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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Ludwig van Beethoven: Symphony No.9 in D minor, op.125 "Chorus"
Joan Sutherland (S)
Norma Procter (A)
Anton Dermota (T)
Arnord van Mill (Bs)
Chœur du Brassus
Chœur des Jeunes de l'Eglise National de Vandoise
L'Orchestre de la Suisse Romande / Ernest Ansermet
(Rec. April 1959, Victoria Hall, Geneva, Switzerland)

CD2:
◈Ludwig van Beethoven: The Creatures fo Prometheus Overture, op.43
◈Ludwig van Beethoven: Fidelio Overture, op.72c
◈Ludwig van Beethoven: Leonore Overture No.2, op.72a
L'Orchestre de la Suisse Romande / Ernest Ansermet
(Rec. January 1960, Victoria Hall, Geneva, Switzerland)
◈Ludwig van Beethoven: Leonore Overture No.3, op.72b
L'Orchestre de la Suisse Romande / Ernest Ansermet
(Rec. May 1958, Victoria Hall, Geneva, Switzerland)
◈Ludwig van Beethoven (orch. Felix Weingertner): Große Fuge in B flat major, op.133
L'Orchestre de la Suisse Romande / Ernest Ansermet
(Rec. May 1959, Victoria Hall, Geneva, Switzerland)



エルネスト・アンセルメ(Ernest Ansermet, 1883-1969)の指揮するスイス・ロマンド管弦楽団によるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)の交響曲第9番と管弦楽作品集の詰め合わせです。
第9番の交響曲では、オーストラリア出身のジョーン・サザーランド(Joan Sutherland, 1926-)、イギリス出身のノーマ・プロクター(Norma Procter, 1928-)、オーストリア出身のアントン・デルモータ(Anton Dermota, 1910-1989)、オランダ出身のアルノルト・ファン・ミル(Arnord van Mill, 1921-1996)、ブラッシュ合唱団とヴォー国民協会青年合唱団が共演しています。
管弦楽作品集は、《プロメテウスの創造物》序曲、《フィデリオ》序曲、レオノーレ序曲第2番、同第3番、フェリックス・ヴァインガルトナー(Felix Weingartner, 1863-1942)の編曲した大フーガが収録されています。

アンセルメは、イーゴリ・ストラヴィンスキーとの関わりや、パリのバレエ・リュスでの仕事が特筆され、フランスの音楽やロシア音楽、バレエ音楽に造詣の深い指揮者として知られています。しかし、1910年にモントルーで指揮者デビューを果たした時には、ベートーヴェンの交響曲第5番をメイン・プログラムに据えており、最晩年に日本に来た時にもブラームスの交響曲を取り上げていました。ドイツ音楽が、アンセルメにとっての音楽レパートリーの中心だったことが感得できます。
デッカ・レーベルの看板指揮者として、フランス音楽を中心に録音を残していたアンセルメですが、ベートーヴェンの交響曲全集&管弦楽曲集は、ブラームスの作品同様に、レコード会社の意向を度外視してでも敢行したかった録音だったとのこと。
日本でも、アンセルメのベートーヴェンの交響曲全集と管弦楽曲集は、何度か再発売と廃盤を繰り返していましたが、今では没後50周年を区切りとして6枚一組で発売されています。しかし、アンセルメのベートーヴェン録音を余すところなく収録したと謳っている割には、レオノーレ序曲第3番が漏れています。ということで、アンセルメのベートーヴェン作品の正規商業録音を余すことなく手に入れたい場合は、第1番から第4番までを、コリオラン序曲と一緒に収録した第1集と、第5番から第8番までを、エグモント序曲と一緒に収録した第2集を一緒に購入することをお勧めします。

閑話休題、本録音のベートーヴェンの交響曲第9番の演奏は、「苦悩から歓喜へ」というコンセプトにあまり頓着しないアプローチに聴こえます。アンセルメが活躍した時期のドイツ系のオーケストラの演奏は、巧拙の差こそあれ、弦楽セクションの雄弁な表情付けを基盤にして、管・打楽器の音色をその基盤にブレンドするのを基本スタンスにしていたのですが、アンセルメの指揮するスイス・ロマンド管弦楽団は、ひと癖ある管楽器の音色(例えば、ファゴットはおそらくフランス式バソンを使っており、ドイツのオーケストラのそれとは異質)を主体に据えたようなサウンド・バランスで演奏しており、ドイツ系のオーケストラの合奏に慣れた耳には、新感覚のサウンドに聴こえます。無理に団員の癖を抑えようとしていないのか、所々で響くトランペットの高らかさが突出して聴こえるのも、この演奏の愛嬌といったところでしょうか。第1楽章や第2楽章も、オーケストラ全体の音色が軽く明るいため、深刻さよりはリズミックな面白さのほうが際立ちます。第3楽章は、木管楽器やホルンのセクションが魅力的に歌い上げているので、まるでお花畑のような幸福感を醸しだしています。
最終楽章は、オーケストラこそ第1楽章や第2楽章に似た印象ですが、独唱陣ならびに合唱陣が一生懸命クライマックスを作ろうとしており、特に合唱陣に精妙さが欠けるものの、奮闘しているのが伝わってくるようです。オーケストラのマイペースな音作りとのギャップが面白いです。

2枚目のCDに収録された演奏は、交響曲同様のあっけらかんとした演奏ですが、アンセルメのテンポ感がキビキビしているので、それほど破綻なくきこえます。
最後に収録されている弦楽合奏版の大フーガは、スイス・ロマンド管弦楽団の弦楽セクションが決して脆弱なものではなかったことを示す、熱のこもった演奏です。思えば、この曲の編曲を担当したヴァインガルトナーは、ベートーヴェンの作品解釈の一大権威にして、指揮者に転向するか数学者の道に残るか迷っていたアンセルメに指揮者への道を勧めた人であり、アンセルメの音楽上の大恩人でした。

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