1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Felix Mendelssohn: Violin Concerto in E minor, op.64
◈Pyotr Ilyich Tchaikovsky: Violin Concerto in D major, op.35
Ruggiero Ricci (Vn)
Netherlands Radio Philharmonic Orchestra / Jean Fournet
(Rec. 21 July 1975)
◈Pablo de Sarasate: Zigeunelweisen op.20Ruggiero Ricci (Vn)
London Symphony Orchestra / Pierino Gamba
(Rec. September 1959)
フェリックス・メンデルスゾーン(Felix Menderssohn, 1809-1847)のホ短調のヴァイオリン協奏曲とピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky, 1840-1893)のニ長調のヴァイオリン協奏曲は、LPレコードの表と裏の両面に具合よくカッティングできるということで、しばしばカップリングされました。両曲とも、ヴァイオリン協奏曲の屈指の名曲として人気が高く、この組み合わせは「メンチャイ」と呼ばれ、クラシック音楽のレコード業界では、いわゆる「鉄板ネタ」でした。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、1838年から1844年にかけて作った、彼の入魂の作です。親友で名ヴァイオリニストだったフェルディナント・ダヴィットの助言を受けながら作曲され、基本的に伝統的な三楽章形式を踏襲していますが、第1楽章と第2楽章をアタッカにしたり、第3楽章に序奏をつけて第2楽章の印象を繋いだり、本来カデンツァである部分まで記譜して即興を排除したりと、当時のヴァイオリン協奏曲としては目新しい手法も試しています。
1878年に作曲されたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、数奇な運命をたどった作品です。この作品は、イオシフ・コテックという若いロシアのヴァイオリニストから助言を受けて作曲した作品です。スイスで療養していたチャイコフスキーの下にコテックが、パリで話題になっているエドゥアール・ラロのスペイン交響曲の楽譜を携えて訪問し、チャイコフスキーはラロの作品に刺激されてヴァイオリン協奏曲の作曲に没頭しました。しかし、作品は、ロシアのヴァイオリン界の重鎮だったレオポルト・アウアーに献呈することになりましたが、楽譜を見たアウアーは演奏不可能として楽譜を突き返しました。
初演が頓挫しそうになった時、ソリストに名乗りを上げたのが、アドルフ・ブロズキーで、1881年にウィーンで初演されました。しかし、その時に伴奏を務めたハンス・リヒターの指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団がハチャメチャな演奏をしたとかで、当地の御用評論家のエドゥアルト・ハンスリックに散々にこきおろされてしまいました。発奮したブロドスキーがヨーロッパ各地でこの作品を弾きまくった結果、次第に作品が評判になり、作品は改めて、功労者のブロドスキーに捧げられることになりました。
作品は、伝統的な形式に則り、平明なメロディと独奏ヴァイオリンの華麗さと、ダイナミックな伴奏という、聴き手の心を掌握しやすい仕上がりになっています。
本CDでは、イタリア系アメリカ人ヴァイオリニストのルッジェーロ・リッチ(Ruggiero Ricci, 1918-)がソリストを務めています。リッチは、ルイス・パーシンガーに師事した人で、10歳からコンサート・キャリアを築いてきました。20代の時には、ベルリンに留学してゲオルク・クーレンカンプの薫陶を受けています。第二次世界大戦中は積極的に慰問演奏をする中で、無伴奏ヴァイオリン曲をレパートリーに入れて腕を磨き、戦後は超絶技巧の名人として名声を博しました。
伴奏は、ジャン・フルネ(Jean Fournet, 1913-)の指揮するオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団が担当していますが、本CDでのオーケストラの日本語表記は「オランダ放送管弦楽団」になっています。
フルネはフランスの指揮者で、フィリップ・ゴーベールの門下です。彼は1961年から1978年まで、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めており、このオーケストラの名声と実力を飛躍的に向上させたことで知られています。
本録音時、ソリストのリッチは67歳ということで、往年のテクニックのキレに陰りが見られます。チャイコフスキーの協奏曲では、ハッタリを効かせて音楽の求心力を保っていますが、メンデルスゾーンのほうでは、音程の不安定さが目立ち、ベスト・パフォーマンスとは言えない仕上がりになっています。フルネのオーケストラ捌きも、チャイコフスキーの作品ではメリハリが効いているものの、メンデルスゾーンの作品では、フルネにしては肌理の粗い伴奏になっています。
本CDの余白には、パブロ・デ・サラサーテ(Pablo de Sarasate, 1844-1908)のツィゴイネルワイゼンが収録されていて、まだ技巧的にキレのあった時のリッチの演奏が味わえます。伴奏をつけているのは、イタリア人指揮者のピエリーノ・ガンバ(Pierino Gamba)ことピエロ・ガンバ(Piero Gamba, 1936-)です。ガンバは、11歳で指揮者としてデビューし、神童として有名になった人です。本録音が行われた頃のガンバは、まだ20代前半で、天才指揮者として世界中のオーケストラに客演を重ねていた時期に当たります。直截的な指揮で、あまりドロドロしない演奏ですが、リッチの呼吸にぴったり合わせていて過不足ありません。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、1838年から1844年にかけて作った、彼の入魂の作です。親友で名ヴァイオリニストだったフェルディナント・ダヴィットの助言を受けながら作曲され、基本的に伝統的な三楽章形式を踏襲していますが、第1楽章と第2楽章をアタッカにしたり、第3楽章に序奏をつけて第2楽章の印象を繋いだり、本来カデンツァである部分まで記譜して即興を排除したりと、当時のヴァイオリン協奏曲としては目新しい手法も試しています。
1878年に作曲されたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、数奇な運命をたどった作品です。この作品は、イオシフ・コテックという若いロシアのヴァイオリニストから助言を受けて作曲した作品です。スイスで療養していたチャイコフスキーの下にコテックが、パリで話題になっているエドゥアール・ラロのスペイン交響曲の楽譜を携えて訪問し、チャイコフスキーはラロの作品に刺激されてヴァイオリン協奏曲の作曲に没頭しました。しかし、作品は、ロシアのヴァイオリン界の重鎮だったレオポルト・アウアーに献呈することになりましたが、楽譜を見たアウアーは演奏不可能として楽譜を突き返しました。
初演が頓挫しそうになった時、ソリストに名乗りを上げたのが、アドルフ・ブロズキーで、1881年にウィーンで初演されました。しかし、その時に伴奏を務めたハンス・リヒターの指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団がハチャメチャな演奏をしたとかで、当地の御用評論家のエドゥアルト・ハンスリックに散々にこきおろされてしまいました。発奮したブロドスキーがヨーロッパ各地でこの作品を弾きまくった結果、次第に作品が評判になり、作品は改めて、功労者のブロドスキーに捧げられることになりました。
作品は、伝統的な形式に則り、平明なメロディと独奏ヴァイオリンの華麗さと、ダイナミックな伴奏という、聴き手の心を掌握しやすい仕上がりになっています。
本CDでは、イタリア系アメリカ人ヴァイオリニストのルッジェーロ・リッチ(Ruggiero Ricci, 1918-)がソリストを務めています。リッチは、ルイス・パーシンガーに師事した人で、10歳からコンサート・キャリアを築いてきました。20代の時には、ベルリンに留学してゲオルク・クーレンカンプの薫陶を受けています。第二次世界大戦中は積極的に慰問演奏をする中で、無伴奏ヴァイオリン曲をレパートリーに入れて腕を磨き、戦後は超絶技巧の名人として名声を博しました。
伴奏は、ジャン・フルネ(Jean Fournet, 1913-)の指揮するオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団が担当していますが、本CDでのオーケストラの日本語表記は「オランダ放送管弦楽団」になっています。
フルネはフランスの指揮者で、フィリップ・ゴーベールの門下です。彼は1961年から1978年まで、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めており、このオーケストラの名声と実力を飛躍的に向上させたことで知られています。
本録音時、ソリストのリッチは67歳ということで、往年のテクニックのキレに陰りが見られます。チャイコフスキーの協奏曲では、ハッタリを効かせて音楽の求心力を保っていますが、メンデルスゾーンのほうでは、音程の不安定さが目立ち、ベスト・パフォーマンスとは言えない仕上がりになっています。フルネのオーケストラ捌きも、チャイコフスキーの作品ではメリハリが効いているものの、メンデルスゾーンの作品では、フルネにしては肌理の粗い伴奏になっています。
本CDの余白には、パブロ・デ・サラサーテ(Pablo de Sarasate, 1844-1908)のツィゴイネルワイゼンが収録されていて、まだ技巧的にキレのあった時のリッチの演奏が味わえます。伴奏をつけているのは、イタリア人指揮者のピエリーノ・ガンバ(Pierino Gamba)ことピエロ・ガンバ(Piero Gamba, 1936-)です。ガンバは、11歳で指揮者としてデビューし、神童として有名になった人です。本録音が行われた頃のガンバは、まだ20代前半で、天才指揮者として世界中のオーケストラに客演を重ねていた時期に当たります。直截的な指揮で、あまりドロドロしない演奏ですが、リッチの呼吸にぴったり合わせていて過不足ありません。
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