の証左となることでしょう。
共演しているのは、マルコム・サージェント(Malcolm Sargent, 1895-1967)の指揮するロンドン交響楽団です。
サージェントは、ヘンリー・ウッドに認められて指揮者になった、イギリスの音楽家です。第二次世界大戦中は、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団や、リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団、ハレ管弦楽団などの首席指揮者を務め、これらのオーケストラの消滅を防いでいます。戦後、恩人のウッドの趨勢が衰えると、ウッドの主催していたプロムナード・コンサート(通称「プロムス」)を引き継ぎ、ラジオなどのメディアを駆使して、クラシック音楽の啓発に尽力しました。
バルトークの本作品は、ハンガリー民謡のリズムや語法に十二音音楽の技法を織り交ぜ、部分的に微分音まで使うという、作曲当時に編み出されていた作曲技法をふんだんに用いた作品でしたが、ロンドン交響楽団にバルトークの作品演奏の実績が少なかったのか、随分慎重な演奏に終始しています。サージェントの指揮も、浮足立つオーケストラの交通整理に追われていて、ロスタルのヴァイオリンを挑発したり煽ったりというところにまで手が回らないようです。テクスチュアが複雑化すると、オーケストラがしっちゃかめっちゃかになるあたりに、当時のイギリスにおけるバルトーク受容の限界が感じられます。オーケストラの伴奏こそ、まるで棒読みに近い体たらくですが、ロスタルの独奏は、感情移入できないオーケストラに、各フレーズの意味を語りかけ、諭すような表現力を示します。第1楽章の冒頭から、渋いメロディ・ラインを濃厚に歌い上げ、第3楽章でも、大胆にテンポを伸縮させて、縦割り的なオーケストラを牽制しています。ロスタルの獅子奮迅により、随分ドラマティックな演奏に仕上がっていますが、この曲の価値を万人に伝えるような使命感が、この演奏に裏打ちされているのかもしれません。
本CDには、ロスタルの独奏によるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)のヴァイオリン・ソナタ第9番《クロイツェル》と、F.A.E.ソナタからヨハネス・ブラームス(Johannes Brahme, 1833-1897)の作ったスケルツォを収録しています。伴奏は、ドイツ出身のフランツ・オズボーン(Franz Osborn, 1903-1955)です。オズボーンは、レオニード・クロイツァー門下のピアニストで、フランツ・シュレーカーからも作曲法の手ほどきを受けました。ロスタルとは、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを相当数録音しています。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番は、ピアノとヴァイオリンが互角に渡り合うスリルに醍醐味がありますが、オズボーンの伴奏は、そのようなスリルには興味がないようです。ロスタルも、華麗な弓裁きよりは確実さを身上としており、じっくり腰を落ち着けた演奏になっています。スリルよりも滋養を選んだ、味わいの深い演奏だと言えるでしょう。
F.A.E.ソナタは、ロベルト・シューマンとアルベルト・ディートリヒ、そして若きブラームスが、ヨーゼフ・ヨアヒムのために合作したソナタです。ここでは、ブラームスの作った部分だけが収録されていますが、ロスタルとオズボーンの絶妙な対話を聴くにつけ、このコンビで全曲をしっかり聴きたいと思わせられます。
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