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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Giuseppe Verdi: Messa da Requiem (Beginning)
Zinka Milanov (Sop)
Kerstin Thorborg (Ms)
Helga Rosvænge (T)
Nicola Moscona (Bs)
BBC Choral Society (Chorus master: Leslie Woodgate)
BBC Symphony Orchestra / Arturo Toscanini
(Rec. 27 May 1938, Queen's Hall, London) Live Recording without Applause

CD2:
◈Giuseppe Verdi: Messa da Requiem (Conclusion)
Zinka Milanov (Sop)
Kerstin Thorborg (Ms)
Helga Rosvænge (T)
Nicola Moscona (Bs)
BBC Choral Society (Chorus master: Leslie Woodgate)
BBC Symphony Orchestra / Arturo Toscanini
(Rec. 27 May 1938, Queen's Hall, London) Live Recording without Applause
◈Giuseppe Martucci: Concerto for Piano and Orchestra No.2 in B flat minor, op.66
Glauco d'Atilli (Pf)
NBC Symphony Orchestra / Arturo Toscanini
(Rec. 20 January 1946, 8H Studio) Live Recording without Applause



ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi, 1813-1901)のレクイエムと、ジュゼッペ・マルトゥッチ(Giuseppe Martucci, 1856-1909)のピアノ協奏曲第2番のカップリング。ヴェルディは、19世紀イタリア・オペラの巨匠として君臨した作曲家ですが、マルトゥッチは敢えてイタリア・オペラに背を向け、リヒャルト・ヴァーグナーの楽劇をイタリアに紹介する傍ら、イタリアにおける器楽の復興に力を注いだ作曲家でした。
この両者の作品でタクトをとるアルトゥーロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini, 1867-1957)は、イタリアの往年の指揮者として名の高い人ですが、若い頃はチェリストとしてヴェルディの謦咳に接したことがあり、作品解釈の極意をヴェルディ自身から教わっています。マルトゥッチは指揮者、ピアニストとしても活躍しており、トスカニーニにとってはアイドル的存在でした。マルトゥッチの作品の演奏・普及について、トスカニーニは自分の使命と心得ていて、誰が何と言おうと、演目にマルトゥッチの作品を掲げた時には絶対に撤回しませんでした。また、事あるごとにマルトゥッチのことを引き合いに出したトスカニーニは、仕事に付き添う妻がオーケストラのリハーサル中にショッピングに出かけてしまうのが我慢ならず「マルトゥッチの奥さんは常に夫から離れなかったものだ!」と切れていたのだとか。マルトゥッチの影響は、トスカニーニの生活の端々にも見られたようです。

ヴェルディのレクイエムは、1873年にヴェルディの敬愛する小説家のアレッサンドロ・マンゾーニを追悼するために作曲したもの。この曲を作る前に、ジョアキーノ・ロッシーニの逝去を受けてイタリア在住の作曲家たちで曲を持ち寄ってレクイエムを作る計画を立てたものの、足並みがそろわずに頓挫し、その時に作った〈リベラ・メ〉がリサイクルされています。
この曲はトスカニーニの大好きな演目の一つで、数種類の演奏が残されています。ここに収録されているのは、1938年のBBC交響楽団および合唱団によるライヴ録音です。メトロポリタン歌劇場の歌姫のジンカ・ミラノフ(Zinka Milanov, 1906-1989)、スウェーデン出身の名歌手で、ナチスを嫌ってメトロポリタン歌劇場で「キルステン・トルボルク」として売り出し中だったキルステン・トルボリ(Kerstin Thorborg, 1896-1970)、同じくスウェーデン出身のイタリア・オペラの名人のヘルガ・ロスヴェンゲ(Helga Rosvænge, 1897-1972)、ギリシャ出身でメトロポリタン歌劇場にデビューしたばかりの新人バス歌手のニコラ・モスコーナ(Nicola Moscona, 1907-1975)といった、トスカニーニの目に適った有望株を揃えており、この独唱者たちをイギリスの人たちにお披露目するという意味も兼ねていたものと思われます。
演奏自体は神の怒りの鉄槌を思わせるような〈怒りの日〉を中心に、ダイナミックな演奏が展開されていますが、奈何せん音の復刻具合が良くありません。高音を強調し過ぎて音の割れが激しく、低音が貧弱になってしまっている分、耳がキンキンします。

マルトゥッチのピアノ協奏曲第2番は1884年から翌年にかけて作曲された作品。作曲家としてのマルトゥッチは、ヨハネス・ブラームスの音楽を好み、ブラームスの作品を下敷きにして重厚なオーケストラ伴奏をつけています。この演奏では、トスカニーニがカール・フリードベルク門下の若手ピアニストだったグラウコ・ダティリ(Glauco d'Atilli, 1921-2007)に白羽の矢を立てています。ダティリは、その後ピアノ四台の演奏集団であるファースト・ピアノ・カルテットに参加し、アンサンブルを得意とするピアニストとして活動しました。
ダティリのピアノ演奏は、まるで各下のレスラーが格上のレスラーに先制攻撃を仕掛けるような怒涛の勢いで押し捲っています。この勢いを利用しながら、オーケストラの伴奏でメリハリをつけて音楽のまわりくどさを解消しようというのが、トスカニーニの演奏設計の様です。両端楽章では、そうしたダティリの勢いがグルーヴ感を生みだし、テンポの良い音楽に聴こえます。中間楽章はやや生煮えの感があるものの、トスカニーニの起伏に富んだ雄弁な伴奏が聴き手を飽きさせず、ダティリのピアノを大いに刺激しています。
マスタリングについては、ヴェルディのレクイエム同様に高音域強調の傾向がありますが、元の音源の情報量が多いのか、音が飽和状態に陥らず、比較的鑑賞に耐えうる音質だといえます。しかし、より良質な復刻も可能な音源のような気もします。トスカニーニのマルトゥッチ作品の演奏は、あまりリマスタリングによる再復刻がなされていない状況なので、この作品についても、より自然な復刻が待ち望まれます。

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