1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.26 in D major, K537 "Coronation"
◈Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.19 in F major, K459
Lili Kraus (Pf)
Orchestra of the Amsterdam Philharmonic Society / Gianfranco Rivoli
(Rec. about 1966)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)の第26番(1788年作)と第19番(1784年作)のピアノ協奏曲のカップリングです。
この2曲は、1790年にフランクフルトでレオポルト2世の神聖ローマ皇帝即位式が行われた時、自腹を切って当地に行き、祝典演奏会を開いたモーツァルトが演目に選んだ作品です。そのため、第26番を「戴冠式」と呼び、第19番を「第二戴冠式」と呼ぶという解説がなされることがありますが、第19番の呼称は、さほど浸透していないようです。
この頃のモーツァルトは、フリーメーソン会員としてウィーンで熱心な活動をしていましたが、レオポルト2世の前任であるヨーゼフ2世の統治の晩期から、次第にフリーメーソンへの風当たりが厳しくなり、熱心な会員だったモーツァルトも、ウィーンの有力者たちから敬遠されるようになりました。
第26番の協奏曲も、元々レオポルト2世の戴冠式のために作曲されたものではなく、ドレスデンでの営業のために書き下ろされた作品です。フランクフルトでの祝典演奏会も、戴冠式の祝祭ムードにかこつけて、自分の「名刺」を配る演奏会だったのかもしれません。
第26番の協奏曲の特徴として、自筆譜のピアノ・パートが意図的に未完成のまま残されている点が挙げられます。右手のパートはしっかり書き込まれているのに対し、左手のパートはかなり欠落しており、モーツァルトの死後に出版された楽譜は、出版元のヨハン・アンドレが欠落部分を補筆して出版したとみられています。モーツァルトにしてみれば、メロディ・ラインは作曲家の生命線として譲らないものの、伴奏に関しては演奏者のセンスに任せるという、大胆なアドリブの拡張的採用を意図していたのかもしれません。
本CDの演奏は、ハンガリー出身のピアニストである、リリー・クラウス(Lili Kraus, 1903-1986)が独奏を担当し、ジャンフランコ・リヴォリ(Gianfranco Rivoli, 1921-2005)の指揮するアムステルダム・フィルハーモニー協会管弦楽団が伴奏しています。
クラウスは、ハンガリー出身のピアニストで、ベーラ・バルトークの弟子にあたる人。ウィーンに留学してエドゥアルト・シュトイアーマンやアルトゥル・シュナーベルの薫陶も受け、モーツァルトの音楽のスペシャリストとして活躍しました。
リヴォリはイタリアの指揮者で、デュイスブルクのライン・ドイツ・オペラやトリノのレージョ歌劇場の音楽監督を務めながらヨーロッパ中の歌劇場を客演して回ったのだとか。オペラを中心に活動している経歴から、録音では協奏曲の伴奏指揮に良く起用されていたようです。
アムステルダム・フィルハーモニー協会管弦楽団は、実体のよく分からないオーケストラで、アンサンブルのお粗末さから、おそらく実体は、録音用にかき集めたオーケストラではないかと思われます。
演奏内容は、総じて第19番のほうが充実しています。特に第2楽章が、ピアノとオーケストラの間のメロディの受け渡しがスムーズで、オーケストラも伸びやかな歌心が感じられます。第1楽章では、オーケストラによる主題提示に木管セクションと弦楽セクションの音色のブレンド具合が効いていて、クラウスがリラックスして弾ける雰囲気を上手く作り上げています。第3楽章は、はしゃぎたい独奏にオーケストラが充分についてこれないもどかしさが残りますが、まずまずの出来栄えです。
第26番のほうは、全体的にオーケストラが不調で、クラウスの快活なピアノが、饒舌な一人語りに陥っているような感覚になります。第19番ではフルートなどの管楽器が弦楽セクションの響きをサポートし、粗がさほど目立ちませんでしたが、第26番になると、そうしたサポートが希薄になるので、音程の狂いやイントネーションのいい加減さが露わになり、どうしても雑然とした印象を拭い去ることが出来なくなります。オーケストラのアンサンブルが浮足立てば浮足立つほどに、音楽のニュアンスが硬直します。
経年劣化が原因と思われる音の抜けの悪さも、演奏にネガティヴなイメージを持たせる要因になっているのかもしれません。
この2曲は、1790年にフランクフルトでレオポルト2世の神聖ローマ皇帝即位式が行われた時、自腹を切って当地に行き、祝典演奏会を開いたモーツァルトが演目に選んだ作品です。そのため、第26番を「戴冠式」と呼び、第19番を「第二戴冠式」と呼ぶという解説がなされることがありますが、第19番の呼称は、さほど浸透していないようです。
この頃のモーツァルトは、フリーメーソン会員としてウィーンで熱心な活動をしていましたが、レオポルト2世の前任であるヨーゼフ2世の統治の晩期から、次第にフリーメーソンへの風当たりが厳しくなり、熱心な会員だったモーツァルトも、ウィーンの有力者たちから敬遠されるようになりました。
第26番の協奏曲も、元々レオポルト2世の戴冠式のために作曲されたものではなく、ドレスデンでの営業のために書き下ろされた作品です。フランクフルトでの祝典演奏会も、戴冠式の祝祭ムードにかこつけて、自分の「名刺」を配る演奏会だったのかもしれません。
第26番の協奏曲の特徴として、自筆譜のピアノ・パートが意図的に未完成のまま残されている点が挙げられます。右手のパートはしっかり書き込まれているのに対し、左手のパートはかなり欠落しており、モーツァルトの死後に出版された楽譜は、出版元のヨハン・アンドレが欠落部分を補筆して出版したとみられています。モーツァルトにしてみれば、メロディ・ラインは作曲家の生命線として譲らないものの、伴奏に関しては演奏者のセンスに任せるという、大胆なアドリブの拡張的採用を意図していたのかもしれません。
本CDの演奏は、ハンガリー出身のピアニストである、リリー・クラウス(Lili Kraus, 1903-1986)が独奏を担当し、ジャンフランコ・リヴォリ(Gianfranco Rivoli, 1921-2005)の指揮するアムステルダム・フィルハーモニー協会管弦楽団が伴奏しています。
クラウスは、ハンガリー出身のピアニストで、ベーラ・バルトークの弟子にあたる人。ウィーンに留学してエドゥアルト・シュトイアーマンやアルトゥル・シュナーベルの薫陶も受け、モーツァルトの音楽のスペシャリストとして活躍しました。
リヴォリはイタリアの指揮者で、デュイスブルクのライン・ドイツ・オペラやトリノのレージョ歌劇場の音楽監督を務めながらヨーロッパ中の歌劇場を客演して回ったのだとか。オペラを中心に活動している経歴から、録音では協奏曲の伴奏指揮に良く起用されていたようです。
アムステルダム・フィルハーモニー協会管弦楽団は、実体のよく分からないオーケストラで、アンサンブルのお粗末さから、おそらく実体は、録音用にかき集めたオーケストラではないかと思われます。
演奏内容は、総じて第19番のほうが充実しています。特に第2楽章が、ピアノとオーケストラの間のメロディの受け渡しがスムーズで、オーケストラも伸びやかな歌心が感じられます。第1楽章では、オーケストラによる主題提示に木管セクションと弦楽セクションの音色のブレンド具合が効いていて、クラウスがリラックスして弾ける雰囲気を上手く作り上げています。第3楽章は、はしゃぎたい独奏にオーケストラが充分についてこれないもどかしさが残りますが、まずまずの出来栄えです。
第26番のほうは、全体的にオーケストラが不調で、クラウスの快活なピアノが、饒舌な一人語りに陥っているような感覚になります。第19番ではフルートなどの管楽器が弦楽セクションの響きをサポートし、粗がさほど目立ちませんでしたが、第26番になると、そうしたサポートが希薄になるので、音程の狂いやイントネーションのいい加減さが露わになり、どうしても雑然とした印象を拭い去ることが出来なくなります。オーケストラのアンサンブルが浮足立てば浮足立つほどに、音楽のニュアンスが硬直します。
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