1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
CD1:
◈Johann Sebastian Bach: Sonata No.1 in B minor, BWV1014
Arthur Grumiaux (Vn)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
(Rec. June 1963)
◈Johann Sebastian Bach: Sonata No.2 in A major, BWV1015Arthur Grumiaux (Vn)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
(Rec. September 1963)
◈Johann Sebastian Bach: Sonata No.3 in E major, BWV1016Arthur Grumiaux (Vn)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
(Rec. June 1963)
CD2:
◈Johann Sebastian Bach: Sonata No.4 in C minor, BWV1017
Arthur Grumiaux (Vn)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
(Rec. June 1963)
◈Johann Sebastian Bach: Sonata No.5 in F minor, BWV1018◈Johann Sebastian Bach: Sonata No.6 in G major, BWV1019
Arthur Grumiaux (Vn)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
Egida Giordani Sartori (Cemb)
(Rec. September 1963)
本アルバムは、アルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux, 1921-1986)とエジダ・ジョルダーニ・サルトリ(Egida Giordani Sartori, 1910-1999)によるヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)のヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ集(BWV1014-1019)を収録しています。J.S.バッハは、ケーテンの宮廷楽長に赴任していた1717年から1723年までに矢継ぎ早に器楽曲を発表しており、これたのソナタも、そうしたケーテン時代の所産としてヴァイオリニストの重要なレパートリーに位置付けられています。
この6曲のソナタのBWV1018までは、イタリアの「教会ソナタ」の流儀に則り、緩-急-緩-急の4楽章構成で作曲されていますが、最後のBWV1019に関しては、「教会ソナタ」の流儀から離れ、J.S.バッハ独自のシンメトリー構造で作曲しています。急-緩-急-緩-急の五楽章形式で、真ん中の「急」の部分のみヴァイオリンを全休止させている点からもシンメトリー構造への意識を感じられると思います。また、二つの緩徐楽章については、本アルバムでは収録されていませんが、BWV1019aとして異稿が残されており、この異稿の素材は、カンタータ(BWV120)やパルティータ(BWV830)に援用されていることが確認されています。
これらのソナタは、同時期に作られたとされる無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータにみられるような、一人で楽器の限界に挑戦する音楽ではなく、チェンバロとのやり取りを楽しみながらポリフォニーの綾を編み上げていくコミュニケーティヴな音楽になっています。しかし、こうした相補的なスタイルは、18世紀の音楽業界では需要がなく、作品が陽の目を見たのはJ.S.バッハが亡くなってから50年以上後になってからのことです。
本アルバムでヴァイオリンを弾くグリュミオーは、ブリュッセル音楽院でアルフレッド・デュボワに師事し、パリでジョルジェ・エネスクの薫陶も受けた名手。自らも1949年からブリュッセルの母校で教授を務め、ベルギーを代表するヴァイオリニストとしての名声を誇りました。
共演のサルトリは、イタリアのチェンバリストで、5歳でヴェネチアのベネデット・マルチェロ音楽院に入学し、第二次世界大戦前まではピアニストとして活躍した才媛。戦時中に活動を制限されましたが、その時期にチェンバロを知り、戦後にローマ聖チェチーリア音楽院のフェルッチョ・ヴィニャネッリの下で学び直しています。
録音年代が1960年代前半ということで、まだグスタフ・レオンハルトらが古楽器演奏の方法を試行錯誤していた頃に当たります。古楽器奏法が浸透した今日に於いて、グリュミオーのスタイルは古めかしく扱われますが、これはこれとして立派な風格を備えた演奏です。時代を感じさせるとすれば、サルトリの使っているであろうモダン・チェンバロの音色で、サルトリは多彩なレジスター(音色を変化させる装置)を駆使しています。今やサルトリのガチャガチャするチェンバロは好んで用いられなくなりましたが、曲想や場面に合わせた音色の変化は、サルトリの見識に裏打ちされており、この音色の移ろいに着目して鑑賞するのも面白いものです。BWV1014のサルトリのゴツゴツしたチェンバロは、それ自体洗練を拒むような面白さがありますが、そこにスッと入ってくるグリュミオーの品の良いヴァイオリンの音色が、絶妙なコントラストを生みだしています。
グリュミオーは1978年から1980年にかけて、BWV1023までのソナタを含めてクリスティアーヌ・ジャコッテと再録音しており、大家の貫録を示していましたが、サルトリとの共演盤は、ジャコッテとの録音よりもキリッと引き締まった音色で凛とした演奏を披露しています。テンポの縦線に厳格なサルトリのチェンバロを合いの手に、BWV1015やBWV1016のソナタではキビキビとした演奏で楽天性に流れない格調の高さを保持しています。短調のソナタでも、緩徐楽章では程良くしっとりとしていて、情緒に耽溺しない明晰さを持ち合わせています。J.S.バッハの音楽の緻密な音楽の設計に忠実な演奏という第一印象がありますが、その実、一方のパートに比重がかからないようにグリュミオーとサルトリの双方で絶妙な駆け引きとせめぎ合いを見せていました。聴けば聴く程に、ちょっとした仕草に秘められた意味があるようで、奥深い演奏に感じられます。
この6曲のソナタのBWV1018までは、イタリアの「教会ソナタ」の流儀に則り、緩-急-緩-急の4楽章構成で作曲されていますが、最後のBWV1019に関しては、「教会ソナタ」の流儀から離れ、J.S.バッハ独自のシンメトリー構造で作曲しています。急-緩-急-緩-急の五楽章形式で、真ん中の「急」の部分のみヴァイオリンを全休止させている点からもシンメトリー構造への意識を感じられると思います。また、二つの緩徐楽章については、本アルバムでは収録されていませんが、BWV1019aとして異稿が残されており、この異稿の素材は、カンタータ(BWV120)やパルティータ(BWV830)に援用されていることが確認されています。
これらのソナタは、同時期に作られたとされる無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータにみられるような、一人で楽器の限界に挑戦する音楽ではなく、チェンバロとのやり取りを楽しみながらポリフォニーの綾を編み上げていくコミュニケーティヴな音楽になっています。しかし、こうした相補的なスタイルは、18世紀の音楽業界では需要がなく、作品が陽の目を見たのはJ.S.バッハが亡くなってから50年以上後になってからのことです。
本アルバムでヴァイオリンを弾くグリュミオーは、ブリュッセル音楽院でアルフレッド・デュボワに師事し、パリでジョルジェ・エネスクの薫陶も受けた名手。自らも1949年からブリュッセルの母校で教授を務め、ベルギーを代表するヴァイオリニストとしての名声を誇りました。
共演のサルトリは、イタリアのチェンバリストで、5歳でヴェネチアのベネデット・マルチェロ音楽院に入学し、第二次世界大戦前まではピアニストとして活躍した才媛。戦時中に活動を制限されましたが、その時期にチェンバロを知り、戦後にローマ聖チェチーリア音楽院のフェルッチョ・ヴィニャネッリの下で学び直しています。
録音年代が1960年代前半ということで、まだグスタフ・レオンハルトらが古楽器演奏の方法を試行錯誤していた頃に当たります。古楽器奏法が浸透した今日に於いて、グリュミオーのスタイルは古めかしく扱われますが、これはこれとして立派な風格を備えた演奏です。時代を感じさせるとすれば、サルトリの使っているであろうモダン・チェンバロの音色で、サルトリは多彩なレジスター(音色を変化させる装置)を駆使しています。今やサルトリのガチャガチャするチェンバロは好んで用いられなくなりましたが、曲想や場面に合わせた音色の変化は、サルトリの見識に裏打ちされており、この音色の移ろいに着目して鑑賞するのも面白いものです。BWV1014のサルトリのゴツゴツしたチェンバロは、それ自体洗練を拒むような面白さがありますが、そこにスッと入ってくるグリュミオーの品の良いヴァイオリンの音色が、絶妙なコントラストを生みだしています。
グリュミオーは1978年から1980年にかけて、BWV1023までのソナタを含めてクリスティアーヌ・ジャコッテと再録音しており、大家の貫録を示していましたが、サルトリとの共演盤は、ジャコッテとの録音よりもキリッと引き締まった音色で凛とした演奏を披露しています。テンポの縦線に厳格なサルトリのチェンバロを合いの手に、BWV1015やBWV1016のソナタではキビキビとした演奏で楽天性に流れない格調の高さを保持しています。短調のソナタでも、緩徐楽章では程良くしっとりとしていて、情緒に耽溺しない明晰さを持ち合わせています。J.S.バッハの音楽の緻密な音楽の設計に忠実な演奏という第一印象がありますが、その実、一方のパートに比重がかからないようにグリュミオーとサルトリの双方で絶妙な駆け引きとせめぎ合いを見せていました。聴けば聴く程に、ちょっとした仕草に秘められた意味があるようで、奥深い演奏に感じられます。
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